【精霊の宴】契約と盟約を再び

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月14日〜12月24日

リプレイ公開日:2009年12月23日

●オープニング

──事件の冒頭
 全ての精霊達よ。
 我が前に集いて契約を行使せよ‥‥
 全ての王たる6つの精霊よ。
 我に集いて力を示せ。

 力強き大地の王よ。
 かの地を護り、全ての生きとし生けるものに加護を与えたまえ。
 そして、偉大なるこの『大地の魔剣』に、汝の力を与えたまえ。

 大いなる水の王よ。
 全ての水を護り、我等に水からの恵みを与えたまえ。
 そして清らかなるこの『清水の靴』に、汝の力を与えたまえ。

 雄々しき炎の王よ。
 生きる為に必要な火の加護を、正しき者たちに与えたまえ。
 そして力強きこの『灼熱の楯』に、汝の力を与えたまえ。

 美しき風の女王よ。
 人々に清らかなる護りと恵みを授けたまえ。
 そして賢きこの『知識の額冠』に、汝の力を授けたまえ。

 荘厳なる太陽の王よ。
 この世界の全てに、命の輝きを授け、それらを護りたまえ。
 そして美しきこの『陽炎の羽衣』に、汝の力授けたまえ。

 尊く気高き月の女王よ。
 この世界の全てに、やすらかなる死と眠りを与え賜え。
 そして優しきこの『月の鎧』に、汝の力授けたまえ‥‥。


 それはとある場所での儀式であった。
 ノルマン江戸村の刀匠・クリエムの作りし6つの武具に、賢者レナード・プロストが精霊付与の儀式を行なっていたのである。
 6つの偉大なる精霊を召喚し、精霊球と呼ばれるオーブにその力を封じ込める。
 それを用意された全ての武具にはめ込み、最後に6人の精霊王を召喚し、契約を施す。
 儀式は6日間続けられ、その間、一睡もする事を許されず、ただひたすらに儀式は執り行われた。
 そして最終日、全ての儀式は完了し、新たなる『精霊武具』がこの世界に生み出されたのである。

──そして翌日
 其の日、プロスト邱はとんでもない事になっていた。
「ち、ちょっとまってくれ師匠‥‥もう1度説明してくれないか?」
 プロスト卿付魔導師(不肖の弟子)が、静かに居間でハーブティーを飲んでいるプロスト卿にそう問い掛ける。
「まあ、簡潔にいうとだ。先日完成した精霊武具、全て盗まれた‥‥」
 のんびりとした口調でそう告げるプロスト卿。
「じ、冗談じゃないですってば‥‥どうしてそう冷静になれるんですか!!」
「まあ落ち着け。精霊のことわりを知り、精霊との契約を行なっていないものでは、あれを自在に使いこなすことはできない‥‥そのうち発見されるだろうさ‥‥」
 とのんびりとしたものである。
「はあ‥‥まあそれならいいのですが‥‥」
 と告げて、弟子もまた外へと出ていった。
 しかし、あいかわらず危険なことしているな、ここの賢者は。

●今回の参加者

 ea1542 ディーネ・ノート(29歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea1585 リル・リル(17歳・♀・バード・シフール・ノルマン王国)
 ea2004 クリス・ラインハルト(28歳・♀・バード・人間・ロシア王国)
 ea2389 ロックハート・トキワ(27歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea2884 クレア・エルスハイマー(23歳・♀・ウィザード・エルフ・フランク王国)
 ea4107 ラシュディア・バルトン(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea6536 リスター・ストーム(40歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 eb5357 ラルフィリア・ラドリィ(17歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 eb8317 サクラ・フリューゲル(27歳・♀・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ec0713 シャロン・オブライエン(23歳・♀・パラディン・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ec5385 桃代 龍牙(36歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 ec6513 タチアナ・ルイシコフ(21歳・♀・ウィザード・エルフ・フランク王国)

