古見家さんの青空マーケット・その1
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:2〜6lv
難易度:易しい
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:3人
冒険期間:09月25日〜09月30日
リプレイ公開日:2004年09月28日
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●オープニング
──事件の冒頭
それはいつもの冒険者ギルド‥‥ではない。
珍しく商人ギルドに、一人の男が訪れていた。
「ふむふむ。確かに、この一角は空き地になっていますな。しかも管理は私達商人ギルドです」
商人ギルドの宅地管理官が、目の前の男ににっこりと話した。
「で、では、ここの一角をお借りしてよろいですか?」
男は熱く拳を握り締めると、管理担当者に頭を下げて頼み込んだ。
「ええ。申請されました日付にお貸ししましょう」
その言葉を聞くと同時に、男はギルドから飛び出した。
さて、何が起こったのか説明しよう。
男の名前は『古見家・龍一』。ジャパン出身の売れない作家で、新しく完成した物語を発表する場所を捜していた。
全部で10冊つくられた写本をあちこちに売り込みに行ったのであるが、どこも相手をして貰えなかったらしい。
そこで、古見家は考えた。
なら、空き地を借りて青空マーケットと洒落こもうと。
そこでギルドに場所を借りるための手続きをしに向かったのである。
──冒険者ギルド
「‥‥はぁ」
薄幸の受付嬢は困り果てていた。
「つまり、その青空マーケットにまだ空きスペースがあるので、参加者を募集したいのですね?」
「その通り。このノルマンにも、私のように日の目を見ることの出来ない天才達が大勢いるはず。ならば、その人たちにもチャンスを与えようというのです」
つまり、マーケット参加者募集。
(‥‥なんで私の受付の日は、こんな依頼ばかりなの‥‥)
そう心の中で呟きながらも、受付嬢は依頼書を取り出した。
「商人ギルドの承諾書はありますね? では、こちらに依頼を書き込んでください。それと、あの地域は、確かそちらのお国の『ヤクザ』さん達の縄張りですけれど、そちらの安全性は大丈夫ですよね」
つまり『おうおう、てめぇら、誰に断わって勝手に商売してんだぁぁ?』っていう奴等の対処。
「えーっと、そちらの対処も御願いしますということで」
そして依頼書が完成したとき、受付嬢はそれを掲示板に張付けた。
「‥‥ギルドに入るお金が少ない‥‥うう、ギルドマスターに怒られる‥‥」
なら受けるなと言いたいところだが、実は受付嬢もこの手の依頼を待っていた模様。
すでに何か参加する気満々のようですが。
さて、結果はどうなることやら‥‥。
●リプレイ本文
●まずは説明会〜現地にて〜
──青空マーケット会場
依頼を受けた冒険者一行は、まずは会場の広場に向かった。
そこには既に参加者達が多く集っており、依頼人である古見家の挨拶をじっと待っていた。
「初めまして。今回のマーケットの主催者である古見家龍一といいます‥‥」
簡単な挨拶の後、ブース参加者達は抽選で自分の場所を選ぶこととなった。
〜ブース解説図
・左側が道路です
・上下、左は壁により別区画と仕切られています。
・●印は本部席です。
・1〜4は小ブース、その他は大ブースとなります。
・aの部分は休憩の出来る椅子やテーブル、特別参加の『ノルマン江戸村・辻の茶屋』が用意されています。
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aaaaaaa
1 12
2 11
入口 ●●●●
3 10
4 9
5 6 7 8
────────────
〜ここまで
いきなり参加者達は気合いが入る。
大きな路面に面している所を皆狙っている模様。
「では次の方‥‥」
古見家の言葉に、いよいよ冒険者達が登場。
全員が引いてからの発表なので、どのようになるかはまだ判らない。
「いい場所があたるように‥‥」
ドキドキ気分でクジを引くのは蔵王美影(ea1000)。
「ソフィアさんのお隣を御願いします」
ミラファ・エリアス(ea1045)も神に祈りつつクジを引く。
「ミラファさんの隣を切実に希望しますわ‥‥折角のハーブ店なのですから」
ソフィア・ファーリーフ(ea3972)、その右手に願いを込めてゆっくりとくじを引く。
「人が集りやすい場所を御願いします」
ゼルス・ウィンディ(ea1661)も祈りを込めて引く。
「古見家さんの近くは勘弁してください!!」
同じく本を売る予定のミリア・リネス(ea2148)。気合いを入れてその指に賭ける!!
