ふらり冒険〜リベンジにいこう!!〜
 |
■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:11〜lv
難易度:やや難
成功報酬:5
参加人数:6人
サポート参加人数:2人
冒険期間:12月02日〜12月17日
リプレイ公開日:2006年12月09日
|
●オープニング
──事件の冒頭・11月26日
のどかな昼下がり。
街道警備をしていたてブラックウィング騎士団従者であるケインは、街道の向うをじっと眺めていた。
「この街道は平和ですねぇ‥‥」
そのケインの言葉に、相棒であるステインが肯く。
「たしか、この仕事が終ったらだよな?」
ステインのその言葉に、ケインはニィッと微笑む。
「そうなんです。来月の10日、いよいよ彼女と結婚するんです!! 今はパリの実家で僕の帰りを待っているんですよ!!」
その楽しそうな笑顔を見て、ステインはこう悪態を付く。
「はははっ。まあ、何事もないように祈ってくれ‥‥この街道の向うはシャルトル、パリでもっとも血が流れている地だからな‥‥」
「判っていますって!! ああ、待っていてくれよジョセフィーヌ‥‥」
そんな感じでまた見張りを続ける二人であった。
まあ、吟遊詩人の物語などを参考にすると、この手の会話をしているこいつら‥‥。
多分死ぬな。
──場所は変わって、11月30日
そこはノルマン江戸村。
いつもののどかな昼下がり。
「‥‥見事に壊れていますね‥‥」
眼の前に広げられた鉄屑を調べつつ、クリエムがそう呟く。
「祖父の残してくれた大切な剣なんだ。修復可能か?」
金髪ショートの女性・フィーンがそうクリエムに問い掛ける。
「まあ、全て炉に放り込んで‥‥と、あら、これ、今直は‥‥えーーっと‥‥」
そのまま1度席を離れるクリエム。
だが、しばらくして戻ってきたクリエムは、フィーンに静かに笑みを浮かべる。
「魔法炉はなんとかなりますけれど、これを治せる『打ち手』が、今は席を外していまして。戻ってきたら、直に修復にはいりますから、それまで待って頂けますか」
そう告げると、クリエムは『壊れたカリバーン』を預かる。
「時間が掛かっても構わない、これが直るのならば‥‥」
そう頭を下げるフィーンに、クリエムが静かに問い掛ける。
「でも、こんなに強力な魔法剣を一撃で破壊ですか。どんな悪魔と戦ったのですか?」
「いや、巨大な大剣を持った無骨な男だ。刃渡りが2mを越えた‥‥漆黒の大剣だ」
その言葉を 聞いたとき、クリエムの顔からサーーーッと血の気が引いた。
「そ、そうですか。ではこれは御預かりします。打ち手が戻りしだい作業にはいりますので」
そのままフィーンはクリエムの元を離れた。
「‥‥ど、どうして御爺様の封印剣が‥‥『黒き大剣ブレイドバスター』が他所にあるの‥‥」
その日、クリエムは仕事に手が付かなかった。
──場所は変わって・11月30日
「‥‥駄目だな、この剣は使えねぇ」
ドガッと大剣ブレイドバスターを放り投げつつ、悪鬼が静かにそう叫ぶ。
「ほう、それはどういう事だ?」
エルフの鍛冶師・ゼロが悪鬼に向かって問い掛ける。
「この剣を、そうだな‥‥拳に付けられるようにしてほしい。ナックル型に鍛えなおしてくれ」
元々は素手戦闘を得意とする悪鬼にとって、こんな剣を振回すのは自身の心に反する。
「それは無理だな。1度作りあげられた名剣を改良するのは、それの打ち手に対して失礼だ‥‥ただし」
ニィッと口許に笑みを浮かべつつ、ゼロがこう付け加えていた。
「それを越えるモノを作れというのなら、喜んで作ってやるよ‥‥と、これが新しい紋章剣だ。但し、魔法の源であるコアはいいものではないから、それほど強い力はでないとヘルメスに告げてくれ」
ヒョイと紋章剣を悪鬼に投げるゼロ。
「ふぅむ。コアねぇ‥‥一体どんなコアがあればいいんだ?」
「それは教えられないですよ。例え貴方が『シルバーホーク』の側近であったとしてもね。これは鍛冶師としての秘儀ですから」
