●リプレイ本文
●二食休憩つき送迎馬車あり〜開村祭期間のみですよ〜
──移動中
ガラガラガラガラ
静かに馬車が街道を走る。
「ふむふむ。なるほどー。愛好家というのは恐いものなのですね」
今回の依頼は『のるまん亭の復興』‥‥じゃない、『不良客退治とメニュー作成』。
ウェイトレス初体験のクリス・ラインハルト(ea2004)が、パリでウェイトレス経験のあるノリアやリュリュ、ユリアに傾向と対策についてアドバイスを受けていた。
其の場には、今回の依頼を受けた他の女性達も集っており、馬車の中は花が咲いたように活気が溢れている。
「と言うことで、不良客には実力行使でいった方がいいのよー」
リュリュ・アルビレオ(ea4167)が他のメンバー達にも方向性を示しつつ、馬車はのんびりとノルマン江戸村へ到着〜。
●のるまん亭〜まずはご挨拶と下準備と舌準備〜
──事務室
「助かるわぁ。これでようやく店も普通に営業できるし、新しいメニューも増えていいかんじやわ」
依頼人である女主人が、冒険者一行に嬉しそうにそう告げる。
「それでですね。悪質な客の対応ですが、徹底的にやらないと駄目です!!」
グッと拳を握り締め、ノリア・カサンドラ(ea1558)がそう告げる。
「徹底的って、なんやえらい物騒やな〜」
「いえいえ。女将さん、冒険者酒場での不良客追い出しには乱闘が付き物だよ」
人差し指を左右に振りつつ、ユリア・ミフィーラル(ea6337)がそう告げた。
「ふぅん。乱闘ねぇ‥‥まあ、適当に頼むわ。店さえ完全に破壊せなんだら、多少の事は多めにみるで、あんじょう気張ってや〜」
実にお気楽な女将である。
まあそんなこんなでお約束のお着替えターーーイム。
──更衣室
「ふふふ‥‥決まってる?」
くるりと回りつつ、クリスが皆にそう問い掛ける。
綺麗に着こなした着物にフリフリの前掛け。ヘッドピースはチョコンと乗せて、ウェイトレスの『戦闘装束』装着完了。
ちなみに胸無しのクリスでもよく似合っていますよ。胸無しのクリ‥‥。
──ギュュュュュッ
い、いひゃい。
「記録係さん。それ以上胸の事は強調しないでくれますね?」
ふぁい。
にっこりと微笑みつつ、クレアが私の頬を左右に‥‥あーー、痛かった。
「こんな所かな‥‥まあ、不本意だけど、依頼とあれば仕方ないっかぁ」
メイドが生業のティズ・ティン(ea7694)が着物を着ながらそう呟く。
ちっちゃい身長で着物姿。
実に幼児体形ですな、幼児たいけ‥‥い、いひゃい。
「記録係、今回うるさい!!」
判りまひたから、頬ほ引っひゃららいで。
ふう。とまあ、実にスムーズに着替えが進んでおりまして。
ノリアに至っては、着物の胸の部分があわず、胸許チラリのアダルチックな着こなしになってしまっていた。
「さらしを巻いてもきついだけだし‥‥うーーん」
腕を組んで悩んでいるノリアさんを横目に、冒険者一行は心の中で様々な事を呟いていた。
(ノリアボンバーだ‥‥)
(生ノリアボンバーですね‥‥)
(これが噂のノリアボンバー!!)
(のりあ・ぼんばいえ〜)
(おっぱいおばけ)
(重そうですわね)
(何を食べたら大きくなるのかしら?)
えーっと、誰がどう呟いたのかはプライベート保護の為、割愛させていただくとして。
ノリアさんの胸は、やはり『パリに知れ渡る名声』クラスでしたか。うんうん。
胸で有名になれるっていうのはやっぱり‥‥ハッ!!
