【ふらりアビス】記憶の無いクロムウェル
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:21 G 72 C
参加人数:7人
サポート参加人数:9人
冒険期間:01月24日〜02月08日
リプレイ公開日:2008年01月29日
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●オープニング
──事件の冒頭
ザワザワザワザワ‥‥
大勢の人々の声が聞こえる。
アビス地下第六階層大広間。
そこには、大勢の冒険者達が、様々な打ち合わせをしている。
地下回廊で消息不明の仲間の救出。
無難な所から戻ってきて、宝の分配作業。
今だ生還してこない仲間を助けるべく、別チームを組んでの突入準備。
様々な思いの冒険者達が、ここには集っている。
そんな中、クロムウェルは静かに周囲を見渡した。
「ここから先は‥‥一人では無理‥‥どうしよう‥‥」
そう呟くクロムウェル。
自分の持っている写本を頼りに、失われている記憶を求めていたクロムウェルだが、ここにきて事態は急変していた。
写本が、奪われてしまったのである。
彼女にしか読めないその写本。
それには、アビスの詳細地図も記されていたらしい。
だが、誰かがそれを聞きつけ、クロムウェルから写本を奪い取った。
そして盗み出した者たちを情報屋などにも手伝ってもらい、追い詰めては見たのだが、アビス第六階層、回廊ナンバー01に、そいつらは突入したらしい。
●アビス
古き迷宮。
一部の冒険者からは『生きている迷宮』『悪魔の住まう回廊』と呼ばれている。
シャルトル・プロスト領辺境自治区『ラヴィーヌ』にあるその迷宮は、様々な冒険者達の腕試しの地としても有名であり、また、その回廊のそこには悪魔達の集めた様々な財宝が隠されているという噂もあって、数多くの冒険者達がチャレンジしていた。
第一階層から第6階層まではすでに解析が終っており、問題はそこからの進む道。
──第6階層
様々な冒険者達が、そこで静かな一時を過ごしているた。
あるものは仲間の治療の為、そしてまたあるものは謎の解析の為、安全地帯(セーフティゾーン)であるそこで休んでいた。
この第6階層からは、東西南北それぞれの方角に6つずつ回廊が伸びており、それぞれの回廊の入り口には小さな石碑が置かれている。
そこには、古代魔法語でこう記されていた。
ここを進むもの、全ての希望を捨てよ
クロムウェルの写本を奪っていった奴等のパーティーは、この第六階層で仲間を募り、No1回廊に突入したらしい。
それは、この階層にいる他の冒険者達から、クロムウェルが直接聞き出したらしい。
・ファイター :1
・神聖騎士 :1
・白クレリック:1
・黒クレリック:1
・レンジャー :1
・忍者 :1
実に無難なパーティー構成である。
というのも、回廊No1の入り口の石碑には、こう記されていたから。
『職を同じとするものは入る事叶わず‥‥』
つまり、どの職も一人のみ。
パーティーが全てバラバラでなくてはならない。
また、この回廊に同時に入ることができるのは二つのパーティー、一つはすでに突入しているので、あと一つのパーティーしか入る事は出来ない。
ということで、クロムウェルは、その第六階層No1回廊に同行してくれる冒険者を求めて、ギルドに依頼を出すことにした。
●リプレイ本文
●記憶の切片
──アビス第6階層
静かな空間。
大勢の冒険者達が、それぞれパーティーを組んで打ち合わせをしている。
ここ、アビス第六階層は、通称『セーフティーゾーン』。
魔物の襲撃もなく、トラップも無い。
ここから24のルートが分岐しており、それらのルートには一部『約束』が記されている。
第一回廊の約束は『職を同じとするものは入る事叶わず‥‥』。
そして、一同がここに来た理由。
それは、この第一回廊に潜っていった者たちが持つ、『クロムウェルの写本』を取り返すこと。
