【ウィザード・李】壊れかけのガジロー

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:2人

冒険期間:08月20日〜08月30日

リプレイ公開日:2008年08月29日

●オープニング

──事件の冒頭
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」
 激しく撃ちなる剣戟の響き。
──ズバァァァァァァァァァァァァァァッ
 横一閃に振ったグレートソードが、目の前の戦士の胴部を真っ二つに分断する。
 よく見ると、男の周囲には、大量の死体が転がっていた。
「ハアハアハアハアハアハアハアハア・・・・」
 額から流れる汗を拭いつつ、周囲を見渡す男。
「ガジロー、ご苦労様です。李興隆様も、貴方の活躍には大変喜ばしく思っていますわ」
 そう告げているのは、李興隆の副官であるルージュ。
 そしてガジローと呼ばれた男は、静かに肯くと、その場にどっかりと座り込んだ。
「食糧をだしてけろ。おら、腹が減ると動けねえんだ・・・・」
 そのガジローの言葉に、ルージュは持ってきていた食糧を差し出す。
 それに食らいつきつつ、ガジローはルージュを見る。
「次の仕事は? おら、誰を殺せばいいんだ?」
「貴方の後ろにある石碑。それを狙ってここにやってくる者たちが大量にいるから、その扉を越えてくるものは全て『敵』。敵は皆殺しにして頂戴ね」
「判っただよ。どんな敵が来ても、オラは無敵だ。この『竜玉丸』があれば!!」
 と、傍らに置かれているグレートソードをポンポンと叩く。
「そうね。あなたの活躍、興隆様は愉しみにしていますから・・・・では」
 そう告げ、ルージュはその場からスッと消えていった。



●現在の情況を語ってみよう
 大勢の冒険者が集って、幾度となく突撃を繰り返しているアビス。
 そこには、様々な思惑が集っていた。

 一攫千金を求めるもの
 名声を上げようとがんばっているもの
 集ってくる冒険者相手に商売をしているもの
 そして
 犯罪を犯し、ここに逃げてきたもの・・・・
 そんなものたちが集まり、ここに潜っている理由は様々です。
 さて、貴方はここに、どんな理由で潜るのですか?


*現在までの情報
注)ここに記されている情報は、冒険者ギルドの報告書および第六階層にて得られるものである。
 もし情報を使うのであれば、酒場にて『先人達』に告げてください。
 彼らの努力失くして、これらの情報は得られなかったのですから・・・・


・回廊No1〜12には、それぞれ鍵となる指輪が存在する。
 順に『白羊宮の鍵』『金牛宮の鍵』『双児宮の鍵』『巨蟹宮の鍵』『獅子宮の鍵』『処女宮の鍵』『天秤宮の鍵』『天蝎宮の鍵』『人馬宮の鍵』『磨羯宮の鍵』『宝瓶宮の鍵』『双魚宮の鍵』以上である。

・回廊No13〜16には、それぞれ鍵となる『精霊の彫像』が存在する。
 順に『炎の彫像』『水の彫像』『風の彫像』『大地の彫像』である。

・回廊No17〜19には、それぞれ鍵となる武具が存在する。
 順に『命の剣』『心の楯』『魂の兜』である。

・回廊No20〜24には、それぞれ指輪をあてはめる扉が存在する。
 それらは全て、第一回廊最下層に記されている4枚の『黒曜石の石碑』の謎を解くことで、正しい扉が開かれる。

・全ての回廊は、4つの『試しの扉』が存在する。それらの『試し』をクリアしなければ、扉は開かない。

・いずれの回廊でも、最初の『試しの扉』を通り抜けるためには『レンジャー』が必要である。

・第1回廊・『第二番の試しの扉』は、精霊力によって解放されるが、その先の空間は『精霊力遮断空間』になっているらしい。

・第2回廊・『第二の試しの扉』の先は、『完全武具無効化空間』というものが存在する。そこでは、全ての『物理的攻撃』が無効化されるるらしい。

・第3回廊の二番目の『試しの扉』は、純粋にトラップと鍵によって閉ざされているが、これは敏腕レンジャーなら解除可能。

・第4回廊・二番目の『試しの扉』は、神聖力によって解放されるが、その先の空間は『神霊力遮断空間』になっているらしい。

・第5回廊の二番目の『試しの扉』に向かうには、『高さ、幅共に1mの回廊』を突破しなくてはならない。

・第6回廊・『第二の試しの扉』に向かう為には、長い階段を下り、そこから『回廊内を充満する、長さ400mの水路』を越えなくてはならない。その先の水中に、『第二の試しの扉』が存在する

