【必ず殺せ】仕事をする人たち

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:1人

冒険期間:05月19日〜05月26日

リプレイ公開日:2009年05月27日

●オープニング

──事件の冒頭
 ハアハアハアハアハアハアハアハア
 その女性は走っていた。
 深夜、道など判らない暗い森の中を。
 その後方には、燃え盛る村の姿。
 激しく燃えている村の方角では、5人の人物が、村人を次々と血祭にあげていた。
 突然村に襲いかかった災厄。
 シャルトル南方、未探索地域に面するこの村は、旧街道からも少し離れている。
 周囲の村からも、その村の存在はあまり知れ渡っていない。人知れずひっそりとしている村だった。
 いつものように平和だったその村に、ある日、流れの冒険者を名乗る者達がやってきた。
 彼等は未探索地域の調査という名目で村を訪れ、しばらくの間そこで過ごしていた。
 そしてある程度村人とも打ち解けた夜、悲劇は起こった。

「精霊の民の末裔。ここがその隠れ村だっていうことは判った。ここに納められている『精霊剣』を渡して貰おうか?」
 そう叫ぶや否や、冒険者達は近くの人々を次々と襲う。
 逃げ惑う人たちを切り捨て、目当てのものについての情報がないと判るとまた切り捨てていった。
 やがて、村にそのようなものがないと感じたとき、彼等は村に火を放った。
 逃げ惑う人々も次々と切り捨てて、村の存在そのものを消し去ろうとしていた‥‥。

「‥‥いいかい‥‥近くの村まで逃げておくれ‥‥そしてこの事を‥‥この剣を‥‥」
 長老は自分の娘に全てを託した。
 そしてその女性は泣きながら走った。
 近くの村まで。
 冒険者を名乗っていた野盗達に、剣を渡さないよう。
 そして、村を襲った悲劇を、ひょっとしたら生き残っているかもしれない人々を助けて貰う為に‥‥。


●ノルマン江戸村
 其の日、早朝。
 村の入り口に一人の女性が倒れている。
 其の手には一振りの剣と数枚の銅貨。
「た、たいへんだワン!!」
 その少年を発見したわんドシ君は、すぐさま女性を自宅へと連れていくと、急ぎ巫女の徳川葵を呼んでくる。
 そして手当を行ったものの、女性はやがて息絶えた。
 ただ、彼女が残した言葉が、わんドシ君の心に深く残っていた。
  
「みんな殺された‥‥村を‥‥まだ生き残っている人がいるかもしれないから‥‥村のみんなを助けて‥‥このままじゃあわたし‥‥」
 
 そう告げて、女性は死んだ。
 その夜、女性は静かに村の外れに有る墓地に弔われた。

──そしてある夜
 深夜、わんドシ君は村の外れの納屋に向かう。
 あらかじめ、心当りのある冒険者にシフール便を送っておいたらしい。
 女性と、全滅した村人達の仇を取って貰うため。

 女性を弔った後、わんドシ君は女性から聞いた場所に向かった。
 だが、そこにはもうなにもなかった。
 燃え尽きてしまった村の残骸。
 生き残っていた人々ももういない。
 そして、その野盗達の足取りを追いかけていた。
 プロスト領の小さな酒場に出入りしているということも判った。
 だが、相手は手練れ、しかも村を襲ったという証拠もない。
 冒険者に正式な依頼は出せない。
 自警団に説明をしても、証拠がまったくなく取り合ってもくれない。
 だが、酒場で聞いた話しから察するに、その5名が村を襲ったのは確実である。

 ならば。
 晴らせぬ恨みを晴らすしかない。
 相手が手練れならば、こちらもそれ相応の『仕事』をしてくれるものを集める。
 そして、わんドシ君はじっと待っていた。
 冒険者の仕事ではない、『裏の殺しの依頼』。
 それを引き受けてくれたものが到着するのを‥‥。

 このノルマンに蔓る、表には姿を表わさない悪鬼野盗。
 その影で泣いている人々。
 どこかで誰かが血を流し、どこかで誰かが死んでいく。
 さあ、聞こえてくるでしょう? そんな人たちの魂の叫び。
 ほら、貴方のターゲットは、すぐそこに。