その言葉に、悪鬼はあたまをボリボリと掻きつつ外に出ていった。
──さらに場所は変わって・11月25日
「‥‥ふぅん。成る程ねぇ‥‥」
とある小屋で、ヘルメスが一人の騎士より何かを聞いている。
「冒険者は殺して埋めた。そして紋章剣の使い手もな」
セフィロトの紋章の入ったマントを背中に付けた騎士が、仮面の奥からそう告げる。
「紋章剣士ねぇ。まあ、冒険者なんて必要ないけれど、剣士は欲しいわ。手駒にするから、場所を教えて頂戴」
「正気か? 死んでいるんだぞ?」
「なら甦生すればいいわ。紋章剣士なら、悪鬼と互角に戦えるでしょう? それぐらいの力を持っている人が欲しいのよ‥‥」
そう告げると、ヘルメスは側に置かれたスクロールを手に取る。
「それは?」
「さぁ‥‥預言書とかいうものらしいわね‥‥」
クスクスと笑いつつ、ヘルメスはそれをテーブルに戻す。
「さて、セフィロト騎士団筆頭アルベール。貴方に新たなる力を授けましょう‥‥」
そう呟くと、ヘルメスは儀式を静かに始めた。
●ということで
様々な思いの交錯するノルマン。
貴方の中に眠っている思いは、そのまま眠っているままで良いのですか?
●リプレイ本文
●奇跡を錯覚するなかれ〜真実は何処に?〜
──パリ・ノートルダム大聖堂
ガラァァァァァァン、ゴロォォォォォォォォン
大聖堂の鐘が鳴り響くパリ。
その聖堂の入り口で、オイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)は頭をポリポリと掻いていた。
「なんで私、ここにいるの?」
ああ、全くだよ!!
オイフェミアの最後の記憶はシャルトル南方。
そこで彼女はベルゼルク騎士団の手によって闇に葬られた筈。
にも関らず、オイフェミアは甦生した。
「‥‥あのー、神父様。私はどうしてここにいるのでしょうか?」
「全ては神の思し召しです」
「いえいえ、そうではなくて。私はシャルトルで命を落としました。なのにどうしてここで、甦生されているのでしょうか?」
そう告げたとき、神父はにっこりと微笑って一言。
「大聖堂の入り口に、泥塗れで倒れていましたよ。側に『甦生ヨロ!!』と記されたスクロールと、寄付として様々な物品が置かれていましたしね」
その言葉の直後、オイフェミアは顔が真っ青になった。
「それではっ!!」
オイフェミアは冒険者街にダッシュ!!
そして荒らされた自分の家を見て茫然となるのであったとさ‥‥。
「あ、あはは‥‥金目のものが殆どない‥‥」
まあ、そういう事だ。
──場所は変わって、冒険者酒場マスカレード
「エリア24から何処かに連れ去られただとぉっ!!」
カウンターで絶叫しているのはリスター・ストーム(ea6536)。
その横で、情報屋のミストルディンが静かに肯いている。
「ええ。私の部下からの情報ね。慰みものにされている女性達はエリア23に監禁されているんだけれど、蛮ちゃんとその他数名の女性は別の場所に移されたって言う話よ」
「少なくとも今の話だと、蛮ちゃんはひどい目に遭っていない可能性があるか‥‥連れ去られた先が何処か判るか?」
そう必死に告げるリスターだが、ミストルディンは沈黙。
「お前でも解らないのか‥‥」
「ええ」
「なら‥‥出来るだけ精密なノルマンの地図をかして欲しい‥‥」
──1時間後
地図屋からノルマンの地図を買い取って店に戻ってきたミストルディン。
そしてそれをリスターに手渡したとき、リスターはすぐさま地図を開き、バックの中からダウジングペンデュラムを取り出し、意識を集中する。
「蛮ちゃん‥‥必ず俺が‥‥」
必死に地図の上にをペンデュラムを走らせる。
だが、何も反応がない‥‥。
「もっと彼女を思って‥‥」
「蛮ちゃん‥‥大切な‥‥俺の‥‥可愛い声と、ちょっといい形の‥‥くびれたウェスト‥‥えへへへへへへ」
何か意識が妄想モードに突入したとき、突然ペンデュラムが大きく反応した!!
