【黙示録の塔】まずは小手調べ・Aチーム

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月08日〜12月18日

リプレイ公開日:2008年12月17日

●オープニング

──事件の冒頭
 以前。
 ノルマン江戸村近郊の森にて発見された不可思議な塔。
 その建造にはまたしても上位悪魔が関与しているという情報を得た一行は、さっそくその調査にやってきたのである。
 
 周辺はうっそうと茂った森。
 その中に、巨大な塔が聳え立っている。
 窓らしきものは一切存在せず、外壁などはすべて『攻勢防壁』によって作られている。
 入り口は一つ。
 内部に入るための方法その他はすべて不明。
 気になるのは、塔入り口の横に存在する一枚のプレート。
 そこにはなにか古代魔法語や精霊碑による文字が刻まれているのだが、それを解読しない限り、内部には侵入できそうに無い。

 この扉を無事にくぐりぬけ、内部の秘密を暴く事が出来なければ‥‥。
 このノルマンに大きな禍が起こるのであろう。

 ノルマン江戸村の住人の殆どはプロスト城城下街に避難。
 宿屋や酒場、鍛冶屋などの施設が、現在では機能している。
 そして、噂を聞きつけた冒険者達が村を訪れ、善意での村の警護を行なっているのである。
 だが、塔の調査に向かった冒険者達が戻ってきてから、塔から悪魔が出入りしたという報告は受けていない。
 それがまた逆に、不自然さと不気味さを醸し出していた。

 さて。
 この怪しげな塔。
 攻略しますか?
 それとも‥‥。


●今回の参加者

 ea2389 ロックハート・トキワ(27歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea3641 アハメス・パミ(45歳・♀・ファイター・人間・エジプト)
 eb7789 アクエリア・ルティス(25歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb8121 鳳 双樹(24歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ec0170 シェセル・シェヌウ(36歳・♂・レンジャー・人間・エジプト)
 ec0193 エミリア・メルサール(38歳・♀・ビショップ・人間・イギリス王国)
 ec0261 虚 空牙(30歳・♂・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)

●リプレイ本文

●まずは小手調べといっただろうが!!
──ノルマン江戸村・ノルマン亭
「‥‥という事だ。今現在で判っているのは、その程度だな」
 ここはノルマン江戸村・冒険者酒場ノルマン亭。
 そこに集まった『黙示録の塔挑戦者達』にたいして、虚空牙(ec0261)が自分の知りえている情報の全てを説明していった。
「なら、そこに至るまでにもしデビルが隠れていたら大変ですから、私は『小麦粉球』を作っておきますね」
 そう告げて、村の中の粉引き小屋へと向かう鳳双樹(eb8121)。
「それにしても、突然現われた未知の塔とは‥‥思ったよりも厄介そうだな‥‥」
 シェセル・シェヌウ(ec0170)がそう呟きつつ、酒場の中をぐるりと見渡す。
 そこには、塔の噂を聞きつけてそこそこに集まってきた冒険者達が滞在している。
 のんびりと情報収集していたり、怪我を治療したりと忙しそうで、それらの中には、空牙がアビスで見掛けた冒険者の姿さえ存在した。
「とりあえずはプレートの解析ですね‥‥わたくしで大丈夫でしょうか?」
 不安そうにそう告げるエミリア・メルサール(ec0193)に、ロックハート・トキワ(ea2389)が肩をポムポムと叩く。
「大丈夫‥‥」
 その安心しきったロックハートの表情に、エミリアの表情もやわらぐ。
「なんとかなるさ、きっと‥‥」
 ロックハーーーーーート。
 それ、全然慰めていないですから!!
「それにしても、この村は相変わらず変わらないな‥‥」
 久しぶりのノルマン江戸村であるアハメス・パミ(ea3641)は、やはり酒場の入り口から外を眺めている。
「相変わらずなのですか?」
 アハメスの言葉にそう問い返しているのはアクエリア・ルティス(eb7789)。
「ああ。訳の判らない塔が近くに出現しているっていうのに、こののんびりとした空気。流石に村人の殆どは避難したらしいが、それでも‥‥緊張感があまりないな‥‥」
 そう告げつつも、街の彼方此方に出現した『露天商』を眺める。
「私はここにくるのは初めてでして‥‥そうなのですか」
「まあ、いつもどおりといえばいつもどおりだし‥‥見掛けた顔もあるしな‥‥」
 ロックハートはそう呟きつつ、トールギス鍛冶工房の辺りで忙しそうに走りまわっている友人を見ている。
「あ、お姉ちゃんが忙しそうに走りまわっている‥‥」
 まあ、より高みを目指している人々も頑張っているようで。
 そんな話は置いといてと。
「ここに居る人たちの話ですと、既に20人ほどの人たちが突入したそうです‥‥で、今だ誰も戻ってきていないそうですよ」
 その双樹の報告に、集まって話をしていた一行が頭を傾げる。
「今だ調査中か?」
「それとも全滅か‥‥」
 アハメスに続き、空牙がそう呟く。
「え、縁起でもない‥‥俺はまだ死ねないんだ‥‥」
 二人の言葉に、ロックハートがボソッと呟く。
 まあ、まだ彼女との決着もついていないし、まだ死ねないよねー。
「とりあえず、準備が出来たら出発するか‥‥」
 シェセルが皆にそう促すと、一行は静かに頭を縦に振り、そして塔へと向かっていった。