「今宵は、どいつを殺せばいいんだい?」

──ザカザン

●今回の参加者

 ea0073 無天 焔威(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea6536 リスター・ストーム(40歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 eb5314 パール・エスタナトレーヒ(17歳・♀・クレリック・シフール・イスパニア王国)
 eb7983 エメラルド・シルフィユ(27歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ec0261 虚 空牙(30歳・♂・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ec5166 磯城弥 夢海(34歳・♀・忍者・河童・ジャパン)

●サポート参加者

齋部 玲瓏(ec4507

●リプレイ本文

●人の世の、晴らせぬ恨み、晴らします
──ノルマン江戸村・外れの小屋
 キィィィィッキィィィィィッ
 すきま風が室内に吹き抜ける。
 中央の文机の前には、わんドシ君が静かに座っている。
 静かにテーブルの上に、小銭の入った袋を置くと、そこから小銭をテーブルの上に一枚一枚並べはじめる。
「手配書はいきわたったようだワン‥‥あとは、よろしく御願いするワン」
 そう告げると、わんドシ君は静かに後ろに下がる。
 やがて、部屋の片隅、闇の一角からひとり、またひとりと姿を表わしては、文机の上から小銭を手に取り、そして闇の中に消えていった‥‥。

 すべては少女のため。
 そして殺された者たちの恨みを晴らす為。


──シャルトル・プロスト領・酒場『大酒のみ亭』
 静かな夜。
 酒場には仕事を終えて愉しい一時を過ごしている街の人が大勢集まっている。
 一日の労働、それによって疲れた心と身体を癒す為、人々は親しい仲間たちと共に酒を飲み交わしていた。
──ベンホーベンベンベンベンベベベベンベン
 ここ数日、流しの三味線引きとして酒場で三味線を引いている無天焔威(ea0073)。
 夜は酒場で流しを、そして昼間は町の中を歩き回り、街の作りを確認していた。
 その日の夜は、一通りの準備を終え、いよいよ『仕事』の日であった。
 
「‥‥」
 静かにターゲットの近くで酒を飲んでいるのはエメラルド・シルフィユ(eb7983)。
 露出が高めの衣服を身に纏い、愉しそうに酒を飲んでいる。
「んー。ねーちゃんひとりか? なんなら一緒に飲むか?」
 ターゲットのひとりがそうエメラルドに話し掛ける。
 どうやらそこそこに酔いがまわっているらしく、若干千鳥足ぎみにエメラルドの元へとやってきたようだ。
「わあ、よろしいのですか?」
 と告げながらも、エメラルドは誘ってきた男の横に席を移すと、愉しそうに乾杯を始めた。
「ふう‥‥ちょっと酔いがまわったなぁ‥‥」
 と、レンジャー風の男が静かに立上がる。
「あら? どちらに?」
 そうエメラルドが問い掛けると、男は一言。
「厠だぁ。なんならお嬢さん、一緒にくるか?」
 と下衆な笑みを浮かべる。
「い、いえいえ、どうぞごゆっくりー」
 と引きつりそうな表情を必死に笑顔に作りあげ、エメラルドが男に向かって手を振る。
 もっとも、その合図は男に対してではないのだが‥‥。


 その合図を見て、屋根裏を静かに移動する男がひとり。
(とっとと始末しないと‥‥蛮が待っているからなぁ‥‥)
 心の中でそう告げつつ、リスター・ストーム(ea6536)がターゲットの近くへと移動開始。
「ふぅ‥‥あの女、いい身体していやがるなぁ‥‥このままこの薬で‥‥グフッグフッ」
 と、懐から取出した薬壷を眺め、下卑た笑いをするレンジャー。
 そのまま厠へと移動すると、用をたしはじめる。