●リプレイ本文

●盗難事件らしいですが?
──ノルマン江戸村・プロスト邱
「ここに保管していたのですか‥‥」
 広い執務室。
 その中央で、ディーネ・ノート(ea1542)は周囲をまじまじと見回していた。
 どこをどう見ても普通の執務室であり、盗難防止用のなんとかとか、万が一用の魔法的結界とか、そういうものは全くといっていいほど皆無であった。
「ふみゅ‥‥昔、破滅の魔法陣の起動の時に、紋章剣が生贄になった事があるんだよね〜?
 今度は精霊武具を生贄にして、また魔法陣を起動させたりしちゃわないかな〜?」
 と心配そうに側で立っているプロスト卿に話し掛けるリル・リル(ea1585)だが。
「まあ、破滅の魔法陣は起動しないでしょうから、安心していますけれどね」
 と呟くプロスト卿。
「それはまたどうして?」
 と問い掛けるラシュディア・バルトン(ea4107)に、プロスト卿はただ一言。
「書庫、儀式魔法の実践、48ページ、儀式の条件」
 と呟く。
──ポム
 と手を叩きつつ、ラシュディアが一言。
「ああ、破滅の魔法陣の起動条件が、あれを生み出した悪魔の魔力か。ベルフェゴールとその眷族、それも上位の魔力が無いと無理ということだな?」
 と思い出したように告げるラシュディア。
「ということです。ベルフェゴールとアリオーシュがこの世界より離れた以上、もう破滅の魔法陣は起動しませんよ」
 と告げるプロスト卿。
「まあ、盗み出したのは女性のようだし、それほど遠くには言っていないとおもうぞ。プロスト卿、魔法武具っていうのはかなり重くてかさばるものなんだろう?」
 とリスター・ストーム(ea6536)が問い掛ける。
「ええ。ですが、どうして盗み出した人物が女性というところまで判るのですか?」
「髪の毛だな、金髪の長髪。で、ほんのりといい香りが残っている。この香りはパリの調香師の屋敷で嗅いだことがある高い香水だな」
 と呟くリスター。
「随分と詳しいな‥‥」
 と窓辺を調べているロックハート・トキワ(ea2389)が問い掛ける。
「そりゃあうもう。あそこの跡取りのお嬢さんがこれまた美人で‥‥こう‥‥出っ張って引っ込んで‥‥それでまた‥‥グフフフフッ」
 何かを思い出して笑っているリスターは置いといて。
「それでだプロスト卿。犯人は組織で行動しているな。窓の外に3つ足跡を見つけた。で、それが全て大きさの異なっているものだ。一つは女性、残り二つは男性で間違いないだろう‥‥」
 以上、ロックハートの推理でした。
「リスター、そこのお嬢さんの身辺は調べられるか?」
「ああ任せておいてくれ。このオレサマの絶妙なるテクニックで、かならず堕としてみせる!!!」
 いや、リスターそれ違う。
「ということだ。俺は裏をあたってみることにする‥‥」
 とロックハートもまた外に飛び出す。
「‥‥この手の仕事となると、随分と気合が入るな‥‥あのふたり」
「そうですねーー。なんていうか、天職のようですねーーー」
 ラシュディアの呟きにディーネがそう呟く。
「プロスト卿、ちょっと教えて欲しいのですけれど」
 と問い掛けているのはラルフィリア・ラドリィ(eb5357)。
「ええどうぞ」
「武具作成をすることを知っている人、また知ることができる人を教えてほしいの。価値が分かる人じゃないと盗まないですから‥‥価値が分かる人で知りたがった人いない?」
 と問い掛ける。
「そうですねぇ‥‥」
 としばし思考していた後、プロスト卿はポンと手を叩く。
「武具作成するのを知っているのは、おそらくこの村の人は大体知っているでしょうねぇ。使用した武具は概ねクリエムさんのとこの工房で作って頂いた特注品ですし。それは皆知っていると思いますよ」
 と告げると、ラルフィリアが頭を抱える。
「その中で価値の判っている人は?」
「さあ? この村には魔導師は私以外いませんからねぇ‥‥あ、わんドシ君も魔導師ですか?」
 いや、あいつは色々。
「で、では、その秘儀を知りたがっていた人は?」
「この村では皆無ですねぇ‥‥良い意味で純朴な人たちですから。まあ、私がそのような事をしているという話でしたら、恐らく魔導師ギルドにも噂として流れているでしょうね。」
 もう犯人を絞る込むのはほぼ不可能という情況。
「よーちゃんよーちゃん。ここまでの情報で、犯人を絞り出すことはできますか?」 
 と近くに座っている陽精霊に問い掛けているサクラ・フリューゲル(eb8317)。
 と、よーちゃんはコクリと肯き、建物の外に飛び出すとサンワードを発動。
「パリの方向で、パリまでぐらいの距離‥‥」
 なんて判りやすい。
 そう呟くよーちゃんをギュツと抱しめると、サクラは全員の今の話を説明。
「それじゃあ私か最後のひと押しを」
 と呟いているのはタチアナ・ルイシコフ(ec6513)。
 儀式の執り行われた地下室に向かうと、そこで床に血による魔法陣を形成。
「我が友 力強き大地の精霊よ、我は汝等と契約せし者なり。契約の元、我が呼び声に答え現れ出でよ!」
──ポムッ
 と、姿を表わしたのはアースソウル。
「良く来てくれたわね。ありがとう。賢者レナード・プロスト卿が儀式を行い新たに作られた精霊武器が、何者かの手により盗まれてしまったの。人と精霊の友好を崩さぬ為に、何か良からぬ事に使われない内に何としても探し出したい‥‥お願い、あたしに力を貸して頂戴。偉大なる精霊の王達の力が封じ込まれた物故、何か力の残照を‥‥探すための手掛かりになりそうなモノを感じ取れないかしら?」
 そう告げるタチアナに、アースソウルは身振り手振りで何かを伝えていた。
「闇の‥‥売買か‥‥暗い倉庫‥‥それだけですか」
 そう告げてスッと姿を消すアースソウル。
「少なくとも、ここでは無いことは大体判りました。ここまでの情報を照らし合わせて、一度パリへと向かってみましょう」 
 と威勢よく告げるタチアナ。
 ということで、一行はそのままバリへと向かう事となった。



