【黙示録】黙示録の塔・砂の回廊編

■イベントシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月27日〜07月27日

リプレイ公開日:2009年08月08日

●オープニング

──事件の冒頭
 そこは見渡す限りの砂の世界。
 照りつける熱気と蜃気楼、そしてどこまでも続く砂の海。
 一体、どれぐらい歩いただろうか‥‥。
 下の階から昇ってきて、扉を越えてきたのはいいが、一面見渡す限りの砂漠では、どうすることもできない。
 このような場所で、どうやって上へと続くの階段を探すというのだ?
 どうやって鍵を見つけるというのだ‥‥。

 もう駄目だ‥‥。
 餓えと乾きが限界に達した。
 あとは任せた‥‥。


●そして外の世界
──シャルトル・ノルマン江戸村
 ノルマン江戸村近郊の森にて発見された不可思議な塔。
 徘徊する魔物たちは、未だ知られていないものが多く、その対応にもかなりの時間が要している。
 さらに付け加えると、『攻勢防壁』により、戦闘方法がかなり絞られてしまっていることにも要因がある。
 
 さて。
 先日、冒険者の手によって第10階層まで攻略された。
 そして数日後、『刻の回廊』をクリアした一行は、次の回廊へとたどり着いた。
 だが、扉の外は一面砂漠の世界。
 挑戦した者たちの消息は跡絶えてしまっている。
 そして塔にはめ込まれていた金色のプレートに書き込まれた古代魔法語は、以前と全くかわらぬときを刻んでいる。
 それは以下のとおりである。

──────────────────────
 塔に昇るものへ 
 さらなる階層に向けてのヒントをあげよう。

・一つの階層につき、上に昇る為の階段は一つのみである。鍵を探し出し、扉を越えて階段の間へと向かえ。

・階段の間に向かい、上の階に向かうには、『守護者』を倒さなくてはならぬ。
 命惜しくば、階段の前は近寄るな。

・各階層には、様々な魔物が徘徊している。
 命惜しくば、塔には挑まぬよう。

・『砂の回廊』は遥かなる砂漠の世界。
 永遠に続くであろう迷宮を彷徨うがいい‥‥。

・再挑戦するものたちへ。再び同じ刻、同じ場所からやりなおすがよい。その上で、更なる試練を越えてみよ。

・この塔及びアビスの犠牲者たちの魂は、速やかに地獄へと送り届けさせて頂く。
 あの御方の更なる活性化の為に。

 そのエリアでは、それぞれの回廊の力より『上位の力』以外の魔力は全て遮断される。

──────────────────────

 そして、これらを見た冒険者達が次々と試練を受けるべく向かったのだが、その殆どは負傷し、帰還していた。

 さて。
 この怪しげな塔。
 攻略しますか?
 それとも‥‥。

●今回の参加者

アハメス・パミ(ea3641)/ バーク・ダンロック(ea7871)/ 壬護 蒼樹(ea8341)/ カーラ・オレアリス(eb4802)/ メイユ・ブリッド(eb5422)/ ヴェニー・ブリッド(eb5868)/ 鳳 双樹(eb8121)/ レア・クラウス(eb8226)/ サクラ・フリューゲル(eb8317)/ セイル・ファースト(eb8642)/ リスティア・レノン(eb9226)/ シェセル・シェヌウ(ec0170

●リプレイ本文

●蜃気楼の見える世界
──シャルトル地方・ノルマン江戸村
 そこはいつもの騒がしい酒場。
 ノルマン江戸村にある冒険者酒場『のるまん亭』では、メイユ・ブリッド(eb5422)が集まっている冒険者達に色々と話を聞いていた。
 中でも彼女の興味の対象は、砂の回廊についての情報である。
 だが。
「あー、あの回廊かぁ。いくつかのチームが向かったらしいけれど、戻ってきたっていう情報は聞いてないねぇ‥‥」
「あー。あそこねぇ。入ったら最後、全滅必須だっていうじゃない‥‥」
「守護者がかなり強かったって言う話しは聞いたなぁ‥‥何名かは生還したけれど、仲間たちは塔の中で全滅したって言うし、その生還者もパリに1度戻っていったっていうじゃない‥‥」
 とまあ、実に有益な情報が集まっている。
「それにしても‥‥物騒すぎるわねぇ‥‥」
 メイユはそう呟きつつ、再び別のテーブルに移動しては、情報を探しに向かっていった。
 そして一通りの情報を手に、仲間たちと合流。
 いよいよ塔の攻略が開始された。