そのために、現在綿密な打ち合わせが行なわれているのであるが‥‥。
「ねぇ‥‥どう? 私達と一緒に14回廊に向かいませんか?」
一人の女性ウィザードが、リスター・ストーム(ea6536)にそう告げている。
「いえ、どうか私達の所にきて下さいな。目標は23回廊、もう半分までは攻略しましたけれど、レンジャーの力が必要なのですよぉ♪〜」
といった具合で、ここの回廊にやってきてから、妙にリスターが誘われている。
それも、女性ばかり。
何故かは、本人が良く知っているのであるが、他の人たちからは全く判らず意味不明。
「ぐふ‥‥ぐふふっ‥‥よしよし。今日はこのお嬢さんの写本を取り返すから、その後でゆっくりとね‥‥」
と、うまく右から左へ受け流して、再び作戦会議に参加する。
「ええーっと‥‥クロちゃん、これは人かな?」
そう問い掛けているのは鳳美夕(ec0583)。
クロムウェルに写本を盗んだ者たちの似顔絵を書いて貰ったのだが、書かれたものは『人外大魔境』。
「わっ!! 私は絵の心得が余りなくて‥‥」
あたふたと真っ赤な顔を隠しつつ、そう呟くクロムウェル。
「まあ、多少の参考には‥‥なるだろう」
と、ガルシア・マグナス(ec0569)がすぐさまフォロー。
「駄目ですよ、みんなでクロちゃんを虐めては‥‥」
素早くクロムウェルを抱しめつつ、フォルテュネ・オレアリス(ec0501)がそう告げる。
「虐めてはいないさ。ご安心を」
と虚空牙(ec0261)が告げ、そして真剣な表情で回廊の入り口を見る。
「二度目のアビスだが、今回は先行するパーティーを追撃か。なかなか面白いことになったな」
その空牙の言葉に、ディアーナ・ユーリウス(ec0234)も肯いて話を始める。
「そうね。私で出来る事は出来る限り協力しますね。皆さんにセーラの加護があらん事を」
と、手を組んで静かに瞳を閉じ、全員に祝福を告げるディアーナ。
「先ずは先行者達に追い付いて、説得し写本を変換して頂く。それについては異存はあるまい‥‥」
バーク・ダンロック(ea7871)が皆に告げると、全身がその意見で一致しているらしく静かに肯いた。
「ああ、クロちゃん。写本奪還後、そのまま奥に向かっても良いのか? 取り戻したら帰還じゃ大した宝も望めんだろうしな〜お嬢ちゃんもココに記憶を求めて来たんだろ?」
とリスターが告げると、クロムウェルは腕を組んでしばし思考。
「う〜ん。そうですね。その時の状況で、危険でないというのが判ったら、そのまま先の調査というのもいいかと‥‥」
と告げるクロムウェルの言葉で、全員の行動は一致した。
そして荷物を纏めると、一行はいよいよ回廊入り口の石碑に手を当て、すぐさま回廊に突入した。
●ということで、にっちもさっちも
──第8階層
静かな回廊。
その広さ、実に幅10m。
天井までの高さ、実に10m以上。
こうなると、隊列も何も在ったものではない。
が、そこはそれお約束という事で。
ということで、ご無沙汰していました隊列タイムの御時間です。
〜〜〜図解〜〜〜
・上が先頭になります
・遺跡内部での灯はバークと美夕が担当
・二人はメンバーからランタンを借用
・マッパーはクロムウェルが担当
トラップ関係はリスターが担当
・戦闘時はクロムウェルが荷物の護衛
・また、必要に応じて各員が松明の準備
・戦闘時、魔法使い中央に
リスター
バーク ガルシア
ディアーナ クロムウェル、
フォルテュネ
美夕 空牙
〜ここまで
しばらく真っ直ぐに進んでいると、リスターの脚が止まる。
「ストップ‥‥全員そこから一歩も動くなよ♪〜」
と告げて、すぐ目の前の床を調べる。
「何かあったのか?」
ガルシアがそう告げると、リスターが静かに肯く。
「先行者のレンジャーはたいした腕だな。1度トラップを解除して、また仕掛けている‥‥クロちゃん、敵のレンジャーは確か‥‥」
「ええ。金髪の女性です」
「そうか。美女の仕掛けた罠か。なら、引っ掛かってやるとするか‥‥」
と告げて、いきなり仕掛けを起動させる!!
──ガチャッ!!