「リスター、そこよっ!!」
「そこ‥‥ってここか?」
ペンデュラムの記した場所は海岸線。
それもかなり潮流の激しいエリア、通称『竜の背骨』と呼ばれているプロの漁師でも今は近づかない危険地帯。
「何かあるのか?」
そう問い掛けてくるリスターに、ミストルディンは静かにこう呟いた。
「旧秘密結社シルバーホークのアジト、そして海賊シーラットの本拠地。今はもう誰もいない無人だと思っていたのに‥‥」
「そこに逝けばいいんだなっ!!」
いや、逝くじゃなくて‥‥。
そう叫びつつ、リスターは停車場に向かってダッシュ!!
だが、『竜の背骨』に向かう船は見つからなかった。
●名工への道どんな道
──ノルマン江戸村
ということで、アンリ・フィルス(eb4667)はロックフェラー・シュターゼン(ea3120)と共にやってきましたノルマン江戸村。
ここで滞在しているフィーンにロックフェラーを紹介して、さらにアンリは南へと。
「さて‥‥どうしますか?」
そう鍛冶場で横に座っているクリエムに問い掛けるロックフェラーに、クリエムはニコリと微笑んで一言。
「頑張ってくださいね」
「って、俺が打つのかっ!!」
「貴方しか打てないでしょう?」
「‥‥とりあえず、一通りの図面からおこすしかないか‥‥」
ということで、フィーン、クリエムと共にロックフェラーはただひたすら図面を作成。
その合間をぬって、クリエムはもう一人の師匠であるマイスター・マシュウから譲り受けた魔法炉に火を入れる。
そして図面が完成すると、ロックフェラーは切片から材質を算出。
「かなり老朽化している。魔法剣でもこれだけ傷つくというのは、昔の技巧だからなんだろうなぁ‥‥」
柄(グリップ)を調べていくが、剣の延長である鉄芯部分に皮を巻き上げ強度を上げているだけであった。
が、問題はその芯の部分である。
「ここに刻まれている文字は‥‥なんだ?」
ロックフェラーの知らない文字配列。
それもいくつもの紋様と刻印で飾られ、まるでそこに小さな魔法陣が組み込まれているかのように感じられた。
そしてその皮も、ロックフェラーの知る動物の皮ではない。
「うーーん。とりあえず明日にでもプロスト卿に来て貰えるか問い合わせておきます‥‥」
そんなこんなで、今だ迷走するロックフェラーであったとさ。
──翌日
師匠の資料を引っかき回しつつ、ロックフェラーはいよいよ手探りではあるが、改良型カリバーンの作成に入る。
フィーンの用意した魔法炉の中に砕けたカリバーンの切片を放り込み、ただひたすら素材が溶けていくのをじっと待っていたが‥‥溶けない。
「カリバーンの材質はかなり鍛えられた鋼って奴とプランの複合か‥‥」
図面を書きつつ、ひたすらに素材を調べていたロックフェラー。
だが、そこから先の行程がまた判らない。
「ほほう。何をしていますか?」
と、正午過ぎに姿を現わしたのはプロスト卿。
「カリバーンの製錬です。それで、実は御願いがあるのですが」
丁寧に口調でそうプロスト卿に話し掛けるロックフェラー。
「ええ、構いませんよ。何か判らない事でも?」
「このカリバーンを鍛え上げるのに必要な『神世の炎』っていうのが解らないのですよ」
そう告げると、ロックフェラーはプロスト卿に一通りの製法と解析した書物の話を伝える。
「うーん。恐らく神世の炎は『イクスティンクション』でしょうねぇ‥‥」
おっと、流石はプロスト卿。
「イクス‥‥と、それは?」