●禁断の魔物たち〜悪夢の始まり
──黙示録の塔周辺
「えーーー、リカバーポーションあるよーー、リカバーポーションいらんかねー」
「保存食の買い置きはあるのかい? うちのは安いよ」
「ランタンはどうだい? うちのランタン」
「相手は悪魔だ!! うちのデビルスレイヤーは切れ味は天下一品だぁ!!」
「貴方の身を守る為の鎧。この魔法の鎧は、悪魔の攻撃を跳ね返します!!」
 とまあ、塔の近くには、いつのまにか大量の露店が出現している。
「こ、これは緊張感がないなぁ‥‥」
「そうですね。でも、こんなに近くで危険ではないのでしょうか?」
 ロックハートの言葉に、アクエリアがそう告げる。
「あ、大丈夫。日没には全員村まで引き払うしね。さあ、そこのお兄さん、どうだい? この護符。悪魔からのダメージを軽減してくれるぜ!!」
 と、露天商は通りかかったメンバーに色々と話をしているようで。
「とりあえず間に合っている‥‥さて‥‥」
 とロックハートが先陣を切って塔まで到着。
 で、件のプレートの解析を始めるエミリアにタッチ、本人は塔周辺の調査に向かっていった。
「それでは‥‥」
 そう告げて、エミリアは静かにプレートの文字を読み込む。
 かなり複雑であったが、それでも小1時間程度で、文字の解析は完了した。
 それが以下の通りである。

──────────────────────
 塔に昇るものへ 
 これはゲームである。

・塔に挑みしもの、扉に手を押しつけよ。
 最大60名まで、この塔に昇る事を許す。

・一つの階層につき、上に昇る為の階段は一つのみである。鍵を探し出し、扉を越えて階段の間へと向かえ。

・階段の間に向かい、上の階に向かうには、『守護者』を倒さなくてはならぬ。
 命惜しくば、階段の前は近寄るな。

・各階層には、様々な魔物が徘徊している。
 命惜しくば、塔には挑まぬよう。

──────────────────────

「ということです‥‥」
 その説明を受けて、一行は一斉に扉を見る。
 良く見ると、そこには『塔挑者○○○○』というように、ここにはいっていったらしい人物名が浮かび上がっている。
 現在名前のあがっているのは12名‥‥
「現在12名が挑戦中か。思ったよりもいるものだ‥‥と?」
 アハメスがそう呟いている瞬間に、3つの名前が消えていった。
「エミリア。これはどういうことだ?」
  そう問い掛けるアハメスに、エミリアは一言。
「恐らく、塔のなかでお亡くなりになったのでしょう‥‥」
 おいおい。
「さて、それじゃあいくとしようか‥‥」
 空牙がそう告げて扉に手を当てる。
 と、扉に『塔挑者・虚空牙』という名前が浮かび上がった。
 そして一人、また一人と扉に手を当てて、自分の名前が浮かび上がったのを確認すると、ゆっくりと両開き扉を開いていった。

──ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ

 ゆっくりと開かれる巨大な扉。
 中は長い回廊が続いている。
 天井は光苔か魔法光か何かが発光しているらしく、ほんのりと明るい。
「‥‥酷い‥‥」
 そしてランタンを準備し、内部をかくにんする一行。
 その回廊の床には大量の死体が転がっており、さらにその奥には、一頭の見た事のない魔物が立ちはだかっている。
 それは巨大な獅子。
 全身を琥珀色の鎧のようなもので固め、ゆっくりと床に転がっている死体の頭部をかみ砕く。
──バギュッ‥‥ゴギィッ‥‥
 破壊した頭部から零れ落ちる脳漿をすすり、そして首を噛みちぎって床に棄てる。
「あ、あんなの知らない‥‥なんなんだ?」
 ロックハートが動揺しつつそう呟く。
「同感だ。今まであった事のないタイプの敵だな‥‥」
 一斉に武器を構える一行。
 回廊の高さも横幅もかなり広く、横に3人が並んでも十分に武器を振り回せそうである。
「オーラパワー‥‥」
 ロックハートは取り敢えずオーラパワーを自分の武器に付与。
「パワーショーテルが無かったのは痛いな‥‥」
 アハメスがそう呟きつつシャムシールを構える。
「後衛につきます!!」
「同じくです!!」
 アクアと双樹はそう叫んで後方に少し下がり、後衛警戒。
「バックアップ入ります」
 シェセルは懐から縄ひょうを取出し、ヒュンヒュンと振りはじめる。
──キィィィィィィィィィィィィン
「偉大なるセーラよ。彼のものに悪魔からの加護を与えん」
 前衛で構えを取った空牙に、エミリアはレジストデビルを付与。
 前衛はアハメス、空牙、そしてちょっと下がってロックハートがつくこととなった。

「ガル。ルルルルルルルル‥‥」
 ゆっくりと入り口近くで身構える一行を見て、琥珀色の獅子が低い咆哮を発する。
 やがて低い体勢を取ると、その瞬間、姿が消えた!!

──ヒュンッ
 刹那、ロックハートとアハメスは横に飛び、空牙は襲いかかってきた琥珀獅子に向かってカウンターアタックを叩き込む!!
 だが、それはどちらも外れた。
 そして再び後方に跳躍し、また間合を取る琥珀獅子。
「‥‥い、今のが見えていたのか‥‥」
 シェセルは動揺してそう叫ぶ。
 そして双樹とアクアもまた、いまの瞬間の出来事がよく見えていなかった‥‥。
「もっと下がれ‥‥見えていないのなら危険すぎる」
 空牙がそう告げると、後衛はさらに下がる。
 この時点で前で戦えるのは空牙とアハメスのみ。
 ロックハートはシェセルの前に出る。
「まだ気配も判るから‥‥無理はしないがな」
 ロックハートがそう告げると、空牙とアハメスはゆっくりと武器を構え直し、相手の出方を待つ。

──ガルル。ルルルルルルル
 先程と同じ咆哮。
 そして低い体勢を取ると、また琥珀獅子の姿が消えた!!

──ガギィィィィィィィィッ
 ターゲットはアハメス。
 だが、その強靭な口の一撃を、アハメスはシャムシールで受止めた!!
「見えていなかったら‥‥死んでいたな‥‥」
 そう呟きつつ、琥珀獅子に向かって蹴りをいれるアハメス。
──ヒュッ
 その一撃を軽く躱わし、床に着地。
「星君朧拳打撃の5っ!! 星砕っ」
 すかさず一撃を叩き込む空牙だが、その一撃は琥珀獅子の胴部の鎧によって吸収される。
 そして今度は空牙が後方に下がる。
「馬鹿な‥‥」
 素早く腰に下げていたアンデットスレイヤーを構え、戦闘パターンを変更する空牙。
「相手は悪魔ということか‥‥これは厄介だな‥‥」
「ああ。通用する武器がない‥‥」
 そう告げつつ、アハメスは手にしているシャムシールを後方に構える。
──ゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
 その刀身に触れつつ、オーラパワーを賦与するアクア。
(これで大丈夫です、アハメスさん)
 その呟きに肯きつつ、アハメスは武器を構え直す。
「き、危険すぎます」
 双樹はそう呟きつつ、後方で脅えている忍犬タロを庇うように移動、空牙にオーラパワーを付与するタイミングを計る。

