【冒険者ギルド視察】勉強の為に

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月20日〜05月27日

リプレイ公開日:2008年05月28日

●オープニング

●【冒険者ギルド視察】勉強の為に
──事件の冒頭
 静かな昼下がり。
 いつもの冒険者ギルドでは、ちょっとした来訪者がやってきていた。
 エジプトよりやってきたシェセル・シェヌウ(ec0170)は、ノルマンの冒険者ギルドにやってくると、受付カウンターで依頼書を作成。
 そのまま静かに依頼書を作成すると、丁寧にを終えてそのまま出て行った。

「ふむふむ。まあ、この程度の依頼でしたら問題はありませんねぇ・・・・」
 と呟いて、処理を終えた箱に放り込むビスタ・ウィンズ。

──その日の夕方
 静かに執務室。
 そこでベテランギルド員のペリエ・ウィンズはギルドマスターに呼び出しを受けていた。
「今回ビスタが受けた依頼の件なのだけれど、私自身は色々と多忙で動く事が出来ません。そのため、今回はペリエに一任しようと思いますが」
 そう告げられて、ペリエはしばし思考。
「依頼内容はギルド査察・・・・で宜しかったのですよね」
「それと必要であれば協力するということで。依頼書はこちらです。とりあえず目を通しておいてください」
 と告げられ、ペリエは提出された書類に目を通す。


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 ノルマン・冒険者ギルドマスター様へ

 現在、私達はエジプトでは多く存在する遺跡の管理・保護を主な目的として冒険者ギルドを設立しました。
 しかし、一般的な依頼を斡旋するといった活動ができていない現状です。そこで、最も活気があるパリのギルドにおいて、その運営に関するノウハウを学び、エジプト冒険者ギルドの発展に役立てたいと思いました。
 加えて、以下の案件について、可能であれば情報開示を御願いしたいと思います。

・エジプトから奪われた貴重な遺物がパリに持ち込まれたとの話もあることから、その行方に関しての情報収集
・パリでエジプト風の遺跡が幾つか確認されていることから、その調査についての報告書。

──────────────────────

「では、こちらで対処させて戴きます」
 と告げると、ペリエは静かにその場をあとにする。
 

●今回の参加者

 ea2762 シャクリローゼ・ライラ(28歳・♀・ジプシー・シフール・エジプト)
 eb8302 ジャン・シュヴァリエ(19歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・フランク王国)
 ec0170 シェセル・シェヌウ(36歳・♂・レンジャー・人間・エジプト)
 ec0193 エミリア・メルサール(38歳・♀・ビショップ・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

●まずは聞き取り調査をしてみた
──ノルマン・パリ市街、あちこちの教会施設
 今回の依頼人シェセル・シェヌウ(ec0170)の依頼で集った面々は、まずは自分達で出来る範囲の行動を開始した。
 シャクリローゼ・ライラ(ea2762)とジャン・シュヴァリエ(eb8302)、そしてエミリア・メルサール(ec0193)の三人は冒険者ギルドと繋がりの深い教会施設や団体の元を訪れ、色々と聞き取り調査を開始。
 パリ市街、及び郊外には大小合わせてそこそこの数の教会がある。それらの中から有名な所を幾つか回って、司祭クラスの責任者に色々と話を聞いてみたらしい。
 特にエミリアは、エジプトに関する様々な質問も行なおうとしていた。

・パリ中央『ノートルダム大聖堂』
「私達にとって冒険者ギルドは、共にジーザスの教えの中で活動する尊い仲間たちです。彼等は皆等しくジーザスの申し子であり、敬虔なる信徒なのです」
「ジーザス教に置ける『蛇』の存在は、人間に知恵を授けた悪しき存在であります。エデンに生えている禁断の存在、善悪の実をアダムとエバに食べるように仕向けた蛇こそ、悪魔ルシファーなのです‥‥ロードガイとやらについては、私達は判りません。それと、デビルについては、かなりの事件がこのノルマンで起こっていました。詳しい話は、冒険者ギルドの書庫に収まっている報告書を読むといいでしょう‥‥」
注)司祭長曰、他信仰者達は眼中に無いらしい。

