【黙示録】黙示録の塔・極限へ突入編

■イベントシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:11人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月21日〜08月21日

リプレイ公開日:2009年08月30日

●オープニング

──事件の冒頭
 そこは見渡す限りの死体の山。
 砂の回廊が突破されてから、黙示録の塔は大きく変化した。
 各階層がいままでのような迷宮回廊へと姿を変化させている。
 どこかに隠された鍵と、それによって解放される守護者の間。
 そこを突破しなくては、さらに上へと進むことは出来ない。
 それゆえ、今までとは違い駆け出しの冒険者なども実力を履き違えて突入、そのまま言葉返さぬ死体と化し、そしてかつての仲間たちを襲う悪鬼羅刹へと姿を変えてしまっていた。
「そ、そんな‥‥こんなこと、あってはいけないワン‥‥」
 ボロボロのわんドシ君スーツを身に纏っているわんドシ君が、目の前で日本刀を構える女性に向かってそう呟く。
 その人は、友であった。
 だが、ここに来て倒れ、そして悪鬼羅刹と成り果て、友であったわんドシ君に向かって凶刃を振るっていた。

 ここは正に、阿鼻叫喚の世界‥‥。



●そして外の世界
──シャルトル・ノルマン江戸村
 ノルマン江戸村近郊の森にて発見された不可思議な塔。
 徘徊する魔物たちは、未だ知られていないものが多く、その対応にもかなりの時間が要している。
 さらに付け加えると、『攻勢防壁』により、戦闘方法がかなり絞られてしまっていることにも要因がある。
 
 さて。
 先日、冒険者の手によって第11階層まで攻略された。
 そして数日後、『砂の回廊』をクリアした一行は、次の回廊へとたどり着いた。
 そこは今までとは違い、只の迷宮回廊へと姿が変化している。
 そして再び徘徊を開始した、異形の魔物たち。
 それらの中には、かつて冒険者達を苦しめていたアサシンガールや、死に別れてしまった友や仲間などが、敵として徘徊を始めている。
 そして塔にはめ込まれていた金色のプレートに書き込まれた古代魔法語は、以前と全くかわらぬときを刻んでいる。
 それは以下のとおりである。

──────────────────────
 塔に昇るものへ 
 さらなる階層に向けてのヒントをあげよう。

・一つの階層につき、上に昇る為の階段は一つのみである。鍵を探し出し、扉を越えて階段の間へと向かえ。

・階段の間に向かい、上の階に向かうには、『守護者』を倒さなくてはならぬ。
 命惜しくば、階段の前は近寄るな。

・各階層には、様々な魔物が徘徊している。
 命惜しくば、塔には挑まぬよう。

・守護者の回廊では、よけいな事を考えることなかれ。倒さなければ先へは進めず。

・この塔及びアビスの犠牲者たちの魂は、速やかに地獄へと送り届けさせて頂く。
 あの御方が今一度復活なされる糧として‥‥。


──────────────────────

 そして、これらを見た冒険者達が次々と試練を受けるべく向かったのだが、その殆どは負傷し、帰還していた。

 さて。
 この怪しげな塔。
 攻略しますか?
 それとも‥‥。

●今回の参加者

三笠 明信(ea1628)/ クリス・ラインハルト(ea2004)/ ロックハート・トキワ(ea2389)/ アハメス・パミ(ea3641)/ ラシュディア・バルトン(ea4107)/ バーク・ダンロック(ea7871)/ 壬護 蒼樹(ea8341)/ サクラ・フリューゲル(eb8317)/ セイル・ファースト(eb8642)/ 鳳 爛火(eb9201)/ シェセル・シェヌウ(ec0170

●リプレイ本文

●見果てぬ世界
──ノルマン江戸村・のるまん亭
「‥‥つまり、あの塔の中には、かなりの数の冒険者の死体が徘徊しているって言うことか?」
「そうだワン。それも、ここの塔に挑戦した『塔挑者』や、他の地区で犠牲になった大勢の人々の死体が徘徊しているワン」
 壬護蒼樹(ea8341)のその問い掛けに、わんドシ君が静かにそう告げる。
 そこはノルマン亭。
 これから塔に挑戦するにあたって、蒼樹は挑戦者であったわんドシ君から様々な情報を聞いていた。
 そしてそれらの中には、特に有益という情報はなかったものの、今まで戦っていた『悪魔や混沌の申し子』とは違った、『元人間であったもの』や『操られている冒険者』といったものが相手の戦いが待っているということは理解できた。
 それゆえ、ここから先の戦いが実にやりにくい事になっている。
 悪魔やそれらの類ならば、おおよそタイプが判れば能力も想像がつく。
 だが、相手が人間ともなると、知っているものではない限り、最初のうちは『腹の探りあい』から始まる。
 その後全力を持って相手をしなくてはならないが、こと相手が人間となると、何処かでリミッターが掛かってしまう。
「まあ‥‥知り合いが出てこないことを祈るしかないですか‥‥」
 そう呟く蒼樹に、わんドシ君は静かに肯いた。

