●リプレイ本文
●デザートストーム
──エジプト・カイロ
まず。
一行は出発前にミハイル研究所を訪れた。
その目的は、ミハイル教授の足跡を辿る為、第一助手であるシャーリィ・テンプルに、教授のむかった先等について心当りがあるのなら教えて欲しいと頼みにやってきていた。
そしてシャーリィ曰、ミハイル教授の足取りは以下の通りらしい。
・ノルマンから月道にのり、エジプトのアレキサンドリアへ。
・そしてそこからさらに、ミハイル教授の向かったと思われるカイロへと移動。
・カイロでは、馴染みの道案内を頼んで砂漠へと移動。目的地はメンフィス。
・さらにそこから、今回の目的である『未探査のピラミット』の調査となっている。
問題は、そのメンフィスから何処に向かったか。
カイロにいた筈の『馴染みの道案内』にそれを尋ねれば判るかも知れないが、まだ教授と一緒の可能性もある。
それでもなにも判らないよりはマシと、一行はカイロまでやってきていた。
「‥‥随分と懐かしい風景だな」
「ええ。ついこの前も来たような気がしますけれど、久しぶりの故郷ですね」
シェセル・シェヌウ(ec0170)とアハメス・パミ(ea3641)がにこやかにそう告げる。
と、先に教会まで情報収集に向かっていたエミリア・メルサール(ec0193)が合流。
「どうやら、ミハイル教授はここの教会を訪れてはいないようですわ。見掛けた方はいらっしゃいましたけれど、本当にバザーで買い物をしていたとか、そういうのばかりですね」
と告げるエミリア。
やがて、バザーまで聞き込みに向かっていたラムセス・ミンス(ec4491)も合流。
「ミハイル教授の雇っていた道案内は、ここの街では結構有名な人らしいデスね。メンフィスで教授と分かれて、ここに戻ってきていマスよ」
と告げるラムセス。
「なら、とりあえずその人に話を聞いてみるのが早いか‥‥」
と言うことで、一行は話しに出てきた道案内の棲む区画へと移動していった。
●無謀と勇敢を履き違える
──カイロ・居住区画
「ああ、ミスターミハイルね。エジプトに来たときは必ずガイドと道案内をしているから、何処に向かったかまではっきりと判るよ」
と道案内のアッサイイド(男性・41歳・既婚)が一行に告げる。
「御願いします。そこまで連れていって頂けませんか?」
そう告げるシェセルに、アッサイイドは一言。
「一人10G。食事と水を付けるならさらに5G。ラクダの手配ならさらに5G。徒歩なら現地まで15日だな」
おおっと、ここにきていきなりの交渉ですか!!
「ち、ちょっと待った。高くないか? 馬車を使えば、メンフィスまで街道経由で1日、5Gでつくだろう?」
と突っ込みを入れるラムセス。
「それは公的交通機関だぁね。ガイド料金と手数料、それは譲れないよ。どうする?」
「‥‥一人20G、4人なら80Gですか‥‥」
溜め息をつくアハメス。
「と、ちょっとまった、船なら? この時期は川も増水しているから、カイロからメンフィスまではそれほど掛からないだろう? メンフィスまで6時間ちょい、金額も1G前後じゃなかったか?」
シェセルの突っ込みに、アッサイイドはさらに一言。
「俺、船嫌いでね‥‥陸路で頼むわ。どうする?」
とまあ、そんな交渉もありましたが、とりあえずミハイル教授が発見された場合はそのままミハイル払いと言うことで、一行はラクダに乗ってのんびりとカイロを出発しましたとさ。
●持病が‥‥
──メンフィス・ピラミット調査隊詰め所
ここメンフィスは巨大な3つのピラミットを一として大小様々なピラミットがあります。
ここの管理をしているのは、現在はカイロから出向してきた政府の役人達と、同行している考古学者達。
その中でも、ザビー教授とジャパンからやってきた吉村教授はかなりの知識人ということらしく、一行は彼等とミハイル教授が接触していないかを尋ねに向かったらしいのだが‥‥。
「ああ、ミハイル教授ね。未調査のピラミットを探しに、ここからさらに南に向かったですよ」
「ここから更に南ですか。大体どれぐらいかかれますか?」