・パリ東方市街『プルーオイスター寺院』
「ええ。冒険者さん達は我等の友であり仲間です。共にこのノルマンに生きる、尊い友であります‥‥ギルドはそれらの友の存在し、集う大切な施設です」
「蛇は悪魔の三つ界であり、ヤハウェの子であるアダム達に禁断の果実を薦めたのこそ、悪の象徴たる蛇なのです。蛇すなわち悪魔ルシファーであります。ロードガイですか。彼はいい人でした。つい最近、天寿を全うして神の御許に召されてしまい‥‥積もる話はおいといて。デビルの暗躍については、シャルトル地方が最も悪魔と激しい戦いが繰り広げられていたので、そちらに向かうといいでしょう‥‥」
注)聞き込みをしていたシャクリローゼが女性であり、且つマッチョでない為、この程度の解答であった。ロードガイについては、まったくの別人らしい。

・パリ郊外『サン・ドニ修道院』
「冒険者の皆さんにはいろいろとお世話になっています。あの方たちは私たちにとって尊き友であり、大切な人たちです‥‥ギルドですか? 生き方や信念こそ違えど、皆さん自分の生き方に誇りを持っています。そんな人たちを統率し、良き事の為に色々と助力している所です」
「蛇ですか? 聖書に記されている蛇の存在は、人類の祖であるアダムと‥‥(以後、聖書を開いて朗読が延々と始まる)」

・パリ中央『商人ギルド』
「ああ、冒険者ギルドかい? 困ったときに力を貸してくれるいい施設だよ。ちょっと手数料が高いのが難点だけれどな」

・パリ中央『吟遊詩人ギルド』
「冒険者ギルドですか。私達に常に刺激を与えてくれる大切な施設です。彼等のおかげで、私達は常に新しい物語を作ることができるのです‥‥」

 とまあ、こんな感じで。
「このノルマンに取っては、冒険者ギルドは一つの存在として認知されているって言うことですか‥‥」
「そのようですね。では、次は冒険者向けの酒場です。噂では、マスカレードという酒場には、情報屋のミストルディンという方がいらっしゃるそうで‥‥」
 そう羊皮紙に報告書を纏めているシャクリローゼに、ジャンは話を振る。
 そして二人はマスカレードへと向かっていった。


