【ドラゴン襲来】ドラゴンフェスティバル
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■ショートシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:5〜9lv
難易度:やや難
成功報酬:3 G 29 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月01日〜12月06日
リプレイ公開日:2004年12月06日
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●オープニング
──事件の冒頭
それはとある日の昼下がり。
ドレスタットの港湾施設では、困った問題が起こっていた。
沖合に停泊していた商船が、突風に煽られて転覆したのである。
乗組員達は積んであったボートで避難したが、大切な積み荷などは海の藻屑となったのだから堪らない。
そしてその直後、港湾施設の上空を、巨大な影が横切ったのである。
「いゃあ、すっげえ大きかったやな!!」
「ええ、間違いありません。あれは伝説の怪鳥です!! 間違いない!」
「ついに出たか化け物め。誰か、あいつを仕留めたらこの金貨を!」
適当な報告を述べる者たちは敢えて置いておくとして。
幾つかの目撃情報から、怪鳥と呼ばれているものが、もしやドラゴンではないかと推測された。
そのため、港湾施設では、ドラゴンを追い払う為に水夫達がロングボウなどを準備し、再びドラゴンがやってきたときのための戦闘態勢を整えていた。
──ゴゥゥゥゥゥゥッ
風を切る音。
そして黒い影が港湾施設を横切った。
やがてそれは、上空で停止すると、巨大な翼を羽ばたかせて空中で停止したのである。
慌てて水夫達はロングボウを構えたが、その瞬間、自分達が対峙している存在が生易しいものではないことに気が付いた。
ゆっくりと飛翔旋回する巨大な身体。
全身を褐色の鱗が覆い、スラリと伸びた長い身体。
胴部より突き出した、発達した後ろ足には凶悪なまでに鋭き爪が輝く。
全長にして3m程度だが、その翼は8m超。
そしてその頭部は、怪鳥などというものではない。
「う、う‥‥ウィングドラゴンだぁぁぁぁ」
ゴゥゥゥゥッ
上空で静止したかと思うと、ウィングドラゴンは翼を勢いよくはためかせる。
その巻き起こる暴風により停車してあった馬車が横に倒れ、道行く人々は風に煽られて次々と転倒、そのまま湾内に転落する人すら現われた。
やがてウィングドラゴンは向きを変えると、ある倉庫に向かってゆっくりと口を開く。
──ゴォォォォォォォォォォッ
口を大きく開く。
その巨大な顎(あぎと)のなかに、荒れ狂う竜巻が見える。
──ゴゥッ
そして目に見えない衝撃波が口より発せられると、衝撃波は建物の一部をズタズタに切り裂いた。
やがて、ウィングドラゴンは衝撃波により崩れかかった建物の屋根に向かって急降下すると、そのまま建物に体当たりを行う。
ードゴォォォォン
破壊された建物の内部を、ゆっくりと見渡すドラゴン。
そしていきなり翼を広げたかと思うと、ゆっくりと上空に舞い上がって行った。
この緊急事態に、自警団もすぐさま動くことが出来ず、ただ固唾を飲んでいるだけであった。
だが、恐怖はこれでは済まない。
ウィングドラゴンは時折ドレスタット上空に姿を現しては、適当な建物に向け衝撃波を叩き込む。
そして建物を破壊しては、また上空へと舞い上がる。
そんな行動を1日1度、多いときは3度も行っているのであるから、港湾関係者にとっては居ても立ってもいらない状態である。
この事件は、瞬く間にドレスタット全域に広がった。
そして港湾施設では、この事態を丸く納めるべく、冒険者ギルドにウィングドラゴンをドレスタット周辺より追い返してもらうように依頼を持っていったのである。
──ということで冒険者ギルドでは
「来た来た来たぁぁぁ。血湧き肉踊るドラゴン退治だぁ! パリのへっぽこドラゴン退治依頼なんかじゃねぇ! 港湾施設の皆がその目でしかとドラゴンを見た。これが今回の依頼だぁ! 冒険者諸君、心して読み、注意事項を心に留めて参加せよ!!」
ギルドの受付ボーイが、掲示板に依頼を張り付けると大声で叫んでいた!