●古き遺跡の誘い
──ミハイル研究室
「ふむ。わしがどうやってここに戻ってこれたのかということぢゃな」
 居間でハーブティーをたしなみつつ、ミハイル・ジョーンズが来客である桃代龍牙(ec5385)にそう問い掛けていた。
「色々とミハイル教授に教えて戴きたく思い馳せ参じた次第です」
「ほうほう感心な。で、どんなことを教えればいいのぢゃ?」
 と桃代に問い掛けるミハイル。
「ではまず最初に。月道が復活する前にどうして帰ってこれたのですか」
「ワシ、全ての精霊武具と契約していたから、それを集めて帰ってきたたけぢゃよ」
 とあっさり一言。
「成る程。では、ミハイル教授の所見で何故俺達が呼ばれたと思うか」
 ちなみに桃代は天界人。
 彼等がどうしてこの世界にやってきたのか、その理由が全くもって不明であった。
「それについてはワシは知らぬ。アトランティスにいた時代は、それらの答えは全て一つであったではないかの」
 と告げる。
「全ては竜と精霊の導き‥‥ですか?」
 その桃代の言葉に肯くミハイル。
「ふう。では、海の彼方にあるという海神の神殿について何か知らないか。もしくは彷徨う小島みたいなものがあれば知らないか」
「数が多すぎてどうにも。まあ後日、それらについては色々と教えてやろう」
「それは助かる。精霊契約もそうだが海底の神殿とかって、ロマンだろう?」
 とにこやかに告げる桃代であったとさ。


