【ふらり鍛冶屋】鎧を作ってみよう
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:6〜10lv
難易度:普通
成功報酬:4 G 65 C
参加人数:4人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月22日〜08月01日
リプレイ公開日:2008年07月29日
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●オープニング
──事件の冒頭
ガギィィィィンガギィィィィィン
ノルマン江戸村のトールギス鍛冶工房。
ここでは最近、新たなる試みが行なわれていた。
ここの責任者であるクリエムは、マイスター・トールギスに教えを受けた数少ない鍛冶師。
そして伝説の鍛冶師ディンセルフの血を受け継いでいる。
彼女の作る剣は、アレキサンドロ・マシューのブレーメンシリーズにも引けを取らないと評判である。
そんな彼女であるが、実は今、大きな壁にブチ当たっていた。
「また駄目‥‥どうしてこううまくいかないのかしら‥‥」
潰れた鎧を再び叩きつつ、そう告げる。
今のクリエムの最大の敵。
それは『鎧』である。
刀鍛冶としての腕は確かなのだが、彼女、実は『鎧鍛冶』などしたことがほとんどない。
にも関らず、今回はプロスト辺境伯領所属辺境騎士団の鎧を作るという依頼を受けてしまったらしい。
というか、留守番のわんドシ君が受けてしまったので、仕方なしにやるしかなかったということで。
色々と考えていると、ふと、依頼をことわりにいったときの騎士団長の顔が脳裏に浮ぶ。
「実は今回の依頼は手違いでして‥‥」
と話を切り出したものの、騎士団長は聞き入れてくれない。
「鍛冶師としてのポリシーがあるのならなんとかしてみろ。それとも、トールギスの弟子達は口ばっかり達者で、出来ない仕事は言葉巧みに断わっているとでも?」
その言葉にクリエムは燃えた。
「判りました。では期日までになんとか‥‥」
ということで受けてはみたものの、人手が足りない。
とにもかくにも人手が足りない。
チェインメールとプレートメールがそれぞれ4着、ラメラーアーマー2着、スケイルメール10着をなんとかしないといけないらしい。
殆どの材料は出来上がったものの、それを汲み上げるのに時間と人手が足りない。
そして細かい細工部分に居たっては、クリエムではまったくといっていいほど無理。
「わんドシ君‥‥うまく話をつけてきてね‥‥」
と星空に祈るクリエムであった。
●リプレイ本文
●てんてこ舞い
──ノルマン江戸村
さて。
人の迷惑かえりみず、やってきましたノルマン江戸フベシ!!
「そこの記録係、愉しそうに叫ぶなだワン!!」
これはこれは、今回の依頼の元凶のわんドシ君。なぜあなたがここに?
「ボクも、責任を感じているんだワン。それをそんな愉しそうに‥‥」
──スパァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
虹も砕ける星空も泣き叫びそうなアッパーカットを食らい、キラーーーンと星になる記録係。
とまあ、そんなことはさておいて。
「よう。随分とご無沙汰して申し訳なかった‥‥」
と気楽に挨拶し、工房の中に在る『名札』を『留守』から『滞在』に掛け直すロックフェラー・シュターゼン(ea3120)。
「いえいえ。助かります。それに大勢の鍛冶師さん達も連れてきて頂いて」
「まあ、兄弟子のピンチには駆けつけるのが弟弟子ってところ。あ、これお土産な」
と、ロックフェラーは自分の技術の纏めたものをスクロールにし、クリエムに手渡す。
「あ、いいのですか?」
「ああ。色々と使えるかもしれないからな。さて、それじゃあ早速例のものを見せてもらおうか?」
ということで、一行は材料の置いてある土蔵へと移動。
──土蔵
「こ、これが材料の全てか‥‥」
