【ふらり冒険】久しぶりにトレハンに行こう

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:4人

サポート参加人数:1人

冒険期間:05月21日〜05月31日

リプレイ公開日:2009年05月30日

●オープニング

──事件の冒頭
 そこはいつもの冒険者酒場。
 依頼を受けて戻ってきたもの、これから冒険にいくものなど、様々な冒険者で賑わっている。
「でーすーかーらー、わたしは預言者ではありませんし、この書物も『よげんの書』なんかじゃありませんってばぁ」
「こやいや、俺は知っているんだぜ。きみはよげんしゃで、それは『よげんの書』。おそらくは、まもなく覆面をした怪しい男が現われて、この世界を窮地からすくってくれるのさ‥‥」
「はあ? 覆面ですか?」
「ああ、そいつの名は『ヒロス』。この世界を革命してくれるのさ」
 冒険のない時間、彼等はここ愉しい一時を過ごしていた。

 そんな中、何処のテーブルかは判らないが、こんな会話が聞こえてきた。
「あー、悪魔の住まう森? あそこは行けないだろ? もっと別の所にいこうぜ・・・・・・」
「そうだなぁ‥‥まあ、適当な所に出向いて、まあ適当に冒険してくるか・・・・・・なにが起こるか風任せ・・・・・・と。目的のない冒険もいいかぁ・・・・・・」
「あ、この前の『トレジャーマップ屋』から買ってみた地図は? あれを試してみるか?」
 特にやることも無く、かといって依頼も受けていない冒険者達の言葉が聞こえてくる。
 この手の冒険は武者修行やスリルを求めてというところだろうが、お金にならない場合が殆どである。

 そんな時、とある人物が君達を呼び寄せた。
「そこの冒険者諸君。私は『トレジャーマップ』をこっそりと売っている怪しい商人だがね・・・・・・まあ、運試しに地図買わないか?」
 自分で怪しいといっている類には、たいした奴は存在しない。
 だが、地図代1Gの『トレジャーマップ』というのは魅力である。
 
 そして君達は商人の言葉に乗り、地図を一枚買ってみた・・・・・・。

●今回の参加者

 ea1628 三笠 明信(28歳・♂・パラディン・ジャイアント・ジャパン)
 ea2165 ジョセフ・ギールケ(31歳・♂・ウィザード・人間・フランク王国)
 ec0170 シェセル・シェヌウ(36歳・♂・レンジャー・人間・エジプト)
 ec4355 春日 龍樹(26歳・♂・浪人・ジャイアント・ジャパン)

●サポート参加者

壬護 蒼樹(ea8341

●リプレイ本文

●さて、景気良く逝ってみようか!!
──阿修羅寺院
「‥‥フィームどのは現在席を外しておられますが‥‥」
 阿修羅寺院の執務室で、三笠明信(ea1628)にそう告げるのは一人の阿修羅僧。
「そうですか。では、ちょっと御願いがあるのですが‥‥」
 と告げると、三笠は今回入手した地図に記されている『キーワード』について、心当りのある人はいないか尋ねていた。
 だが、この阿修羅寺院は昨年作られたものであり、まだこの土地や西洋の伝承などに詳しい人物はここにやってきていない。
 そのため、これといった知識は入手することはできなかった‥‥。
「では‥‥私の持つ力を、阿修羅神への祈りとしたいのですが‥‥」
 すなわち、瞑想の間にて新たなる悟りを導くこと。
 この三笠の言葉には、フィームが席を外しているあいだにこの寺院を任されている『影衣十兵衛』が瞑想の間での管理を行う事となった。
「さて。それでは祈りを‥‥」
 瞑想の間で結跏趺坐に座り、静かに意識を静めていく三笠と影衣。
 やがて、三笠は一つの光を見付けはじめる‥‥。