●リプレイ本文
●尋常ではない〜いきなり奇襲〜
──ドレスタット湾岸エリア
ここ数日のウィングドラゴン襲撃により、依頼を受けた冒険者一行も色々と作戦を考えていた。
「まあ、街がこの状況だから、俺達は舟を出せないし、暇だからいいけれど。」
「ええ。なんとか急ぎでお願いします」
空魔玲璽(ea0187)は漁師達に頼み込み、ロープを使った投網を急ぎで作って貰っていた。
そしてそのまま、倉庫を管理している場所を探して、内部の荷物等を調べようと行動を開始。
レジエル・グラープソン(ea2731)は、そのままロープの網を作る漁師たちの手伝いを開始。
いつまたドラゴンがやってくるか判らない状況の中、作業は急ピッチで進められた。
「‥‥ここの荷物は保存食ばかり‥‥食糧を狙っているとは思えないが、どういう事だ?」
ヴィグ・カノス(ea0294)は破壊された倉庫調査、外見や保管していた荷物などに共通点がないかどうか確認していた。
すでに幾つかの倉庫跡地にて、片付け作業をしている商人や船乗りから話を聞く事が出来たが、どうも共通点は見当たらない。
「外観にしても、このあたりの倉庫区画は同じ作りのものが多い。区画の外側から襲っているでもなく、むしろ『適当』に当たりをつけて攻撃しているようにも感じられるが‥‥」
そのままヴィグは聞き込み続行。
今は少しでも情報が欲しいところである。
「そうだなぁ‥‥ここ最近の怪しい荷物といってもなぁ‥‥」
シン・バルナック(ea1450)は、港に出入りしている商人や水夫達から、ここ暫くの間にドレスタットに流れてきた積み荷などに怪しいものがなかったかどうか調査をしている所であった。
「どんなものでも構わないのです。何かありませんでしたか?」
「ああ〜そういえば、怪しい舟ならばあったなぁ‥‥」
その水夫の言葉に、シンは慌てて飛び付く。
「どんな舟ですか? それは今でもここに?」
そのシンの必死な表情に、水夫は慌てもせずに港を指差す。
「ほれ、例の海賊船が3隻。シーラットとかいったか? あの舟なら停泊しているぜ。中の荷物とかは騎士団で引き上げて何処かにしまってあったと思ったが?」
その言葉に、シンは急いでシーラットの舟へと走り出した。
「‥‥この積み荷も、とくに変わったものはないか‥‥アリアス、そっちはどうだ?」
「こっちも特に。リュオンの方は何かあったか?」
リュオン・リグナート(ea2203)とアリアス・サーレク(ea2699)の二人も、シン達と同様にドレスタットに運びこまれている積み荷などのチェックを開始。
これだけ広い港町で、さらに広い倉庫区画。
どう考えても人数が足りるはずはない。
それで、次のドラゴン襲来までにはある程度の目星をつけておきたいと二人は調査を続けていた。
「積み荷については、シーラット団の積み荷関係が何処かに保管されているらしいが、騎士団でなくては判らないらしい。それ以外は、まあ、ぶっちゃけていえば、どの商人も怪しいといえば怪しいな。自分達の商品、特に何が売れるかとかは秘密だから、それをすんなりと教えてはくれないだろう?」
羊皮紙に纏められた情報を見せながら、リュオンがアリアスにそう話す。
「‥‥有り体なものしか書かれていないか。まあ、当然といえば当然だが‥‥かといって、いきなり倉庫の壁を破壊して中を見ることもできないし」
それは犯罪。自警団に捉えられて牢屋行きです。
「もう少し、港で調べてみるのもいいか‥‥降ろしている最中の積み荷は関係ないだろうけれど、どんな商品を取り扱っているかの方向性は見えてくるだろう」
そのまま二人は、港の方へと歩いていった。
「ふむ。馬さえあれば、港の中央が一番動きやすいと」
最近のドラゴン襲撃により、港湾施設のあちこちにあった小さい酒場も軒並み店を閉じている。
そんな中で、オラース・カノーヴァ(ea3486)は最近になって襲撃を受けたらしい倉庫街の近くで営業している酒場を発見すると、そこのカウンターでマスターに色々と話を聞いていた。
今のドレスタットでドラゴン襲撃を受けた場合、どこにいたら一番早く動けるか。
そのポイントを割り出し、オラースはそこで待機する事にしたようである。
「‥‥昨日は夕方‥‥今日はいつ頃か?」
アルアルア・マイセン(ea3073)はドレスタットで一番高い倉庫の屋根に上り、周囲をずらっと見渡している。
何時でもウィングドラゴンが襲撃にこれるよう、そしていつでも仲間たちに連絡を飛ばせるように、そこで周囲の警戒を行なっていたのである。
──ヴァサッ!!
と、上空に小さい点が見える。
この位置まで聞こえる強い羽音。
そしてその点がはっきりと、アルアルアには『危険な存在』であることを認識させた。
「ドラゴンだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
絶叫を上げつつ、周囲を見渡すアルアルア。
そしてその声は、近くを走っている仲間たちの耳にも届くが、ドラゴンがどの建物を襲撃するか判らない以上、今はいつでも動けるような体勢を取るしかない。
やがてドラゴンは急降下して、建物の上空を飛び回る。
そして何かターゲットを発見すると、そこに向かってすばやく翼を広げ、さらに加速!!
