ギュンター君の冒険1 〜できるかな?〜

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 21 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月23日〜10月01日

リプレイ公開日:2004年09月27日

●オープニング

──事件の冒頭
 それはある日の夕方。
 仕事を終えて家路を急ぐ者、冒険に出発するために乗り合い馬車で街を離れる者など、あちこちに人影がちらほら見えてくる。

「はぁ〜。今日は何も無くて暇ねぇ〜(ダレている)」
 とまあ、薄幸の受付嬢がカウンターの奥でダレている。
 昼過ぎには、ここパリから片道3日の所にある村の墓守から、アンデット化した死体を穏便に処理(まあ、退治)して欲しいという依頼があった。
 それをまとめて掲示板に掲げてみたが、その日はとにかく暇な為、だれもその依頼には見向きもしなかった。

──コンコン
 カウンターをコンコンと叩いて受付嬢を呼ぶ依頼人。
「あ、すいません。只今参りますわ」
 そう告げながらカウンターに向かうと、羊皮紙とペンを手に取り、受付嬢が依頼人の方を見る。
 そこには、身長1.4m程の全身をマントに来るんだ子供がいた。
 帽子を被り、顔には仮面。
 はっきり言って、とにかく怪しい。
(‥‥なんで、私がカウンター担当の時は、こんな依頼人しか来ない訳?)
 まあ、それも運命。
「あのー。真に申し訳ありません。身元を示す何かがないと、依頼は受けかねますが‥‥」
 そう告げる受付嬢に、その子供は一通の手紙を差し出した。


●手紙
 依頼を御願いしたい。
 依頼内容は『ギュンター君』を冒険者としてデビューさせるための手伝い。
 ギュンター君は、とある氏族から逸れた可哀想な子供。
 私が引き取って育てていたのだが、やはり人間社会にはまだ彼を受け入れてくれる場所は存在しない。
 そこで、彼等の氏族にも邪悪でない者が存在する事を証明したい。
 その方法として一番手っ取り早いのが、ギュンター君を冒険者としてデビューさせる事と私は考えた。
 そして、自分の持てる力を注いでギュンター君を育ててきた。
 御願いだから、ギュンター君を一人前の冒険者にして欲しい。
 よろしく御願いします。
 
         トール・グランツール


●ということで
 依頼人のトール氏は、パリ郊外で『動物の調教師兼宝石細工師』を行なっている、ピンポイント有名人。
 余りにも無口で、人前で話をしている所を見た人はまず居ないという。
 彼の依頼ならばということで、受付嬢が依頼書を代筆開始。
「という事は、貴方がギュンター君?」
 受付嬢は、目の前の子供にそう話し掛けた。
「ウホッ!!」
 あ、人間の声で無いし。
「んーーーー。氏族って書いてあるわよね? 貴方人間?」
 その言葉に、頭を捻るギュンター君。
「うーーーん。オマエ、オーガ?」
 あ、受付嬢さんが壊れた。
「ウガウガ!!」
 頭を縦に振るギュンター君。
 そして意味、なんとなく通じているし。
 その為、依頼書にはさらに捕捉が付け加えられる。
「なお、ギュンター君は人の言葉を余り理解できませんので、そこの所を踏まえて‥‥と」
 そして受付嬢は、依頼書を掲示板に張り詰けた。
「‥‥ギュンター君、頑張ってね」
「ウガッ!!」
 そして町の中に戻っていくギュンター君を見送ると、受付嬢はそのままカウンターへと戻っていった。
「人と共存できる日がくるといいね‥‥」

●今回の参加者

 ea0714 クオン・レイウイング(29歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea1850 クリシュナ・パラハ(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea2448 相馬 ちとせ(26歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea3026 サラサ・フローライト(27歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea3063 ルイス・マリスカル(39歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea3260 ウォルター・ヘイワード(29歳・♂・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 ea4004 薊 鬼十郎(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4107 ラシュディア・バルトン(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

