【ハルだ一番】ミトンオンファイト!!

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月20日〜05月25日

リプレイ公開日:2007年05月25日

●オープニング

──事件の冒頭
 ダンダダンダンダダン!!

 ノルマン江戸村・ノルマン神社社務所
「‥‥我が剣の神よ。今一度、この封印を解くことをお許しください‥‥」
 そう告げつつ、ノルマン江戸村の巫女・徳川葵は封印されていた布包みを静かに開放する。


──ダンダダンダンダダン!!
 ノルマン江戸村・宮村剣術道場
「時は来た‥‥行くか」
 そう呟きつつ、道場主である宮村武蔵は、其の手に純白のミトンを纏う。


──ダンダダンダンダダン!!
 ノルマン江戸村・冒険者酒場のるまん亭
「クスクスクスクス‥‥今年こそ、私が優勝してみせるわ‥‥」
 そう呟きつつ、酒場のウェイトレス『ブランシュ』は酔っぱらい客に向かってスープレックスを叩き込んだ!!


──ダンダダンダンダダン!!
 シャルトル・プロスト城
「ふむふむ。成る程ねぇ‥‥良いでしょう。このゲスト参戦というのに出てあげましょう‥‥バトラー。久しぶりの闘いです。それ相応の準備を」
 そう告げつつ、プロスト辺境伯も受け取った手紙を引出にしまい込む。


──ダンダダンダンダダン!!
 パリ・冒険者ギルド
「ギルドマスター。誠に勝手な事を申してすいません!! 休暇申請を御願いします!!」
 頭を下げつつ、ギルドマスターにそう告げているのは受付嬢のエムイ・ウィンズ。
「別に構わないけれど随分と長期なのね?」
「はい。今年のミトンオンファイトに参戦しようと‥‥」
 そう告げて、エムイ・ウィンズはシャルトルに向かって走り出した。


──ダンダダンダンダダン!!
 パリ・コンコルト城
「‥‥なんでこんなものが私の所に?」
 そう告げつつ、執務室で江戸村からの『ミトンオンファィトゲスト参加要請』の書面を見ている‥‥って、あんた国王!!
「どのように?」
 そう告げつつ、側で待機している『ブランシュ騎士団で一番偉い人』は国王から書面を受け取る。
「貴殿に任せます‥‥」
「御意」
 拳を鳴らしつつ、その場をアトにする騎士団長らしき人。
 ああっ、やる気なのか?



●『ミトン・オン・ファイト』ルール解説
・武器は素手にはめる『特製ミトン(手袋)』を貸与するので、装備は全て外して参加する事

・防具は純白のネイルアーマーのみ、こちらで準備するので装備は全て外して参加すること。

・ミトンに染み込ませてある染料で、相手の胴部二ヶ所+顔面一ヶ所を染め上げた者が勝者となる

・審判は村の彼方此方に待機しており、戦闘が始まった瞬間にジャッジを開始する 

・他者の戦闘にいきなり乱入するのも自由。判定は全てジャッジが行うものとする

・魔法は使用禁止とする

・コンバットオプションは自由

・参加者は村の20方向に用意するスタート地点で待機、空中にファイアーボムが炸裂したときがゲームスタートとなる

・ファイター、浪人はAPが1になるように重量ハンデを背負ってもらいます

・『νわんドシ君』を撃破したらボーナスポイント!!

●今回の参加者

 ea0828 ヘルヴォール・ルディア(31歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea1560 キャル・パル(24歳・♀・レンジャー・シフール・ビザンチン帝国)
 ea1662 ウリエル・セグンド(31歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea4167 リュリュ・アルビレオ(16歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea6536 リスター・ストーム(40歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 eb6340 オルフェ・ラディアス(26歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)

●リプレイ本文

●キング・オブ・キングス
──シャルトル・ノルマン江戸村
 天気晴朗。
 雲一つ無いいい天気。
 シャルトル地方・ノルマン江戸村には、いつもとは違い大勢の人たちで溢れていた。
 それも其の筈。
 なんとノルマン江戸村は、今が真っ盛りの『花祭り』が開催されていたのです!!
「本国江戸ならば桜をめでて‥‥と行きたいが、そんなものはない以上、我々は独自に盛り上がる事を提案する!!」
 という村長の宣言により、江戸村は領主からそこそこの資金援助をを受けて『花祭り』を開催していた。
 