・第7回廊・『第二の試しの扉』を突破する為には、その手前に在る、『果てしなく滑らかな壁を昇り、そこの天井にあるレバーを倒す』必要が有る。そこは精霊力が遮断されているので、自力で昇る必要がある。

・第8回廊第二の試しの扉には『全ての武器・防具を棄てよ』と記されている。ここでそれに従わなければ、そこから先に進んだとしても待っているものは破滅らしい。

・第9回廊・『第一の試しの扉』を越えた先は『絶対無音空間』となっている。この空間で物音を立てた場合、何処かに強制転移させられる。
*ちなみに現在、冒険者達の手によって第9回廊は攻略完了。

・第10回廊・『第二の試しの扉』は、バードとジプシー二人の歌と踊りが必要である。

・第11回廊は、最初の試しの扉を突破した先から『完全魔法無効化空間』によって形成されている。
 守護者は『アクエリアス』、彼を倒す事で『宝瓶宮の鍵』を入手。
*ちなみに現在、冒険者達の手によって第11回廊は攻略完了。試しの扉は全て『魔法の鍵』によって解除可能。

・第13回廊・第3の『試しの扉』の正面には台座があり、『2400Gと等しい重さの物質』を載せる事で開くらしい。

・第14回廊・『第一の試しの扉』の手前には『レンジャー殺し』と呼ばれる石化トラップが仕組まれている。

・第16回廊は『第二の試しの扉』以後、3人で一つのパーティーでしか通れない。

・第17回廊には『キーステーション』と呼ばれるショートカツト用の部屋が存在。

・第18回廊の奥の小部屋に、第一回廊第三の『試しの扉』の鍵が存在する。
*ちなみに現在、冒険者達の手によって第18回廊は攻略完了。


・第19回廊は、『第一の試しの扉』までは無限に出現するアンデッドとの戦いが続く。
*ちなみに現在、冒険者達の手によって第19回廊は攻略完了。

・第20〜24回廊は、入り口が巨大な石壁によって閉ざされている。その壁には『24の指輪』を填める穴が存在している。

・第一の黒曜石の碑文
 第21回廊最初の扉の解除方法
『対となるものが指輪を填めよ、そして扉に順に手をかざせ・・・・』


*現在までに攻略された回廊(コンプリートエリア)
・第09回廊:キーステーションの解読石碑
・第11回廊:『宝瓶宮の指輪』
・第18回廊:『心の楯』、『白銀色の魔法の鍵』を3本、『8本の魔法の鍵束』回収
・第19回廊:『魂の兜』、『金色の魔法の鍵』を9本回収。

*キーステーションの解読石碑
・鍵を開きなさい。青銅は何処かの1を、鉄は何処かの2を。銀は何処かの3、そして金は何処かの4を示します。
・扉にある鍵穴は全部バラバラ。一つ穴のものは何処かの扉へ。二つ穴は何処かの回廊へ。3つ穴は扉と回廊を示します。
・この回廊の鍵は、一つ穴ならどれでも可能だが、どれでもダメ。二つ穴なら、一つ目の鍵穴はまわさない。次の穴には金を二つと青銅を一つ。
・三つ穴なら‥‥・・穴には・・・・を一つ。二つめの穴には何もささない、そして三つめの・・・・。
・4つ穴、そしてそれ以上の穴は奇跡の鍵。それを用いで目指したい扉をイメージし・・・・。

●今回の参加者

 ea3777 シーン・オーサカ(29歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ec0234 ディアーナ・ユーリウス(29歳・♀・ビショップ・人間・神聖ローマ帝国)
 ec0261 虚 空牙(30歳・♂・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ec0569 ガルシア・マグナス(59歳・♂・テンプルナイト・ジャイアント・ビザンチン帝国)
 ec1942 ミケヌ(31歳・♂・カムイラメトク・パラ・蝦夷)
 ec3793 オグマ・リゴネメティス(32歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

