【戦闘傭兵・雪風】一流の特殊部隊達

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月25日〜01月04日

リプレイ公開日:2007年12月30日

●オープニング

──事件の冒頭
 いつもの冒険者酒場。
 そしていつものカウンターのなかの、これまたいつものマスカレード。
「さてと‥‥親父もどうやら甦生できそうですし。そろそろこちらとしてもバックアップに入るとしましょうか‥‥」
 そうカウンター越しに『ミストルディン』に告げているマスカレードと、その言葉にきょとんとした表情を見せている情報屋のミストルディン。
「バックアップ‥‥ですか。ひょっとして『ノーヴァンリッター』の復活ですか?」
 そう告げるミストルディンに、マスカレードが一言。
「まさか。冒険者を中心とした、『如何なる状況にも対応できる傭兵部隊』を設立するのです‥‥名前はそう‥‥」
 そう告げて、マスカレードはふと、手元に置いてある写本のタイトルを見た。
「雪風‥‥そうです、部隊名は『戦闘傭兵・雪風』というのでいきましょう‥‥」
 い、いや、マジっすか?
「では、冒険者ギルドに依頼を出してきますね‥‥」
 ということで、今、新たなる物語が始まろうとしていた。



●ということで冒険者ギルド
 大勢の人々でごった返しているギルドカウンター。
 そこにやってきたマスカレードは、カウンターで仕事をしている受付嬢のエムイ・ウィンズに話し掛けた。
「ご無沙汰しています。今日は仕事の依頼にやって来ました」
 羽根飾りのついた帽子に表情の見えない仮面、そして派手なマントを身に付けているマスカレード。
「あの‥‥マスカレードさん、まだその衣裳持っていたのですか‥‥ちょっと恥ずかしいですよ」
 冷静に突っ込みを入れるエムイ。
「ああ、やはり。でも、それは置いておくとして‥‥」
 そう告げると、羽根ペンを手に、達筆で依頼書を書きあげる。
「ふぅん。あ、失礼しました。また、完全な極秘任務なのですね‥‥」
 そう呟く受付嬢。
「ええ、ちょっと『茨の鷹』と『茨の竜』について、対策というかそれ専門の実働部隊を‥。
 とにかく、このノルマン、ひいては世界平和の為に活動する組織を作るため、優秀な人材を冒険者酒場マスカレードまで‥‥」
 そう告げると、マスカレードはその場を立ちさって行った。

●今回の参加者

 ea4757 レイル・ステディア(24歳・♂・神聖騎士・エルフ・イギリス王国)
 ea5283 カンター・フスク(25歳・♂・ファイター・エルフ・ロシア王国)
 ea9519 ロート・クロニクル(29歳・♂・ウィザード・人間・フランク王国)
 ec0134 ルイス・フルトン(35歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ec0569 ガルシア・マグナス(59歳・♂・テンプルナイト・ジャイアント・ビザンチン帝国)
 ec0713 シャロン・オブライエン(23歳・♀・パラディン・ハーフエルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●作戦開始
──冒険者酒場マスカレード
 静かな店内。
 いつものように少女『クロムウェル』がのんびりとハーブティーを飲んでいる。
 その一角では、戦闘傭兵・雪風のメンバーが、極秘裏に作戦会議を行なっていた。
 まず、現在までノルマンを離れていたメンバー達が、色々とマスカレードに質問。
「まず、オレからだが‥‥マスカレード、その服装を何とかして欲しい」
 そう告げるのはカンター・フスク(ea5283)。
 まあ、今着ているのはキンギラハデハデな貴族スーツ。金糸と銀の装飾をふんだんに使った、いかにもな服装である。
 一言で言えば『悪趣味』。
「まあ、それについては今度までに作ってきて頂けると助かります」
 その一言でおしまいかよ!!
『『茨の竜』『茨の鷹』について教えて欲しい』
 そう問い掛けているのはシャロン・オブライエン(ec0713)。
 ちなみにイギリス語の為、ここでは情報屋のミストルディンが通訳に入る。
「同じく、早速ですが調査対象について教えて頂きたい。パリに出て来たばかりで右も左も判らないのですよ」
 そう告げるルイス・フルトン(ec0134)。
「恐らく依頼書の文脈からすると秘密結社か騎士団の類のようですが。如何なものかと‥‥」
 と告げるルイスに、依頼人であるマスカレードが一言。
「秘密結社‥‥というよりも、正義の味方というところでひとつ」
 ふぅんと呟くと、ルイスは二度、話の中に入っていく。
「紋章なら、オレも多少は知識がある」
「同じく。それを専門に学んだ事もありますので‥‥」
「それは心強いですね。では説明を御願いしましょう」
 ということで、ガルシア・マグナス(ec0569)とルイスの二人が補足を開始。


・茨の竜
 シャルトルの古い貴族『ローゼンメイデン家』の紋章。
 シャルトル南方に住まう貴族らしい。
 現在の棲み家はパリ市街地・商業区画
 現在の当主は『ルイス・ローゼンナメイデン』
 娘に『アンリミール・ローゼンメイデン』と、行方不明の『アンリエット・ローゼンメイデン』が存在。