──一方そのころ
 場所は変わって冒険者ギルド。
 今回の依頼人であるシェセル・シェヌウ(ec0170)が、依頼担当官であるペリエ・ウィンズと会談を行なっていた。
「ではさっそくですが、こちらの質問にお答えして頂く形で、色々と教えて頂きたいのですが宜しいでしょうか?」
 そう問い掛けるシェセルに対して、ペリエはニコリと微笑むと一言。
「ギルドの機密事項に触れない範囲で協力させて頂きます。それで宜しいですね?」
 と先に釘を差す。
 この辺は、さすがに歴戦のギルド員というところであろう。
「ええ、それで構いません」
 と返答を返すと、シェセルは羊皮紙とペンを取り出し、ペリエの返答を全て記録する準備をする。
「ではまず、設立の契機について教えていただきたいのですが」
「私達ノルマン冒険者ギルドは、元々は商人ギルドの護衛の集まりでした。ですが、商人ギルド以外の所からの護衛依頼もあり、やがては護衛を専業とするギルドとなり、そこに冒険者を始めとする様々な人たちが集って新しく『冒険者ギルド』というものになったのです」
「成る程。そして現在は、冒険者達による、様々な事柄・依頼を行う場所となったのですね?」
「ええ、その通りです」
 と纏めるペリエ。
「では、次は組織体制ですけれど、どのような形になっていますか?」
「最高責任者であるギルドマスター、そしてその補佐官である副ギルドマスター。そして更にその下に、『渉外』『庶務』『司書』『実働』の各専門機関があります。渉外は主に貴族や各スポンサー、王宮などとの交渉を主に担当。『庶務』はギルドの受け付け業務全般、『司書』は各報告書の作成及びそれらの保存などを担当しています。『実働』は実際に冒険者に同行し、報告書などを作成したり、依頼が在った際に必要ならその依頼についての下調査等を行ないます‥‥」
 とまあ、実に判りやすく説明をするペリエ。
「各部門には責任者が?」
「ええ。それぞれに責任者と副責任者がいます。さにらにその下にはそれぞれの部門中の別の区分もなされていますわ。私も庶務で役職をいただいています」
 おっと、ペリエさん実は偉い人。
「大変参考になります。では、次は‥‥公及び裏社会との関係についてですが」
「機密事項です。公的部分については冒険者以外の各ギルド及びスポンサーである貴族、王族が含まれます。裏社会については直接的な繋がりを私は知りません」
「‥‥つまり、上層部で繋がっている可能性もあるということですか?」
「機密事項ですので‥‥」
 ニコリと微笑むペリエ。
「成る程。なら、次の質問ですけれど。スポンサーとの関係は?」
「共存共栄というところですね。それ以上については機密事項ですので」
「また機密事項ですか。まあいいでしょう。では、依頼の裏付け調査については?」
「依頼を受ける時点では行っていません。受け付けが完了した時点で、必要があると推測された場合には先に『実働班』の方たちが依頼の裏付けについて調査し、問題が無ければそのまま依頼は続行。問題ありの場合、依頼人にそれについての質問などを行ない、最悪の場合依頼破棄という処置を取らせて頂いています」
 と、意外に厳しい対応を行なっている模様。
「成る程。ではノルマン冒険者ギルドについて最後の質問ですが、不良冒険者への対応については?」
「最悪の場合はギルドより除名追放、罪があるのならば教会もしくは騎士団引渡の上で裁判を行うという形になります」
 今まで良く無事だったな、該当冒険者諸君。
「では、最後の話になりますが、ノルマン冒険者ギルドよりエジプト派遣団を出して頂ける可能性はあるのでしょうか?」
「必要に応じて。依頼人とその派遣の目的、予算、必要日数などを考慮し、ギルド内で可能かどうか審議の上、改めてご報告します」
 とニコリと営業スマイルを浮かべるペリエ。
「了解しました。では、本日は色々とありがとうございました」
 と丁寧に挨拶を返すと、シェセルは1度その場を立ちさって行った。


●トータルでまとめてみると
──冒険者酒場マスカレード
 一通りの情報交換や打ち合わせが終った後、一行はマスカレードに戻ってきた。
 そして各自が得た情報を全て交換すると、シェセルはエジプト本国宛の報告書を作成。
「ロイ教授については既に死亡が確認されている。彼の残した手記や悪魔に関する資料は、信頼ある者たちによって厳重に管理されているらしいが、どうやらそこまでたどり着くことは出来なかったな‥‥」
 シェセルの話している信頼置ける人物に、冒険者の考古学者やミハイル研究所所長という人物まで、様々な名前が浮かんできた。
 特にミハイル・ジョーンズ教授は、数年前に研究でエジプトを訪れていた事が在ったらしい。 
 残念だが、本人はアトランティスに向かってしまい、その助手が現在所長を務めている。
 その場所まで向かうには時間が足りない為、今回は断念。
 冒険者ギルドに納められている報告書については、あまりにもその数が膨大すぎて、目的の『エジプト様式の遺跡』についての報告書は見つからず。
 それでも存在しているということは判った為、改めて時間をかけて調べることにしたらしい。

 そして一行は、各々の健闘を湛えてパーティーを開く。
 無事にエジプトに冒険者ギルドが設立するのは、一体いつのことであろうか‥‥。

 それは神のみぞしる‥‥。

──ケム・セシェ・メネウ‥‥