紅 天華(ea0926)/ レア・クラウス(eb8226

●リプレイ本文

●そして時は動き出す・・・・
──シャルトル・アビス外
「さて、どこから聞き込みしよか?」
 フワフワとフライングブルームでアビス外の街にまでやってきたのはシーン・オーサカ(ea3777)。
 みんなよりも一足先にやってきて、色々と情報を仕入れようという事である。
「そやな。情報収集の第一歩は酒場やな。そこから聞き込みいこか・・・・」
 ということで、先ずは手近な酒場に入っていく。

──酒場『蒼い牡蛎亭』
 そこは一風変わった酒場。
 というのも、右も左もマッチョばかり。
「あの・・・・アビスについて詳しい方いてはります?」
 そうオーサカが問い掛けると、奥から一人のウェイトレスが出てきた。
「はーいはいはいはーーーい。アビスのことならこの私におまかせーーーーっ」
 そのウェイトレスはそう叫びつつ、オーサカの前に立つ。
「はじめまして、私はこのブルーオイ・・・・蒼い牡蛎亭の専属ウェイトレス。気軽にトモと呼んでください」
「そか、そんならなトモ。アビスについて色々と教えて欲しいんや」
「はーい。アビスはこの店を出て、そこから右に200m向かった所にありまーす」
「そやなくてな。中について色々と教えてほしいんや」
「中はかなり複雑な立体構造迷宮になっていまーす」
「そやそや、その部分をもう少し詳しくな」
「入り口から入って、順路を進むと第六階層に到着します。そこから先は24の回廊に分かれていて、最深部の125回層までは、いくつものトラップをくぐりぬけなくてはなりませーん」
「ふむふむ、そんで?」
「第24回廊から先に進めば最深部までたどり着く事が出来ますが、その為にはいくつもの鍵が必要になりまーす」
「鍵かぁ。どんな鍵なんやろなぁ」
「白銀、金、銀、銅、鉄、青銅、骨、木の鍵にあわせて、鎧、兜、楯、ゾディアックリングなどが必要となっていまーす」
「ふむふむ。そんで? その鍵はどこにあるんや?」
「それぞれ各回廊にヒントが隠されていますが、回廊ごとにいくつものトラップが作られていまーす。それを突破するのは、ベテランクラスの冒険者だてげすー」
「へー。そうなんかー。で続きは?」
「はい、ここまでの情報料、6000Gになりまーす」
「はい?」
 そのトモの突然の言葉に、オーサカは頭を捻る。
「ですからー、ここまでの情報料ですよー。まさかタダで情報を貰えるとでも思っていました?」
 そうニッコリと問い掛けるトモに対して、オーサカもまたにっこりと一言。
「そやな。タダで色々と教えてもろてあんがとなーと思ったで。ま、情報やししゃーないか。ウチは文無しやさかい、出世払いにしといてや?」
 そのオーサカの言葉で取引きは成立。
 ということで、もうしばらくの間、オーサカはここで色々と情報をゲットしているのであったとさ。


●突入準備OK?
──アビス・第六階層
 いつものように大勢の人々で溢れているアビス第六階層。
「で、結局は今回向かうのは第二回廊なんだな?」
 メンバーが集まって色々と打ち合わせをしている。
 今回はどこの回廊に向かうか、そこで色々と話し合いが進んだ。
 第九回廊に向かいたいというガルシア・マグナス(ec0569)と、第二回廊に向かいたいという他のメンバーの意見がぶつかりあい、で、多数決で第二回廊に決定した。
「ええ。とりあえずはさういうことですので。それ用に準備をしていきましょう」
 と虚空牙(ec0261)が告げると、残ったメンバーは早速それに対しての情報を集めに向かっていった。


●ディアーナの情報
 ディアーナ・ユーリウス(ec0234)もまた、話し合いが終ってから第二回廊についての情報を探しにあちこちのパーティーに向かった。
・素手での戦いがメインになるから、かなり辛い事になるらしい
・出現する敵は全てヒューマン、それも武道家ばかり
・試しの扉は全て『華国語』で記されてあり、そこに記されている問いもまた、華国に関係しているものばかりらしい


●虚空牙の情報
 虚空牙(ec0261)は第二回廊に向かった事のありそうなパーティーを探し、そして色々と聞き出す事に成功。
・武具無効化空間では、一切の武器が使用できなくなる
・加えて、防具に付いても、一切所持が認められないらしい
・壁などはあいかわらず『攻勢防壁』であり、迂闊に壁に攻撃をすると危険らしい