 この期間中には、あの『ミトンオブファイト』や『鍛冶屋トーナメント』『お愉しみ富くじ』などなど、様々な催し物が開催していた。
 子供達はパリから来た大道芸人達の華麗なる芸を見て、滅多に食べられない甘い菓子に舌鼓を打つ。

「えーーー。ウナギーウナギはいかがー」
 出張ですか?
「武具のご用命は、どうぞこちら『びっくり鈍器・江戸村出張所』までどうぞ。武器のレストア改造から巨大な大釜まで、なんでもお作りします‥‥」
 いよっ、トールギスの弟子の‥‥ッテエェェェェェェェェェェェェ?
 あ、そっか。
 君は今、鍛冶屋ファイトの真っ最中なんですね。
 随分と余裕だな。



──そんなこんなで
 江戸村中央広場。
 大勢の参加者が集っている。
 今回はなんと一般参加も合わせて24名、まさに大バトルトーナメントである。
「常にオーラの循環‥‥」
 体表を薄いオーラで包むイメージ。
 ヘルヴォール・ルディア(ea0828)は会場で渡されたハンデ用の重りを装備しつつ、そう呟いていた。
 その近くでは、キャル・パル(ea1560)が巫女の徳川葵と並んで愉しそうである。
「しふしふ♪〜、葵おねーさん、キャルの巫女巫女服だよー」
「あらー。綺麗ね。それににあっているわよ‥‥」
 にっこりとそうキャルに告げる葵。
「もぐもぐ‥‥これ‥‥旨い‥‥」
 モグモグとお好み焼きを口にほおばりつつ、ウリエル・セグンド(ea1662)も追加の重りを装着。
 強さとは。
 それをもう一度見直す為にやってきた筈なのに、何故かお好み焼きを食べている‥‥。
 それってどうよ?
「女は戦ってこそ華ッ! 負けて堕ちれば泥ッ! ならば堕ちつくすその瞬間まで、華たらんことをッ? なんてね、なんてねー」
 照れつつその場から駆けていくのはリュリュ・アルビレオ(ea4167)。
──ドン!!
 と、丁度別の方角から歩いてきた男性にぶつかり、そのまま転倒!!
(あ‥‥これって恋愛の始まり‥‥)
 そう心の中で呟きつつ、男性の方を見る。
──デンデンデンデーーーーン!!
 身長は2mほどの筋骨隆々スタイル。
 全身に追加の重りをぶら下げた、明らかに『ヅラ』と判る金髪のロングヘアー。
 顔は正体がばれないようにマスカレードを装着。
 そして胸許に輝くネームプレート。

『ぷらんしゅきしだん・よしゃあすれいん』

 ってコラおっさん。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。あんたなんてヨン様の偽者だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 涙を流しつつ駆けていくリュリュ。
 なにか忙しいなぁ‥‥。

「ようおっさん。精力の付く奴を一発頼む!!」
 乾物屋『桑原商店』の前で、リスター・ストーム(ea6536)はそう叫んでいる。
 ここに来る前、リスターは愛妻の蛮ちゃんとラブハリケーンならぬ『ラヴサイクロン』を発動。
 足腰限界まで蛮ちゃんを満足させて、ここにやってきた模様。
「おう、リスターか。ほら、これでも飲んでいけっ」
 そう告げられて受け取った薬をいっきに飲み干すと、リスターも戦闘準備完了。
「うおっ! 摂り過ぎたか? パワーが漲るぅぅぅ!」
「そうさなぁ‥‥うちの精力剤は特別だ。ピクリともしないじーさまの★△×■も、馬並みに!!」
 って、こらーーー。その表現やめーい。

「これでよし‥‥と」
 村の地図を広げつつ、綿密に作戦を建てていたのはオルフェ・ラディアス(eb6340)。
 村人とうまく情報交換をし、隠れやすい建物を探しておき、対リスター用のトラップを多数仕掛けていくその徹底的な前準備。
「勝てる戦いしか‥‥ねぇ‥‥」
 まあ、このあたりは情報屋の本領発揮というところでしょう。

──ドンドンドンドン
 村の中に太鼓が響く。
 既に全ての先主はそれぞれのスタートラインにて待機。
「それではっ。第二回ミトンオンファィト‥‥始めッ!!」
 村長のその叫び声で、戦いは始まった‥‥。