●ベースキャンプは砂の味
──黙示録の塔・第11回廊
 そこは一面砂の世界。
 一行がこの空間に入って最初に見たものは、一面砂の世界と、数多くのベースキャンプ。
 そして閉じてしまった扉は消滅し、この空間に実質取り残された感じになっていた。
「こ、これは‥‥中々に厄介ですね‥‥」
 アハメス・パミ(ea3641)がそう呟きつつ足元の砂を手に取る。
「‥‥エジプトの砂だな‥‥空間転移型だったか‥‥」
 そう呟きつつ、手をかざしつつ太陽をじっと見る。
 照り付ける太陽が、アハメスには懐かしくて心地好い。
 そしてその近くでは、シェセル・シェヌウ(ec0170)もまた懐かしさに浸っていた。
「とりあえず我々もベースキャンプを設営することにしよう‥‥」
 壬護蒼樹(ea8341)がそう告げつつ、黙々と余りのテントを組み合わせて陣営を作っていく。
 そこに仲間たちの荷物を全て安置し、陣営周辺に個々のテントを設置させた。
 ここを拠点として、移動しつつ調査を続けていこうというのが、今回の作戦であるらしい。
「冷気よ‥‥かの場所に集いて結界を‥‥」
 カーラ・オレアリス(eb4802)がスクロールを開いてフリーズフィールドを発動。
 指定の場所にフィールドが完成したかどうかを確認している。
「無事に結界は張られている‥‥っていうことは、この空間は塔の中の一部ではなく、転送された何処かの砂漠ということになるわね‥‥」
 と告げるカーラ。
──フワッ
 リトルフライを発動し、ゆっくりと上空に舞い上がるヴェニー・ブリッド(eb5868)。
 そのままどこにもぶつからない事を確認すると、周囲をゆっくりと見渡していく。
「どちらの方角も、まったくなにもない空間ねぇ‥‥本当に砂漠ってこういう所なのね」
 と呟きつつ、ゆっくりと降りてくる。
「こ、ここは本当に砂漠なのねぇ‥‥」
 太陽に掌をかざしつつ、レア・クラウス(eb8226)がそう告げる。
 彼女の手に刻まれた精霊の紋様『精霊の友』は、この場所に陽精霊が満ちている事を証明しているかのように輝いている。
 もしここが閉ざされている塔の内部ならば、精霊の力は発現しない。
 ということで、ここが本当に異世界か何処かの砂漠であることまでは確信できるようになった。
「さて、ここからが本番だな。とりあえず準備が整い次第、周辺の調査を開始。待機組は他のベースキャンプに向かって、情報収集を頼む」
 そう告げているのはバーク・ダンロック(ea7871)。
 その近くでは、セイル・ファースト(eb8642)も出発の準備を行なっていた。
「まったく節操がないというか‥‥まあなんにせよ、目印でも見つけん事にはな‥‥」
 と告げると、フライングブルームに跨がり。上空に移動。
 そこからゆっくりと周囲をまわり、とにかく目に見えるものを探している。
「‥‥なんか‥‥あるな‥‥」
 と告げて、セイルはある一点を凝視する。
 そこに何かがあるのかは判らない。
 ただ、はっきりと見えたものは、砂嵐とサイクロンが真っ直ぐにベースキャンプりの方角に向かってきているという事である。
「ち、ちょっとまてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。全員退避だぁ!! ベースキャンプを移動させろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 セイルの絶叫がこだまする。
 その声に合わせて、全員がすぐさまベースキャンプをたたむと、他のベースキャンプのメンバーに案内されて安全地帯であろうオアシスまで移動。
 そのまま砂嵐が収まるのをじっと待つと、ベースキャンプ設置の再開、そしていよいよ周辺探索を開始した。