●まずは恒例の準備から〜いつでもOK〜
──トール宅
 まずは、依頼場所である村への移動。
 その前に、一行はギュンター君を迎えに行った。
 トール宅に到着した時、一行は入り口でトールさんと楽しそうに遊んでいるギュンター君を発見。
「トールさんですね。冒険者ギルドの依頼でやってきました。ギュンター君をお迎えにやってきたのですが、準備は大丈夫ですか?」
(トール、『それはご苦労様です』のパントマイム)
 それはルイス・マリスカル(ea3063)。
 彼の言葉に身振り手振りで挨拶するトール。
 そしてトールに促されて、ギュンター君はトコトコと家の中に入っていく。
「今回の依頼の事で少しお聞きしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
(トール、『ええ、構いませんよ』のパントマイム)
 ウォルター・ヘイワード(ea3260)がトールに問い掛ける。
 そして一行は、ギュンター君の食事と万が一の暴走について問い掛けた。
 食糧については、冒険者として自分で狩りをするように教えているらしい。

・今回は、バックパックに保存食を入れていくとの事
・もし暴走した場合は、思いっきり怒ったらよいとの事
・基本的にはオーガであるが、同時にまだ子供。
 いけないことはいけないと教えていますが、足りない部分があったら叱ってあげてくださいとの事

 そしてギュンター君が登場。
 レザーアーマーにハンマー。
 そして背中にバックパック。
 どうやら、冒険者としての最低限の装備は整えている模様。
「あら、随分と御似合いですねウガ?」
 相馬ちとせ(ea2448)がギュンター君にそう話し掛けるが、ギュンター君は少し頭を捻る。
「クスクス。ちとせさん、言葉にウガはいらないようですよ?」
 口許に手を当てて静かに笑うのは、薊鬼十郎(ea4004)である。
「あら、そうなの?」
 そのちとせの言葉に、鬼十郎はギュンター君とクリシュナの方を指差す。
「初めまして。ギュンター君、これから一緒に戦ってくれますね?」
 優しく問い掛けているのはクリシュナ・パラハ(ea1850)。
 だが、ギュンター君は頭を捻る。
「うーんと‥‥変換変換‥‥オレト、イショニタタカッテクレルンウゥエ」
 また、オーガ訛りの加わった激しいノルマン語ですこと。
「ヴェーイ」
 あ、通じている。
「私もまだまだ未熟者です‥‥一緒に、頑張りましょうね‥‥ウガ」
 ちとせ再チャレンジいつつも、最後にウガ!!
「もう一つ。今回の依頼の件ですが、ギュンターさんの活躍について見届け人が必要でしょうか?」
 ルイスがトールに問い掛けた。
 『人と共存できるオーガがいる』ことを示すには、公正な第三者が証人になるのが一番かとルイスは考えた。だが、今回の依頼は彼の冒険者デビューである。
 その部分についてどうしたら良いかと問い掛けたが、トール曰く、『冒険者の皆さんが証人です。嘘を付くような冒険者には、ギルドが依頼を頼むとは思えません。ギルドの信用にも掛かってきますから』との事。
 不安な要素がほぼ払拭された為、一行は目的地の村に出発した。