──ヒュンッ!!
 再び姿を消す琥珀獅子。
 時折、ガキィィィィィンとアハメスや空牙が剣を振るう音が響くと、姿を見せる。
 だが、その速度が徐々に速くなっていくのを感じる。

──ガキィッガギィッ
 最初は防ぎきれていた。
 だが、やがてそれは防ぎきれなくなってしまう。
──ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ
「ぐっ‥‥貴様ぁっ」
 アハメスの胸許の鎧が切り裂かれる。
 褐色の皮膚が露出し、そこに血の筋がスーツと浮かび上がる。
「そこまでだぁぁぁぁぁぁっ」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
 双樹によってオーラパワーを付与された空牙の拳。
 それが琥珀獅子に直撃した!!
──グルル。ルルルルルル‥‥
 後方に飛び、体勢を整えて静かに唸る。
 だが、その全身が金色色に輝きはじめる。
「なんだ? あの光は‥‥」
「魔法の発動光? ならっ!!」
 エミリアが瞬時にホーリーフィールドを展開。

──バジィッ!!
 その瞬間、半球状の結界が瞬時に消滅した!!
「な、何故ですか!! ホーリーフィールドがどうして‥‥」
 そう叫ぶのと、琥珀獅子の姿が輝いたのは同時。
──コゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
 琥珀獅子から発せられた光がその場の全員にふり注ぐ。
 その瞬間、全員が全身を貫かれるように痛みを受ける。
「なんですつてっ!!」
「こ、この光は一体‥‥」
「し‥‥洒落になってないって‥‥」
「これは一体なんなんぁぁぁぁぁぁぁっ」
 後衛が絶叫を上げているさ中、前衛の空牙とアハメスはさらに激しい痛みを感じる。
「全身が引きちぎられる‥‥こ、こんな攻撃は‥‥」
「魔法の結界でも‥‥駄目なのかよっ‥‥」
 意識を失い昏倒するアハメスと空牙。
 そして光が収まったとき、琥珀獅子の須方はどこにも見えなかった‥‥。
「‥‥生きている‥‥助かったのか‥‥」
 ゆっくりと立上がるシェセル。
 だが、他の仲間たちは立上がれない。
 今の攻撃で、双樹とアクエリア、エミリアは瀕死の重傷。
 アハメスと空牙、シェセルはどうにか立上がる力を取り戻すが、それでも重傷であることにかわりはない。
 ロックハートもまた、どうにか立上がると、全員に撤退を告げる。
「今のままでは駄目だ‥‥ここの敵は、俺達の知っている敵ではない‥‥対策を練り直す必要がある‥‥それに」
 倒れている仲間たちを見て、静かに双樹を担ぎ上げる。
「全滅よりはまだましだ‥‥生きて、これからを考える‥‥」
 その言葉に、意識のある者たちは同意し、倒れている者たちを抱き上げて1度塔から出ていった‥‥。



●悪夢の続き
──ノルマン亭2階・大部屋
「‥‥」
 持ってきていたリカバーポーション等を次々と消費し、どうにか全員の意識が回復する。
 エミリアはホーリーフィールドの消滅がショックであったらしく、かなり落ち込んでいる。
「どうして‥‥神の加護‥‥セーラの加護が、あの場所には届かないのですか?」
 そう呟くエミリアに、空牙が一言慰めの言葉をかける。
「床も攻勢防壁、魔法による結界が、そこに触れた為に消滅させられたのだろう。かなり厄介なタイプだな‥‥」
 そう告げると、空牙は一行の上体を確認する。
 なんとか怪我は癒えたものの、体力の回復はまだである。
「ロックハート、どう思う?」
 そうシェセルがロックハートに問い掛けると、ロックハートは静かに何かを思考する。
「あのタイプの魔物について詳しい人物がいれば、作戦も立てられるだろう。けれど、今のままもう一度突入したとして、果たしてあいつと戦って勝つことができるのか‥‥」
「そもそも。あれは一体何者なんだ?」
 ロックハートの言葉に続いてアハメスがそう叫ぶ。
「判らないです。あのような魔物、私も見た事がありません‥‥」
 アクアもそう告げて、双樹に話を振ってみる。
「双樹さん、双樹さんもあの魔物について知りませんか?」
 そう問い掛けられ、双樹はしばし思考。
「あ、ちょっとお姉ちゃんに聞いてくる!!」
 そう告げて、双樹は外に飛び出す。
「お、お姉ちゃん?」
 空牙が頭を捻ると、ロックハートが一言。
「双樹の姉はパラディンらしいからな。で、この村に来ていたのか‥‥ということはと‥‥」
 ロックハートも立ち上がり、外に出て行く。