●ピラミットの謎
──ベースキャンプから約20kmほど
 すでに調査を開始して3日。
 ベースキャンプに集まっている他のチームメンバーと併せると、現在の冒険者数は100ちょい。
 それらの殆どがシフトを組んでの調査を開始、現在までまったくといっていいほど収穫はなかった。
「では、ここまでが先日までの調査報告ですね‥‥」
 サクラ・フリューゲル(eb8317)はベースキャンプの設営ののち、各チームから上がってくる周辺の情報をまとめて地図を作成。
 それをもとに、次に移動するべき方角などを割り当てていたのである。
「このあたりにも脅威はないか‥‥うーーーーん」
 フォーノリッヂを発動し、『砂にいる脅威』についての情報を求めていたレア。
 だが、どうやらそれらしい情報はまったくといっていいほどない。
 小さな昆虫やサソリなどは発見するが、それらは脅威というほどではない。
「サクラさん、とりあえず本日は大きな問題はありませんね‥‥」
 と告げるレアの言葉に肯くと、サクラは本日のチーム編成表と調査区域の記されている羊皮紙を各チームへと配布しはじめた。
 そしてその日、バークとシェセル、ヴェニーによって発見された未確認ピラミットが、一抹の希望を感じさせた。
「まあ、ピラミットというのは盗掘を防ぐ為に様々なトラップが仕掛けられている場合があますから‥‥」
 と告げるシェセル。
「とりあえず熱から身を護った方が‥‥」
 と告げて、リスティア・レノン(eb9226)がレジストサンズヒートを発動。
「できるならば、調査は夜間の方がいいのだが、まあ、リスティア殿の魔法で熱さはなんとかしのげるか‥‥」
 シェセルがそう告げているさ中に、リスティアは次々とピラミットの内部に潜る仲間たちにレジストサンズヒートを発動していく。
 そして準備が出来ると、いよいよ突入ということになった‥‥。
 
──ピラミットの入り口
 そこは巨大な扉。
 刻まれているのはヒエログリフ、だが、そこに何が記されているのか、この場で判るものはだれもいなかった。
「シェセル、読めるか?」
 そう問い掛けるセイルだが、シェセルは頭を左右に振る。
「アラビア語は判る。それに連なる古代魔法語もなんとなくだけはな。だが、ここまでとなると無理だ‥‥」
 と告げて、シェセルは静かに扉のトラップを調べる。
──ガキッ‥‥
 微かな手応え。
 扉にはがっちりと鍵が仕掛けられており、さらにトラップも組み込まれている。
「初歩的な‥‥」
 と呟きつつ、静かにトラップの除去を開始するシェセル。
 やがて1時間ほどで、トラップの完全除去と鍵の解放を終える。
 そして静かに扉を開くと、地下へと続く回廊に出る。
「まあ、墓という話は聞いているからな‥‥注意した方がいい」 
 そのバークの言葉に、同行している鳳双樹(eb8121)も静かに肯く。
「先頭は俺が‥‥あとは後ろから付いてきてくれ」
 シェセルがそう告げると、そのまま静かに一行は先へと進む。
 バーク、セイル、双樹、そして殿にはアハメスがつく。
 ピラミットの外では、伝令として蒼樹が待機、何時でも狼煙を上げられるように準備している。