──ゴゥゥゥゥッ
中央の通り上空を、ウィングドラゴンが飛んでいく。
そして正面、ちょうどアルアルアの方に合流しようとした空魔を発見すると、いきなり空魔に向かってブレスを叩き込む!!
──シュパァァァァァァン
そのブレスの速度に身体が追い付かない!!
「くはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
全身を真空の衝撃波に切り裂かれ、空魔はそのまま後方に吹き飛ぶ!!
全身を引き裂かれる激痛。
そのまま立上がろうと体勢を整えるが、その時すでにドラゴンは空魔の上空でホバリングを開始。
突風により、立上がることの出来ない空魔に、ドラゴンは無慈悲なる攻撃を次々と叩き込む。
──ドシュドシュッ
後ろ足に付いている鋭い鍵爪が、空魔の肉体を切り刻む。
すでに空魔の意識はない。
怒れるドラゴンは、瞬く間に一人の冒険者の命を奪おうとしている。
空魔はすでに瀕死状態。
──ドシュッ
さらに留めの一撃を放とうとするドラゴンだが、その背中にはレジエルの放った矢が突き刺さる。
いや、正確には突き刺さるどころか、鱗に傷が付く程度である。
「シン!! 空魔を急いで!!」
少しでもドラゴンが空魔から意識を反らせてくれれば。
レジエルのその願いは、彼の後方から飛んでくる矢によって叶えられた。
──ドゴォッ
鱗をも突き破る一撃。
「急いでください!!」
ギリリと次の矢を番えつつ、アルアルアがそう叫ぶ。
さらに横からは、ヴィグがスピアをドラゴンに向かって投げ付ける。
──ドシュッ
「ウィングドラゴンか‥‥。倒す事が出来れば目標である高みに近付く事が出来るだろうが‥‥現時点でそれは高望みだな。実力相応の結果が出せればそれで良しだ」
そう呟くヴィグのスピアは、ドラゴンの後足付け根、皮膚の薄い部分に突き刺さった。
そしてすばやくスピアに繋がっているロープを引き、スピアーを回収するヴィグ。
あの体躯相手には、ダーツは玩具当然と判断し、スピアを使用した模様である。
その間に、シンとリュオンが空魔を連れて建物の蔭に移動。
「駄目だ!! リカバーポーションでは効果がない!!」
自分の懐からリカバーポーションを取り出して飲ませるリュオンだが、傷が塞がる所か出血が止まらない。
その姿がシンの脳裏をフラッシュバック。
「倒される前に倒さないと‥‥だけど‥‥」
すばやく武器を手に、ドラゴンへと向かうシン。
──ヒュンッ
手にしたニードルホイップでドラゴンを撃つアリアスだが、その攻撃は全て見切られている。
「‥‥この武器では駄目だ!!」
ニードルホイップを投げ棄て、日本刀を抜刀するアリアス。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」
雄叫びを上げつつ全力で走りこむオラース。
そして手にしたロングソードで、ドラゴンに向かって切りかかる。
──ドゴォォォォォォォッ
スマッシュEXが炸裂!!
高さ3mの位置にてホバリングしているドラゴンに向かい、ロングソードはギリギリの長さ。
それでもオラースはドラゴンの鱗を砕き、皮膚を切り裂いた!!
──グォォォォォォォォォォッ
絶叫を上げるドラゴン。
そして力一杯翼を広げ、地上に向かって突風を吹き荒すと、そのまま上空へと飛びさって行った‥‥。
●最悪な結果〜神父不在〜
──宿屋
「‥‥傷の手当というよりも、止血をしたという所です。早く神父に見てもらわなくては‥‥」
そのシンの言葉に、一行は急いで空魔を教会へと連れていくことしか出来なかった。
そして教会でも、空魔の傷を癒せる神父が不在という事が判明。
その神父は5日には戻ってくるらしく、その後に改めて来て欲しいということになった。
「それにしても、本物のドラゴンがあれほどまでとは‥‥」
それはオラース。
鱗の頑丈さに加え、奇襲攻撃をしてきたドラゴンの恐怖を改めて思い知らされる一行。
「だが、今回の奇襲は腑に落ちない。昨日までは建物を襲ってきたドラゴンが、何故今回は人間を、それも空魔を襲ったんだ?」
ヴィグの言葉に、一行も考え始める。
だが、どこをどう考えてみても、答えは見つからない。
「彼は、このドレスタットにきてまだ間もない。何かイギリスの方であったのかも知れないし、そうでないかも知れない‥‥」
リュオンがそう呟く。
そして翌日より、一行は聞き込み調査とドラゴンに対しての警戒より一層強めた。
だが、依頼終了日までドラゴンは姿を表わすことも無く、新たなる情報もないままに依頼は終了した‥‥。
空魔が無事に回復するかどうかは、全て神のみぞしる結果となる。
〜Fin