ここはトールギス鍛冶工房の隣に有る土蔵。。
その中で、ロックフェラーが冷や汗を流しつつそう呟く。
「ずいぶんと‥‥大量というか。予測の斜め上を走っていたか‥‥」
ラーバルト・バトルハンマー(eb0206)もそこに置かれたパーツを一つ一つ手に取り、仕上がりを確認していた。
「ワシも、鎧はあまり扱ったことはないが‥‥図面を見せてもらえるか?」
と告げるのはヴィルジール・オベール(ec2965)。
「ええ、こちらがそうです。如何ですか?」
とクリエムが一行に問い掛けると、すでに話し合いが始まっていた。
「簡単なのはプレートメールか。これはクリエムで何とかなるか?」
「ええ。それだけでしたら」
「ふぅむ。ならば、ワシはスケイルメールを受け持つとするか」
ラーバルトがそう告げると、ヴィルジールはチェインメールの図面を手に取る。
「ワシはジャパンの研究も兼ねて、これにするかのう‥‥」
ヴィスルジールは鎖帷子の要領で編みこむという作戦のようで。
──トテテテテ
「とりあえずハーブティーが入りました──」
と、今回依頼を受けた最後のメンバー、ラムセス・ミンス(ec4491)がトテテテとお盆にハーブティーを乗せてやってきた。
「ロックフェラーさんのお土産のハーブティーです!!」
と、トールギス鍛冶工房の奥から、淹れ立てのハーブティーを持ってくる。
ちなみにラムセス、鍛冶師としての技術はなにもない。
ただ、偶然にわんドシ君を見掛け、そして一目惚れしてフラフラと付いてきただけである。
それでは悪いと想い、皆が鍛冶師として働いているあいだの雑務全般を引き受けることとなったらしい。
「‥‥これは済まない」
「かたじけない、ではさっそく」
「ほう、思ったよりも香りが立っているな‥‥」
「この香りは、商業区の茶葉専門店『アーッ・グレイ』のものですな」
と、その香りに全員が納得し、そして一斉に口を付けて‥‥。
──ぬるっ
と、とにかくぬるい。ハーブティーを抽出したお湯がぬるすぎるのである。
淹れてから香りがでるまで、ただひたすらに待っていたのであろう。
香りは最高、なれど味は最悪という逸品、みなさん堪能して頂けましたでしょうか?
「もっと手早く、熱いうちに抽出すると美味しく頂けますよ?」
とクリエムが告げると、ラムセスは瞳を輝かせて肯いていた。
そして、そんなこんなで一行は、作業を開始した。
●鍛冶屋ファィト!!
──トールギス鍛冶工房・土蔵
「‥‥これは、思ったよりも神経をつかうな‥‥」
やっとこを手に、ロックフェラーがそう告げる。
ロックの担当はラメラーアーマー。
あつらえたのであろうネイルアーマーに、長方形の板金を取り付けていく。
その過程がもっとも辛いらしい。
「あ、ロックフェラー、そこの部分少し曲がっているぞ?」
ラーバルトが横で作業しているロックフェラーに指示を飛ばす。
「あ、ああ、ここか。と、おや? ここを直すにはこっちを外さないといけないし‥‥となると、こっちの止め具も外して‥‥おいおい」
冷や汗を流しつつ、ロックフェラーがそう呟く。
「まあ、鎧製作というのはそういうものじゃ。かくいうワシは、ほらこの通り‥‥立派なチェインメールの出来あがりと」
ヴィルジールが完成したチェインメールを横においていくが。
「あ、ヴィルジール、それどうやって着るんだ? 胴体の所、袋状処理してどうする?」
つまる、着る事の出来ないチェインメール。
「なんですと? どこの部分が‥‥うひょーーーーーーーーーーーーーーーーー。これは参った」
と豪快に笑いつつ袋状のチェインメールを、一つ一つはずして修整を開始する。
「しかし、俺達は刀鍛冶。このように皆で集まって鎧を作るというのも、何かたのしいな」
とラーバルトも告げる。
──バギッ
おおっと。ラーバルト、スケイル部分を打ち付けるピンを破壊。
「しまった!! ロックフェラー、済まないがそこにある箱を取ってくれ」
