命の価値とは

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:6〜10lv

難易度:やや難

成功報酬:4 G 34 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月15日〜01月24日

リプレイ公開日:2005年01月20日

●オープニング

──事件の冒頭
 いつもの冒険者ギルド。
 あいも変わらず暇を玩んでいる冒険者や、自分にあった依頼がやってくるのをじっとお茶を濁しつつ待っている者など、様々な冒険者で溢れかえっていた。
 其の日、受け付けカウンターでは、なにやら不穏当な話が盛り上がっている。

「・・・・つまり、犯罪者の処分を冒険者にして貰おうという魂胆ですね?」
「うーーん。そういうふうに言われると身も蓋もないのだが・・・・確かに犯罪者の処分には違いないからなぁ・・・・」
 薄幸の受付嬢は眼の前にいる紳士に向かって、そう問い掛けていた。
 さて、それでは時間を遡って説明しよう。

 今回の依頼人、実はとある地方の領主の使い。
 領主のすまう地方では、ここ最近になって押し込み強盗が頻繁に起こりつつあった。
 既に殺されたものだけでも8名。その中には女子供もいるというからただ事ではない。
 当然ながら自警団も動き、犯人達の足取りを追いかけていたのはよいが、これまた犯罪者集団はかなりの実力の持主、団長と数名の部下を残して、自警団員ほぼ行動不能という酷いありさまになったのである。
 業を煮やした領主が、ならば自警団長よりも『荒事経験者』の多い冒険者に全てを一任しようという事になったのである。

「手っ取り早く、騎士団に要請を出したほうが早いと思うんですけれどねぇ・・・・」
 薄幸の受付嬢は浮かない表情でそう告げる。
 と、紳士は受付嬢の耳元でこう呟いた。
『騎士団に要請なんてしてご覧なさい。うちの領主様が『無能者』のレッテルを張られるではないですか。領地の治安などは領主に一任されている所が多いのですよ? 私共の領地もその一つ。そこの自警団がやられ、はい騎士団の出動なんて事になったら・・・・ああ。うちのお舘様の面目丸潰れ、最悪領主の任を解かれるではないですか・・・・』
 確かにその通り。
 手っ取り早くお金で動く冒険者が一番早いと領主も踏んだのであろう。
 サラサラと依頼書を作成する受付嬢。
「あと、その犯罪集団の事について幾つか聞かせてくださいね。どんな奴ですか?」
「ハーフエルフの集団ですね。どこからともなく集ってきた奴等のようで・・・・全部で6名だったかな? 女も入れば子供もいます。魔法も使ってきますし、我流らしいですけれど腕も立つ」
「ハーフエルフですか・・・・はぁ・・・・捕まえて法の元に引きずりだすのですか?」
「いえ、既に領主様からは『処刑せよ』との命を受けています。私共の居る地の教会でも、異端審問の必要なくとの仰せです。子供といえども犯罪者、しかもハーフエルフなど生かしておく価値も無いと言うことでして・・・・」
 ニコニコとしながらそう告げる紳士。
 それとは対象的に、くらーい表情で依頼書を書く受付嬢。
「あのー。情状酌量の余地はないのですか?」
 そう問い掛ける受付嬢に、紳士は静かに呟いた。
「最近は、オークの命を救いたいなどと言う馬鹿げた話もあるようですが。そんな戯れ言には耳を貸す気もございません。と言うことで、ハーフエルフ達がその手で積みとった命は、ハーフエルフ達の命を持って償って頂きます」
 そして紳士は静かに立ちさって行った。
「最近の依頼って・・・・重いなぁ・・・・」

●今回の参加者

 ea1603 ヒール・アンドン(26歳・♂・神聖騎士・エルフ・ノルマン王国)
 ea2361 エレアノール・プランタジネット(22歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea2816 オイフェミア・シルバーブルーメ(42歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea3063 ルイス・マリスカル(39歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea3475 キース・レッド(37歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea4136 シャルロッテ・フォン・クルス(22歳・♀・神聖騎士・エルフ・ノルマン王国)
 ea4792 アリス・コルレオーネ(34歳・♀・ウィザード・エルフ・フランク王国)
 ea4944 ラックス・キール(39歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

