●リプレイ本文
●パリ‥‥いつもの日常
──パリ・冒険者街
カチカチカチカチ
玄関先で切石を叩いているのは御存知『蛮・O・ストーム』。俗に言うストーム夫人の蛮ちゃんです。
どうやらこれから亭主がアビスに突入するとかで、玄関で御見送りをしているようですが‥‥。
「無事に帰ってきてね‥‥あの場所は危険過ぎるから、無茶しないで‥‥それに、他の冒険者の女性にちょっかいだしたら許さないんだからね‥‥」
そうすねた表情で告げる蛮ちゃんに、リスター・ストーム(ea6536)はそっと口付け。
──Kiss!!
「馬鹿だなぁ‥‥いつでもお前一人だよ‥‥」
そう告げつつそっと抱しめるリスター。
蛮・O・ストームもそのまま強く抱しめかえすと、熱い抱擁ののち‥‥。
──モゾモゾッ
あ、いかんいかん。
リスターの『漢魂』が元気を増してきて。
「蛮‥‥ちょっとだけ‥‥」
そのままベットに逆戻り。
出発前に余分な体力を使い果たしているリスターでしたとさ。
──その頃の待合せ場所
今回のアビスに向かうジョセフ・ギールケ(ea2165)は、リスターと共に向かう為に待ち合わせの場所でじっとまっていた。
というか、中央広場近くで遊んでいる『美少女達』をのどかな眺めている模様。
「あ〜あ。一人ぐらい欲しいなぁ。愛玩用に‥‥」
ち、ちょっと待てや!!
そんなこんなで、ジョセフはのんびりとリスターの到着をまっていた。
──そして2刻後
「すまない‥‥待たせたな」
そう告げてジョセフに手を振るリスター。
「あ、いや、そうでもない。こっちも色々とね‥‥」
待ち合わせの2刻の間、ジョセフはずっと少女達の品定め‥‥もとい、愉しく遊んでいる少女達を微笑ましく見守っていたのでしたとさ。
ということで、欲望ブラザーズの旅はまだまだ続く。
──Fin
●ここから本編だそうです
──アビス外の広場
小さな森によって囲まれた広場。
そこには、アビスに向かう為にやってきた大勢の冒険者の馬が繋がれている。
「あの、すいません。ここで馬見てて貰えるのですか?」
そうその場で番兵をしている老人に話し掛けている紅天華(ea0926)。
「ああ、そうだけど。お代は戻ってきたときに10Sでどうだい?」
そう告げる老人とどうやら交渉は成立したらしい。
「では御願いしますわ」
と、天華は馬をあずけて、アビス入り口へ。
──一方そのころ
「グビッグビッグビッグビッ‥‥ぷはーーーーーーーーーー」
巨大な杯に一気に酒を飲み干しているのは御堂鼎(ea2454)。
アビス外の『たち呑み所・ますかれーど』で、一気に酒をあおっているようである。
「しかし‥‥本当によく飲むな」
そう呆れた表情で呟いているのは虚空牙(ec0261)。
二人はついこの前、華仙教大国からこのノルマンにやってきたばかり。二人とも風の噂で、ここまでやってきた模様。
「飲むのが私の仕事だからねぇ。と、そろそろ向かわないと、みんながまっているんじゃないかい?」
「ああ、そうだな。とりあえず向かうとしよう‥‥」
と、こっちもまた、入り口へと移動開始。
──さらに別の場所では
「現在までで、完全踏破したものは0。まさに奇跡のダンジョンね‥‥」
インドゥーラからやってきたアレーナ・オレアリス(eb3532)は、あちこちの噂でこのアビスの事を調べてみた。
そして得られた情報はただ一つ。
今だに、このアビスを完全踏破したという噂を聞いていないらしい。
「ま、あたしは噂通り、アンデットが大量に出るらしいというのは確認したし。思う存分に切らせてもらうさ」
そうアレーナに告げているのはシャルウィード・ハミルトン(eb5413)。
「それぞれ目的が違うようだな。まあ、俺の信条は『困難を前に闘志が湧いてこその騎士!』だからな。友人にも頼まれておる故、必ずや何かしらの手がかりを手にいれてこようぞ!」