●ガルシアの情報
 今回の回廊に向かうにあたり、ガルシアは色々と情報を探しに向かった。
 そして得られた情報は以下の通りである。
・武具無効化空間では、一切の武器が使用できなくなる
・加えて、防具に付いても、一切所持が認められないらしい


●ミケヌ(ec1942)の情報
 ミケヌもまた、色々と情報集めに錯綜する。
・敵はアンデッド系が多く、また、魔法でしか傷つかないものも存在する。
・最下層にたどり着けば、『金牛宮の鍵』がゲットできるらしい。
・ちなみに、その鍵は結構な数出まわっている為、意外と簡単にクリアできるという噂もある。


●ということで
──第六回廊・ベースキャンプ
 様々な情報を纏めた結果、防具がつかえないということについてはガセネタであることが確認される。
「さて、それじゃ行きましょか?」
 とオーサカが告げてから、床に大量の地図を広げる。
 それは彼女があちこちで得たアビスの地図。
 それにバーニングマップを発動させて、目的の場所への最短ルートを調べようというのである。
──ゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
 オーサカの魔法発動後、地図が一気に燃え上がった。
 そして残った灰が、床に複雑な模様を作り出したのである。
「なあ・・・・この道は一体、何処に向かう道なんだ?」
 そうガルシアが問い掛けると、オーサカはキッパリと一言。
「宝物のある部屋への最短ルートや」
 ふむ。
 その言葉に、ミケヌが静かに一言。
「このアビス、どこに行っても宝があるじゃん。・・・・細かい指定はしなかったのかよ?」
「全く。だって、宝ってあったら便利でしょう?」
 とキッパリと言い切るオーサカ。
 そしてそんなヤり取りをよそに、ディアーナ・ユーリウス(ec0234)がその灰によって導かれた地図をマッピングしていたという。
 そして一行は、そのまま最終準備を終えると、そのまま第2回廊へと向かっていった。
 ということで、ダンジョン名物隊列タイムの御時間です。
 
〜〜〜図解〜〜〜
・上が先頭になります
・遺跡内部での灯は各員が担当
・マッパーはディアーナが担当
 トラップ関係はミケヌとオグマ・リゴネメティス(ec3793)が担当
・戦闘時はミケヌ、オグマを中心に戦闘形態を展開
・また、必要に応じて各員が松明の準備

   空牙 ガルシア
  ミケヌ オグマ
ディアーナ シーン
 
〜ここまで

 ちなみにこの第2回廊、横道というものは一切なく、回廊の左右にさまざまな扉が並んでいるだけ。
 そして一行が向かうと同時に、あちこちの扉がアンデッドが次々と湧いて出るという仕組みになっていた。
「この先、右の3つ先に宝ですね。その斜め前にもあります」
 ディアーナが地図を広げてそう説明する。
「判った・・・・それじゃあ、ちょっと頼む」
 ブラックホーリーで敵を破壊しているガルシアと、素手で正面から突っ込んでいく空牙。
 そしてそのバックアップで後方支援をしているオーサカ。
 シャドウバインディングによってアンデッドを固定し、そこにガルシアと空牙が殴りかかる。
 それをただひたすら、延々と続けていくという、じつに長丁場な戦いが続けられた。


●レンジャー殺し
──第45階層・第3の試練の扉前
 ここに至るまで、じつに3日。
 倒したズゥンビ100以上、レイス、スペクターなども併せると200は軽く越えている。
 途中の試練の扉については全く問題なかったものの、この最後の扉で半日が経過しているのだから堪らない。
「・・・・こことここの繋がりが・・・・あれれ・・・・」
──ガチャガチャッ
 扉に付いている鍵穴は全部で40。
 そのうち20個は開いてあり、そして残り20個は閉じている。
 その鍵穴を捻ると、特定の5ヶ所の鍵が掛かったりあいたり、兎に角現在の正反対に動くのである。
 全ての鍵を空いている状態にしなくてはならないという、この最後の試練、ミケヌはかなりイライラしている模様。
「ここをまわして・・・・」
──ピーーーン、ガチャガチャ・・・・
 とまあ、パズル的要素が加わっている為、固い頭ではそうそううまくはいかない。
 もっとも、そのミケヌの横ではオグマが鍵穴とその動きを総べてチェック、それを横で見ているオーサカが逐一チェックをしている。
「どうだ? そろそろなんとかなりそうか?」
 そう問い掛けるガルシアに、ミケヌは頭を横に捻る。
「全然ダメじゃん。今は鍵穴のパターン解析中。で、これが終わったらオーサカとオグマの二人で解析。そして一気に鍵穴を開くという事・・・・あと1日ぐらい?」
 そのミケヌの言葉に、後方で体を休めている空牙も静かに懐く。
「最悪、今回ここまでで後日完全解読してからやってきたほうがいいな?」
 と呟く。
「まあ,今回で全て解読できたほうがいいのですけれど・・・・残り時間もあと僅かですし」
 というディアーネをよそに、オグマ&オーサカは必死に解析を続ける。

