●リプレイ本文
●全ての真実はまずそれを知る者の所から
──ノルマン郊外・阿修羅寺院
「ほう、随分と久しぶりに聞いた名前だな‥‥」
にこやかにそう告げているのはパラディン八部衆天位のフィーム・ラール・ロイシィ。
セイル・ファースト(eb8642)は、自分の父親であるアーネスト・ファーストが一体何をしていたのか、それを知りたかったのである。
そのため、真実を知るのであろうフィームの元を訪ねていた。
「ああ、アーネスト・ファースト、つまり俺の父親が、パラディンだったのか、それが知りたい‥‥」
真剣な表情でそう告げるセイル。
「貴方の父親であるアーネスト・ファーストは元八部衆龍位。貴方の母もまた、パラディン。寺院親衛隊の一人でした。二人は戒律に従い、一対一の決闘の後、正式にパラディンから脱退が許されたのです‥‥」
そう告げるのは、フィームの後ろに立っていた一人の年おいた僧侶。
「母も‥‥なのか?」
その言葉に、コクリと肯く老僧侶。
そしてセイルの脳裏に浮ぶ、父の言葉。
『お前には資質がある。数少ない、二つのパラディンの血肉を分け与えられたのだからな』
二つの‥‥
「そうか‥‥了解した‥‥なんとなく、判ったような気がする‥‥」
そう告げると、セイルは静かにその場を後にした。
●地域復興の第一歩はノルマン江戸村から
──シャルトル・ノルマン江戸村
ぴーひゃらら、どんどんどん
祭り囃が鳴り響き、大勢の人々で賑わうノルマン江戸村。
新年最初の祭りには、大勢の人々が集まって、露店や見世物小屋などで愉しそうな一時を過ごしていた。
「これが、クッキーという御菓子だよ」
子供達の集まっているところで、ユリゼ・ファルアート(ea3502)は貰ったクッキーを子供達と交換していた。
「じゃあ、これがこの村の特産品の『蒸したてノル饅』だよ」
と、ホッカホカの蒸し饅頭を手渡す。
「あちち‥‥これがジャパンの菓子ですか‥‥」
そう呟きつつ、手に取った饅頭を小さくちぎり、口の中に放り込む!!
──パクッ
甘い餡が口の中に広がる。
その豊潤な香りと口当たり、とろけそうな甘さに、ユリゼも感激という所であろう。
「ああ、こんな所に居たのか。早い所レッスンの続きだ」
そうユリゼに話し掛けているのはラシュディア・バルトン(ea4107)。
ここに来る途中、ラシュはプロスト辺境伯の城にいってきた。
そこで、マスカレードに楽団や芸人の手配と協力要請を頼み、快く承諾を受けてもらってきたのである。
そのおかげか、村には結構な人々が集まっている。
旅芸人や舞台の為の楽団、流しの吟遊詩人などが、あちこちに姿を見せていた。
「ああ、ごめんなさい。それじゃあねー」
と子供達に別れを告げて、ユリゼとラシュの二人は舞台裏の特設待機室へと移動。
──ノソォォォォォッノソォォォォォォッ
巨大なカメが、村のなかを練り歩く。
その背中には、『パリキュアショー開催』と書かれた看板が設置されている。
その近くでは、エーディット・ブラウン(eb1460)が、宣伝用のチラシを配布、後日行なわれる『新春パリキュアショー』を行なっていた。
「さあさあ、近くのものは目にも見よ、遠くのものは耳にも聞け、このノルマン江戸村に、あのパリキュア達がやってくる。果たしてどんな騒動が起きるのか、乞うご期待!!」
にこやかに演義を交えつつ語るエーディットであった。
●そして時は動き出す
──江戸村・特設会場
ノルマン江戸村中央広場に作られた特設ステージ。
その横には、マスカレードの依頼で派遣されてきた楽団が待機、パリキュアのテーマソングを奏でている。
そして舞台の上では、本日の司会進行役に無理矢理されてしまっていたエーディットが、これまたエロかっこいいスーツに身を包んでパリキュアのイメンテーマを大熱唱。
ゲストは吟遊詩人ギルドから派遣されてきた『イチロー・ミズッキ』という吟遊詩人。
エーディット:「いつか、約束したよね、あの日、あの場所で♪〜」
イチロー :「守って♪〜見せる〜」
エーディット:「貴方の、未来♪〜」
イチロー :「守って♪〜見せる♪〜」
エーディット:「みんなの、愛と、勇気と、希望と、あした♪〜」
子供達&エーディット:「パリッキュアッパリッキュアッ♪〜」
おーー。これまた盛大に盛り上がっていること。
なお、このお祭り期間中はブラックウィング騎士団が会場警備と村の警備を務めている。
やがてイチローがステージ袖に下がると、音楽が変わる。
「はーーーい。ちびっ子のみんな、元気かなー」
にこやかに、いつのまにか衣裳替えをしてきたエーディットが、なかばやけくそぎみにステージ中央で精一杯大きい声で叫んでいる。
『元気ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ』
会場全体から聞こえてくる声に、頬を引きつらせつつニコリと微笑んで肯くエーディット。
「あーーー、みんな本当に元気だねー。今日は、この会場にあの噂の『パリキュア』が来るんだよー。みんなはパリキュアってしっているぅー?」
そう叫んで、子供達の声を待っているラテリカ。
『知ってる──』
「そんなの知らないわよーーーーっ」
子供達の声の中で、ひときわ高い声が一つ。
「ナニ? 一体誰なの??」
舞台を大きくつかって、オーバーアクションで周囲を見渡するエーディット。
──ジャジャジャーーーーン
と、曲が変わり、観客席の後方から、突然謎の人影が姿を表わす。
スフィンクスの姿に身を包んだ謎の怪人『すふぃんくすさん』が、空飛ぶ絨毯に乗って颯爽と登場する。
「はーーーっはっはっはっはっはっ。この会場は私達『秘密結社すふぃんくすさんと愉快な仲間たち』がのっとったぁぁぁぁ」
ノリノリで悪役を演じているのはアハメス・パミ(ea3641)。
こころなしか、かなり愉しそうなのは気のせいであろうか?