今回、冒険者の中でブース参加はこの5名。
その雰囲気と買い物を愉しみに来たヒール・アンドン(ea1603)、対やくざやさんの為護衛に付くレナン・ハルヴァード(ea2789)、同じく買い物と護衛に全てを賭けているメイア・ナイン(ea5406)は、後ろの方でクジが終るのをじっと待っていた。
「それでは、クジの結果を発表します‥‥」
という事で、以下のように決定。
蔵王 :6
ソフィア:9
ミラファ:10
ゼルス :3
ミリア :1
「入り口の真横ですか。これは色々と考える必要がありますか」
ゼルスがやれやれという顔をする。
「やったぁ。お隣ですね」
「一緒に頑張りましょうね」
ソフィア、ミラファは手を取り合って大はしゃぎ。
「隣は、どんな店かな? 巻き込まないようにしないと‥‥」
蔵王、既にやる気十分の模様。
「こ、こ、古見家さんの真横なんて‥‥あんまりです‥‥」
泣きそうな表情のミリア。ちなみに古見家は2番でした。
レナンとメイアの二人は、本部席で対やくざさん対策の打ち合わせに参加。
会場内での戦いは極力避ける事、もしそうなった場合は、本部が客の避難誘導を行うので、短時間でカタを付けて欲しいという事になった。
「話に出てきたやくざっていう輩は、何人ぐらいなんだ?」
レナンが質問。
「大体2、3人ぐらいだと思います。最近になってこの辺りをうろうろしたり、マーチャントギルドに圧力をかけようとしているのですが」
「武器は使っていいのか?」
「出来るだけ穏便に御願いします。初めてのマーケットを血で染めるような事はしないで下さい」
主催者である古見家がそう頼む。
「成る程。判った」
そのまま細かい打ち合わせを行なった後、一行は解散となる。
そして一行は、当日の朝8時に現地に集合。10時にはマーケットが開催される事となった。
●そして当日〜天気晴天、微風です〜
──会場
大勢の参加者が右へ左へと走りまわっている。
開場まであと1時間。
他の参加者たちはテーブルにカバーを掛け、売り物を綺麗に陳列している。
この日の為に、参加者達は様々な苦労を強いられてきた。
より良いハーブを求めて近くの森を駆け回ったミラファとソフィア。
レナンも二人のハーブ探索の手伝いとして森に入っては、あちこち駆け回っていた模様。
ほぼ貫徹状態で最後の写本を完成させたミリア。
同じく物語の構成に四苦八苦し、なんとか盛り上げようと発声練習までするゼルス。
失敗は許されない。術の練習にひたすら明け暮れていた蔵王。
外には、噂を聞きつけてやってきた大勢の客が、今か今かと愉しみに待っていた。
「それでは開場しまーす。みなさん、宜しく御願いします!!」
古見家の声で、入り口に張られていたロープが外される。
ゆっくりと客が会場内に入ってくる。
「それではご清聴御願いします。私は知り合いの貴族に依頼され、ある物語の真実を確かめる事になりました。『貴族の話によると、それは昔の物語。とある所に〜中略〜若者を称える碑を作ったらしい』‥‥その話を聞いた時は、あの場所に、まさかあんな秘密が隠されているとは‥‥」
ゼルスは、過去に体験してきた幾つかの冒険から、この場に相応しいと思われる物語を選択、2日かけてそれを披露することにした模様。
(掴みは大丈夫ですね‥‥)
途中で息継ぎをし、強弱つけたゆっくりとした口調での語り。
「さあさあ、ご会場のみなさん。御時間ありましたら、こちらに御耳を傾け下さい」
御手伝いのヴィーヴィル・アイゼンの声が周囲に響く。
