【ノルマン江戸村】狩りの季節

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:やや難

成功報酬:5

参加人数:4人

サポート参加人数:2人

冒険期間:11月22日〜12月02日

リプレイ公開日:2008年11月30日

●オープニング

──事件の冒頭
 収穫祭も無事に終わったある日。
 近くの森に赴いたノルマン江戸村の村人たちが、村の奥で何か異様な光景を発見した‥‥。
 それは、月夜に輝く奇妙な存在。
 そして何か煙の結うな霞のようなモヤのようなものを見たり、巨大な化け物を確認したりと、とにかく『尋常なもの』ではないものを確認したらしい。
「そんなに不思議なものなら、僕が見てくるワン」
「まあ、ひさしぶりの江戸村でそのような事件とは‥‥」
 と告げて、わんドシ君と武者修行から戻ってきた宮村武蔵の二人が、それを確かめに向かって‥‥。

 翌日、二人は近くの森で発見された。
 全身ぼろぼろで、瀕死の重傷。
 魔法による傷らしきものもあれば、切り傷や打撲のあともある。
 そしても近くに落とされていた羊皮紙。
 それにはただ一言、こう書かれていた。

────────────────────
 森に近寄る事なかれ
 近寄るものには死をあたえん
────────────────────

 これから年末。
 薪取りや木ノ実拾いなど、まだ森には色々と用事があるのに。
 ということで、この事態を収束するべく、村長が冒険者ギルドに向かっていったとさ。

●今回の参加者

 eb0884 グレイ・ドレイク(40歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 ec0261 虚 空牙(30歳・♂・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ec0569 ガルシア・マグナス(59歳・♂・テンプルナイト・ジャイアント・ビザンチン帝国)
 ec2418 アイシャ・オルテンシア(24歳・♀・志士・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

瀬名 北斗(ec2073)/ サラ・クリストファ(ec4647

●リプレイ本文

●不穏な空気の流れる森
──ノルマン江戸村
 静かな村。
 以前ほど活気はなく、やや村全体が重い空気に包まれている。
 
────────────────────
 森に近寄る事なかれ
 近寄るものには死をあたえん
────────────────────

 この言葉の記された羊皮紙が発検され、宮村武蔵とわんドシ君が瀕死の重傷で発見されてから、あの森にはだれも近付く事が出来ない。
 この村での実質No1とNo9の実力者である二人がそんな状態で発見された以上、そこは危険であると判断。
 村長が冒険者ギルドに依頼をだしたのも無理はないでしょう。

 そしてやってきた冒険者一行‥‥。
「まだ意識は戻りませんか‥‥」
 町の中にある診療所で、虚空牙(ec0261)がそう医者に問い掛ける。
 目の前のベットには、左腕を失った宮村武蔵だけが、ベットに横たわっている。
「ええ。わんドシ君はすでに回復し、どこかにでかけてしまいましたけれど‥‥宮村殿はまだ。それに失った左腕も接合できず‥‥」
 小石川医師がそう告げると、空牙は静かに肯く。
「武蔵殿をよろしくおねがいします」
 とだけ告げて、診療所をあとにした。
 そしてしばらくの間、村のなかを走りまわって情報を集めてみたものの、これといって有効な手掛りを得ることは出来なかった‥‥。