●出発前〜冷たい血潮〜
──とある領地・自警団詰所
「つまり、ここで神父様に誓えというのかしら?」
 依頼を受けた一行は、まずは自警団長と黒の神父の待つ詰め所へとやってきた。
 そこで犯罪を犯した者たち〜ハーフエルフの犯罪集団〜についての情報得ようと思ったところであるが、まず最初に口を開いたのはキース・レッド(ea3475)であった。
「今回の依頼を受けるに当たり、犯罪集団であるハーフエルフ達に説得を試みたり、助命を求めることのないよう、ここで依頼主達にはっきりと宣言してもらいたい」
 キースの言葉には、色々な裏があった。
 現在、このノルマンの冒険者達の中には、様々な噂が流れ始めている。
 ギュンターというオーガの命をを助ける為に、数多くの冒険者達が嘆願書を作り、様々な行動を行なっているのである。
 冒険者ギルドはその行動に対してあえて制限を設けるつもりは毛頭無く、むしろ『自分達で結論が出るのなら勝手にすればよい』と放置の状態である。
 が、面白くないのは一般市民。
 ドレスタットではオーガに襲われたという人々がギュンターの助命嘆願の話を聞きつけてギルドに苦情を告げに向かったりしている。
 冒険者という存在は、やはり一般市民の視線から見ると、特異な存在なのであろう。
 当然、このような風潮が流れると、ノルマン各地の冒険者ギルドに登録している冒険者達にとっても不利益となりかねない。

 モンスターの命を救う冒険者達。
 人の命よりオーガの命を尊ぶのか?

 などという事をいい始める輩もいないわけではない。
 今回、キースもこのような噂を懸念して、このようにきつく告げたのかもしれない。

 ハーフエルフという『禁忌の存在』。
 それが起こした罪。

 それを断罪するという今回の依頼において、『慈悲や情け』といったものを与えることは、今の冒険者達には不利益以上のなんでもないのである。
 だが、やはり『一般人』とは逸脱した存在である冒険者の中には、ハーフエルフの存在を容認するというスタイルもまた存在する。
 それゆえ『犯罪を犯したのなら、裁判によって裁かれるべき』という考えをもつ者も少なくないのである。

 もし、ここでそれを許してしまうとどうなるか?

 今、そこにいる冒険者はそれを判っている。
 だからこそ、一人一人が、黒の司祭である『マルコ』の差し出した聖書の上に手を置き、キースの言葉に同意を行う。

 ただ一人、シャルロッテを覗いて・・・・。

「投降して戴くということは出来ないのでしょうか?」
 それがシャルロッテ・フォン・クルス(ea4136)の本音。
 本来は、現地にて単独で接触し、投降を呼び掛けようと考えていたのである。
 だが、キースのこの提案と、参加した者たちの意志表示により、その行動は見事に不可能となった。
 そのため、シャルロッテは非難を覚悟でそう問い掛けるのであったが。
「投降を促してどうするのですか? 彼等に待っているのは死という道のみ。死ぬ為にその身を捧げよと言われ、はいと答えて差し出す輩とでも?」
 つとめて冷静にそう告げるマルコ司祭。
「良いですか? 事は罪の処分が云々という問題ではないと思って頂きたい。ハーフエルフは禁忌の存在ですが、殺人などという重罪でなければまだ裁判ということも考えられました。ですが、集団による強盗殺人となると話は別です。それにもし、彼等の意志に共鳴し、同じ志を持つハーフエルフ達が集ったらどうなると思うのですか? 小さな力でも、それが集ると大きな力となる事は既に皆さん御存知のはずです。それが爆発したとき、周囲に対する影響力は計り知れないものとなります」
 遠巻きに存命嘆願書のことを告げているような気がするのは、おそらく冒険者達の気のせいではないであろう。
 事が大きくならないうちに、その芽を摘みとってしまおうというのであろうか。
「では・・・・私も今回の件に対して同意します・・・・」
 最後にシャルロッテが同意し、ようやく話し合いは始まった。
 途中、エレアノール・プランタジネット(ea2361)とアリスが足りない保存食を買いに出かけたりはしたものの、一行は無事にハーフエルフ達の隠れている深き森へと到着した。