全身の筋肉を締め上げ膨張させて、そう告げているのはアガルス・バロール(eb9482)。
と、そこに華仙教大国チームも合流し、さらに大勢で色々と打ち合わせが始まる。
‥‥・・・・・・・・
‥‥‥‥
‥‥
「ああ、もうみんな集っていたのか‥‥」
「ちょっとだけ遅れたな。申し訳ない」
そう呟きつつ、リスター&ジョセフも無事に合流。
なにはともあれ、一同は最後の荷物の調整を終えて、一路アビスへと突入していった。
●第六階層まで
──その途中にて
第六階層まではすでに道が確認されている為、常連はよほどのことがない限り迷うことはない。
だが、今回、リスターはそこに向かう途中で、ふと足を止める。
「‥‥この先を進んだら第六階層なんだが‥‥この右側、妙に叫び声が聞こえるんだが‥‥まさか、初心者が紛れ込んだか?」
ええ、全くその通りでございます。
「そうかも知れぬ。が、今の我々の目的ではない。先にすすもうぞ!!」
最前衛のアガルスがリスター達にそう告げると、再び一行は先にすすんだ。
──そして第六階層
すでに大勢の冒険者たちが、あちこちでベースキャンプを設立している。
「えーっと、確か11回廊はと‥‥」
フラフラと11回廊を探している天華について、一同は移動開始。
そして回廊を確認すると、まずは軽く下準備。
ジョセフは同じ回廊を目指している他の冒険者の元に向かうと、そのリーダーらしき人物に話し掛けていた。
「君たち、このダンジョンの古代魔法語読めるのかね? 写しがあれば読んでやろうか?」
そうにこやかに告げるジョセフ。
「ああ、助かる。専属ウィザードが、さっきトラップでヤられてな‥‥これなんだが」
そう告げて手渡された何かの写し。
そこに記された古代魔法語を、ジョセフはじっくりと調べる。
「ふむふむ‥‥精霊の力の示す道と‥‥」
あら、あっさりと読み上げるし。
「この写しがあったのは?」
「あ、オリー、ちょっと地図を貸してくれ」
そのパーティーリーダーが、女性レンジャーから地図を受け取ると、それを女性に見せる。
「このポイントだな。あんたたちも向かうのか?」
「ああ、あと少しで出発する。噂では竜が出るとか?」
「らしいな。けれど、こつちでも確認していない‥‥」
「成る程。では、今度は我々が戻ってきたら情報を交換するという事で」
おお、どうやら話し合いが成立している。
そしてジョセフは皆の元に戻って来ると、さっき見せてもらった地図を自分たちの所でも復元している。
羊皮紙を広げ、そこに書込むジョセフ。
「けっこう簡単そうだ‥‥」
「ふぅん。なるほど、ぇ‥‥ヒック」
地図を見ながら、御堂がそう呟く。
「まあ、どんな敵が出てきても俺は戦うだけだ。罠等の解除は頼むぞ」
そうリスターに告げる空牙。
「了解。死なない程度にそこそこにな。それよりも、あんた本当に大丈夫なんだろうな‥‥暴走しないでくれよ」
そう心配しつつ告げているリスター。
空牙は以前、華仙教大国の大武道大会で相手を殺した経歴がある。
それを危惧してそう告げたのだろう。
「判って居る‥‥」
ということで、一通りの打ち合わせを終えると、いよいよ地下回廊へとチャレンジ!!
●アビスよいとこ1度はフベシッ!!
──第26階層
ジョセフの手に入れた地図を頼りに進みつつ、巨大な大広間に出てしまった一同。
そこで、一行は本日5度目のバトルハンマーに突入。
今回の敵はどうやら、グールと思わしきアンデット。
この階層にたどり着いてから、シャルウィードの瞳はキラキラと輝いている。
恐らくは本能で敵を察知しているのだろう。
「あはん‥‥愉しいねぇ‥‥ヒック」
酔っ払いつつも、敵グールの攻撃を『円の動き』で受け流す御堂。
「さてと‥‥流れるように、華やかに‥‥ヒック!!」
──ドガガカガツッ
素早くカウンターぎみに『肘撃』を連続で叩き込むと、そのまま体勢を低くして力一杯足払い!!