●そして村〜穏便に穏便に〜
──村の教会
 村までの移動中は、一行にとって愉しいものとなった。
 クリシュナとウォルタ、そしてラシュディア・バルトン(ea4107)の3名がゲルマン語をギュンター君に優しく教える。
 そして、途中の休憩ではサラサ・フローライト(ea3026)の演奏に合わせて皆で合唱。
 一発芸という訳ではないが、鬼十郎が自慢の抜刀術を披露。 
 真似をするギュンター君だが、自分の慎重程もあるラージハンマーでは、抜刀術などやりづらい。レザーアーマーに引っ掛けてクルクルと回ったりしていた。
 そして村に到着すると、一行は墓守も兼ねているという教会の牧師の元へと赴いていった。
「これはこれは。ようこそおいでくださいました。教会で牧師を務めていますレイ・タチバナと申します」
 丁寧に挨拶する牧師。
「宜しく御願いします。今回の依頼の件についてお聞きしたいのですが、『穏便に処理』というのは、具体的にはどのようにすれば良いのでしょうか?」
 ルイスが牧師に問い掛ける。
「ええ、墓場はこの村の外れ、森の奥にあります。人が通ることは殆どないのですが、まあ、ズゥンビのバラバラ死体とかが散乱しても後々困りますし、墓碑が傷つくような事があったら大変です。ズゥンビとは、悲しみや苦しみに囚われてしまった死体に起こる事が希にあると聞きます。肉体は滅んでも開放される事なき魂。その苦しみから開放するためには、その器を破壊しなくてはなりません‥‥」
 そう告げると、牧師は拳をギュッと握り締める。
「その気持ち、御察しする」
 それはサラサ。
 牧師の言葉がサラサの心を打つ。
「ですから‥‥完膚なきまでに破壊し、その肉体から魂を開放してあげてください」
 熱く語る牧師。
 どうやらタロンの使徒のようである。
 この時点で、一行はギュンター君の正体は臥せる事に決定した。
「ダヂ‥‥バ‥‥アア?」
 ギュンター君、牧師の名前を必死に復唱中。
「ギュンター、こう発声するんだ。『タチバナサン』、言えるか?」
 ラシュディア・バルトン(ea4107)が、静かにギュンターに対して言葉の特訓をしている模様。
「ダヂバウーザン」
 まだ発音が難しいのか、よく聞取れていないのか、ギュンター君ゲルマン語に苦戦中。
「そうじゃなくてね。いい、ギュンター君、彼の名前は『ダディヤーナザァーン』、判る?」
「ウェーイ、ダディヤーナザァーン」
 お、何となく理解。
「クリシュナ。余り正しくない言葉を教えるのはどうかと思うが? 刷込みのようになってしまう可能性もある」
 サラサがそう呟く。
「ウェ? 私はギュンター君に判るように発音を切替えているだけです。おかしな言葉を教えてはいませんよ」
 そのクリシュナの言葉に納得するサラサ。
 だが、後でサラサは、クリシュナに殺意を覚える事になるとは、この時は思っても見なかった。


●墓場にて〜ギュンター君、いっきまーーす〜
──村外れの墓場
 昼なお暗い墓場。
 村の外れにある森に作られた墓場は、周囲を高い鉄柵によって囲まれている。
 その中には、数体のズゥンビが徘徊し、苦しみにもがいていた。
 出入口には、外からしっかりと鍵が掛けられているらしく、外にズゥンビが出て行くような事は無い。
「ギュンター君、魔法を、使わせてもらう。君と、意志を、繋ぐ為だ。判るな?」
 サラサがギュンター君にそう話す。
 ゆっくりと、単語の一つ一つに気をつけながら、ギュンター君に話しているサラサ。
「ウ、ウェイ」
 頭を縦に振るギュンター君。
「よしよし。ゆっくりなら理解できるか」
 そしてサラサはテレパシー発動。
 銀色の淡い光に包まれ、そしてサラサはギュンター君とテレパシーによる意思疎通を行う事に成功。
「ウア!!(わあ)」
 以後、ギュンター君の言葉は2種族語会話でお送りします。
 ()の中の部分は、サラサのテレパシーでサラサにのみ。その他の部分は、皆さんの耳に届きます。
「各員スタンバイ!! こっちはいつでもOKだ!!」
「いつでもどうぞ。後ろから援護いきます」
 柵の外でズゥンビを呼び寄せると、外から弓を構えるクオン・レイウイング(ea0714)とちとせの二人。
「同じく準備完了。兎に角敵は一体でもこちらに引き付けます」
「前衛は後方入り口から突撃してくれ。魔法の援護は引き受けた!!」
「サポート入ります!!」
 クリシュナとラシュディア、ウォルターが魔法詠唱開始。
「ギュンター君のサポートに入る」
 サラサは、出来るだけ前、柵のギリギリで詠唱スタンバイ。
 そしてルイス、鬼十郎、そしてギュンター君は突撃準備。
「3‥‥2‥‥1‥‥行きます!!」
 鬼十郎の合図で、3人は柵の扉を開放。
 一気にズゥンビに突撃すると、各員がターゲットを固定。
 とにかくギュンター君は一対一で戦えるように、他のズゥンビ達はルイスと鬼十郎で引き付ける。
「六代目・薊鬼十郎‥‥御首、頂戴致します」
 人が変わったように冷静に呟くと、鬼十郎はズゥンビとの間合を詰める。
──キン
 すれ違い様に抜刀し、ズゥンビに切りかかる。
 神速の如き速度で切り付けると、そのまますれ違いに間合を取る。
 ズゥンビの首にツツーと切れ込みが入るが、切断までは至らない。