──その頃
「一体なにがあったのでしよう‥‥」
 そう呟きつつも、手綱をしっかりと握って全速力で馬を操るのはアイシャ・オルテンシア(ec2418)。
「判らぬ。ただ、この江戸村でもかなりの手練れである二人がやられたのであれば、相応の覚悟が必要であろう‥‥」
 そうガルシア・マグナス(ec0569)が告げると、先頭を走っていたグレイ・ドレイク(eb0884)が何かを発見した。
──ブルルルルルルルルッ
 慌てて馬を止めて、正面にいる『何か』を凝視する。
 そこには、身長2mほどの巨大なインプが立っている。
「どうやら、奴がこの森の支配者のようだな‥‥」
 そう告げるものの、まだ馬からは降りない。
 いつでも逃げられるように細心の警戒をしている。
 そのちょっと前、後方にいたアイシャは気付かれないようにグレイよりも後方で馬からおり、茂みに隠れる。
 魔法の発動光が周囲に漏れないようにとの配慮をしつつ、その場でインビジブルを発動させた。
「貴様に問う。このような所で一体何をしている? ここは人間のテリトリー。貴様達悪魔の住まう土地ではない!!」
 そうガルシアが叫ぶと、目の前の悪魔は静かに微笑を浮かべる。
「ああ、今まではな‥‥けれど、もうこの土地は我々の住まう場所となる‥‥あれを見ろ!!」
 そう悪魔が告げた瞬間、奴の背後の森がスッと消える。
 そしてその中に、巨大な塔がそびえたった。
 どうやら何等かの方法で塔自体の姿を晦ましていたようである。
「こ、これは‥‥」
「貴様一体何をした!!」
 グレイとガルシアの二人がそう叫ぶ。
 だが、その悪魔の背後に一人の貴族風の女性が姿を表わしたとき、二人は何が起こっているのかを理解した。
「あらあら。アビスによくいらしていた方もいますわ。そして初めてお会いした方も。自己紹介遅れましたわ。私はバアル・ベオルと申します‥‥」
 そうバアルが告げるやいなや、グレイは馬から降りて抜刀する準備を始める。
「バアルだかなんだか知らないけれど、一体この場所で何を企んでいる?」
「ノルマンの崩壊。そして世界の破滅ですわ‥‥今までは私の忠実なる部下がその為の準備をしていましたけれど、貴方たち冒険者によって殺されてしまった以上、私が直接指揮を行う事になりましたの」
 ニコリと微笑みつつ、そう告げるバアル。
「そんなことはさせない!!」
「その通り。貴様が悪魔ならば、我等テンプルナイトの敵!!」
 ガルシアもそう告げて馬から降りるものの、冷静に戦局を考える。
 相手は手練れらしき悪と、おそらくは上位種であろう悪魔。
 そして自分達の戦力は3名。但しアイシャの存在は、相手に気付かれていない。
 今の自身の戦力を考えるに、どう考えても勝ち目はない‥‥。
「では、私はこれで‥‥これから、この塔を起動させなくてはならないので‥‥」
 と告げると、バアルはそのまま塔に向かって歩き出す。
「‥‥駄目か」
 ガルシアはそう呟く。
 そして近くの茂みを見て、アイシャの反応を確認する。
 先程こっそりとブレスセンサーを発動させているアイシャが、静かに頭を左右に振る。
 その合図が、目の前の敵が『生きていないもの』であることを裏付けた。
(神に使える身、テンプルナイトとしては、ここで悪魔の所業を見過ごすことはできないか‥‥)
 そう問答を繰り返しつつ、ガルシアはそのまま敵に向かって走りはじめた!!
「おおっと‥‥バアル様の所までは行かせないぜ‥‥この俺が相手だ‥‥」
 目の前の巨大な悪魔が立ちはだかる。
 そしてその動きに合わせて、近くの茂みから一体、また一体と同じ様な悪魔が姿を表わす。
 その数、ざっと確認しても30体以上。
「さて、ここから先は実力で通させて戴く!!」
 その言葉の刹那、グレイもすぐさま飛びかかれるような体勢を取る。
 すでにアイシャも、茂みでヘキサグラム・タリスマンを発動。
 相手が悪魔ならば、これほど効果の高いものはないだろう。
「いくぞ!!」
 そう叫んでガルシアも武器を構えた刹那!!
「星君朧拳奥義・百烈猛掌可変、百列破斬っ」
 素早く飛込んできた空牙が、手にした名刀「抜丸」を抜き、そのまま敵目掛けて一気に斬りつけた!!
 その一撃で、目の前の悪魔は大地に崩れ落ちる。
「いつまでたっても戻って来ないと思ったたら‥‥愉しませて貰うぞ」
 そのまま乱戦状態に突入。
 幸いなことに、魔法の武具を携えている一行では、悪魔といえどもそれほど長時間、時間を稼ぐことは出来なかったらしい。
 30分後、30体もいた悪魔は全滅した。

 そして一行は、バアルの後を追いかけるように塔へと向かっていった。



●黙示録の塔
──塔正面
 一行は注意深く塔を観察する。
 かなり巨大な円形の塔。
 窓らしきものは一切存在せず、正面に両開きの扉があるだけであった。
 塔の高さは、約60階程度。
 かなり巨大な塔のようである。
 そして扉の横にある金属プレート。
 そこには、なにか古代魔法語のような文字で何かが書き記されていた。
「読めないですね‥‥どうしますか? 私は撤退を推しますけれど」
 そう告げるアイシャ。
 そしてグレイが扉を調べてみるが、特になにか怪しいというところはない。
「あけてみるか?」
 そのグレイの言葉に一行は肯く。
 そしてゆっくりと扉を押してみるが、扉はびくりともしない。
「何か仕掛けがあるのか? この扉には」
 そうグレイが呟く横で、空牙が扉の横の壁を軽く殴る。

──ドゴッ‥‥ドゴォッ

 殴った衝撃が、そのまま自身に跳ね返ってくる。
「扉に手を出すな!! 『攻勢防壁』だ!!」
 その言葉に、ガルシアは素早く下がる。
 攻勢防壁については、アビスで嫌というほど体験している。
「アビスのままか?」
「いや‥‥衝撃が増幅されて返ってくる。あれりよりもやっかいだな」
「まあ、要するに、いまのままでは先に進めないということですよ‥‥一旦戻って、出直してきましょう」
「その方がいい。俺自身もまだアトランティスから戻ってきたばかり。そのアビスとか攻勢防壁とかについて、色々と教えて貰いたい‥‥」
 ということで、一行は1度、ノルマン江戸村に戻っていった。
 そして酒場で、空牙とガルシアは二人にアビスや攻勢防壁などについての情報を説明。
「ということは、おそらくは横のプレートには塔に入る為の『ルール』が書かれているのでしょうね‥‥アビスの時みたいに」
 アイシャがそう告げると、空牙が静かに肯く。
「いずれにしても、いまの戦力では駄目だな。より強力なパーティーを組む必要がある‥‥」
 口惜しいが、いまそれしかない。
 一行はそのまま塔の周辺のことを村長に報告、1度江戸村から避難したほうがいいという事を説明すると、そのままパリへと戻っていった。

──Fin