・茨の鷹
 シャルトルの古い貴族『ローゼンクロイツ家』の紋章。
 過去に、国家に対しての反逆により先代『ブラックウィング騎士団』によって粛正された家柄。
 現在は存在していない。


・大樹と宝玉
 シャルトル南方、ヨハネス自治領の領主であるエルハンスト・ヨハネス家の紋章。
 参考までに、ヨハネス自治領には『セフィロト騎士団』という少数精鋭の屈強な騎士団が存在する。
 セフィロト騎士団には『10機関』と呼ばれる専属組織が存在する。
 セフィロト騎士団の団長はコナタ・ラッキースター。
 セフィロト騎士団とローゼンメイデン家には、なにかの繋がりがある。


「現時点での情報は、まあその程度でしょうねぇ‥‥」
 そう告げるマスカレードに、さらにミストルディンが補足。
「ローゼンクロイツとローゼンメイデン、この二つの家系は『二つの薔薇』という意味を卯を持つほど親密だったらしいわ‥‥それとあと一つ」
 そう告げて、皆に集るように告げると、小声で一言。
「ローゼンクロイツ家の当主は、いまのヨハネス家と何かかかわりを持っているらしいから‥‥噂レベルの情報だけれどね」
 それでも十分。
 そののち、現在のノルマンの情勢をマスカレードが全員に告げると、いよいよ行動開始ということとなった。
「では、諸君の健闘を祈る‥‥」
 では、みなさんの御手並みを拝見と行きましょう。


●考古学の見解
──シャルトル・ミハイル研究所
「あら♪〜 随分とご無沙汰していますね。どうぞ‥‥」
 にこやかに玄関でそう告げているのはシャーリィ・テンプル。
 レイル・ステディア(ea4757)とシャロン・オブライエン(ec0713)の二人は、まずミハイル研究所に情報収集にやってきていた。
「シャーリィさんも御変わりなく。御元気そうでなによりです」
「ありがとう。レイルもおかわりありませんね。そちらの女性は? まさかレイルさんの彼女?」
 そうにこやかに問い掛けるシャーリィの言葉に、レイルがむせ返る。
『レイル、彼女はなんといっているんだ?』
 そうイギリス語で問い掛けるシャロン。
 彼女はまだ、ゲルマン語を話せないようで、ここからは自動通訳モード。
「‥‥ばっ馬鹿な事を言うな!! オレは阿修羅に使える身、恋愛なんてありえない!!」
 力一杯否定するパラディン候補生のシャロン。
 まあ、そこまで否定されると、レイルの立場というものが‥‥まあ、そんなことはおいといてと。
「『茨の竜』『茨の鷹』、この二つについて、何か考古学的見解は?」
 そう問い掛けるレイルに、シャーリィがしばし熟考。
「うーーん。私にはちょっと‥‥色々と調べてみますけれど‥‥」
「なら頼む。それと、少しの間この二つの言葉に付いて、注意してもらってもいいか?」
「ええ。判りました」
 という事で、レイル&シャロンの二人は、引き続き『場末の酒場』に移動し、そこでの情報収集ということで。



●鍛冶屋としての見解
──ノルマンの鍛冶屋あちこち
 ロート・クロニクル(ea9519)&ガルシアは、マスカレードから聞いた鍛冶屋をあちこち回って、情報収集。
 その中でも、最有力な情報が二つ。

・某『びっくり鈍器』やとわれ店長『モフ・モフ』の証言
 あ、わい、ローゼンメイデン家に頼まれて、魔法剣納めたで。でも、当主は不在で、娘さんが受け取ったで。ちゃんと御許もしっかりと確認してあるから‥‥。
 茨と竜、鷹については知らんなー。

・某『ノルマン江戸村』のトールギス鍛冶工房
 茨と‥‥鷹ですか。
 シルバーホーク卿の家紋が茨と鷹だったような‥‥ええ、御爺様が色々と関係していたもので。
 私自身は詳しくありませんけれど、このノルマンにある古い家柄だとか。確か、南方ですよね?
 あ、この武器ですか? これは『南方のセフィロト騎士団』から頼まれたもので、鍛えなおしているのですよ。

──と言うことで
「‥‥かなり活発的に動いているな。セフィロト騎士団とやらは」
 そう告げるガルシアに、ロートが肯く。
「ああ、色々と『資金』を使ってよい武具を集めているな‥‥あの『雷神剣』も‥‥」
 ちなみに雷神剣と呼ばれる魔法剣だが、どこからかめぐり巡って、いつのまにかセフィロト騎士団の騎士団長が所持しているらしい。
 いったいどういうルートからなのだろう。
「まあ、少なくとも、『何か事を起こそう』としていることは感覚で判った。あとは、その証拠を集める事なんだが‥‥」
 ガルシアの言葉に、ロートが肯く。