「こんのぉぉぉぉっ。ノリアボンバー2式改っ『とにもかくにも懺悔なさいっ』!!」
──ドッゴォォォォン
い、いたたたたた‥‥。
「どうも最近、あたしの胸の噂が絶えないと思ったら、あなた、この前の依頼でも私の記録係していたわよね?」
まあまあ。
そんなこんなで、一行は準備開始となりまして‥‥。
──小さな森
「ハーブサラダですか。いいですわね」
「ええ。この辺りには、とても良いハーブが生えていますから、のるまん亭の目玉にもなりますわ」
クレア・エルスハイマー(ea2884)とソフィア・ファーリーフ(ea3972)の二人は、近くの森でハーブ採集。
「ソフィアさんは何を作るのですか?」
「ヴァン・ジョーを作ろうと思いまして。ですが、シナモンは高価ですし、月道貿易でしか手に入らない貴重品ですから‥‥」
そして其の場に、さらに籠一杯のハーブを採取してきたリーン・クラトス(ea7602)も合流。
「向うの方に、これだけハーブがあったよ。あと、これは農家のおばちゃんから、持ってっていいってくれたけれど?」
そう告げながら、リーンが籠の中から大量の野菜やハーブを取り出す。
「色々と混じっていますね。とりあえず仕分けをしておいたほうがよさそうですね!!」
クレアの意見で、一行はまずのるまん亭へと帰還。そのまま仕分け作業に入った模様。
──のるまん亭では
「ごほごほ‥‥」
厨(くりや)から大量の煙が流れてくる。
中では、巨大な団扇を手に、クリスがサーモンを薫製にしている所であった。
「よし!! あとはハーブだけだね。クレアさーん。ハーブを分けて下さいなー」
そのまま外で仕分け作業をしているクレアの元へと走るクリス。
そのさらに奥では、リュリュが大量の食材と戦闘中の模様。
そしてその横では、依頼人である女将が、リーンの指示で様々な料理を作成中。
「つまり、このノルマンの食材を使ったジャパンの料理を作るのですよ!!」
「そうはいうてもなぁ‥‥こっちの食材って、なんや難しうて判らんねん。食べれるもの平気で捨てるし、こんなん食えるのかーっていうもの喰っとるし‥‥」
そんなこんなで料理対決は始まった模様。
●試食たーーーいむ〜みなさんいいお嫁さん?〜
──店内
いよいよ始まった試食タイム。
今回の試食はノリア、女将、そしてティズの3名。
次々と並べられていく料理を前に、ゆっくりと試食を開始する。
──ビシィッ
「うんうん。意外としつこくない味だね。後味もいい感じです」
「こ、この味は‥‥何?」
「あら、おいしいわぁ。なんや、懐かしい味やな、 これはなんや?」
「『末醤(みしょう)』っていうジャパンの調味料を使った、まあ、スープのようなものですね」
店内の厨の隅に置かれていた甕から、リュリュは豆を醗酵させてすり潰し、ペースト状にした調味料を発見。野菜や肉を煮込んで、その末醤という調味料で味付けしたらしい。
「これから寒いから、受けるとおもってねぇ‥‥」
流石に甘酒は作れなかったらしい。
このノルマン江戸村にも『酒蔵』は存在する。が、初めての酒作り、さらにまだ醸造途中の為、酒を絞った後の醪粕(もろみカス・酒粕)は手に入らなかった。
「では、ちょっと一服。ヴァン・ジョー(ホットワイン)です。とても貴重なシナモンも入っています」
ソフィアが木のカップに注がれた温かいワインを持ってくる。
また、殆ど目にすることのないものを‥‥。
ズズズとそれを飲む3人。
『ほわーーーーーーー』
あったかい。
「それでは、香草入りサラダの到着です」
クレアお薦めの香草入りサラダ。
それら試食を一通り終えた後、翌日には優良客を招待しての試食パーティー。
そしてさらに翌日、いよいよ新メニューと武装ウェイトレス集団を引っ提げての新規オープンとなったのである!!
●ウェイトレス集団『ラ・のるまん』出撃〜そして血塗られる店内〜
──のるまん亭
「いらっしゃいませー。のるまん亭へようこそ♪〜」
にっこりと営業スマイルでそう挨拶するのはソフィア。
これぞ100万Gの微笑みというものであろう。
「あ、オーダーはいいから、古ワイン二つ宜しく」
あんたらいきなりかい!!
「かしこまりましたー。『お尻の青いへたれ御用達』古ワイン、でよろしいですね?」」
「あああ? なんだそりゃあ。あんた喧嘩売っているのか? こっちはお客だぞ!!」
既に一触即発。
その少し離れた場所でも、不良客が‥‥眠った!
「ささ、私がスリープで眠らせているうちに、早くこの客はお外に!!」
流石はユリア。
手慣れたものである。
「冗談じゃない!! これのどこが古ワインなんだ!! こんな気持ちの悪いワイン呑ませやがって‥‥」
あ、何処かでお客が怒っている模様。
「ですがお客様。本日の古ワインのご注文ですが、先にこのハーブ入り特製ワインを飲んでいただかないと出せない決まりになっておりますので」
ペコリとお辞儀をするのはリーン。
厨の奥でいらないハーブを次々と混ぜあわせ、それを古ワインに混ぜいれたらしい。
実に‥‥なんというか、個性的な味わいに仕上がった模様。
「古ワインは駄目なのにぃぃぃ‥‥ふええええええん」
あ、どこからともなくティズの泣き声が。
「あーあー。判った判った。お嬢ちゃん、じゃあ、普通のワインでいいから持ってきてくださいね」
あ、嘘泣きしているし。
しかもお客は騙されているし‥‥。
「うん。ありがとうおじちゃん☆」
そのまま厨へと走るティズ。
撃退というより懐柔策にでましたか。
「あー。君。済まないが普通のワインと古ワインを一つずつ頼みたいが?」
何処かの貴族が女性を連れて店内にやってくる。
「はい。かしこまりましたぁ」
そのままノリアがテーブルに二つのワインを持っていくと、二人の客は静かに呑み始めた。
(まあ、このまま静かに飲んでくれるのなら良しというところね。普通のワインも飲んでもらっているみたいですし‥‥)
そう呑気に構えたノリアだが。
「うむ。バンちゃん。やっぱりこの村を次の目標として征服するのが打倒だな」
「ええ。ヘンドリックス卿。幸い、この村は活気に溢れています。なによりも、あの男の領地である事が重要ですね」
そんな会話がノリアの脳裏にジャストミート。
(うはーーーーーっ。またレアな人が!!)