──その頃の別テーブル
 静かな酒場‥‥
「だからな、アサシンガール達の戦闘能力については、俺がレクチャーした時代からかなり変化していると思う。動体視力が発達しきっていない為、ブラインドアタック系は確かに昔は効果があったと思うが‥‥」
「でも、それは過去の話し、いま現在の戦闘能力の指標が知りたいのです。悪鬼さんの見立てでは、どの程度まで仕上がっていると思いますか?」
「さあな。まあ、仮想アサシンガール程度なら、この俺で練習してみるか?」
 ああっ、訂正。
 とても騒がしい酒場の風景でした。
 ということで、ノルマン亭では、三笠明信(ea1628)と悪鬼が、対アサシンガール戦の打ち合わせ行なっている。
 その近くでは、クリス・ラインハルト(ea2004)とラシュディア・バルトン(ea4107)の二人が複雑な表情で食事をしていた。
「まあ、油断をしていると首が飛ぶ。それだは確実だが、気を付けた方がいいな‥‥」
 ロックハート・トキワ(ea2389)が仲間と打ち合わせを行ないつつ近くにやってきた。
「まあ、このペンダントを使わずにすめばいいのですが‥‥」
 クリス・ラインハルト(ea2004)は静かにそう呟くと、手にしたペンダントをギュッと握り締める。
「いずれにしても、本気で戦わないと殺られる‥‥」
 武具の手入れを行ないつつ、アハメス・パミ(ea3641)がそう告げる。
 このメンバーの中では、数少ないアサシンガールとの一騎打ちを体験している彼女。
 それゆえに、彼女達の強さについてはよく理解している。
「‥‥まあ、最悪の時は‥‥」
 と呟きつつ、ラシュディアは言葉を呑み込む。
 魔導師として、仲間たちの情況を把握するのも仕事。
 それゆえ、感傷に捕われて身動きできない仲間のサポートも考えなくてはならない。
「阿修羅よ。我等が神の力、アサシンガール達に振るうことを御許しください‥‥」
 そう祈りを捧げつつ、バーク・ダンロック(ea7871)が呟く。
 相手は暗殺者であったアサシンガール。
 ならば、それはすなわち悪。
 阿修羅の教えとして、排除すべき対象。
 そのまま静かに瞑想に入るバークであった。

──一方その頃
 ノルマン江戸村の停車場では、サクラ・フリューゲル(eb8317)が人待ち状態。
「遅いですね‥‥なにか在ったのでしょうか‥‥」
 パリでは色々と打ち合わせをシていたものの、その相手がノルマン江戸村までまだやってこない。
 何かあったのではないかと不安がよぎったものの、それでも時間が許す限りサクラは待ちつづけていた。
──ガラガラガラガラ
 と定期馬車が到着する。
「ふう‥‥ようやく来ましたか‥‥」
 と呟いて馬車から降りてくる人をじっと見ている。
 だが、目当ての人は乗ってきていない。
「あ、爛火さん、彼は同乗していなかったのですか?」
 と、馬車から降りてくる鳳爛火(eb9201)に問い掛けるサクラ。
「いえ、この馬車に乗っている冒険者はボクだけですけれど‥‥」
 とサクラに告げながら馬車から降りてくる。
「おいおい。もう一人冒険者は乗っているだろう‥‥」
 と最後に降りてきたシェセル・シェヌウ(ec0170)が困った表情で呟く。
「あ、シェセルさんお疲れ様です。ということは、今日はもう無理ですね‥‥」
「このあと明日にはこっちからパリに定期便が走る。それが到着して、折り返してくるまでの時間考えると、今回は間に合わなかったのだろう‥‥」
 というシェセルの言葉に、サクラは静かに肯く。
 そして到着した仲間と共に、酒場へと向かっていった。