●森の民〜流石は・・・・〜
──深い森
 ハーフエルフ達の隠れている廃村へは、この深き森を抜けなくてはならない。
 冒険者一行+司祭+自警団長は、周囲からの襲撃に対して警戒の色を見せている。
「つまり、凄腕の剣士が二人、魔法使いが二人、レンジャーが二人、そして・・・・騎士らしき者が一人というところですか?」
「ええ。兎に角連携が凄まじく強いというところです。魔法はそれぞれが風と大地を支配し、大地に根付く植物すら仲間としてつかいます。足留めを受けた団員達は、さらに毒の塗られた弓矢で射貫かれ、そのまま戦闘不能に・・・・」
 それはオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)。
 ハーフエルフ達の戦い方を自警団長に質問し、帰ってきた答えがそれであった。
「狂化はしていたのですか?」
「最初のうちはそれほどでも。ですが、戦いのさ中に、剣士が二人とも狂化しまして・・・・その後の戦い方は、もう鬼人の如くという所です。何がきっかけになったのか、私達にはさっぱりでした・・・・」
 そして戦闘の状況を詳しく説明する自警団長。
 仲間たちの言葉から、動きまでこと詳細を説明する。
「・・・・血だな・・・・。恐らくは、団員によって傷を負ってしまったときに流した血が、狂化のキーワードだろう」
 それはアリス・コルレオーネ(ea4792)。
 冷静に話を聞き取り、分析した結果がそれである。
「狂化したのは剣士だったのか?」
「ええ。恐らくは一番の年長者でしょう。アリスさんの言うとおり、血による狂化なのでしょうね・・・・」
 そのまま一行は、静かに深き森を進んでいった。
──ガチッ
 と、突然ラックス・キール(ea4944)とシャルロッテ、ルイス・マリスカル(ea3063)の3名が各々の武器を引抜き身構える。
 シャルロッテはすばやくアリスの護衛につき、ルイスとラックスは茂みに向かって走り出した!!
「何があったの?」
「敵襲?」
 オイフェミアとアリスがすばやく印を構え、いつでも詠唱の出来る体勢を整える。
 その二人の前にはヒール・アンドン(ea1603)とシャルロッテが待機、キースは後方からの不意打ちに気を付けて周囲の雰囲気を感じ取ろうと集中。
「いたぞ!!」
 茂みの奥で、すばやく印を紡いでいるハーフエルフを確認。
 ルイスとラックスがそのまま間合をつめたとき、ちょうどハーフエルフの全身が茶色に輝いた。
「来る!!」
 そのルイスの声に、ラックスは横に飛ぶ。
 そしてルイスもミドルシールドをハーフエルフに向かって構え、何が起っても問題のないように対処した。
 だが、そのままなにも起ることなく、ハーフエルフは其の場から走り去っていく。
「ラックス・・・・大丈夫か?」
 そう横に飛んだラックスに話し掛けるルイス。
 だが、そこにはラックスの姿は見当たらなかった。

──ラックス
 ルイスの叫びにより、自分は慌てて横に飛び、魔法から射線を外した筈である。
 その後、なにも起らなかった為、ラックスは静かに周囲を確認し、ゆっくりと立上がる。
「ルイス、大丈夫か?」
 そう話し掛けるラックス。
 だが、どこにもルイスの姿は見当たらなかった。

──後衛チーム
 前衛で飛込んだラックスとルイスの姿が、いっこうに戻ってこない。
「ラーーックス、ルーーーイス。何があったぁぁぁぁぁ」
 キースがそう叫ぶが、返答は返ってこない。
「まさか、一瞬で二人とも?」
 ヒールがそう呟くと、そのまま一歩、また一歩と茂みに入っていく・・・・。
「どうだ? 二人の姿は確認できたか?」
 アリスが茂みの中に消えていったヒールにそう声を掛ける。
 だが、ヒールの姿も見えなくなってしまった。

──ヒール
 周囲は鬱蒼と繁った茂み。
 確かにルイスとラックスの二人はここに入ってきたはず。
 にも関らず、二人の姿はどこにも見えない。
「一旦戻りましょう・・・・」
 そのまま振り返り、仲間たちの待つ場所へと足を進めるヒール。
 だが、暫く歩きつづけても、仲間たちのいる場所はおろか、 茂みから脱出することすらできなかった・・・・。
「・・・・どういう事なの?」

──そして一行
 ラックス、ルイス、キース、そしてヒール。
 既に4名の冒険者が、茂みの向うに向かってから消息を立ってしまった。
「これは、何かトラップでも仕掛けてあるな。それでルイスたちは眠らされたか、捕らえられたか・・・・このままここにいても埒が明かないな」
 アリスがそう告げて、自分の推測が正しかったかどうか確認する為に先に進もうとする。
「待って!! ちょっと時間を頂戴!!」
 茂みに慎重に近付くアリスに、オイフェミアがそう話し掛ける。
「なにか判ったのか?」
「判った訳ではないわ。これも推測の域を出ないのだけれど、このまま動いたら皆、ただ徒労して終るだけよ」
 そう告げて、オイフェミアは周囲を見渡す。
 そして頭の中に何かを思い描き、静かに深呼吸。
「オイフェミアさん、何かわかりました?」
 シャルロッテが静かに問い掛ける。
「断定は出来ないし、自信はないのですけれど・・・・この森全体が迷宮化してしまったようですね」
「迷宮化? 一体どうやってですか?」
 そう問い掛けるエレアノールに、オイフェミアが静かに口を開きつつ、周囲を見渡す。
「私は大地の理りをつかさどっています。その一つに『フォレスト・ラビリンス』という魔法があります。一定の範囲の森を迷宮化してしまうという。私には使えない魔術ですし、知識の断片にそんな魔法があったなぁという所しかわからないのですが、少なくとも魔法ならば効果が切れるまでは動いては駄目ね・・・・皆迷ってしまうだけだから」
 そう告げると、オイフェミアは静かに其の場に座る。
「つまりハーフエルフの時間稼ぎということか? ふざけやがって!!」
 そのまま走り出したい衝動に狩られるアリスだが、先程のオイフェミアの説が正しければ、動いては駄目。
 そのまま諦めて其の場に座ると、魔法の効果が切れるであろう時間まで、其の場で待機となった。