──ヒュウン、トストストスッ!!
「くらえっ」
「そーーれっ!!」
 クオンとちとせが、鬼十郎とは対極の位置からズゥンビの胴部に矢を射る。
 クオンの弓からは3本の矢が、ちとせの弓からは1本の矢が飛ぶ。
 そしてクオンの2本と、ちとせの1本が直撃。
「優しき草達よ。彼の者を束縛して下さい。プラントコントロール発動!!」
 ウォルターのプラントコントロールが発動。
 ズゥンビの足元に生えている雑草が絡みつき、ズゥンビの足留めを行う。
 力任せに歩こうとするが、草が絡んでいる為うまく動けないズゥンビ。
 その間に、ギュンター君を除く全員が次々とズゥンビを撃破。
 ズゥンビの数だけを見たら、なんというか、ご先祖様勢揃いという感じにも見える。
 そんなこんなで戦いは続く。
「唸れ風の刃っ!! くらえウィンドスラッシュ!!」
──シュンッ
 真空の刃が、鬼十郎の切り付けたズゥンビに襲いかかる。
 バックリと胴部が切り裂かれるズゥンビ。
 二人がかりのコンビネーションという所であろう。

「ダバッテナイデナンドガイエ、ウヘェア(黙ってないで、何かいえーーー、うわあ)」
 ギュンター君は、最初と同じ一体のズゥンビに向かって、ハンマーをブンブンと振回す。
──ドゴッ!!
 一撃命中。いきなり吹っ飛ぶズゥンビ。
 柵に叩きつけられて、グシャッと骨の砕ける音。
『ギュンター君、アンデットは死んでいるから話はしない』
 サラサがテレパシーで説明。
「ヂンデ‥‥ウグゥグバズガァナイ。ウゾダドンドコドーン!!(死んで? 動くはずないのに? 嘘だそんなことー)」
 暴走しているのではなく、死体が動くという事実に驚いているギュンター君。
 さらにハンマーをブンブンと振回しズゥンビに向かって走っていく。
「クリシュナ!! どんな発声方法を教えた!! 正しく発声できる筈なのに、あの言葉遣いはなんだ!!」
 普段は冷静沈着なサラサが切れた!!
 だが、クリシュナは魔法詠唱を続行中。
(‥‥そろそろ出番かなー)
 クリシュナ、こそこそと後退開始。
「その調子ですギュンター君。ああ‥‥深追いしてはいけません!!」
 ルイスは、既に6体目のズゥンビと戦闘中。
 地下迷宮や死者の神殿など、アンデットと戦う事にはかなりなれているルイス。
 ズゥンビの攻撃を綺麗に避けると、素早く2連撃を叩き込む。
 そのうえ、ギュンター君の行動にも目を届かせる所は、戦士としての実力であろう。
「‥‥動きが遅いです!!」
 鬼十郎はズゥンビの攻撃をサラリと躱わす。
 ルイスも2、3歩ステップを踏むと、攻撃のラインから体を反らす。
 そしてギュンター君はというと。