そのまま倒れたグールに、さらに追撃で肘を叩き込むと、そのままその場にどっかりと座り込んでまず一杯。
「グビグビグビグビッ‥‥ぷはーー」
「相変わらず、綺麗な戦い方を‥‥」
そう呟きつつも、目の前のグールを相手に忙しいのは空牙。
「朧流掌技・烈空波っ!!」
激しいまでの掌底の連打。
そのまま敵を壁際まで追い詰めると、いよいよ伏羲朧拳の本領発揮。
「神速打連撃っ!!」
躱わす暇も無くも躱わす場所もないグールにむかって、ただひたすら拳戟を突きつけていく。
やがて、グールはただの腐った肉の塊となった。
「ふぅ‥‥噂には聞いていたが、たいしたものだな‥‥伝説の剣技というのは‥‥」
フッとそう呟くと、天華も眼の前にやってきたグールの攻撃を受け流す。
やがて、すこし離れて身構えると、天華は両手を合わせて腰の位置に持っていく。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
気合と同時に、合わせた掌の中に、漆黒の球体が生まれる。
「再現神の力を借りて、今必殺の‥‥」
──キィィィィィィィィィィィィィィィン
やがて漆黒の球体はさらに輝きを増す。
「黒龍破壊弾っ!!」
そのまま掌の玉を相手グールに叩き込む。
その直撃を受けて、グールは後方に吹っ飛び、破壊された。
「まあ、この程度ならね‥‥」
そう告げると、次の敵を見定める天華。
「‥‥魔法武具しか効かない相手ね‥‥けっこう厄介だな‥‥」
アスカロンを振りつつ、飛んでくる青白い炎を次々と切り捨てるアレーナ。
実体を持っている敵は武道家チームに、そうでない敵は自分たちと、役割分担を決めて戦っているようである。
「それにしても、随分と‥‥哀しい炎だな‥‥ここで死んだ冒険者の無念が、悪霊となったのか‥‥」
そう呟くと、アレーナは飛んでくる炎全てを狙い、一つ一つ丁寧に切り捨てていく。
「それにしても‥‥次々と現われてきて‥‥」
──スパァァァァァァァァァァァァァッ
刀身にオーラを纏ったアンデットスレイヤーを振りつつ、シャルウィードがそう呟く。
彼女の足元辺りには、すでに20以上のグールの死体が転がっている。
そしてそれ以外にも、彼女が破壊した青白い炎は10。
そして目の前の骸骨を今、この瞬間に切り捨てると、シャルウィードはさらに奥に向かっていった。
「敵の核はこの奥と見た!!」
そして、そのシャルウィードの声は、すぐ近くで戦っていたアガルスの耳にも届く。
「こっちだ。ここに核がある‥‥今、ジョセフが解読している所だ!!」
そう叫びつつ、奥に在る巨大な台座の麓でじっと古代魔法語の解読を続けているジョセフと、その横の『奇妙な紋様の入った石版』の手前で、何かをいじっているリスター。
「え‥‥と‥‥次が‥‥炎を見つめる風‥‥と。リスター、右上の『赤い石』を左下の『青い石】の横に‥‥」
「了解‥‥ほいほいっと‥‥」
この回廊を徘徊しているアンデットの出現を止める為に、ジョセフ&リスターは解読&作業モードを続けていた。
その間にも、アンデットはこの場所に集結しつつある。
「最後の‥‥中央の『黒い石』を右上の『白い石』といれかえて‥‥」
──カチャッ‥‥カチャッ‥‥カチーーーーーーン
と、リスターがジョセフの指示通りに作業を終えた瞬間、石版が輝く。
そしてその刹那、回廊全てが純白に輝き、アンデット達が消滅していった‥‥。
「おおおおーーー。たいしたものだねぇ。あたしたちは拳で語らないと行けないけれど、そこの二人は頭で勝負とは。頼りになるねぇい‥‥まあ呑め」
と、戻ってきた二人に杯をさし出す御堂。
「ああ、ちょっとだけもらおうかな‥‥グビグビッ」
と、リスターも一口飲んでようやく一息。
「さて、この回廊はどうやらこれで安全みたいだし、全員の怪我のチェックをしてから、先に進むとするか‥‥」
天華の言葉に、全員が休憩に入る。
仮眠をとって食事を取り、そのさ中に怪我人は治療、そして御堂はひたすら飲む!!
●アビスよいとこやっぱしフベシッ!!