──一方そのころ・冒険者酒場マスカレード
「‥‥うううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 地図をじっと睨みつけつつ、うなり声を上げているのはジョセフ・ギールケ(ea2165)。
 久しぶりの冒険とあって、かなり気合が入っていたものの、地図の解読に手間取っている模様。
「この文字は?」
 横で地図に記されている古代魔法語を眺めているシェセル・シェヌウ(ec0170)が、ジョセフ・ギールケ(ea2165)に問い掛ける。
「太陽。こっちは影、そして巨大な湖と、それを守護する一匹の獅子‥‥あーーーっ。まったくわかんねーーーーーーー」
 絶叫するジョセフ。
「まあ‥‥むぐむぐむぐむぐ‥‥そうかっかするな。まずは腹ごしらえといこうじゃないか!!」
 そう告げつつ、横でガツガツと食事をしているのは春日龍樹(ec4355)。
「まったく‥‥力仕事専門は気楽でいいねぇ‥‥」
 そう呟きつつ、ジョセフはもう一度キーワードと地図を照らし合わせる。
「守護する獅子‥‥巨大な湖はノルマンに存在しない‥‥するのは‥‥フランク王国だけど‥‥」
 しばしじっと考え込むジョセフ。
「守護する獅子‥‥獅子の如く‥‥太陽の影‥‥」
 そして、白い羊皮紙を取出すと、ジョセフが何かを書込みはじめる。
「ふむ。獅子はこの国の守護者を示す。太陽は国王、影は‥‥」
 シェセルが納得しつつ呟く。
「古代の英知は、古きものを知る存在、砕けた聖剣は判らないが、オデンは異国の異形の神オーディーン。ならば、これらのキーワードからつむぎ出されるものは、オーディーンの持つもの、もしくはそれに関与する神々の作りし剣‥‥」
 その呟きののち、ジョセフは一言。
「オーディーンが作りて、シグルムが圧糧士全長2mの魔剣グラム‥‥」
 その日言葉に、春日が一言。
「で、砕けたっていうのは?」
「この魔剣グラムは、オーディーンが自らの武器グングニールで破壊したという記述が残っているんだっ!!」
 興奮冷めやらぬ声で告げるジョセフ。
「なら‥‥砕けた剣を再生する鍛冶師が必要となるか‥‥」
 そう呟きつつ、三笠が入ってくる。
「ああ。しかしジャパン人の三笠が北欧神話に詳しいとは‥‥」
 そう呟くシェセル。
(まさか、ジョセフの声がデカすぎて、近くの席で座っていた人がそんな話をしていたとはいえないか‥‥)
「それはおいておくとして。地図も判った、この場所へと向かえばいい!!」 
 ということで、一行は荷物をまとめて早速地図に記されている場所へと向かっていった。


●地図にあった場所
──ノルマン北方・ライン川流域の未探索地域
 そこは古い神殿。
 形状から察するに、かなり古いものと思われる。
 廃墟と化した建物の壁や柱などに、解読不能の文字がぎっしりと刻み込まれているものの、それらがいったい何を表わしているのはまったく判らない。
「‥‥この文字は一体どこの文字なのでしょうかねぇ‥‥」
 シェセルが自分の知識の中にこれらの文字がないのを確認し、そう呟く。
「うーむ。さっぱり判らん‥‥」
 文字を人目見て、そう告げる春日。
「まあ、ここの神殿が北欧神話の神々を称えるものであることは明白。この地から北西に向かえばドレスタッドもあることだし、大体の場所が判ればいいと思うが‥‥」
 と告げつつも、ジョセフは溢れ出す好奇心を押さえる事は出来ない。
「それで、地図にはあと何が?」
 そう問い掛ける三笠に、ジョセフは一言。
「封じられし時の回廊へといけと‥‥」
 そう告げていると、春日が前方に淡く光魔法陣を発見。
「ここか‥‥」
 そのまま魔法陣に記されている古代魔法語を解読し、一行はそこから『神殿最下層』へと移動する。