と、突然全員の立っている床が崩れ、全員が奈落の底にまっ逆さまに‥‥。
「いや、ちょ!!」
「何でまた‥‥わざわざ」
「まあ、何か理由はあると思うが‥‥」
「リスターさん、そんな危険な!!」
以上、美夕、空牙、ガルシア、ディアーナの悲鳴でした。
とまあ、適当な高度を『ふわふわと』落下しつつ、一行はさらに下層へと移動したと‥‥。
──第45階層
『羽根落とし』と呼ばれる魔法の仕掛け。
それにあっさりと気付いたリスターが、それを利用してさらに下層に一気にショートカット。
「しかし、ずいぶんとこの場所を知り尽くしている」
バークがそうリスターに告げる。
「いやいや。レンジャーの仕事は罠外しだけじゃないんだよ‥‥」
と告げるリスター。
実は、第六階層で様々なパーティーの女性をナンパしつつも、第一回廊の情報もしっかりとキープしてきたらしい。
「さて、それよりも仕事だぞおっさんたち‥‥」
と告げて、リスターが後ろに下がる。
「ああ。どうやらそのようだな‥‥」
空牙は後ろを振り向き、美夕もそれに続く。
クロムウェルとディアーナ、フォルテュネは中央に集まり、ガルシアとバークは前方に展開。
すでに、周囲は『ミノタウロス』など、様々なオーガによって取り囲まれていた。
「さて、そこなオーガ達に告げる!! このまま我等を通してくれればよし。さもなくば!!」
──ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
バークの手にオーラソードが輝く。
「グウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ」
巨大な戦斧を振りかざし、ミノタウロス達が一斉に襲いかかった!!
「悪意あると判断‥‥貴公らはタロンの裁きにより、処分する‥‥」
ディバインプロテクションの輝きがガルシアを包む。
そして背後からは、ディアーナのグッドラックも発動。
前衛全員がセーラの加護によって守られた。
「では、一丁いきますか‥‥」
美夕は隣の空牙にバーニングソードを発動。
そして空牙もまた、ゴキッと拳を鳴らす。
「我が師『蚩尤』の名において‥‥能力解放!!」
そして、全員が一斉にそれぞれのターゲットを細くし、もてる限りの全力で戦った!!
しかし凄い。
阿修羅の加護を受けしバーク。
タロンの使徒であるガルシア。
セーラの使徒であるディアーナ。
阿修羅の教えを受ける美夕。
そして師匠は華仙教大国の軍神『蚩尤』である空牙。
この空間に、どれだけの神の加護があることやら。
まさに、神様のオンパレードである。
──そして1時間後
「ハアハアハアハア‥‥」
さすがに息も切れているバーク。
「被害状況の報告を、怪我人はディアーナ殿に回復要請っ!!」
ガルシアも叫びつつ、仲間たちの怪我をまず確認。
酷い怪我をしているのは前衛全てと守りのリスター。
そのおかげで、後衛は全員無事。
魔力の続く限りディアーナがリカバーを唱える。
そしてフォルテュネも、自分が凍結させた敵の入った氷の棺をじっと見る。
「まあ、普通のミノタウロスですよね。何か紋章入りの武器を使っているとカ、そうこともありませんね‥‥」
と、トータル8個のアイスコフィンを確認すると、フォルテュネも薬をつかって魔力の補給。
「さて、クロちゃん、この先の回廊は覚えているか?」
「この先は神殿階層。仕掛けは不明ですけれど、スカルウォリアーなどが徘徊する空間です‥‥その先が宝物庫に続く道だったと‥‥」
と、リスターの問いに答えるクロムウェル。
「ということだ。それじゃあいくとしますか‥‥」
●盗賊達のララバイ
──第47回廊
「‥‥」
目の前の空間を見て、全員が絶句。
というのも、神殿階層に入って1日が経過した場所では、先行者達が激しいバトルを繰り広げていた。
目に見えないなにかと。
「こ、これで幾つ目だ‥‥」
ファイターらしい男がそう告げる。
「さあ‥‥もう100を越えている筈よ‥‥」
と、忍者の女性が返事をかえしていた。
「やられた仲間たちの恨み、ここで晴らさないと‥‥」
手にしたスクロールを見て何かを呟く女性レンジャー。
そして、その奥では神聖騎士と二人のクレリックが気絶している。
しかも、そうしているにも関らず、先行者達は、クロムウェル達に全く気が付いていない。
「一体どういうことだ‥‥」
と、ガルシアが踏み出そうとするのを、リスターが止める。
「一種、幻覚を起こすトラップに引っ掛かったらしいな」
その説明を受けて、フォルテュネが納得。
「あ、つまり彼等は自分達にしか見えない敵と戦っていて、倒れている人たちはその見えない敵に殺されたと思って気絶しているのですかー」
と告げるのだが。
「いえ、かなり強力な幻覚ですね。倒れている人たちは、『本当に死んでいる』みたいです‥‥」
と、十字を切る。
「まあ、それがこのアビスだし‥‥さて、写本を取り返すとしたいが、このトラップは実はオレでも解除できない。空間魔法型といって、その場所に入ったら問答無用、解除もなにもない‥‥魔法に対してレジストし続けるか、もしくは解除装置をここから探すかだ。見つかったら、オレが気合でなんとかできるが、探している間もレジストしつづけるのは、まあ無理だろうな‥‥」
と告げて、リスターはその場にしゃがみ、前方をじつと見る。
「それを探せばいいのですね‥‥」
ニコリと微笑みつつ、ディアーナが詠唱開始。
やがて、奥の方にある台座がほんのりと輝く。
「あそこの台座。あれは魔法か何かでそう見えているだけで、おそらく仕掛けか何かが‥‥」
ディバンクを発動させると、そうリスターに告げる。
「上等だな。しかし問題は、あれを破壊する威力が俺にはない‥‥」
リスターの呟きに、バークとガルシアが前に出る。
「あとは俺達の仕事だ」
「空間に掛かっている魔法が幻覚というのなら、あとは楽勝だ‥‥」
二人同時にオーラエリベイションを発動。
さらにバークはシャクティを発動させて身構えると、そのまま幻覚空間に飛込んだ!!