「しふしふ♪〜」
 まずはキャル、眼の前にいる新コスチュームのわんドシ君を合流!!
「ふっ‥‥とうとうこの刻が来たワン!!」
「でも、しずかにねー♪〜」
 って、二人して納屋に隠れているって、どういうことよ?
 このまま大会終了まで隠れ続けるのか‥‥。
(ペタペタ‥‥)
 って、どさくさ紛れにわんドシ君にパンチして染めていってるキャル。

──一方・ヘルヴォール
「いや、あんたニセ者だろう?」
 目の前から走ってくる『よしぁあすれいん』に向かって、そう叫ぶヘルヴォール。
「ふっ‥‥では、ぷらんしゅきしだんたいちょう、よしぁあすれいん‥‥参る!!」
──シュシュッ!!
 お互いの力は既に均衡。
 ギリギリの所で躱わしつづける二人。
「‥‥そろそろ、こっちも本気でいくわよ‥‥『ルディア式疾風拳』っ」!!
 拳の軌跡を見せないよう、左右の高速ステップから繰り出す疾風拳。
 だが、目の前の男は、全身の筋肉を膨張させて、それを胴部でガード!!
「ふんっ。朧四鋼拳・鎧功(がいこう)っ!!」
 如何なる攻撃をも、鋼となった肉体で受止める。
──ペタ
 って、胴部で受けてどうする?
「このまま行かせて貰うわよっ!!」
 更に疾風拳の連続ラッシュ。
 だが、重りが動きを束縛して、思うように動けない。
「ふんっ‥‥朧四鋼拳・鋼矢っ」
 そのまま弓を射るポーズから繰り出された拳の一撃。
 ヘルヴォールはまともに胴部に受けて、後方に吹っ飛ぶ!!
 ああ、この二人はいい勝負です。

──一方・リスター
「‥‥おっじょぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
 草むらに徳川葵を押し倒し、さらに『桃色体術・裏蓮華』なる新奥義で全身を淫らに拘束、いっきに仕留める気のリスター。
「ダメ‥‥駄目です‥‥私は神に使える‥‥そんな‥‥汚らわしい‥‥」
「ぐふふっ。約束だよ。負けた方が勝った方の言う事を1日何でも聞くって‥‥そういう話しだったよね‥‥」
 戦う前に、なんていう約束しているんだか。
「それじゃあ‥‥ いっただきまーす」
 そのまま飛び付こうとした瞬間。
──スパァァァァァァァァァァァァァァアン
 リスターの後頭部に何かが痛打。
「イタタ‥‥一体どこのどいつが俺のお愉しみの‥‥邪魔‥‥お‥‥」
 そう告げて背後を振り向くと。
 お久しぶりの『戦闘用シスタースーツ』に身を包み、両手には白いグローブ。
「ふふふっ‥‥ご無沙汰ねリスター☆ パリでリュリュさんから話しは聞いたわ‥‥」
 ああっ、シスター・オニワバン参上!!
「あ‥‥蛮ちゃん‥‥これには訳が‥‥」
 そう告げるリスターだが。
「覚悟はいいかしら? 浮気者のだーりん☆」
「ひぃぃぃっ! ば‥‥蛮‥‥違うんだ‥‥俺は浮気なんか‥‥」

 ここから先は、あまりにも見苦しい戦いが発生した為、ギルドの方で検閲させて頂きました。
 御了承よろしくおねがいします(By エムイ・ウィンズ)


──そんな事はほっておいて、ウリエルはというと
「ウリエルとったどーーー!!」
「何っ!!」
 立食処『長寿庵』で奇妙な食事をしていたウリエルの元に、突然全速力で駆けてきたリュリュ。
 そのまま丼を片手に、ウリエルは素早く体勢を整えると、リュリュに対してのカウンターを仕掛けた!!
──フッ
 だが、そのカウンターは当たらない。
 確かに直撃した筈なのに。
「甘いっっ。レッドショルダー奥義の一つ『真偽的ディフェンス』。これで除けられない技は一杯」
 リュリュ、名前からして怪しいから。
「この間合なら、騎士といえどもっ」
──スパァァァァァァァン
 伸びきったウリエルの拳を押さえつつ、リュリュはいっきにウリエルの顔面にパンチ!!
「こ‥‥ん‥‥な‥‥」
 倒れつつも丼は放さないウリエル。
「食べ終わるまでも待てないのか‥‥粋じゃないな。なんなら‥‥これ一緒に食べてから‥‥開始にしないか?」
 そう告げるウリエルだが。
「そうだねー。親父ぃ、鰻丼一つ!!」
 って、リュリユも食べるのかよ!!