「ああ、セージにのみ使う事を許された『四大精霊合成魔法』ですよ。ただ‥‥この魔法を使える者は殆どいなく、さらにその力の強力さゆえ、対象となったものは消滅してしまうということですから‥‥」
「そこまで強力なら、鍛冶には使えないと‥‥」
「だからこその『力の炉』でしょうねぇ。あれは、魔法力をコントロールできる優れものですから、イクスティンクションを力の炉にそそぎ込み、その中に発生する『神世の炎』で魔法金属をも溶かすということ。但し、それらを扱うには通常の籠手では‥‥」
そう告げたとき、ロックフェラーは『竜の籠手』を手に付けて見せる。
「ふむ、それがあるのなら、残りは『月雫のハンマー』ですか。残念ですが、それはまだのようですね」
「ですから、プロスト卿の力で、何とか探して欲しいのです。闇オークションでも構いませんから」
そう告げたとき、プロスト卿が静かにこう告げた。
「力の炉、知っていますよ‥‥。あれは古きノルマンの民に伝えられているものですね。南方にひっそりと住まう『竜の民』なら、それを知っているかもしれません。ハンマーの方は、私の『好事家仲間』にでも聞いておきましょう‥‥」
そう告げると、プロスト卿はフラリと村の中を散策に出る。
「ど、どちらに?」
「簡易的にではありますが、イクスティンクション、御見せします。その為の準備ですよ‥‥」
──2日後
フラリとプロスト卿が舞い戻る。
その後ろには、4人のウィザードが同行していた。
「ロックフェラーさん、準備はいいですか?」
すでに鍛冶場には竜の籠手とクリエムから借りた『魔法の鎚』を装備したロックフェラーがたたずんでいた。
「宜しく御願いします」
その掛け声と同時に、4人のウィザートが一斉に『魔法炉』に向かって魔法を唱える。
やがて炉の中には見た事もない強力な炎が巻きあがる。
──ジリリリリッ‥‥
その炉の中で、確かにカリバーンの切片が溶けはじめたのである。
「うおおおおおおおっ!!」
雄叫びを上げるロックフェラー。
その横で、プロスト卿は静かに呟く。
「多分、この炎は7日位は燃え盛っていますでしょう。けれど、力の炉程の火力も持久力もありません。その事を踏まえて‥‥では」
そう告げると、プロスト卿は静かに退室。
そしてロックフェラーの地獄のような鍛練が開始された!!
●もう一つの修羅場・バ、バンバン☆
──剣士の居留地
ビジッ!! バジィィィィィィィッ
触れ合うは二つのオーラの剣。
互いにぶつかり反発し、その反動で片方の剣士の体勢が都度崩れていく。
「こ、こんなに反動が!!」
よろよろと交代しつつも、テッド・クラウス(ea8988)は目の前で剣を振るうマスター・オズにもう一度構えを取る。
すでに修行4日目。
いよいよ『紋章剣の候補者』としての正式な訓練が開始された。
剣の泉に手をかざしたテッドに答えたのは『白虎』。
それを手に、テッドはさっそく紋章剣を発動させた。
そして激しい打ち合いが続くが、マスター・オズの紋章剣と触れ合うたびに、テッドは後方に弾かれてしまう。
「意識が分散しとるのう。まだまだ修練が足りぬな」
「はいっ!! 行きますっ!!」
再び立ち上がり、再び柄に意識を集中するテッド。
──ヴゥゥゥン
やがて生み出された刃を構えると、テッドは再びマスター・オズに向かって挑んだ!!
──一方、もう一人の剣士はというと
ゴゥゥッ
振りかざした紋章剣をマスター・メイスに叩き込むヘルヴォール・ルディア(ea0828)。
その一撃をどうにか受止めると、マスター・メイスは後方にワンステップし、そのまま一気に間合を詰める。
──バジッ!!