●異端審問の影
──パリ・ニライ邱
「そ、それじゃあ異端審問達は全ておとがめなしなのですか?」
 そう驚いた声を出しているのはクリス・ラインハルト(ea2004)である。
「うむ。ちょっとした手違いでね‥‥ヨハネスの動乱に荷担していた一行は全て犯罪者として捉えられた。が、それらの身柄の引渡を『エヴァンシジル教会』が求めて来たらしい」
 その説明にクリスが驚く。
「そ、それでどうなったのですか?」
「全て引渡となった。あの動乱のさ中に命を落とした人たちの埋葬先としても、エヴァンシル教会が引き受ける事になったらしい‥‥これがそのリストだが‥‥」
 と手渡された一本のスクロール。
 そしてクリスはしばしそれらを読み込んでいた。
 そしてその途中から、ポロポロと瞳から涙が溢れていった。
 捜していた『竜の民の夫婦』。
 そのふたりの死亡が確認されていたのである。
 詳しく読み込んでみると、ふたりはあの動乱に巻き込まれ、セフィロト騎士団直下の自警団によって殺されたらしい。
 その遺体はエヴァンシル教会にて埋葬されたようだ。
 遺留品などは一切なく、身につけていた荷物も全て廃棄処分されたらしい。
「ひ、酷い‥‥まるで都合の悪い事を全て揉み消しているみたいです‥‥」
 そう涙声で告げる告げるクリスであった。


●そして逃亡
──パリ・件の盗賊団のアジト
 一通りの調査を終えた結果。
 プロスト卿の精霊武具を盗み出したのは、ここ最近になって名前が広がっていった3人組の盗賊団らしいことは判明した。
 そしてそのアジトがドレスタットにある事、後日盗み出した精霊武具が全て闇オークションに出品されることまで確認した。
 ロックハートがどうにか出品の中から『月精霊縁のペンダント』というアイテムを回収し、それによりサクラは月精霊との契約を完了させた。
「で、このあとはドレスタットまで向かい、アジトに突入。奪われた精霊武具を全て回収するということで問題はないんだな?」
 パリの冒険者酒場で、シャロン・オブライエン(ec0713)がそう一行に告げる。
 ちなみにシャロンもまた、プロスト卿の力を借りて地の精霊との契約を完了させていいた。
 既に全員殺る気十分。
「女性については俺に任せろ。快楽の中で‥‥グフフッ」
 いや、そこはリスターに任せる。
「アジトの地図は盗賊ギルドから借りてきました。パリの盗賊ギルドでも、彼等のやり方があまりにも酷いため除名になっているそうです」
 ディーネが地図を広げてそう告げる。
「その場所については、サン太さんからも教えてもらったのー。ただしい場所で、今、そこに精霊武具があるって教えてくれたのー」
 リル・リルも情報収集完了。
「上位精霊を感知するオーブを魔導師ギルドから借りてきました。これでどこに逃げても、追尾する事が出来ますわ」
 とクレア・エルスハイマー(ea2884)が告げると、いよいよ全員で目的地であるドレスタットへと向かうことになった。

──そして
 後日。
 この精霊武具奪回作戦は誰にも知られることなく、その事実は闇に葬られることとなった。
 突然の冒険者の襲撃に、盗賊達は成す術もなく降参。
 盗み出した精霊武具や様々なマジックアイテムなどを押収、それらは全て持主の元へと戻されることとなった。
 プロスト卿の元にも無事に精霊武具がもどり、事件は一段落となった。
 ただ、この争いの中で、クリスは静かにサン・ドニ修道院で礼拝を行なっていた。
 知らずに死んでいった竜の民ふたりの冥福を祈る為に‥‥。
 まだ、大勢の人たちが戦災によって不幸な目にあっている。
 そんな不幸が、一つでも少なくなりますように‥‥。

──Fin