 そして静かに回廊を下る。
 途中に仕掛けられた様々なトラップなどを掻い潜り、一行は『王の間』と呼ばれる玄室へとたどり着く。
 そこは様々な副葬品に囲まれた空間。
 壁にはヒエログリフによって刻まれた文字が並び、王の復活の日をじっと待っているかのようであった。
「さて、ここのどれが‥‥」
 と呟きつつ、セイルが周辺を見回す。
 他のメンバーも、取り敢えず鍵を探し出す為に調査を開始。
「王杓とか、衣裳とか‥‥これって、かなり貴重なものばかりですよね?」
 双樹がそう呟くと、シェセルとアハメスが静かに肯く。
「できるなら、装飾品以外は手を付けないで欲しいのだが‥‥」
 と告げるアハメス。
「というと、この壷とかはダメなのか?」
 と、近くに置いてあった壷を手に取っていたバークが問い掛ける。
「それはダメだな。王の心臓が納められているかも知れないから‥‥」
 と告げられて、バークは慌てて壷を元の場所に安置する。
 そして一通りの調査を行なったが、どこにも鍵らしきものは見つからない。
 玄室の中央に安置されている棺以外は、全てといっていいほど調査を終えてしまった。
「‥‥あとはこれだけか‥‥」
 と呟くバーク。
「仕方ないか‥‥王よ、鍵を示してくれ‥‥」
 アハメスがそう告げる。
 そしてシェセルとアハメスの二人で、静かに棺を開く。
 そこには、黄金のマスクを被った綺麗な人型の棺が納められている。
 全身に刻まれている紋様が王の名を記しているのかも知れないが、どこにもそれらしいものは見つからなかった。
 ただ、その棺の中央部分、そこに一本の鍵が置いてある。
「これか‥‥」
 と告げて。セイルが静かに鍵を取り出す。
 ずっしりとした重さの青銅の鍵。
 今までにバーク達が見てきた鍵となんら変わりがないので、おそらくこれが、この階層の『鍵』なのであろう。
 静かに棺を元に戻すと、一行はそのままピラミットを後にした。
 そして、入り口に戻ると、そこにある鍵穴に青銅の鍵を差し込み、静かにまわす。
──ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ
 と扉が開くと、そこは今までのように見た事のある光景が広がっていた。
 黙示録の塔の内壁が眼の前にある。
「ここをすすんで‥‥あとはどうするのですか?」
 そう問い掛ける双樹に、バークが一言。
「恐らく、階段の間へと向かうことになる。そこで待っているであろう守護者を倒し、さらに上へと進む階段を昇れば、この回廊は一応クリアーとなるのだが‥‥」
 と告げると、静かに腕を組んで考える。
「どうした?」
「いや‥‥あっさりとしている。なにもない事がおかしいとは思わないか?」
 と問い掛けてきたシェセルに告げるバーク。
「もし可能性があるのなら‥‥この先の守護者が半端ないということだろう?」
 と告げる。
 そして蒼樹がベースキャンプで待機している仲間に合図の狼煙を上げると、一行は仲間たちの到着をじっと待った。
 そして全員が揃うと、いよいよ黙示録の塔の内部へと突入する‥‥。


●修羅場一歩手前
──第11回廊守護者の間
 そこには1頭の竜が待機していた。
 それほど強くはなく、セイルやバークによってあっさりと倒されてしまう。
 その後ろにはさらに上へと進む階段。
 ゆっくりと階段を上り、いよいよ第12回廊の扉を静かに開く。
 そこは再び回廊。
 なにもおかしい所はないいつもの回廊、塔の内部の光景。
 そしてその前でじっと冒険者達を見つめている1頭の『黄金羊』とベルフェゴール。
「あら‥‥ずいぶんと早かったのね。まあいいわ。ここから先、私達のいる最上階まではただの迷宮。数で押してくるのもいいかもしれないわね‥‥けれど、ただ黙って見ているのは辛いから‥‥」 
 と告げると、ベルフェゴールはパチンと指を鳴らす。
「貴方たちにとっての最悪を用意してあげるわね‥‥これを越えてこれたら‥‥」
 と告げると、ベルフェゴールと黄金羊は踵を返して奥へと消えていく。
「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 と叫びつつ、走り出す一行。
 だが、その脚が突然止まってしまった‥‥。
 眼の前に姿を現わした一人の少女によって。
「ベルフェゴールさまを傷つけるのなら‥‥私が相手するから‥‥」
 そう告げて、静かにナイフを構える少女。
 その姿を見て、一行はそのまま後方へと撤退を余儀なくされた。

 塔から出た一行。
 そのまま冒険者酒場に向かったものの、全員が言葉を詰まらせていた。
 少女を知るもの、知らないもの。
 噂だけをしっているもの、その恐怖を知らないもの。
 兎に角、ここから先は力任せの塔挑となることは確実。
 そしてだれとなく呟いた一言。
 それが一行の中に重くのしかかって来た‥‥。
「今更‥‥アサシンガールかよ‥‥。どうして『エムロード』なんだよっ‥‥」


──Fin