軽く叩き込まれたマスター・メイスの紋章剣に、ヘルヴォールは5mも後方にぶっ飛ばされた。
「ぐっ‥‥軽く触れただけなのに‥‥」
「オーラの密度の違いだな。その巨大な紋章剣をコントロールするのには、さらに強力なオーラと意志力が必要だ」
ちなみにヘルヴォールの問い掛けに答えた紋章剣は『疾風』。ただし、従来の細身ではなく、生み出されるオーラの刀身はツーハンドソード級。
それゆえヘルヴォールは両手で紋章剣を構える形となった。
なお、片手で構えた場合のヘルヴォールでは、オーラの刀身は安定しないというのも理由の一つであろう。
「ハァハァ‥‥どうして安定しないの」
そう呟くヘルヴォールに、マスター・メイスは頭を左右に振る。
「安定しないのは、まだ心になにかわだかまりがあるから‥‥迷う心には、オーラは力を与えない」
そう告げると、マスター・メイスは紋章剣を戻す。
「明日からは午前中は精神面を、午後からは実戦訓練に切り替える。今日は休みなさい」
──そして最終日の夜
パチパチ
焚火に辺り暖を取る一行。
「マスター・オズ、ちょっといいですか?」
テッドは食事を取ったのち、そうマスター・オズに問い掛ける。
「うむ、どうしたんぢゃ?」
「アサシンガールといわれる少女が紋章剣に非常によく似た武器を所持していたそうです。紋章剣はマスターたちが持つ二振り、封印された七振り、それにマスカレードにあるものを加えて十振りと以前伺いました。少女が持っていたものがなんなのか心当たりはありますでしょうか?」
その問いに、しばし考えるマスター・オズ。
「古くは紋章剣はな、全部で29本作られるはずぢゃった。13の紋章剣に付随する13本、無銘が3本、王剣とよばれる一振りで29じゃった。もっとも、そのうち完成したのは、破壊されたものを加えて16。我々の持つ10と不死鳥、失われた激震、山羊、一角獣の3本、そして王家に奉納された『王剣』『無銘』のみ。残りはコアが足りないとかで完成していないのぢゃ‥‥」
「もし図面が残っていて、コアがあって打ち手がいたとすれば、残りは完成するのでしょうか?」
そのヘルヴォールの問いに、マスター・メイスが懐く。
「だが、それは無理だろう。なによりもコアが作れない筈だ。私の無銘も、他の紋章剣とは違うコアを用いている為に汎用性が高くなっているものの、増幅力はないのだからな」
その後で、テッドは一つ質問をする。
「もしコアがあると作れるというのでしたら、コアの変わりになるようなものはあるのでしょうか?」
「ある。じゃが、それは外法ぢゃよ。コアの条件となるものは、『純粋なエネルギーや意志の集合体』。ゆえに、儀式を施したブランで作られるオリジナルのコアに対抗するほどのものは‥‥」
そう告げて、マスター・オズがぼそっと呟いた。
「人の魂‥‥ぐらいぢゃろうて‥‥」
●シャルトルに告ぐ
──ベルゼルク騎士団詰め所
「ちょっと判りませんねぇ‥‥」
騎士団詰め所で、一人の騎士がアンリにそう告げる。
ノルマン江戸村で色々とフィーンに頼み込んだ後、アンリはこのベルゼルク騎士団にやってきた。
目的は騎士団の裏で何かをしているものの調査。
そしてもう一つは、ここで殺されたオイフェミアの『戯言』に付き合いつつ、その裏を取る為。
すでにオイフェミアはアースダイブを駆使して、殺された場所から様々な方向に移動し、自分の死体が埋められているであろう場所を探している所である。
「そうか、では済まないが、騎士団長のシャード殿と面会したい」
そう告げると、その騎士は直にシャードを呼んでくる。
「ああ、これはご無沙汰しています。フィーンはその後元気にやっていますか?」
「うむ、実は貴殿に話があったのでござる‥‥騎士には己が滅んでも貫く正義がある。君に一片の誇りがあるならば道を示し給え‥‥と、言えば判るでござろう?」
そう告げられて、シャードはしばし思考。
「今の私の立場では何もいえません。ただ‥‥」
そう告げて、シャードは周囲に人がいない事を確認してこう呟いた。
「10人のセフィロトに気を付けてください」
それだけを告げて其の場から立ちさって行った。
●そして生み出された剣
──ノルマン江戸村
ジューーーーーッ
冷やされた金属。
その細身の剣に、プロストが魔力で印を刻みこむ。
そして先代カリバーンに巻かれていた皮を握りに巻き付け、最後の仕上げを行うロックフェラー。
「ふぅ‥‥一応これで完成と。ロックフェラー作強化型カリバーン『カリバーン・ツヴァイ』‥‥と」
そう告げてロックフェラーは大の字になって爆睡。
受け取ったカリバーンを構え、目の前に突き刺さっているバスタードソードに向かって剣を振るうフィーン。
──キン
小さい音を発して、バスタードソードは真っ二つに『切断』された。
「凄い‥‥御爺様の剣が蘇った‥‥感謝する、ロックフェラー殿」
そう頭を下げるフィーン。
だが、ロックフェラーは夢の中。
〜Fin