「MOONRISEの小公演にようこそ! 今日の主役は東洋から来たパラの蔵王・美影が務めます。今日皆さんがお目にかかれるのは、東洋の秘術による神秘の脱出劇です!」
──オオー
集った客から驚きの声が響く。
このような街中では、冒険者の技を見る事の出来る機会など、殆ど皆無である。
「このように、ロープで体をぐるぐると巻き付け‥‥この樽の中に入れましょう。ちなみにこの樽、ご覧のとおりタネも仕掛けもございません!!」
空樽の中身を見せて、底をコンコンと叩くヴィーヴィル。
そして縛り上げた蔵王を樽の中に入れる。
(準備完了‥‥あとはタイミングを合わせて‥‥)
蔵王、静かに詠唱開始。
打ち合わせどおりに、印を組む為に必要な右腕は確保できるような縛り方である。
「では、こちらにチョークの先から外でご覧ください。この技は、遥か東方で伝説の忍者と呼ばれる者が生み出した大技。それではとくとご覧あれ!!」
前口上が終ると同時に、樽がカタカタと揺れはじめる。
──チュドーーーン
そして突然大爆発。
「大変な事になりました!! 壊れた樽の中は空っぽの模様‥‥」
大袈裟に話すヴィーヴィル。
「じゃじゃーーーん。ここだよーーー」
本部席後方の仕切壁の所から、蔵王が観客に向かって声をかける。
そしてトウッと壁から飛び降りると、ヴィーヴィルに向かって走り出す。
「見事、美影は樽の中から脱出し、無事に生還しました! ここで一つ、彼に拍手をおねがいします!!」
そして蔵王はヴィーヴィルの横に立つと、観客に会釈をする。
盛り上がる観客達。
いつのまにかアンコールまで響いてくる始末。
(樽を買いに行かないと‥‥)
「はい。こちらのハーブは御茶に浮かべて呑むものです。疲れた時などにはゆっくりとした時間を得る事が出来ますよ。こちらは肩こりに効くハーブでして‥‥」
「はい、御買い上げありがとうございます。はい、こちらのハーブの詰め合わせですね」
こちらはハーブのスタンドショップ。
御客にハーブの効能を説明しているのはミラファである。
その横で、御客の注文に応じて商品を手渡し、会計を行なっているのは御手伝いのユリア・フィーベル。
「ええ。こちらがカモミールです。これの正しい使用方法のメモ、一緒にいれときましたのでよく読んでくださいね」
隣のブースでは、ソフィアのハーブショップも盛況。お互いの足りないところを支えあっている為、どちらも盛況の模様。
しかも、どこを噂が駆け回ったのか、『美人でエルフの魔法使いの姉妹がハーブを売っている』といった声があちこちで聞こえはじめ、怒涛の客の入りとなった。
そことは対照的なのが、ミリアのブース。
「新刊でましたーー。新刊いかがですかーー」
御手伝いのミリエラ・レイナスが売り子の手伝い。
「内容は『エルフの男女の恋愛小説』と、『誰でもわかる植物百科事典〜初級編〜』でーす。今回は刷数が少ないので早い者がちでーす」
必死に叫ぶミリアである。
たまに立ち止まってパラパラと本を眺める客はいるものの、そのまま次のブースへと移動してしまう。
「やっぱり、専門的すぎたのですかねぇ」
自分の書いた文章には自信があった。
だが、植物百科時点はそれなりに売れているが、恋愛小説は今ひとつの模様。
「やっぱり、かなり難しい文章ですからねぇ。専門書の方は学者さんらしい人が買っていきますけれど‥‥」
ミリエラが一冊手に取ると、そう呟いた。
「もう少し砕けたほうがいいのかも知れませんね。次の機会に再挑戦です!!」
おお、ミリアが燃えている。
でも、ブースの当選率かなり低いよ?