──スッ‥‥ガチャッ

 その背後に音もなく降りると、扉の鍵を締めるリスター。
(一撃必殺‥‥桃色体術・捕縛法裏・金剛‥‥)
 シュルルルルッと素早く縄を投げると、手にしている部分を軽く振る。
 その刹那、まるで縄が生きているかのようにレンジャーの身体に巻き付く。
「な‥‥ウググググ‥‥」
 一瞬の隙。
 その間にレスターは結び目を作った縄をレンジャーの口に咬ませた。
 そのまま一気に縛り上げると、その場にレンジャーを転がせる。
「こ、この薬はオレサマが後で‥‥と、それは置いといてと‥‥」
 ピンと張り詰めた縄を軽く弾く。
──ギシミシゴキッ
 その一撃でレンジャーの膝の関節が外れる。
「フーッフーッアフーーーーーッ」
 必死に痛みから抵抗するレンジャー。
 だが、リスターは冷徹な瞳でレンジャーを見下す。
「悪いな。もう‥‥声も出せないぜっ」
──ビシッ
 力一杯縄を引く。
 その刹那、レンジャーの全身からゴキバキと骨が外れ折れる音が響く。
 そして最後に首が外れ、男は絶命した。
「さて、あとは任せるか‥‥」
 素早く縄を外すと、再び天井裏へと姿を消すリスターであった。


──その頃
「うふふ‥‥そろそろ失礼するわね」
 エメラルドがそう告げて、静かに席を立つ。
「おいおい‥‥夜はこれからじゃないのか?」
 下心見え見えでそう告げる男に、エメラルドは耳元で静かに耳打ち。
(半刻ほどしたら、店の外で待っていますね。女は色々と準備があるのよ‥‥)
 ともったいぶった言い方でそう告げる。
「あ、ああ、そうか‥‥それじゃあな‥‥どれ、おれもちょっと‥‥」
 と、エメラルドを見送ってから、男もまた部屋へと戻っていく。
「ああ、あたしもそろそろ御開きとするわね‥‥」
 と女ウィザードも千鳥足で部屋へと戻っていく。
 その後ろを、静かに虚空牙(ec0261)が尾けていった。

──コンコン

 女ウィザードの部屋の扉をノックする空牙。
「んー、いったい誰なんだい? あたしはもう寝るんだよっ!!」
 と告げつつ、女ウィザードは扉を開く。
──バサッ
 と空牙が女の顔の前に花束を差し出す。
「な、なんだい? 一体誰なんだい?」
 そう問い掛ける女ウィザードに、空牙はそのまま一言。
「いい女には、花の一つも無くては寂しかろう。花束と伝言を届けに来た」
「ふぅん‥‥いい匂いだねぇ。で、誰からなんだい?」
 そうにこやかに問い掛ける女ウィザード。
「仲間達から伝言だ。先に地獄で待っているそうだ」
──ドシュッ!!
 その刹那、空牙は絶招・闇時雨を女ウィザードの胸部に向かって叩き込む。
 抜き手のように突き刺した手。
 それは女ウィザードの背中まで貫通。
 そしてその貫通した手には、女ウィザードの心臓が握られていた。
「手向けの花だ。せめて花に抱かれて逝くがいい」
──グシャッ!!
 そのまま心臓を握り潰す空牙。
 そして手を抜くと、そのまま窓から闇夜へと消えていった。