──ジャカジャカジャカジャカ
さらに音楽は派手になる。
なお、演奏のメインを務めているのはセイル、今回は裏役に徹するつもりでいるのだろう。
「大変よー。この会場が悪者の手に!! さあ、みんなで正義の味方を呼ぶのよ!!」
「はーーいー」
「1、2、の3っ!! パリキュアーーー!!」
『パリキュアーーー』
子供達の声援が会場を埋めつくす。
──その頃の舞台裏
「さあ、これを飲んでいくワン!!」
怪しげな水薬をラシュディア達に差し出すわんドシ君。
「こ、これはまさか!!」
「そう‥‥まさかだワン!!」
ニィィィィッと笑いつつ、ラシュディアにそれを手渡すわんドシ君。
「まあ、そういうことだ。ここにいるスタッフーは全員覚悟を決めた方がいい」
そう笑いつつ、ロックハート・トキワ(ea2389)も水薬を手にする。
「ええーい。ただの女装変態男よりはまだマシかよっ!!」
そう告げて、一気に水薬を飲み干す一行。
その刹那、全員の姿が輝き、みるみるうちに『リアル・パリキュア』に姿が変わってしまった‥‥。
──そして舞台に戻る
グウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
空をつんざく咆哮。
その途端、会場の上空に姿を現わした一匹のムーンドラゴン。
そこから素早く飛び降りると、会場に着地するプリティ☆らしゅ。
「あなたは謎のすふぃんくすさん!! この会場は貴方のような悪者の好きにはさせないわっ!!」
そう叫ぶと、素早くきめポーズを取る。
「あいの戦士・ぷりてぃ☆らしゅ!!」
──ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
会場が盛大に盛り上がる。
「おのーれ。ではまず貴様からだ!!」
そう叫ぶと、すふぃんくすさんは絨毯から飛び降り、素早く手にしたナイフを投げる!!
──ガキィィィィィィン
その瞬間、何処からともなく飛んできたナイフによって、すふぃんくすさんのナイフが弾かれた。
「ぷりてぃ☆らしゅ現われる所に月の影あり‥‥待たせたねッ!‥‥忍び寄る、紅の影きゅああさしんッ! ぱりきゅあの名の元に…さくっとしちゃうぞ☆(ウィンク)」
ステージの天幕の上から回転しつつ飛び降りてくるきゅあ・あさしん。
ワーーーーーーーーーーーーーッと会場がさらに盛り上がる。
「おのーーーれ。みいらさん、やっておしまいなさい!!」
すふぃんくすさんが叫ぶと同時に、地面に隠れていた御手伝いのみいらさん(有志による参加)が姿を表わし、一気にパリキュア達に襲いかかった!!
──そんなこんなで
いつのまにやら追い詰められたパリキュアたち。
その衣裳はなんでかしらんが盛大に切り裂かれ、セクシーに露出されている。
(ま、マズイ‥‥これ以上動いたら、全裸確定じゃないかっ!! アハメス、もっと手加減しろよっ!!)
(マジでしゃれにならねーぞ。ラシュディアだけじゃなく俺までまきぞえかよっ!!)
二人で哀願するようにアハメスを見る。
だが、すでにアハメスは自分に酔いしれてしまっているらしく、目がマジである。
「それじゃあ、これで最後よっ!!」
巨大なショーティルを振り上げるすふぃんくすさん。
──ガギィィィィィィィィツ
と、突然舞台袖からとんできた杖が、スフィンクスさんの剣を弾き飛ばした。
──音楽変更
「大丈夫ですかパリキュア!!」
それは純白の正装に青い仮面を詰めた男装のユリゼであった。
「おのれ何者!!」
そう叫ぶスフィンクスさんに向かって、ユリゼは声高らかに叫ぶ。
「私はパリキュアのガーディアン。愛の騎士『ファンタスティック☆ノルマン』。さあ、パリキュア達よ!! これを!!」
そう叫んで、二人に新しい杖を差し出す。
「(もうどうとでもなれ‥‥)ありがとうファンタステッィク・ノルマン!! さあいくわよっ!!」
「ええ‥‥」
再び変身ポーズを取る二人。
この瞬間、裾で待機していたエーディットが、ユリゼから預かっていた『ファンタズム』のスクロールを発動。
舞台に花吹雪を発現させた。
その間に二人は衣裳交換、ちょっと大人になった新キャラの登場である!!
「あいの戦士『セクシー☆らしゅ』参上!!」
「同じく『月よりの使者、きゅあ☆ニンジャ推参!!』」
かなり大胆な衣裳に変えられて、もうやけになった二人。
「おのぉぉぉぉぉれ!!」
という事で、舞台では最後の決戦が行なわれていた‥‥。
●そして・幕は下りた
──ノルマン江戸村
愉しかった舞台。
みんなからのアンコールもあり、一行がここにいる間は1日1ステージというハードノルマを送るはめになった。
その間にも、それぞれが黙示録の塔についての調査を行なってみたり、鍛冶師クリエムのもとで武具の手入れを行なっていたりと、それぞれが愉しい一時をすごしていたとさ。
愛でたし愛でたし。
──Fin