──ザワザワッ
あ、もめ事発生の模様。
本部席の前でちんぴらが2名、何やらいちゃもんをつけていた。
まあ、俗に言うこんな奴等。
『おうおう、お前たち誰に断わってこんな所で商売していやがるんだ?』
『出すものだして貰わないと、折角の店が壊れちまう事になるれけれど、それでもいいのかい?』
そんな二人の後ろから、やってきました警備員。
ガシッと後ろから襟首を掴むと、メイアはそのままちんぴらの首に手をかけた。
「お客様。許可は商人ギルドから下りております。まずはそちらと話し合うことをお勧めいたします」
「まあ、此処では人が多すぎるから、こっちに‥‥」
メイアとレナン、二人がちんぴらを会場外に誘導。
──ドカボコボコガガガッグシャッ
「全く。どうしてああいう輩は、全滅しないんでしょうかね?」
「さあな。まあ、あれだけ痛めつけておいたら、もう手出しはしてこないだろう? 先に手を出したのはあいつらだしな」
二人であっさりと瞬殺。あ、死んではいませんよ、念のため。
武器を使うと犯罪になってしまう為、ちんぴらから先に手を出させてから、拳でのみ撃破。
街で育ったちんぴらと、荒波に揉まれて鍛え上げられた冒険者では、実力が違いすぎるという所であろう。
そんな中、マーケット初日は無事に終了した。
「少女の幽霊に導かれ、辿りついたその先には‥‥っと、今日はここまで」
ゼルスの回りの客は、明日の続きを愉しみにして帰路に付く。
「‥‥在庫一掃‥‥これから森にいかないと行けませんねぇ」
「そうですわ。明日も来てくれる方々がいらっしゃいますからね」
「もう‥‥くたくたです」
ハーブショップの3名は、完売御礼の模様。
そしてこれから仕入れに出撃。
そんなこんなで夜は更けて。
●最終日〜愉しい一時を貴方と〜
──マーケット会場・休憩テーブル
ちなみにこの日は、みなさんお手伝いさん達に店番を頼みこんだ模様。
「こ、これはぁぁ」
手にしたカップに注がれている緑色の液体を見て、蔵王は体を震わせた。
「蔵王さん、その緑色の液体はなんですか? 植物の葉を乾燥させて、茹戻したような液体ですね」
そう問い掛けるミラファ。
ちなみに、蔵王の呑んでいるのは緑茶である。
其の日は、宣伝も兼ねて、現在建築中の『ノルマン江戸村』からの出店もあった。
冒険者一行は、出店されていた『辻の茶屋』に座り、緑茶と団子に舌鼓を打っていた。
「この御団子、美味しいですね」
ミリアが横に座っているヒールにそう話し掛ける。
「そ‥‥そうですね‥‥(アセアセ)」
落ち着いてミリアの顔を見れないヒール。
前回の依頼で落ち込んでしまっているのだが、このマーケットでかなり気分は落ち着いた模様。
初日は人が多すぎて満足に見れなかったのだが、2日目はゆっくりとする事が出来た。
「ねえ、あっちの御店に行ってみようよ!!」
ミリアがヒールの手を取って別のブースに向かう。
「あ、ちょっと‥‥あ‥‥」
真っ赤な顔をして照れているヒール。
まあ、ミリアが積極的に腕を組んできたのだから、無理もないのでしょう。
「すいません。この草餅っていうのを二つ、頂けますか?」
ソフィアは、ミラファのブースの留守番をしているユリアに差し入れを買っている。
「毎度おおきにー。本日の分はそれで最後でっせ。ノルマン江戸村が出来たあかつきには、どうぞ寄って下さいな。ああ、ねーちゃん可愛いから団子もサービスするで‥‥」
丁稚の兄さんがソフィアに包みを手渡す。
「ありがとうございます。ミラファさん、そろそろ戻りましょう」
「そうですね。少しユリアさんにも見てまわって貰いましょうね」
そのまま二人はブースに移動。
そして入れ違いに会場に戻ってきたメイアとレナンと合流。
「お疲れ様。どうですか?」
ミラファがそう問い掛ける。
「ちんぴらも、なかなかやります。今日は『暴れ馬』をここに飛込ませようとしていました」
メイアがそう告げる。
「まあ、ぎりぎりの所で突撃は回避できたがな。あとはゆっくりさせて貰うとする」
レナンがそう告げると、そのままメイアと共に茶屋へとむかっていった。
──そして
「‥‥こうして、この冒険は終わりを迎えました。私は今も、村人達の魂が安らかな眠りについている事を祈るばかりです」
ゼルスの物語が無事に終る。
最後のイベントということもあり、かなり大勢の観客で賑わった。
アンコールの声も掛かったのだが、丁度全店閉店の連絡があった為、やむなく断念。
警備のレナンとメイアも特別報酬を受け取る事が出来た模様。
全ての客が帰ってから、片付けの最中に古見家が皆に閉会の挨拶を行った。
そして、この愉しいイベントを、定期的に開催して行きたいと告げて幕は閉じた。
さて、次に青空マーケットが開かれるのは何時のことでしょう。
ひょっとしたら、もうすぐ開かれるかも知れませんよ。
その時まで、しばらくの間、皆さんとお別れしましょう。
〜To be continue