●戦場はまさに地獄でした
──黙示録の塔・突入〜12階層
「はあはあはあはあはあはあはあはあ‥‥」
 息を切らせつつ、その場にうずくまるバーク。
 その手には真っ赤に血塗られた武器が握り締められていた。
「クリスたちの怪我の具合はどうだ?」
 そう叫ぶアハメス。
 この部屋に突入するまでに、一行はかなりの怪我を負っていた。
 第12回廊から、徘徊している魔物の質がガラリと変化していた。
 こちらの攻撃を受けててもなおも立ち上がり攻撃を仕掛けてくる『漆黒の4ツ手』。
 今までとは違い群れで攻撃をしかけてくる『琥珀獅子』。
 そしてみたことのない異形の龍人。
 それらが様々な魔法や武器を巧みに操り、次々と攻撃を仕掛けてくるのである。
 バーク達以外のチームも幾つか突入していたのだが、彼等はすべて塔の中で倒され、そして彼等の下僕として蘇っていた。
 そんな仲間だったもの達が、もっとも厄介な敵となってしまっていたのだから、戦いにくいということではトップクラスであろう。
 それでも一行は次の回廊へと進む階段を探し、そして守護者を叩き伏せる。
 第12回廊で戦った相手は『双子のアルジャーン』。
 連携での攻撃に後衛の者たちも次々と切り捨てられていた。
 だが、その攻撃の全てが『わざと致命傷を避けていた』と、三笠は感じ取っていた。
 それが一体なぜなのかは判らない。
 だが、そんな双子をバーク達はどうにかねじ伏せた。
 いや、正確には『わざと殺された』のであろう。
「どうして‥‥どうしてなの‥‥」
 手当を終えたクリスが、倒れているアルジャーンに近寄っていく。
「死ぬ‥‥事で‥‥解放されるから‥‥ありがとう‥‥」
 ニコリと微笑みつつ、アルジャーンは静かに息絶えた。
「戦って死んで‥‥ようやく終ったと、ようやく自由になったと思ったら‥‥また無理矢理生き返らされて‥‥これかよっ!!」
 ダン!! と壁を叩くラシュディア。
「相手は悪魔なんだから‥‥私達の心の弱い部分を付いてきます‥‥ですから‥‥」
 サクラがそう告げると、静かに肯いて立上がるクリス。
「それじゃあ行こう。囚われている魂を助けにな‥‥」
 マントを翻し、ロックハートがそう呟く。
 そして上に向かう階段を駆け上がると、すぐさま第13回廊へと飛込んでいった‥‥。


●そして魂の解放を
──第13回廊〜第21回廊
 すでにメンバーの殆どが満身創痍。
 ここに至るまで、どれぐらいの時間が経過したであろう。
「で‥‥ここから先が、問題のエリアなんだな?」
 そうぼろぼろのマントをきた人物に問い掛ける壬護蒼樹(ea8341)。
「ええ。ここから先がアサシンガールのテリトリーです。俺にはここから先の案内は出来ませんけれど‥‥かなり厳しい戦いが待っていることは確かです」
 そう告げるのは、ぼろぼろの衣服に身を包んだピエール。
 第18回廊の守護者であったピエールだが、あっさりと負けを認めてギブアップ。
 そのまま一行の水先案内人として同行していたらしい。
 それでも戦いは激しかった。
 セーラとタロンの加護もそろそろ届かず、怪我の治りも遅くなっている。
 疲労もそろそろ限界。
 すでにかなりの数の守護者を倒してきた。
 これ以上の侵攻は危険とラシュディアは判断した。
「よし‥‥ここで1度戻ろう。怪我を癒し体力を取り戻してから、もう一度突入するほうがいいだろう‥‥」
 そう告げると、一行は静かに肯く。
 先頭力の低下は著しい。
 すでに魔法のバックアップも不可能、治療に必要なクスリも底を突いている。
「そのほうがいいじゃろう‥‥」
 と先の廊下で呟く声が一つ。
「ふぅ‥‥あんたまで生き返らされていたのか‥‥」
 と、ラシュディアは穏やかな表情を見せる。
 その向こうには、懐かしいロイ教授の姿があった。
 じっと静かに立ちつつ、ニコリと笑っているロイ教授。
「久しいなあ‥‥あんたもかい」
 ロックハートも笑いつつ呟く。
「ここから先はアサシンガールと悪魔の巣窟。それなりの装備をしてきた方がいい。それと‥‥」
 と告げて、ロイ教授がラシュディアに一本のスクロールを投げてよこす。
「それを解析してくれ。そこに記されている魔法陣でこの黙示録の塔を囲み結界を成せ。悪魔達の力を削ぎ落とす効果がある‥‥」
 そう告げると、ロイ教授は静かに振り返る。
「じいさん、もどれないのか?」
「うむ。この塔からは出られぬ。この塔のなかでのみ生き長らえる『かりそめの魂』じゃからなぁ‥‥」
 と呟く。
 そして静かに消えていくのを確認すると、一行は守護者の間を目前にして、そのまま帰還することにした‥‥。

 そして。
 ラシュディアの受け取ったスクロール。
 それには、6大精霊の魔力を用いた巨大魔法陣についての説明が記されていたのだが。
「あーーーーっ。精霊力が足りねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。起動に必要な精霊力が足りなすぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」 
 と酒場で絶叫するラシュディアの姿があったとかなかったとか。

 なにはともあれ、がんばれ。

──Fin