【釣られてみたり】流されて女装三昧同盟
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:5人
サポート参加人数:2人
冒険期間:07月28日〜08月02日
リプレイ公開日:2009年08月09日
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●オープニング
──事件の冒頭
それはいつものまどろんだ午後。
吟遊詩人ギルドでは、ギルド主催で行なわれるパリ夏祭りの企画で困っていた。
いつものように中央噴水を起点として、露店や様々な出店の準備、付近の飲食店の協賛など、こまかい調整が進んでいた。
中央ステージでは、吟遊詩人達による歌謡祭も執り行われるのだが、その前座を務める予定であった楽団が、体調不良のために辞退ということになったのである‥‥。
「‥‥さて、こうなると、私の切り札を出す必要がありますね‥‥」
そう告げるのは、ギルドの重鎮『ザンク!!』。
当然ながら、切り札は『レ・シャトン』であろう。
「そっちがパリキュアでいくのでしたら‥‥私にも対抗策を用意する必要がありますね」
もう一人の重鎮である上杉楽人もまた、何か策を練っている。
「ほ、ほほう。私のパリキュアに対抗するものがあると?」
──キュピーーン
瞳を輝かせ、静かに口を開く楽人。
「うちにも女装っ子によるアイドルグループはありますから‥‥」
ということで、ついノリと勢いでそう告げた楽人。
だが、そんなもの楽人にはない。
ということで、冒険者ギルドに依頼をと思ったが、それじゃあ『ザンク!!』にばれてしまう。
そこで楽人は口コミでこの一件を知人に流し、有力者を募ることにした。
●リプレイ本文
●さあ、始まるザマスよ!!
──パリ・吟遊詩人ギルド内・トレーニングルーム
「はい、1、2、1、2、1、そこでクルリとまわって、右手は天を、左手は胸の前でゆっくりと伸ばして‥‥」
吟遊詩人ギルド所属の振付師『カーン・鈴木』が、『レ・シャトン』のリハーサルを行なっていた。
「ハアハアハアハア‥‥久しぶりですと、ちょっと‥‥体が思うように‥‥」
「お、同じくです!! こんなにキツかったでしょうか‥‥」
と悲鳴にも似た言葉を発しているのはクリス・ラインハルト(ea2004)とディーネ・ノート(ea1542)の二人。
共に、これから始まる夏祭りで行なわれる特設ステージの為の特訓を行なっているのであるが‥‥。
「も、もう無理です‥‥冒険にでている方がよっぽど楽です‥‥」
と呟いて床に潰れているのはサクラ・フリューゲル(eb8317)。
あたらしく『レ・シャトン』に入る為にこのリハーサルに参加しているのであるが、ダンスの基本ですでに体力が限界。
「そんなことではダメです!! さあ、エルディーヌをご覧なさい!!」
と告げるカーン・鈴木の言葉に、さらに華麗なる舞を披露するエルディーーヌこと、エルディン・アトワイト(ec0290)。
「ふふふっ‥‥」
とほくそえみつつ、崩れているサクラをチラリと見る。
「そんなことでは、本番ではすぐに息切れしてしまいますわよ‥‥」
とにこやかに告げるエルディーヌ。
あれ? なんとなくはまっているねぇ‥‥。
「そうそう。サクラはもっと体力を付けるべきですよ‥‥」
と、エルディーヌと同じく女装して華麗なるステップを見せているのは、文月太一(ec6164)。
エルディンと同じく、新ユニットの一人として参戦したらしい!!
「さあさあ、本番までもう時間がないのですよ!! 休憩はそこまでにして、レッスンを開始しましょう!!」
カーン・鈴木のパンパンという手を叩く音に、一行は静かに立上がると再びレッスンを開始した。
●夏真っ盛り!!
──パリ中央・吟遊詩人ギルド特設会場
そこには大勢の人々が集まっている。
通りの回りには会場をグルッと取り囲むように露店が立ち並ぶ。
そしてステージの周辺には、大勢の市民や冒険者が集まり、今か今かと待っている。
──スタタタタッ
と、夏真っ盛り衣裳に身を包んだクリスとディーネがますばステージに登場。
「レディースアンド、ジェントルメン!!」
にこやかに叫ぶクリス。
「あーーんど、おとっつぁんとおかあさんと冒険者と王族の皆さんってええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
途中までにこやかに、そして最後のほうは絶叫になっているディーネ。
その声に反応して、貴賓席では王族の御偉いさんとかブランシュ騎士団かどっかの騎士団長とかが手を振っている。
「それではっ、ご紹介しましょう!! 私達『レ・シャトン』の姉妹ユニット!! 『NBG48』でーす!!」
その言葉に合わせて、綺麗に着飾ったエルディーヌと太一の二人がステージに現われる!!
──ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
あちこちから聞こえる口笛や喝采。
その一つ一つが全身に染み渡ってくる。
(や‥‥やばい‥‥これは‥‥癖になりそう!!)