──そして1時間後
 周囲の状況がおかしいことには、ラックス達も気が付いていたようである。
 そのため、余計な体力を使わないように足を止め、其の場に静かに座っていたらしい。
 しばらくして再び動きだし、変化が無ければ止まって一休みを繰り返していた結果、1時間後には全員が合流することに成功した。
 そして魔法の効果が切れているようだと信じ、一行は急いで先に進んだ。
 ロスした一時間があれば、ハーフエルフ達は遠くに逃げることができるであろうから。


●追撃〜そして殲滅〜
──街道筋
 森を抜け廃村にたどり着いたとき、ちょうどハーフエルフ達は廃村の外に向かって馬を走らせていたところであった。
 その馬も、襲った民家から盗みだしたものであらしい。
 馬は全部で3頭。
 一つの馬に二人ずつ乗り込んでいるのを確認すると、まずはその足を止める為に、馬に向かって攻撃を開始。
──ギリギリギリッ
「距離が遠いが、これぐらいはっ!!」
 手にした弓を引き絞り、ラックスが渾身の一撃をハーフエルフの乗っている馬に向かって叩き込む。
 それは深々と突き刺さり、痛みに驚いた馬が暴れだした!!
──ドスッ
 最前列の馬が暴れて二人が落馬。 
 その暴れた馬をかわそうと、後列の馬二頭がおもいっきり加速するが、それでも躱わし切れずに次々と落馬。
 最後尾にいた馬と、それの手綱を握っていたハーフエルフのみが其の場から巧く逃げ延びることが出来た。
 そして落ちたハーフエルフ達も、痛みを堪えつつ戦う体勢を整えようと身体を起し始める。
 二人はナイフを懐から取りだし、二人は急いで印を組み韻を紡ぐ準備にはいる。
 一人は背中からクレイモアを引き抜こうと背後に手を回すが、まだフラフラしているらしく、巧く掴むことが出来ない。
「ヘーイッ! 人気だけのハーフエルフ!! あんたのツラはもうみあきたぜつまり古いんだッ! おれが処刑してやるぜ!」
 いきなりオイフェミアがそう叫ぶと、すばやく印を組み韻を紡ぐ。
 それに同調するように、エレアノールとアリスもすばやく印を組む。
 そして詠唱開始。
 間に合ったのは、オイフェミア達!!
──ゴゥゥゥゥゥッ
 オイフェミアの発したグラビティキャノンは剣士の構えたクレイモアを吹き飛ばす。
 さらにアリスとエレアノールの二人が唱えたアイスコフィンが、ウィザードらしき二人を氷の棺へと閉じこめてしまう。
「・・・・さて。厳粛に耳を傾けなさい・・・・」
 その状況で始めて、マルコ司祭が口をを開く。
 そして懐より羊皮紙を取り出すと、静かに罪状を読み上げる。
「これより判決を言い渡す。被告ハーフエルフ! 被告山賊! 判決死刑! ハーフエルフお前達は哀れだ! だが許せぬ。弱きものお前達は哀れだ! だが許せぬ・・・・っと、エレアノールさん、いつのまにすり替えたのですか?」
 エレアノールのすり替えた文面を読み、慌ててもう一つの羊皮紙を手に取るマルコ司祭。
「ごほん・・・・静粛に。罪深き民に告ぐ。貴公らの犯した罪は重く、罪なき為を殺すだけでは無く、その財産をも奪うという極悪非道な行為である。それは『大いなる父』の意志に反するものであり、且、その行為を行った貴公達には、大いなる父の加護を受ける資格をも持たない。すなわち」
 そう告げると同時に、ハーフエルフ達もようやく我を取り戻すと、武器を構えて立上がる。
「大いなる父と神の御名において、貴公らに死を与える!!」
 スッと手を上げるマルコ。
 そしてそれと同時に、冒険者達は一斉にハーフエルフに向かって攻撃を開始。
 
 5分後には、全てのハーフエルフの屍が転がっていた。
 残念なことに、最初から姿の見えなかった騎士らしき奴と剣士一人を逃してしまったが、その二人については後日自警団か追跡するという事で話が付いた。
 そして、一行はマルコ司祭と自警団長を送り届けると、ゆっくりとパリへ帰還していった。
 ただ、その地を離れるときにヒールが呟いた言葉が、皆の脳裏にいつまでも残っていた。

「・・・・後味の悪い依頼だ・・・・」

〜Fin