──さらにそのころ
 ベベンベンベンベン
 三味線を奏でつつ、ほーちゃんが男達に近寄っていく。
「うへへへ。お、俺はそろそろ‥‥」
 と、ほーちゃんと入れ違いに、男がエメラルドとの逢い引きに出ていく。
「兄ちゃん達、剣がぼろぼろだね…沢山、斬ったのかい? それだけ斬ったのなら、ここいらで新しいのに変えてみないか」
 そう話し掛けるほーちゃん。
「ん? ああ、これか? まあ、冒険者だから、いろいろと使っているしなァ‥‥」
「確かに、替え時といえば替え時だぁな」
 と、上機嫌で放している男達。
「行き倒れから剥いだ奴でね‥‥古いが物はいい。金に困ってるんだが今の刀は売りたくないし、わけありを店で売るのもねぇ。でも、なんであんな所に行き倒れがいたのやら‥‥近くに村もないし」
 そう告げられて、男達の表情が真剣なものに変わる。
「ふぅん。どこでそんな‥‥」
「それ、ちょっと見せてくれないか?」
 と、仲間の言葉を遮るように、男がそうほーちゃんに話し掛ける。
「剣は仲間の方に預けてんだが、目立つの互いに困るし兄ちゃん堅気じゃないだろ? あんたたち二人だけで、ちょっときてくれないか?」
 と告げると、ほーちゃんは店の外に出て行く。
 すでにエメラルドと男は何処かに消えてしまっていたらしく、ホーチャンは川沿いの月明かりのない路地へと誘いこむ。
「さて。ここらでそろそろおわりにしようや」
 そう告げた刹那、彼等の頭上に隠れていたパール・エスタナトレーヒ(eb5314)がホーリーフィールドを展開!!
 それは運良く一人の男とほーちゃんだけが結界の中に閉じ込められた。

──ザッバァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ

 そして突然、河のなかから磯城弥夢海(ec5166)が飛び出すと、男をひとり川の中に引きずり込んだ!!
(モガモガガガガッ)
 呼吸できずもがく男。
 そのまま男を川底近くまで引き込むと、あらかじめそのエリアに張り巡らしてあったロープトラップに男を縛り上げる。
(ごめんなさいね‥‥)
 と心の中で呟きつつ、男の背後にまわりこみ、その首筋に向かってダガーを突き刺す。

──ザカザンッ!!

 そのまま男は絶命。 
 あとは証拠を片付けて、夢海はその場を離れていった。

──一方・地上のほーちゃん
 ホーリーフィールドによって脱出不可能となった空間。
 その場所で、ほーちゃんが素早く男に向かって一撃を叩き込んでいた。
 完全なる不意打ち。
 振り返り様にほーちゃんの叩き込んだ一撃は、男の喉を貫いていた。
「まずは言葉‥‥」
──ドシュツ
 さらに領手足の腱を切り捨てると、ほーちゃんは男を冷たい目で見下ろした。
「何も言わず何も聞こえず‥‥ゆっくり死ぬのを楽しめ」
 その言葉がキーワード。
 パールが上空でビカムワースを発動。
 何も出来ず、男はやがて絶命していった‥‥。


──そのころの地上・エメラルド
 近くの袋小路。
 そこまで男を誘導してきたエメラルド。
「こ、こんな所でかい?」
「ええ‥‥」
 と告げつ、エメラルドは男の腕に自分の腕を絡ませる。
 身体は密着させて、そのまま男の斜め後方に身体をもっていく。
──ヒュゥッ!!
 そして一気に手にした『十字架のネックレス』を男の首にかけると、エメラルドはそのままネックレスを力一杯引っ張る。
 さらに素早くジャンプして、自分は塀の向うに飛んで行く。
 エメラルドの力で、男は壁に張付けになり、そのまま首が絞めつけられていった。
「貴様に殺された娘の涙だ。思い知れ――!」
 その言葉と同時に、男は絶命。
「主よ‥‥私は罪深い事をしてしまったのでしょうか‥‥」
 そう告げつつ、十字架を回収してエメラルドは闇の中へと消えていった。

──さらに別の痴情・りすたぁ
 激しく軋むベットの音。
 ほとばしる汗、綺麗な裸体が月明かりに揺れる。
 リスターは男から取りあげた薬を使って、一夜の情事を愉しんでいた。
 やがてそれが終ると、失神している女性に口付けすると、そのまま愛する蛮・O・ストームの元へと戻っていった。
 なお、その夜、リスターの身体についていたキスマークが蛮ちゃんに見つかったとき、リスターは死を覚悟したとかしないとか‥‥。
「ダーリンのばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ

 静かに朝が来る。
 敵討ちは終り、精霊剣はとりあえずプロスト卿の元へと届けられていった。
 これで、あの子達は、村人の苦しみは解放されたのだろうか‥‥。

──Fin、