精神に作用する幻覚など、オーラエリベイションの前では無力。
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォツ
一気に台座に近付くと、その台座を粉砕した!!
やがて、戦っていた先行者達も意識を失う。
そして、数刻後、意識を取り戻したファイターと忍者、レンジャの3名は、目の前で死んでいる仲間たちに冥福を祈っていた。
「さて、我々がここにきた理由は判って居るだろう?」
ニヤニヤと笑いつつ、リスターが告げる。
「タロン神の名において命ずる。かの女性から奪った写本を速やかに返還せよ!!」
「阿修羅神の名において命ずる。かの女性から奪った写本を速やかに返還せよ!!」
「セーラ神の名において。クロちゃんから盗んだ写本を速やかに返してください」
バーク、ガルシア、ディアーナの言葉がうまく重なった。
そして、その言葉を耳にした一行は、静かに写本を返還する。
「亡くなった仲間たちを連れて、地上に戻るがいい。まだ死んだばかりならば、その魂が再び戻るやもしれぬ」
ガルシアの言葉に、3名は静かに仲間の死体を担いで撤収。
そしていよいよ、一行は写本を手に、本格的な調査を開始。
●第49階層の悲劇
──第49階層・宝物殿
大量の財宝。
それが目の前に広がっているのに、何も出来ない一行。
目に見えない壁が、一行を先に進ませようとしない。
そしてなによりも、前方、宝物の前に置かれている一体の彫像後から吹き出している殺意。
その圧倒的なプレッシャーに、一同は戦意を全て失っていた。
「こ、この壁は、宝物殿に入れなくしているのではなく、あれを内部に閉じこめているのでしょう‥‥」
ディアーナが震えつつ呟く。
「あ‥‥ああ‥‥そうだな‥‥ここから先は危険だ‥‥」
リスターにもさすがに『死の影』が見える。
「ううう‥‥こんな財宝、見た事ないのに‥‥」
美夕がそう泣き崩れる。
まあ、むりもない。
すぐ目の前、壁の向うに美夕が付けているのと同じ指輪がごろごろと転がっているのだから‥‥。
「命が第一。欲に目先を取られ、命を失うことはあってはならない‥‥」
バークの言葉に、ガルシアも肯く。
そして空牙は、目の前のプレッシャーになにか『懐かしさ』を感じている。
(師父と同じ迫力を持つ存在‥‥まあ、死ぬな‥‥)
そのまま一行は、その先の調査を断念し、別の階層に降りる階段で、さらに深部へと向かっていった。
●そして後日談
──冒険者酒場・マスカレード
「‥‥今回はいろいろとありがとうございました」
そう告げて頭を下げるクロムウェル。
今回の依頼を受けた全員が、無事に戻ってこれたのはなによりである。
「それよりも、写本の中身は本物?」
フォルテュネが問い掛けると、クロムウェルは静かに写本を開く。
「はい。私のですね。この半端に読めない部分は全てそうです」
と告げるクロムウェル。
「まあ、あの財宝までの回廊地図は出来た事だし、いつでもお宝までは辿りつ事が出来ると‥‥」
手にした地図を広げつつ、リスターがそう呟く。
「まあ、あの場所はオレの知らない魔物も出てくる。腕試しにはちょうどいい感じだ」
空牙はそう告げて、再びアビスに向かう日を待つ。
ちなみに、フォルテュネが八部衆フィームに出した手紙の返答は、『後日、私が直接伺わせてもらう』という事であった。
そして、クロムウェルは皆にお礼を告げると、静かに宿に戻っていった。
またいつか、みんなと冒険したいですね。と告げて‥‥。
──Fin