「ん? ああ。スケイルの止め具か。これで何個目だ?」
「そんなもの数えているか!!」
「おや? 図面通りに作った筈なのに、何故右腕が長くなる?」
とまあ、とにもかくにも愉しそうである。
そんな中‥‥。
──トールギス鍛冶工房・厨房
「はい!! これは近くの河で連れたウナギという魚です。これはそもそも、お父さんの国ではよく食されていたもので、夏はドヨーといって、長いものを食べるとなんちゃららー」
といった感じで、うんちく垂れ流しつつ必死に蠢くウナギを捌こうとするラムセス。
「‥‥大丈夫なのか?」
と、後ろから声を駆けてきたのは宮村剣術道場師範のミヤムウ。
「はい、大丈夫です!! ウナギなんかに負けませ‥‥と」
──ブチブチッ
捌くどころか押さえこむのもままならない。
力を入れすぎて握り潰し、千切れてしまう。
「あーあ。釣り名人の一平さんに貰ってきたのに‥‥もう残ってないや‥‥」
と、横にある魚篭を覗きこむ。
そこには、千切れたり潰れているウナギがわんさかさ。
「ふぅ‥‥まあ、切るのは私が替わろう‥‥身は味付けを頼む」
ということで、調理補助にミヤムウが参戦。
かくして、その日の晩ご飯は『ウナギ飯』ということになったわけで‥‥合掌。
●ということで
そんなこんなで依頼期間中には全ての鎧の作成が完了。
そして残った機関で、各々が自分の作りたいものを作成。
──ガシャァァァッ
巨大なポールウェポンを振りかざすのはロックフェラー。
ガントレットの甲の部分に『曲面状の刃』を装着、それを手に填めて、遠くにある古木に向かって『ソニックブーム』を叩き込む!!
「はっ!!」
──ブゥンブゥン
素早くソニックブームを発生させる。
通常の刃より生み出された衝撃波は寸分くるわずに古木に直撃するが、もう一本、ガントレットの曲面刃から発生した衝撃波が問題で。
──スパァァァァァッ
全く関係無い方角を通っていたクリエムのスカートを、腰から真っ二つに切断。そのままズルッと滑り落ちたスカートを踏んで、クリエムが激しく転ぶ。
さらに、そのクリエムが両手で持っていた鍛冶道具がスポッと飛び、前方で牛小屋に戻っていこうとしている村人の牛に直撃。
牛は慌てて暴走を開始、一直線に走り出した所、工房からでてきたラーバルトを発見、そのままラーバルトに向かって角による体当たりを開始。
──ガシッ!!
「ぬっぬうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
その牛の角を両手で掴むと、ラーバルトは正面から牛を押さえこみに入った。
──ズデェェェェェェェン
激しく牛を大地に叩き落とすラーバルト。
「あーー、済まない。ちょっと角度が甘かった」
と笑うロックフェラーに、ラーバルトはやれやれといった表情。
「もう少し加減をしてくれ‥‥こっちは彫金で疲れているんだ」
と豪快に叫ぶ。
完成した鎧全てに、ラーバルトは『辺境騎士団の紋章』を彫金で割り込んでいたらしい。
「あれ? もう一人は?」
と、ロックフェラーはヴィルジールを探すが。
「やつなら、クリエムの弟子になるとかで、竈の前で頭を下げていたぞ?」
「ほう‥‥ということは、俺の弟弟子となるのか‥‥どれ」
と野次馬根性でロックフェラーもその光景を見に行った。
どうやらクリエムの弟子ではなく、トールギス鍛冶工房の弟子ということで一件落着したらしい。
「そろそろ食事ですヨー」
と夕方になって、ラムセスが全員を食堂に呼び込む。
ここにきてから、あちこちのおばちゃん達と友達となり、江戸村の料理を色々と学んだらしい。
もっとも、知識では判っているものの、その通りの味に中々ならないのが料理である。
「今日の料理は一体なんだ?」
「ナマズを鍋にしました。この国の文化では、鍋を大勢で囲んで突くという文化は無い筈で‥‥」
とまあ、終始こんな感じで依頼を終えると、一行は静かにバリへと戻っていったとさ。
めでたしめでたし。
──Fin