【降魔戦記】美しい猫の憂鬱
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:11〜lv
難易度:やや難
成功報酬:5
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月01日〜09月08日
リプレイ公開日:2008年09月10日
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●オープニング
──事件の冒頭
静かに草原に風が吹きぬける。
目の前には、燃え盛る村。
大量の人々の死体と、それを貪り食らうアンデッドの群れ。
ゴギッ
ボキベギギッ
グチャッ・・・・ズルッズルルッ・・・・
四肢がへし折られ
頭蓋骨が割られ
脳漿がすすられ
臓腑が食い散らかされる。
そんな光景を、彼女はただじっと見つめていた。
「綺麗・・・・人の死、燃え盛る炎。いつ見ても綺麗・・・・」
そう呟いているのは、綺麗な純白のローブに身を包んだシフール。
「相変わらず悪趣味だねぃ。もっとこう、魂を集めるのはスマートにいかないとダメだねぃ・・・・」
そのシフールのすぐ横で、純白の白い猫がそう呟く。
「さて、次はどこの村を滅ぼしましょう? となりの村? それとも・・・・この先のゴブリン達の住んでいる所?」
シフールがにこやかにそう呟くと、白猫は大きく欠伸をする。
「いいかいコンスタンツェ。なんで僕達が、わざわざペアであちこち歩いていると思うんだい?」
そうシフールに問い掛けると、コンスタンツェと呼ばれたシフールは頭を捻る。
「あたしとルードヴィッヒ12世は最強のペアだから?」
そう白猫に問い掛ける。
「あーのーねー。もっと色々と考えてごらんよ。このボクルードヴィッヒ14世と君で組めば、至上最悪な『魂の集めかた』ができるからだろう? そんな事も判らないのかねぃ?」
そう告げられて、しばしコンスタンツェは頭を捻ったまま。
「ま、いいでしょう。作戦は今から説明するから。もっとこう・・・・頭を使うことを考えるんだねぃ・・・・」
と告げると、二人はその場から静かに離れていった・・・・。
●リプレイ本文
●偶然
──シャルトル地方・とある村
「さて、あと1日でマスター・オズの元に到着か・・・・」
静かにそう呟いているのはバーク・ダンロック(ea7871)。
久しぶりに剣士の居留地に向かい、修行をつけようとかんがえていたバーク。
だが、その村にたどり着いたとき、なにか異質な雰囲気を感じている。
「ん? だれかと思ったらパラディンか・・・・」
そう告げるのは、村の入り口で中の様子を伺っている虚空牙(ec0261)である。
「なにか、この村の様子、へんですよね・・・・」
と二人に告げているのはオグマ・リゴネメティス(ec3793)。
彼女は空牙と磯城弥夢海(ec5166)と共に旅に出ていた。
アビスで役に立つ為に、その為の修行の旅。
そして立ち寄った村での異変。
どう対処すべきか、今は考える必要があった。
目の前の村では、人々は締め切った建物のなかに閉じこもったまま。
そしてその外では、一体のズゥンビが静かに徘徊している。
そして、村の入り口にやってきた一行を確認すると、ゆっくりとそちらに向かっていく。
亡者が生者を餌とするべく。
「ここは俺に任せてくれ・・・・」
そう空牙がつげると、一気に空牙はズゥンビに向かって間合を詰める。
「朧拳・拳技の4応用3、虎空烈破」
そう叫びつつズゥンビに向かって、神速の回しげりを叩き込む。
──ドガガガガガガカガッ
その一撃を受てもなお、ひるむ事無く空牙に向かっていくズゥンビ。
その緩やかな速度を見切りつつ、空牙はひたすら蹴りを連打。
やがてズゥンビの動きが鈍くなってきたなと思った瞬間、空牙はズゥンビに向かって爆虎掌をたたきこむ!!
──ドゴォッ
その一撃で、ズゥンビは活動を停止した。
「ふぅ・・・・さすがに辛いか」
素手での戦い。
相手がタフであれば有るほど、辛い戦いになる。
それは判っているものの、空牙は今の自分の力を試したく、素手で戦いを挑んだらしい。
「あのタイプならまだしも、相手が魔法しか聞かない相手ならどうするつもりだった?」
そうバークに問い掛けられるが、空牙は一言。
「このグローヴは魔法の武具だから大丈夫だ」
との事。
やがて、ズゥンビがやられたのを確認した村人が、一人、また一人と家の中から出てくる。
「あ、あんたたちが倒してくれたのか・・・・」
「助かった・・・・ここ最近、あいつが村に姿を現してから、恐くてずっと閉じこもっていたんだ・・・・」
「ちょっと、その話もう少し詳しく教えて頂けませんか?」
と夢海が村人に問い掛ける。
「え、ええ、構いませんよ・・・・あれは今から3日ほど前のことでした・・・・」
と話を始める村人。
かいつまんで話を解説すると、以下のような情況となる。
この村のすぐ近くには、村人達の作った果樹園がある。
今の時期はちょうど収穫期の少し前。
もう間もなく良質な葡萄がたわわに実り、収穫が始まる。
いつものように葡萄畑を見回っていた村人が、その果樹園の中を徘徊しているズゥンビに偶然であってしまったのだという。
そして恐怖のあまり村まで逃げてきたのだが、どうやらあとを付いてきてしまったらしい。
そのまま村人は家の中に閉じこもり、ズゥンビが過ぎ去っていくのをじっと待っていたという。
力自慢の男達の殆どは収穫の終った別の作物の出荷に向かったため、彼等が戻ってくるまでは家に閉じこもるしか無かったという。