●蛇の道は蛇
──寂れた酒場
「ん‥‥ああ、竜と鷹の紋章ね。昔は、よくここにきていたなぁ‥‥」
 レイルとシャロンが訪れた酒場のマスターが、昔を懐かしむようにそう呟いた。
「その人はどんな人ですか?」
『もしよかったら、教えて頂きたいのですが』
 レイルとシャロンはそう頼み込む。
「ああ。構わないよ。ここにきていたのは、鷹の当主と竜の当主、そして蛇の当主の3名さね。昔はよくここで集って、古ワインを片手に、いつか出世してみせるって叫んでいたなぁ。3人とも冒険者から立身出世して小さい領地を持つようになってね‥‥」
 そう告げつつも、マスターは何かを思い出そうとしていた。
「で、その3人が、たしか『深淵の迷宮』で何かを拾ってきてから、運がよくなってきたっていっていたなぁ‥‥」
「深淵‥‥アビスの迷宮か」
 そう告げるレイルに、シャロンが問い掛ける。
『アビス、それはなんだ?』
「ああ、今度詳しく説明する‥‥で、親父、話の続きを頼む」
 そう告げつつ、レイルはカウンターに金貨を1枚置く。
 それを懐にしまいつつ、マスターは二人にワインを注いで、再び話を始めた。
「ええ。構いませんよ。で、何を拾ってきたのかは私も知りません。ただね。どうやら『幸運を呼ぶ剣』っていうものらしいんですわ。それを手にしてから、3人はみんな出世しましてねぇ‥‥」
 その言葉に熱心に耳を傾ける二人。
「クリストファー・ローゼンクロイツ様は南方で蛮族討伐の任務を成功させ、ルイス・ローゼンメイデン様は査察官として成功を。ヨグ・ソトホース殿も南方で要塞警護の任務に成功し、クリストファー様とヨグ様はシャルトルに領地を戴きました‥‥」
 その言葉ののち、マスターのトーンが下がる。
「ですが、クリストファー様にある疑惑がかけられまして‥‥国家反逆罪ということで、査察官の一人である『ステラ・カナイ殿』がブラックウィング騎士団という騎士団でクリストファー様を討伐に‥‥」
 そこでマスターが言葉を止める。
「で‥‥そのあとは‥‥」
「これ以上はちょっと‥‥ローゼンクロイツ領は没収され、御家取り潰し‥‥当主様は生死不明ということで‥‥今に至ります‥‥」
 それ以上は、マスターは話してくれない。
 止むを得ず、二人は酒場から外に出ていった。

──場所は変わって、冒険者ギルド
「竜と鷹と茨の伝承ねぇ‥‥」
 腕を組んで、そう部焼いているのは吟遊詩人ギルドの名物『ザンク!!』さん。
「ああ。その3つのキーワードが引っ掛かるもので良い。なにかないか?」
 そう告げているのはカンター。そしてその後ろでは、ルイスがじっと待っている。
「いますぐには無理だな。竜だけとかならいくらでも出てくるけれど、その3つということは、あれか? シャルトルの『二つの薔薇の伝承』のやつかな?」
 そう告げる『ザンク!!』に、カンターは肯く。
「シャルトルというのなら、恐らくな‥‥それはどんな歌なんだ?」
 そう問い掛けるカンター達に、『ザンク!!』はかいつまんで話を始める。
 
♪〜
 それは遠い昔の物語。
 幸せを紡ぐ3振りの剣、それをもとめて勇敢な冒険者達は深淵の底に向かっていった。
 いくつもの戦い、いくつもの苦難。
 それらを乗り越え、手にしたのは一振りの剣。
 そして彼等は願った。
 今よりも幸せを。

 竜を司る男は地位を得た。街を護る為の地位を
 鷹を司る男は信頼を得た。大勢の領民からの信頼を
 蛇を司る男は土地を得た。広大なる土地を

 だが、代償として、男は全てを失った。
 最愛のマグネシアに騙されて、国に追われて‥‥。

 それは遠い昔の物語。
 幸せを紡ぐ3振りの剣。
 それを求めて、勇敢な冒険者は深淵の底に向かっていった。

♪〜

「って、簡単にかいつまむと、こんなかんじ。どうだ?」
 『ザンク!!』の言葉に、カンターは肯く。
「それだ。その歌だ。そこに何かが記されている」
『その歌は、かなり古いのか?』
 カンターの言葉に続いて、ルイスがそう問い掛ける。
「いや、つい最近の話だぜ。といっても、そこそこには年月がたっているし。まあ、どこか遠くの長老とかなら知っていそうだな‥‥」
 ということで、とりあえずカンター達はその場を後にする。



●そしてパリへ
──冒険者酒場マスカレード
 選られた情報を元に、一同は今後について考える。
 かなり重要な話が幾つかあったものの、それらをさらに調べるには、まだ時間が足りない。
 だだ判ったことは幾つかある。
 少なくとも、カンター達の得た歌は実話であり、現在もその歌に語られている人々は生きているということ。
 但し、ローゼンクロイツ家は今現在は存在していないということも、改めて知る事となった。

──Fin