──カプッ、ガジガジ
 ズゥンビに肩口噛られています。
「ウエ?」
 しかし鈍いギュンター君。
「バァナズゥエイ(離してくれーー)」
 パタパタともがくギュンター君だが、だんだんと怒りが頂点MAX。
「ドゥーシテワガッテクレナインダァ!! アゥア(どうして判ってくれないのーウワァァァァン)」
 ズゥンビの頭部をガシッと掴むと、ブチブチと引きちぎろうとするギュンター君。

──ヒュヒュン!!
 さらにルイスの前のズゥンビに向かって、ちとせとクオンの矢が飛ぶ。
──トストスッ!!
 頭部と背部に深々と突き刺さる矢。
「今だ!!」
「急いでとどめを!!」
 その二人の言葉に、ラシュディア渾身のウィンドスラッシュ!!
──ブゥゥゥゥン
「ブッ千切れぇぇぇぇぇぇ。ウィンドスラッシュ!!」
──スパァァァァァン
 ウィンドスラッシュの直撃タイミングでルイスもソードを2発叩き込む。
 やがてズゥンビは其の場に崩れ墜ちた。
 残りはギュンター君の前の一体。
 それもなんとか叩き潰すと、ギュンター君は疲れて其の場に座り込んでしまった。
「お疲れ。いい戦いだったな」
 ラシュディアが、ニィッと笑いながらギュンターの方に歩いていく。
「まったくですね。この野獣の如き力強さ‥‥素敵です」
 真っ直ぐに目を見て、手振りを合わせてそう告げる鬼十郎。
 と、ギュンター君は少し照れている模様。
「はーはははっ!私は秘密結社グランドクロスの紅き流星、麗人ラ・セーヌ!! ギュンター君、君の勇猛な姿に、我等が局長閣下もお喜びだ。君は立派な冒険者だ!! おめでとう、君を我が結社の見習い隊員に任命しよう。この結社の証、『Xバッジ』を受け取るがいい。では諸君、さらばだ!!」
 疾風の如く姿を表わすクリシュナ。
 もとい麗人ラ・セーヌ。
 そのままギュンター君の胸許に奇妙なバッヂを付けると、そう叫んでから再び森の中に走り去っていく。
「ふぅ。見ていて恥ずかしいですわ」
 ミミリアンのちとせ君、今何か言いましたか?
「さて、取り敢えず任務は完了ですね。では報告に戻りましょう」
 ルイスがそう告げたとき、森の奥からクリシュナが戻ってくる。
 ちなみに全身傷だらけ。
 森の奥で、偶然徘徊していた『アンデット』と戦う羽目になっていた麗人ラ・セーヌ。
 まさかそんな事になるとは、クリシュナも予想外であった。
「オ‥‥オディノカラダハボドボドダ‥‥」
 はいはい。


●そして帰還〜楽しかった時間とお別れ〜
──トール宅
 無事に依頼を終えた一行は、パリ郊外のトールさん宅へと戻ってきた。
 たまたまトールさんは留守であった為、ギュンターくんとはそこでお別れ。
 皆がゆっくりと、ギュンター君に挨拶をしていく。
 と、最後に、ギュンター君が皆に話し掛けた。
「サラサ、マタオウタウタテ」
 静かに肯くサラサ。
「クオヌ、チトセ、ユミ、オセテネ」
 満足そうなクオンと、ニコリと微笑むとちせ。
「クリスナ、ウエーイ」
 クリシュナ、ガクッと力尽きる。
「ルイス、タタカイオセテネ」
 静かに握手するルイス。
「オルター、マホウオセテネ」
 髪を書き上げて笑みを浮かべるウォルター。
「キジュロ、カワイイ」
 頬に両手を当てて照れる鬼十郎。
「ラステア、マタアソブ。マタネ‥‥」
 ニイッと笑い、ギュンターの頭にクシャッと掻くラシュディア。
 そしてギュンター君は、家の中へと走っていった。
 そして一行は、またいつかギュンターくんと冒険に出る日を夢見つつ、パリへと戻っていった。

〜Fin〜