──さらに半日
 いよいよ地上に戻るまでのタイムリミット。
 そして扉の前では、オグマの指示に従って、ミケヌが次々と鍵穴を解除している。
「そして・・・・その一つ上に差し込んでまわして・・・・次が真下の、そう・・・・そこに入れて・・・・」
 とオグマに従い、徐々に鍵を解除する。
 そして。
──ピッキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
 小気味よい音と同時に、扉が開かれた。
 そこは巨大な空間。
 その中央に台座があり、何かが奉られている。
 そしてその扉の前に、全身鎧を身につけた男が立っている。
「よく来たな。俺がこの『金牛宮の鍵』の守護者のタウラスだ。鍵が必要かね?」
 と優しく問い掛けてくる。
「ああ。どうしても必要だが。すんなりと渡して貰うことは出来そうに無いな」
 そうガルシアが告げると、タウラスはにぃっと笑う。
「勝負に勝てたらくれてやろう。勝負内容は・・・・これだ!!」
 と、タウラスは台座に右腕を載せる。
 丁度、肘をついて、下腕は伸ばしたまま。
「力勝負か・・・・よかろう」
 そう呟くと、ガルシアもタウラスの前に達、同じ体勢を取る。
 そしてその状態でお互いの手を組むと、準備は完了。
「誰でもいい。スタートの掛け声を頼む」
 と告げるタウラスの言葉に、ディアーナが静かに懐く。
「それでは・・・・はじめっ!!」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
 その刹那、台座から激しい音が響き、ガルシアの腕が組み伏せられている。
「そ、そんな・・・・馬鹿な・・・・力には自信があったんだが・・・・」
 そう呟きつつ台座から離れるガルシア。
「タイミングの問題だ。オマエと俺では力は五分、あとはスナップの返しと、タイミングの勝負。まあ、もっと鍛えてこい」
 と微笑むタウラス。
「では、本命の登場です・・・・」
 と、空牙もまた、ガルシアと同じ様な体勢を取る。
「良いだろう。もしお前が負けたら、地上まで強制送還させてもらう」
「ああ。俺が勝ったら、鍵は渡してもらう・・・・」
 と両者ともに一歩も引かない。
「そ、それでは・・・・始めっ!!」
──ガギッ・・・・ミシミシミシミシミシミシミシミシッ
 ガルシアの時よりもしっかりと腕を立てている空牙。
 タイミング、スナップともに完璧である。
「ほほうっ・・・・こんなに力があるとは・・・・」
「力ならガルシアの旦那と互角だ。タイミングとスナップ、この二つで仕掛けているに過ぎない・・・・そして」
──ミシミシッ
 徐々にタウラスの腕が倒されていく。
「ほほう・・・・こ、これは・・・・愉しいな・・・・」
 かなり押さえこまれ、そしてタウラスは力尽きる。
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
 そのまま組み伏せられるタウラス。
「いい腕だ。約束の指輪だ・・・・持っていけ」
 ということで、空牙が『金牛宮の鍵』をゲット。
 そしてさらに、オグマとミケヌは『金色の鍵』を一本ずつ、ディアーナとオーサカは『白金の鍵』を、ガルシアと空牙は『鋼の鍵』をゲットした。
 

●結末
 第02回廊チーム、無事に帰還に成功。
 最下層にてかなりの鍵を手に入れた一行は、一旦パリへと帰還する。
 そして再び、ここを訪れるのであろう・・・・。

──Fin