(あ、オニワバンだ)
心の中で絶叫を上げるノリアと、通りかかりにその声を聞いたリュリュ。
でも、今は作戦活動中でないので、手を出せなしスーツもないと。
──ガッシャーーーーーン
やがて店の奥からはテーブルをひっくり返す音が聞こえてきた。
「お客様 、ご狼藉はおやめくださーーいー」
ブンブンと手にした箒を、まるで棍棒のように自在に操るクリス。
まあ、気分で振回しているだけであろうから、実戦向きではないと。
──ドッゴォォォォン
あ、なんとなく実戦向きだ。
まあ、名付けて『クリス式戦闘給仕箒術』とでも命名しておきましょう。
そのままクリスに掃き出される不良客。
「あちあちあちぃぃぃぃぃ」
前髪をクレアに燃やされた客も暴れ始めていますねぇ。
「おふざけは許しませんわよ♪ 次は、バーニングソードのかかったお盆の角チョップが出てきますからね」
にっこりと微笑むクレアだが。
「バーニングソードはいらなーーーいっ!!」
──スパァァァァァン
手にした木製特製トレイ(ああややこしい)で、客の後頭部を殴りつけるリュリュ。
ブシュュュュッと血飛沫が散乱し、周囲のウェイトレスの着物を深紅に染める。
さらに便乗して暴れる客まで出てくる始末。
「はいはい。私達は隠れるかくれる」
「そうだね〜」
そのまま物陰に隠れるソフィアとリーン。
そして入れ違いに飛び出したティズがすばやく抜刀!!
──チィィィィィィン
背中から引き抜いた日本刀を瞬時に鞘に納める。
「‥‥また、どうしようもないものを切ってしまったわ‥‥」
──パラッ
と、目の前の客の衣服のみが散り散りになる。
「落ち着いてくださーい。コンフュージョン!!」
ああ、ユリアのコンフュージョンで、さらに客が混乱。
しまいにはテーブル担いで投げようとしている客まで。
「先生、お願いします!!」
そのリュリュの言葉に、ノリアとティズが飛び出した。
「ノリアボンバー外式っ、『投げずに蹴る!!』」
「秘剣・乱れ霧霞っ!!」
またしてもティズの一撃で衣服が散り散りになった客に、ノリアのドロップキックが炸裂。
そのまま混乱は暫く続き、やがて『戦える客』がいなくなると、店内は再び静けさを取り戻した‥‥。
「ハアハアハアハア‥‥ソフィアさん、バトンタッチ」
「宜しくお願いしますね」
戦闘班が後方へと休憩に入る。
そして後方待機していた補給部隊のソフィアとリーン、クレアが入れ代わりに店内に戻ると、残っているお客に一通りの挨拶をして、再び店は通常の営業スタイルへと戻っていく。
──そして翌日
不良客はリターンマッチとして『武装』してやってきた。
まあ、どれだけ武装してこようとも、ここの冒険者達は皆ベテラン。
先日に続き、またしても不良客は撤退を余儀なくされてしまった。
そして依頼最終日には、不良客すら『通常メニュー』を注文するように更正したようである。
なお、連日の戦闘により、返り血を浴びて深紅に染まった着物を着用している事から、いつしか『のるまん亭』の臨時ウェイトレス達『ラ・のるまん』は『レッドショルダー』と呼ばれるようになったとかならないとか。
そして依頼は無事に遂行完了。
「あ、そやそや。この前、パリのでっかい酒場のウェイトレスさんも休暇で来とったけれど、皆の戦い方見て喜んどったわ。ほれ、冒険者街のすぐちかくのでっかいところ。あそこの不良客も今度退治してあげたらどや?」
「えーーっと。あそこの不良客はプロですから」
ティズが頬をポリポリと掻きつつ、困った表情でそう告げる。
さて、この報告書を見ている不良客の諸君。
いつでも『ラ・ノルマン』は貴方たちを見ているからね。
なにはともあれ合掌。
〜Fin