──その頃のオルフェ
 窮地とはこれいかに。
「‥‥隠れるというのは中々いいアイデアですね。ですが、この江戸村で情報戦とは‥‥」
 そう告げつつ、とある納屋の中でプロスト辺境伯はオルフェに告げる。
「ここは貴方の領地ですからね‥‥見損ないましたよ、プロスト辺境伯。自らの地位を利用してまで、勝ちたいのですか‥‥」
 そう告げるオルフェだが。
「ここに隠れようとしていたのに、先を越されていたとは‥‥」
 って、アンタも隠れる気満々かよ!!
「まあ、出会ってしまった以上は、戦うことにしましょう‥‥」
 そう告げて、ゆっくりと構えを取るプロスト辺境伯。
「手加減は出来ま‥‥」
 そう告げて、オルフェは一瞬硬直した。
 目の前に居るのは只のウィザード。
 元はベテラン冒険者であったが、今はもう現役引退した筈なのに。
 プロスト辺境伯か発せられる気合は、現役のそのものである。
「では!!」
──シュシュシュツ!!
 激しい攻防が繰り広げられた。
 次々と繰り出されるプロスト辺境伯の拳を、オルフェはギリギリの所で躱わす。
「ほう。最近の冒険者にしてはいい動きですねぇ‥‥では、そろそろこっちも本気でいきますよ!!」
 突然プロスト辺境伯の速度があがる!!
──バシッバシッ!!
 いきなり2発を胴部に直撃。
 だが、オルフェもそこでは止まらない!!
「ようやく身体が暖まってきました。行きます!!」
──バシバシッ!!
 こちらもいきなりの2連撃。
 プロスト辺境伯の胴部も2ヶ所が染められた。
「ふむ。これで五分と五分。次の一撃が勝負という所ですね?」
「ええ、それではいきます‥‥」
 ニコリと笑いつつ、いっきに仕掛けるオルフェだが。
──スタタタタタ‥‥バシバシッ!!
 その二人間合に突然飛込んでくると、二人の顔面を2撃で染めるブランシュ!!
「美味しい所総取りっ!!」
 って、本当に美味しいから。
 そのまま外に飛び出していくが、すぐさま待機していた宮村に瞬殺されるブランシュでしたとさ。

──その頃の納屋二人
「それでね。最近はキャル、冒険に余り出ていないんだよ」
「そっか、色々と大変なんだワン」
 って、何を世間話しているんだか。
「よし、それじゃあわんドシ君がゴハンを奢って上げるワン!!」
「きゃあ!! ありがとー」
 そのままピョンとわんドシ君の肩に飛び乗ると、静かに周囲を確認。
 だれもいないのを見計らって、コソコソとノルマン亭へと食事に‥‥。

──そして
「ふぅ‥‥いい勝負だったわね」
 大地に大の字を書いて倒れているヘルヴォールが、目の前に立っている『よしぁあすれいん』にそう告げる。
「ああ、あと一歩踏込みが強かったら、あんたの勝ちだったな‥‥」
 そう告げて、『よしぁあすれいん』がヘルヴォールに手を伸ばす。
「甘いっ!!」
「その通りッ!!」
 と、その間に丼を手にしたリュリュとウリエルが突入、二人がかりで『よしゃあす』の顔面を染め上げた。
「こ‥‥この丼ブラザーズが‥‥」
 ガクッ‥‥


●そして決着
──中央広場
 戦いは全て終った。
 様々な戦いの中、最後まで残っていたのはキャル・パルとわんドシ君の二人であった。
 っていうか、最後まで逃げきったというのが正しい。
 リュリュとウリエルは最後にダブルノックアウト。
 その他の者たちも殆どが服を染め上げられていた。

「勝者‥‥キャル・パルっ!!」
 村長の声が村に響きわたる。
 そしてその夜は祝賀会パーティー。
 愉しい一時を、皆が過ごしていた‥‥。

「あんっ‥‥駄目よ‥‥リスター‥‥貴方はもう結婚したんでしょう?」
 とある宿の部屋の中で、そんな声が聞こえたとか聞こえないとか‥‥。
 しーらね。

──Fin