とザビー教授に問い掛けるシェセル。
「あと1日ぐらいだね。向うに付いたら、オアシスに幾つかの宿屋と店が集まった場所が在るから、そこでミハイル教授を探すといい。多分そこに逗留している筈だからね」
とザビー教授に告げられて、一行はさらにラクダで南へと移動。
──メンフィス南の小さいオアシス
そこに到着したのはすでに日も暮れていた時間。
空には満天に輝く星々と月が瞬いている。
「とりあえず宿を取りマスか‥‥」
と告げつつ、ラムセスが近くの宿に入っていく。
そのままカウンターで受け付けにまだ部屋があるかどうか尋ね、とりあえず4人分の部屋を確保。
そのまま全員がチェックインし、荷物を部屋に置いて来て一階にある酒場に集合ということになった。
──そして
「ミハイル教授がここに泊まっているのは確認しました」
とエミリアが受付から聞き込みしてきた。
「ふうん。で、ミハイル教授は?」
「今朝方、助手の方と出かけたそうです。受付の話しによりますと、調査に向かったのなら大体1週間は戻らないそうで‥‥」
と告げる。
「マジかよ‥‥時間の関係上、明日一日しか調査する時間はないぞ‥‥」
「取り合えずは、今日の所は周辺と酒場での聞き込みしかないだろうな‥‥」
と告げると、アハメスは静かに立ち上がった。
「う、うーむ。ここの一角、この当たりの地盤を掘り下げれば、あるいは‥‥」
「なら、俺はこの辺りの遺跡について聞いてくるとするか‥‥」
そうラムセスも告げつつ立ち上がる。
「そう、この辺りの遺跡はあらかた調べたからのう‥‥あと残っている場所といえば‥‥」
「それにしても、教授は一体どこにいるのだろう‥‥」
「ふむ。ここにいる教授以外の教授がいるとは、実に興味深いのう‥‥フォフォフォフォ‥‥ジョディ、予備の羊皮紙を」
「はいはいまったく。こんな所の調査は止めて、とっととノルマンに帰ったらいかがですか?」
「ああ全くだ‥‥教授、こんな所にいたのですかい?」
と、シェセルは先程からずっと聞こえていた奇妙な声の持ち主を捜していた。
それは自分たちのテーブルのすぐ後ろに座っていたミハイル教授そのものであった。
「ほほう、シェセルではないか、こんな所で会えるとはのう‥‥」
「教授、貴方がパリから姿を消して、一体どれぐらい時間が経ったと思っているのですか? みなさん心配していますよ?」
エミリアもなみだを浮かべつつそう告げる。
「ふむ。調査に出ると告げていったから、特に問題はないと思ったのぢゃが‥‥心配をかけたようぢゃのう‥‥」
と告げつつ頭を下げる。
「まあまあ、教授も無事な事ですし、とりあえずは再会の乾杯と行きませんか!!」
ラムセスの言葉に肯くと、取り敢えず全員で乾杯。
其の日は日が昇るまでみんなで飲み明かしていた‥‥。
そして翌日。
まだ調査を再会するミハイルに、一行は同行していった。
ミハイル教授はというと、今日の午後に1度カイロへと戻り、皆と一緒にノルマンへと帰国するらしい。
その後、再びエジプトにやってくるかどうかはまだ未定らしい。
最後に調査した遺跡は、ミハイルの求めていた遺跡ではない。
それは古い王家の墓、眠っているであろうファラオの名前については、それを示すカルゥーシュの名前部分が何者かによって削り取られていたらしく、まったく判らない。
「名も無きファラオか‥‥どれ、1度資料だけ持って、ノルマンへと戻るとしようかのう‥‥」
と告げると、幾つかの副葬品をカバンに仕舞い込み、そのまま遺跡を後にした。
そして一行は、無事にミハイルと共にノルマンへと戻っていったのだが‥‥
「ミハイル教授、ロード・ガイについての資料などはどうでしたか?」
「うむ。鎧や剣など、かなり発掘できたが、全て売り飛ばしたわい!!」
「は‥‥いま、なんと?」
「滞在費が底をついてしまってのう。碑文などを写し取ってから、それらは売り飛ばしてしまったわい!! フォッフオッフォッフォッ‥‥」
と高らかに笑うミハイル。
ああっ、シェセルが真っ白に燃え尽きてしまっている!!
──Fin