──第31階層
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
小さな小部屋。
その中央にある小さな魔法陣。
そこに記されている古代魔法語、その解読を必死に行なっているのはやはりジョセフ。
その小部屋では、リスターを除く全員が、全力で『落ちてきている天井』を支えていたのである。
この31階層は無限に広がっているように感じていた。
だが、どこかに方向性があることを感知した空牙が、ある一定の場所で何処かにテレポートする事を確認。
その法則性を、ジョセフはずっと調べていた。
全員に同時に散ってもらい、そして全員が何処に出現するのかなど、綿密なデータを取りつつ、マッピングをしてきた。
その結果、とある場所に全員で飛込む事で、この回廊から出られる‥‥。
そのジョセフの予測通り、全員が『別の部屋』に飛ばされた。
そしてその直後、突然天井が落下してきたのである。
抜刀しようにもタイミングが悪く、攻撃しようにも、ここが『あの法則』の通りならば、壁への攻撃は致命的である。
「さて‥‥ジョセフ、どうだ?」
ギリギリと全身が悲鳴を揚げる。
それでも、アレーナは必死に支えている。
リスターは、やはり魔法陣の横のギミックをガチャガチャと調べている。
「リスター、そこの床の魔法陣にも、石がはまっているな‥‥『赤』を『黒』、『黒』を『白』、『白』から『竜』に入替えて、最後に『竜』を『中央』に‥‥」
「り、了解‥‥と‥‥」
──カチャカチャカチャッ‥‥ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴコゴゴゴコゴ
と、突然天井が競りあがっていく。
そしてしばらくしてから、壁の一部がクルリと回る隠し扉をシャルウィードが発見。
「ここかぁぁぁぁ!!」
真っ暗なその空間。
ランタンの灯すら届かない。
──ミシミシミシミシツッッッッッッッ
と、その瞬間、次々と天井が崩れてくる。
「いけない、みんな飛び出せっ!!」
アガルスの叫びで、全員が次々と隣の空間に飛込み、そして。
──ヒュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル
と、落下していった。
●アビスよいとこらしいのだが
──かなり下らしい水路
ザザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
巨大な水路。
そこに落下した冒険者一同。
なんとか岸まで泳ぎついて、ようやく一息。
「に、にもつは大丈夫か? 誰か怪我人は‥‥」
空牙がそう告げつつ、全員に荷物の点検を促す。
どうやら荷物を失っている者や、怪我人は幸いな事にいない。
「ジョセフ、確か別のパーティーから貰ってきた地図があっただろう? それによると、現在位置はどのへんなんだ?」
そのシャルウィードの言葉に、ジョセフは地図を確認。
だが、教えてもらってきた地形はとっくに突破して、今いる場所はジョセフが書き足した部分。
つまりここからが未知の領域。
「風がある‥‥あっちの空間から、こっちの回廊に‥‥」
天華がそう対岸を指差す。
──ゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
と、その向こうで、何かが炎を吹いているのが見えた。
姿こそ確認できていないが、巨大な何かであることは間違いない。
「取り敢えず、別の道を進むしかない。あれが噂の竜だとしたら、逃げ道は殆どない‥‥」
そのアガルスの言葉に、一行はそっとその場から離れ、回廊に足を踏みいれた。
●アビスよいとこ、これが神珠?
──第98階層の24回廊
地下水脈を抜けて回廊に入ると、一行はそのまましばらく回廊を突き進んだ。
そして突き進んだ先にあった巨大な扉。
そこには古代魔法語で『果てしなき迷宮入り口』と書いてあった。
「なんだか‥‥どこの阿呆だ? こんなおもしろいことを‥‥ヒック!!」
呑みなおし口直ししている御堂がそう呟く。
「確かに。ここを作った奴が書いたのか? この看板」
──ゴンゴン
と、その文字を叩きつつそう告げるリスター。
「ち、ちょっと、そこに何か仕掛けがあったら‥‥」
慌てる天華だが、リスターが一言。
「この手のダンジョンで、看板に細工はありえない。もし俺なら、この扉に仕掛けをするね。ふざけた名前で見た者を呆れさせて、集中力を鈍らせて‥‥」
そう告げつつ、扉を調べるリスター。
──カチッ‥‥
と、何かのスイッチが入る音。
「ふぅ。やっぱりねぇ‥‥ジョセフ、頼みがある」
そうにこやかに告げるリスター。
「ああ、なんだ?」
「もし無事に帰れることが出来たら‥‥あんたの旦那は立派な最後を遂げたって伝えてくれ‥‥」
涙目でそう訴えるリスター。そして!!
「みんな扉から離れろっ!!」
と叫ぶ。
その瞬間!!
──チュドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
突然扉が大爆発。
ファイアーボムの魔法が仕掛けられていたらしく。扉は木っ端微塵に。
幸いな事に、リスターの最後の呟きを聞いていた一行は、シールドやその他の道具で身を護っていた。
そしてリスターはというと、後方に派手にぶっ飛ばされている。
怪我はない。
ただ、激しくふっ飛ばされるだけ。
「あいたたた‥‥あーあ、折角の酒が台無しだぇね‥‥」
そう告げつつも、御堂は仲間たちの状態を確認。
トラップによって死傷した者は0。
ということで、一行は三度荷物と状態を確認し、隊列を整えて先に進んで行った。
とにもかくにも大迷宮。
途中では骸骨やグール、はては『迷宮の王』であるミノタウロスなど、多種様々な化け物との光線が繰り広げられた。
そしてその戦いの数だけ、宝箱を発見、リスターの腕によって鍵と罠は次々と解除、様々な道具が入手できた。
そんなある刻、リスターが発見した不思議な宝箱。
仲間たちが戦ったのち、宝箱担当のリスターがそれを通路の奥で発見した。
「あ、あのタイプは危険だな。ちょっと皆、下がっていてくれ」
慎重にそう告げて仲間たちを後方に下げると、リスターも慎重にその宝箱のトラップを調べる。
仕掛けられているトラップは全部で4っつ。
一つは、この場所から移動すると爆発する奴
一つは、鍵を開けようとすると爆発する奴
一つは、鍵を調べると爆発する奴
一つは、蓋を明けると爆発する奴
それらの全てを解除しないと、中のものは取れないらしい。
「かなり厄介だな。防御系魔法がある奴はちょっとかけておいてくれ、爆発は覚悟のトラップばかりだ」
そう告げて、リスターは一つ一つ丹念に解除する。
そして最後のトラップを外して蓋を開いたとき、中から純白の小さなオーブが二つ出てきた。
そのうちの一つにそっと触れると、リスターは何かを核心した。
(キターーーーーーーーーーーーーー。これだこれだ、俺の宝、俺の至宝、このまま俺の心の言葉に耳を傾けてくれよ‥‥)
にやけている表情は、後ろの仲間たちからは見えない。
(何でも願いが叶うのなら‥‥俺の願いは一つ、『世界中の美女が俺様にメロメロ』になるように‥‥)
その心の中の魂の叫びに反応してか、神珠の一つが輝き、そして力を失った。
そしてリスターの中に何か変わった事があったような‥‥。
「リ、リスター、もう大丈夫か?」
心配そうにそう話し掛けるジョセフに、リスターは振り向きつつ、額の汗を拭う。
「あ、ああ‥‥とりあえず、これが噂の『神珠』だろう。ジョセフでも誰でも良いから、確認してくれ‥‥」
と、箱の中の神珠を二つ手に取ると、それを差し出す。
「ふぅん。これがなんでも願いのかなう神珠ねぇ‥‥じゃあ、悪魔の酒とか願ったら、貰えそうだねぇ」
御堂がそう告げるが、特に何も変わらない。
「でも、この一つは輝き方が違うな。なにか別のものなのだろうか?」
シャルウィードがそう問い掛けると、アレーナが輝きの少ないほうを手に取る。
「さしずめ、使用前使用後という事だろうが‥‥リスター、こっちはこのままだったのか?」
そう問い掛けるアレーナ。
──ギクッ‥‥ドックン‥‥ドックン‥‥
あ、何か聞こえてきそうな感じですが。
「ああ、そのままだった。幾ら俺でも、この短時間でなにかできるかよ‥‥それよりも、それは本物なのか?」
そのリスターの問い掛けに、天華たちもじっと見る。
「私達は本物を知らないからな‥‥取り合えずは、もう少しあちこち調べてみよう‥‥」
ということで、一行はそのまましばし、迷宮を探索しつづけていたそうな。
●夢の終り
──第六階層
『果てしなき迷宮』で、運悪く『テレポーター』を踏んでしまった一行。
そのまま第六階層まで強制転移させられてしまったらしい。
幸いな事に、内部に置きわすれもなく、そのまま全員が無事に出てこれた。
あとは、内部から持ってきた物品の鑑定と売却、消耗品の補充‥‥。
そしてそれらを終えたときの今回のアビスの収支はちょうど0。
儲けも無く損も無い。
そして得られた神珠は全部で4っつ、リスターの最初に見付けたものと、途中で敵をぶちのめしてきてから回収した2つ。
それらは公平を期す為、そして安全の為に、帰り道の途中で『シャルトルのノートルダム大聖堂』最高責任者である聖ヨハン大司教に御預かり頂いた‥‥。
そして一行は、愉しかった一時を終えて、無事に帰還する。
今回も完全制覇は出来なかったものの、目的の一つである『神珠』の回収は行なえた。
──Fin