「成る程。それは大変でしたね・・・・」
と告げる夢海。
「おかげで助かりました。もし宜しければ、今夜はこのまま村にお泊まりください」
と頭を下げる村人の頼みを断わる事も出来ず、一行は其の日、村に滞在することとなった。
●深夜はアンデットの為に有る
──その村
簡単な歓迎会を終えて、一行は村長の家の離れの部屋を借りることになった。
そこに男性と女性で二つの部屋に止まると、ゆっくりと夢の中に落ちていった。
その夜中のこと。
──ヴ・・・・アアァァ・・・・
どこからとも鳴く聞こえてくる嗚咽。
その冷たい声に、一同は目を醒ます。
「何の音だ?」
そう呟きつつ、パークは窓を少しずらし、そとをじっと見る。
そこには、大量のズゥンビやグールが徘徊している。
その中には、バークの見も知らないアンデットさえ存在する。
「あの数を潰しきる自信は?」
そう問い掛ける空牙に、バークは静かに呟く。
「数の暴力とは参った。実際、かなり厳しい戦いになると思うが」
と告げたとき、すでに戦闘準備を終えたオグマと夢海がやってくる。
「あの先の家が襲われたわ!! 急いで助けにいかないと」
と叫ぶオグマに、バークと空牙は武器を手に建物の外に飛び出す。
──キン、ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ
激しく剣を振るうバーク。
これだけの数だと、まともに戦っても仕方が無い。
だが、アンデット達を操っているものが、どこかに隠れているに違いない。しかも、次々と姿を現わしたアンデット達は、民家を襲いはじめている。
「破っ!!」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
一気にアンデットに間合を詰めた空牙が、素早く爆虎掌を叩き込む。
その一撃を受けて、扉を開けようとしていたアンデットは横に吹っ飛ぶ。
そして追撃で空牙は一体を殴り倒すと、次に家までやってきたアンデットに再び爆虎掌を叩き込む!!
「悪いが、ここから先は一歩も進ませない」
素早く体勢を整えると、空牙は一気に敵の真っ只中に飛込んでいった。
──チリィィィィィィィィン♪〜
「アンデット除けの風鈴の効果がないなんて・・・・」
村の入り口にオグマが設置した『魔除けの風鐸』。それがある場所から直径15m以内は、アンデットが近寄る事の出来ない聖域を生み出す。
だが、このようにオープンな村では、どうしようもない。
既にその風鈴のある場所に村人が何名か逃げているので、とりあえずは安全である事をオグマは確認できた。
──キャーキャーキャーキャー
黄色い悲鳴を上げつつ、アンデットから逃げている夢海。
正確には、逃げているフリをしつつ、アンデット達を一ヶ所に誘導しているのである。
──ヒュンッ!!
その追いかけているアンデットを、オグマが弓で狙撃。
そしてアンデットを誘導した夢海は、ぎりぎりの間合までタイミングを待つと、一気に『微塵隠れ』でその場にいたアンデット達を蹴散らす。
「ふふふっ。こちらですよ、アンデットさん」
近くの木の上でそう告げると、夢海は素早く木から降り、そしてふたたび誘導を開始。
そんなことを繰り返していると、ふとバークは離れた建物の上で、こちらの様子を伺っているシフールを確認。
「お前たちも逃げ延びたのか?」
そう叫ぶバークに、シフールは素早く肯く。
そしてその横でのんびりとしていた白猫もまた、バークに肯きかえす。
「そうか・・・・猫もか・・・・猫・・・・?」
ふと今の光景を思い出し、バークは叫ぶ。
「そこのしふしふと猫、名前はなんていうんだ?」
「あたしはコンスタンツェ、で」
「我が輩はルードヴィッヒ18世。人間よ、よろしくたのむ」
そう挨拶を返されるバーク。
その瞬間、バークは一気にコンスタンツェ達に向かって間合を縮めていく。
「デビルか・・・・このアンデッド騒動も、貴様達の仕業だな!!」
そう叫ぶと、バークは立ち止まり、素早く印を組むと、何かを呟く。
「デビルだからって、どうするのよ? こんな高い場所に、貴方たち人間は来ることもできないでしょう?」
そうコンスタンツェが叫ぶと、バークはニヤリと笑い、一気に上昇。そのままデビルの上空にたどり着く。
「生憎と、阿修羅の加護は受けているのでな・・・・覚悟」
そのままオーラアルファーを発動し、コンスタンツェとルードヴィッヒを吹き飛ばす。
そのまま大地に落下した瞬間、待ち構えていた空牙が爆虎掌を叩き込んだ!!
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
「あんなに叫ぶと、こちらとしても動きやすいな・・・・」
そのままルードヴィッヒに向かってさらに一撃を叩き込むが、それはうまく躱わされた。
「ちょちょっと、洒落になっていないじゃないのよ」
「全くだにゃあ・・・・」
その刹那、白猫の姿が変貌する。
漆黒の猫、その背中に蝙蝠の翼。
グリマルキンと呼ばれるタイプの悪魔である。
「それじゃあ、分が悪いのでにげまーす」
「あーばーよーっ、いい夢見させてもらったぜー」
と叫ぶと、二人の姿は瞬時に闇の中に消えていった。
「どこに消えた!!」
指に填めてある石の中の蝶を覗きこむと、まだ反応がある。
が、やがてその反応も消えていった。
●そして
──その村
村人の被害はほとんどなし。
建物に若干の損傷があっただけ。
とりあえず、本来の目的のために、一行はここで別れてそれぞれが別々の場所に向かう事になったらしいが、それはまた機会という事で。
──Fin