全身が歓喜に震えるエルディーヌと、やはり感無量で瞳からなみだを流す太一。
(苦節17年。とうとうデビューの時がきたっっっっっ)
た、太一、ちょっと違う。デビューの意味ちがう‥‥。
が、二人は丁寧に挨拶をすると、そのまま静かに自分のポジションに立つ。
♪〜
やがて、楽団が奏でる曲が会場に流れはじめる。
そして二人は静かに前に出ると、ゆっくりと、そして力一杯歌い始めた!!
♪〜
「空に思い届くよう」
(大地にひかり満ちるよう)
「みんなと幸せになれるよう」
「穏やかな日常だんらんの日々」
(そんな時は笑いましょう)
「寂しさ寒さを感じる時」
(その胸に灯火届けましょう)
「楽しいときは過ぎるもの」
(だけどそれは力になる)
「怒りや悲しみには襲われる」
(人はそんなに強くない)
「「だから忘れないで、皆一人じゃない、差し伸べる手を」」
(とって見せるから)
♪〜
太一とエルディーヌが交互に歌い、シャトンのコーラスが盛り上げる。
前半のフレーズが終ると同時に、太一は微塵隠れを発動。
別の仕掛けを施してある第二ステージへと移動。
そしていよいよ歌もサビ部分へと突入。
ここからはNBG48とレ・シャトンのダブルで熱唱!!
♪〜
ベイビーズブレス!
その胸の想い、貴方を包むひかりは、
ベイビーズブレス!そう、大地をひろげ、
いつか空を満たす、
ちいさなきせき。
いのりよ、
ねがいよ、
天まで届け
ミンナと幸せになる為
♪〜
やがて静かに幕が降りる
そして会場からアンコールの声が響いてくると、再び幕が開く!!
そこには新メンバー見習いのサクラを含むレ・シャトンの姿があった。
みな一様に露出のやや高いコスチュームに身を包んでいる。
「みんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。げんきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?」
クリスが会場に向かって叫ぶ。
──YEAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHh
と、すぐさま絶叫の如く返事がコダマする。
「今日は、新しいメンバーを紹介しまーーーーす。、新メンバーのサクラさんでーーすー!!」
ディーがそう叫ぶと、サクラがオズオズと前に出で、ペコリと頭を下げる。
──YEAAAAAAAAAAAAA
再び沸き上がる絶叫。
そして楽団が静かに曲を奏でる
なつかしの、あのレ・シャトンのデビュー曲である。
「それでは聞いてください。私達のデビュー曲‥‥」
そう告げると、クリスとディーネ、そしてサクラが自分のムポジションに立つ。
♪〜
始めての出会いは 小さな酒場〜
私は一人 窓辺にたたずむ‥‥
♪〜
歌い始めはやはりディーネ。
中央にゆっくりと歩いていくと、そこでクルリと一回転し、そっと歌を紡いでいく。
♪〜
駆けていく貴方の背中 私はいつも見つめて
駆けていく貴方の横顔 私はいつも追いかけて‥‥
♪〜
静かに手を差し出し、前に出るサクラ。
本来は ここのパートは別の子であるが、今回はサクラが担当。
やはりレ・シャトンの他の子も参加していない為、クリス達3名+NBG48で歌う事になったらしい。
♪〜
じっとしているだけだは嫌なの
貴方と共に 私も走りたい
ねぇ 私を連れていってよ‥‥何処か遠くの世界へ
♪〜
エルディーヌが前に出る。
両手を前に差し出して、そっとなにかを抱しめるように口ずさむ。
そしていきなりテンポが速くなる。
♪〜
駆け抜けてMy Ame
燃えるように心はBonheur
感じてSympatia
私は今ファーンタジィー!!
♪〜
太一がゆっくりと前に出て熱唱。
後ろではサクラ、ディーネ、エルディーヌが激しいダンスを展開!!
♪〜
触れて(そうよ) 心に(そうね)
感じて(御願い) 私を(気付いて)
抱しめて(ねえ) 今直に(早く)
キスして‥‥ここに そこに 私のすべてに〜
♪〜
クリスが前に出ると、激しくシャウト!!
合いの手はエルディーヌとサクラの二人で行なっている。
そして最後は優しい曲調で、全員で歌いつづける。
♪〜
そして連れていって 私も貴方の元に‥‥
♪〜
そして静かに曲が流れていく。
やがて幕が閉じる。
会場からはアンコールの声が聞こえてくる。
そして幕の中では、みんなが感動に涙していた。
「いける‥‥いけるわ‥‥」
「うんうん。みんなが待っているからねっ」
クリスが微笑みつつ、なみだを拭う。
そして全員で掛け声を上げると、一斉にステージに舞い戻っていった‥‥。
●強者共が、ゆめのあと
──会場近く・吟遊詩人ギルド
全て終った。
会場は熱狂に包まれた。
アンコールの鳴り響く中、レ・シャトンで4曲、NBG48で3曲。
それも『ザンク!!』と『上杉楽人』のプロデュース曲ばかり。
大盛況の中、無事に祭りは終った。
レ・シャトンとNBG48は再びいつもの冒険者へと戻っていく。
さあ、今は英気を養ってください。
次のステージは、秋の収穫祭!!
それまでにNBG48は、残りのメンバー46人を探してくださいね。
と楽人から突っ込まれたことはいうまでもない‥‥。
──Fin