──神殿最下層
 そこは小さな聖堂。
 壁の彼方此方には神話の世界が記されている。
 その奥には、巨大な台座があり、その上に一振りの剣が突き刺さっている。
 刀身の半ばから砕かれたらしく、柄の部分はどこにも見当たらない。
 突き刺さっている刃には、さらに白く輝く鎖が巻きつけられており。それを外さなければ剣を引き抜くことは困難にかんじる。
「これが‥‥グラム?」
 そう問い掛ける三笠。
 そしてジョセフもまた、台座に刻まれている文字をじっと睨みつける。
「13の試練を‥‥越えて‥‥駄目だ、よめねぇ」
 そう叫ぶジョセフ。
 どれどれと他の仲間たちも見るが、ジョセフがカ解読したらしい場所以外の部分は『削り取られている』らしく、読めないどころか判らない。
「ここまで来て御手あげか‥‥」
 春日が試しに鎖を掴む。
──バジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ
 と、激しい音と共に、春日の手が弾かれた!!
「こ、これは不味い‥‥いや、最高だ‥‥」
 なにか愉しそうに告げる春日。
「一体どうしたのですか?」
 そう三笠が問い掛けると、春日は一言。
「魔力だよ魔力。この鎖から、そして折れた刀身から感じられる魔力が‥‥本物だった!!」
 その言葉に、ジョセフが静かに手を伸ばす。
 チリチリと手が焼け付くような感触。
 同じ様に三笠とシェセルもまた、手をかざすが、やはり同じ様に反応を感じた。
「本当に本物なのでしょうか‥‥」
 意を決して、三笠もまた刀身に触れる。
 その刹那、三笠の体内を駆け巡る魔力の渦。
 全身を貫く衝撃、それは、三笠が知って居る魔力の比ではない。
 伝説の名工ガラントの作りし鎧ですら、この刀身の魔力にはあらがうことはできず、紙の如く簡単に切断されるであろう。
 それは即ち、伝承にしか存在しない武器そのもの。
 
 目の前には、魔剣グラムが固定されているのである‥‥。


──ガタッ
 と、突然後方から音がする。
「魔剣にみいられしものたちよ‥‥ここへは何しにやってきた?」
 ボロボロのローブを身に纏い、巨大な帽子を被った老人がそこに立っている。
 よく見ると、その姿は透き通っており、この世界の存在ではないことを皆に告げているようにも感じられた。
「この魔剣に導かれて‥‥」
 そう告げるジョセフ。
「ならば、この剣グラムの主となるべく、試練を受けよ‥‥それれは全部で13の試練‥‥」
 そう告げると同時に、老人の姿がさらに浮く消えはじめた。
「ちょ、まだ試練を聞いていないですってば!!」
 シェセルが叫ぶ。
「求めよ‥‥黄金の林檎、琥珀の烏、白銀の獅子、一対の魂、運命を紡ぐ機織り‥‥」
 そこまで告げると、スーッと消えていく。
「ちょ、おま、まだ全部言えていないってば!!」
 春日がそう告げると、老人は最後に一言。
「北へ向かいなさい。そのものは、はるかなる地よりやってきて、遥かなる地へと帰っていく‥‥」
 そして姿が消えた刹那、その場の全員の姿も輝き、そして消えはじめた。


●そして
──パリ・冒険者酒場マスカレード
 あの老人が消えた直後、全員の姿も消えた。
 そして意識が戻ったとき、一行はこのパリ郊外に立っていた。
 地図も何処かに消滅しているが、あの神殿遺跡で聞いた、見た記憶は全て残っている。
「どうする‥‥」
 そう呟くジョセフ。
「宝の地図で得られたのはグラムの存在、そして受け入れる試練‥‥これだけでも上等ですが」
 そう三笠が告げると、春日がさらに。
「そして、この事実を知って居るものは俺達4名のみ。試練の場所はおそらく北方、鍵は『はるかなる地よりやってきて、遥かなる地へと帰っていく者』だな」
「探さなければならないものはいくつもありますが、鍵を知って居るのはその人物のみですか‥‥」
 シェセルもそう告げると、一行は頭を突き合わせて一言。
「この一件、しばらく皆で考えて見る事にしよう‥‥」
 そう告げると、一行はその場で別れた‥‥。
 次に会うときは、グラム探索‥‥。

 さて。
 神話に出てくるオーディーンそっくりのあの老人は一体なにものなのか?
 本物なのか、ただのくそじじいなのか?
 そして神殿地下に眠る、超弩級の魔力を発する剣は、本当にグラムなのか?
 何か、グラムよりやっかいそうな剣のような気がしてならないが、それはまた次の冒険にて‥‥。

──Fin