──そして1時間後

 顔面蒼白の双樹とロックハートが部屋に戻ってくる。
「その分だと、相手の正体が判ったようだな」
 そう告げるシェセルに、ロックハートは肯く。
「ああ、相手が悪すぎるということが判った‥‥」
 
 ちなみに双樹達の見たものは『琥珀獅子』といい、またの名をアーマーレオ。
 インドゥーラの地下立体迷宮に封印されている混沌神の申し子の一人。
 天使であり悪魔である、混沌の申し子。
 その中でも獣型のアーマーレオは地下迷宮にも数多く分布する。
 特筆すべきは『全身から発せられる破壊光』と『石化ブレス』。
 熟練のパラディンが4人がかりてどうにか一体仕留められる程度だという‥‥。

「そ、それって‥‥要は神に反逆した存在という事ですよね‥‥」
「堕天した存在? いや違いますね」
 アクアの呟きにエミリアがそう補足を入れる。
「いずれにしても、今の我々で勝てるかどうかという点なのだが‥‥」
 アハメスがそう双樹に問い掛けるが、双樹は頭を左右に振る。
「わ、わた、私は‥‥勝てる自信がありません‥‥」
「私もです‥‥混沌神の申し子っていうことは神の眷族なのですよね? そんなものに勝とうだなんて‥‥」
 双樹とアクアの心が破壊されている。
 あのの破壊の光によって、心まで破壊されてしまったのだろうか?
「だが、ここまできた以上はやるしか無い。ロックハート、いけるか?」
 そう空牙が問い掛けると、ロックハートは無言で立上がる。
「判りきった事を‥‥俺達はまだ、あの入り口を越えただけなんだ。内部調査もなにも行なっていないんだぜ?」
「了解。アハメスは?」
「ロックハートに同意だ‥‥双樹達はここに残って休んでいてくれ。それが安全だ‥‥」
 そう告げて、アハメスも立上がる。
「私も同行します。セーラの加護が必要でしょうから」
 エミリアもまた立上がってそう告げる。
 だが、体が震えているのはどうしてだろう。
「出発はいつに?」
 シェセルが問い掛けると、空牙が少し思考。
「明日の昼。それまで体力を回復してくれ‥‥二人は無理をするな?」
 そう空牙が告げると、一行はそれぞれ自室へと戻っていった。



●リターンマッチ
──黙示録の塔
 再びやってきた一行。
 一晩の回復で体力と気力が充実し、双樹とアクアの二人も気合を蓄える事が出来た。
 折れてしまっていた心も戻り、再び全員で塔に突入する。

──ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ
 巨大な扉を排き、内部を確認する。
「昨日の奴はいないか‥‥どうする? 先に進むか?」
 そう問い掛けるロックハートに、一行は静かに肯く。
 ランタンに再び火を灯し、白いスクロールに地図を描く準備を始める。
 アビスで得た経験を、空牙が全員に説明した賜物であろう。
 そして一行は歩きはじめた。
 途中デ出現したアンデッドにてこずりつつも、迷宮のようなこの回廊をゆっくりと進んでいった。
「‥‥宝箱か‥‥ふざけたものを」
 先頭を歩いていた空牙が曲がりくねった回廊の突き当たりに宝箱を発見する。
「出番か‥‥」
 そう告げて、シェセルが前に出る。
 そして静かに宝箱を調べていく。
「トラップが二つ‥‥鍵に一つと蓋の内部に二つか‥‥」
 そう告げて、シェセルが盗賊道具一式を取出すと、そこからピッキングツールを引っ張り出す。
「いけそうか?」
 そう問い掛けるロツクハートに、静かに肯くシェセル。
 そのまま鍵穴にツールをゆっくりと差し込むと、そのまま瞳を閉じて意識を集中する。
(ここの‥‥留め金を‥‥ここが危険で‥‥)
 さらに別の細長いツールをゆっくりとさしこみ左右に捻る。
──カチッ
 何かが反応する。
「鍵のトラップは解除完了。で、中のトラップが何か、俺には判らん」
 そう告げるシェセルに、ロックハートが交代。
「中のトラップだな‥‥どれ」
 やはりバックからシーフズツールを取りだすと、ガチャガチャと無作為に弄りはじめる。
「あああ、そんなに乱暴に‥‥」
 その光景を見て、慌ててそう呟くアクア。
「あれは判って居るのですよ‥‥大丈夫です、ロックハートさんを信用しましょうね」
 双樹のフォロー。
──カチッ
 と、内部から音がすると、ロックハートは蓋をゆっくりと外す。
──ギィィィィィィッ
 中から出てきたのは、長さ30cmほどの青銅の鍵。
「まあ、こんなかんじか‥‥」
 そう呟いて鍵を取り出すロックハート。
「これがそうですか?」
「ああ、ここの仕掛けがこう動いて‥‥」
「成る程。ではここの部分の解除は?」
「先にここの隙間からここをピックで止める。で、その次に‥‥」
「ふむふむ‥‥これがそうですか‥‥」
 とまあ、解除の終った宝箱を弄り回すロックハートとシェセル。
「盛り上がっている所済まないが、そろそろ先に進まないか?」
 そう告げるアハメスに、二人はようやく自我を取り戻す。
「あ、ああ‥‥それじゃあいくとするか」
「その前に来客ですよ‥‥」
 シェセルの呟きに、後方待機していた双樹が呟く。
 回廊の向うから、琥珀獅子か姿を表わす。
 それも3体‥‥。
「あの数、生き残る自信は?」
 空牙がそう問い掛けると、全員が生還を否定する。
「無理だな」
「そうね‥‥あの数に勝てる自信はないわね‥‥」
「ここが行き止まりということは、どうにかしてあそこを駆け抜ける必要があるということか‥‥」
「セーラ様私達に加護を与えたまえ‥‥」
 各々がそう呟いて、そして一斉に走り出した!!
 一人でも生きて戻って、ここまでの情報を届けなくてはならない‥‥。
 ロックハートも気配を消し、限界まで逃げ戻るように務める。
 空牙はあえて音を出しつつ、敵の気配を自身に傾ける。
「星君朧拳開放‥‥破軍っ!!」
 再び敵のど真ん中に飛込むと、気配を全て自身に向けた!!
 そしてその刹那、他の仲間たちが一斉に包囲網を突破、慌てて出口まで駆け抜けた‥‥かのように見えたが。
「ここで逃げては末代までの恥ですっ」
「その通りよっ。エミリアさん、加護を!!」
 双樹とアクアが叫ぶ。
 アクアは自身にオーラパワーを付与、さらに双樹に向かって同じくオーラパワーを付与。
「シェセルさんとロツクハートさんは下がってください」
「アクア、オーラパワーを頼む」
 アクアの叫び、そしてアハメスもまたシャムシールにオーラパワーを付与してもらうと、一斉に琥珀獅子に向かってはしり出した!!



●生還
──ノルマン亭
 激しい戦いだった。
 敵との戦いはほぼ全滅パターン。
 戦って倒すのではなく、活路を見出し逃げる為の戦い。
 全員がそれに務め、そしてなんとか生還した。
 琥珀獅子には多少のダメージを叩き込んだものの、相手の素早い動きに翻弄されまくりであった。
 それでも、内部で彷徨っていた別のパーティー4名と、ミーア・クライアンス、ミリア・イスマイルの二人と偶然の再会、魔法攻撃も加わってなんとか『逃げてきた』のである。
 その後、生還した別パーティー4名とミーア、ミリアとも別れを告げて、再びノルマン亭まで戻ってきた。
「それにしても‥‥どうするのか‥‥」
 空牙がそう呟くと、全員が沈黙する。
「で、この鍵はどうする?」
 ロックハートが、ダッシュしてきた『青銅の鍵』を手にそう呟く。
「預かっていてくれ」
 そう告げられて、ロックハートはそれをバックのなかに納めた。
 
 そして一行は残った時間で何度か内部に挑戦。
 だが、全ての地図が作られぬままにパリへと戻る時期が来てしまったらしい。

──Fin