●リプレイ本文
●お約束は華麗に〜お待たせしました、ボンバータイム〜
──移動中
松五郎の居る村まで、のどかな馬車の旅を満期している一行。
「・・・・ありがとう。助かったぜ!!」
バクバクと保存食を咽に流し込み、目の前で呆れた顔をしているカタリナ・ブルームハルト(ea5817)にそう告げるのはリスター・ストーム(ea6536)。
ちなみにリスター、うっかりしていて保存食を持ってくるのを忘れたらしい。
運良くカタリナが予備を持っていた為、それを分けてあげたまではよかった。
そうそこまでは良かったのである。
「まったく。ボクが偶然持っていたから良かったものの、もし持っていなかったら餓死していたよ? 感謝するんだよ?」
「ああ。おかげで腹一杯だ・・・・」
そう呟くカタリナに、リスターはニィッと笑みを浮かべる。
──カチッ!!
と、その笑みを見て、近くに座っていたノリア・カサンドラ(ea1558)が拳にアイアンナックルを装備。
「食事のお礼をしないとなぁ・・・・」
そう呟くと同時に下半身を脱衣しながらカタリナに襲いかかるリスター。
「きゃああああああ!!」
「食欲を満たしてもらった以上、ついでにせいよ・・・・っ!!」
──キィィィィン
飛び掛かったリスターの股間目掛けて、ノリアとカタリナの二人の拳が叩き込まれた!!
「真・ノリアボンバーっ」
「カタリナボンバーーっ」
光と影。
巨乳と貧乳。
二つのボンバーがリスターを襲う!!
そのまま白目を向いて失神するリスター。
「・・・・おーーい。生きてる?」
ツンツンと失神しているリスターを突く無天焔威(ea0073)。
だが、リスター反応なし。
「まあ、婦女子に対しての礼儀は最低限守らないといけませんからねぇ・・・・」
「その通り!!」
響清十郎(ea4169)の言葉に夜黒妖(ea0351)が相づちを打つ。
そんなやり取りを毎日続けつつ、一行は何とか松五郎の居る村へとたどり着いた。
●先ずはご挨拶〜珍獣さんいらっしゃーい〜
──松五郎村
まあ、村と呼ばれるほど施設の整っている場所ではない松五郎宅。
しかし土地の大きさならば、小さい村とほぼ同じ大きさ。
その中に、松五郎氏の家とその他、様々な動物達のすまう厩舎、訓練用の囲いのある草原などがあちこちに点在している。
街道からも多少離れており、ちょっと交通面においては不便では有るが、それでも動物達にとっては楽園のような場所であろう。
小さい川、豊かな森といった、生き物の命を育む場所が、直近くにあったから。
「うんうん、よく来てくれましたね〜。まずは皆さんの止まる場所へご案内しますねー。それから皆さんに、お友達である動物達、紹介しますねー」
ニコニコと、瞳を線のように細くして松五郎老人がそう呟く。
「これはお出迎えありがとうございます〜」
ほーちゃんが丁寧に挨拶を返す、そして他の冒険者も一人ずつ挨拶を行うと、早速荷物を部屋へ運びこみ、いよいよ動物達と御対〜面〜!!
●それぞれの試練〜そして数日が立ちました〜
──村内
「・・・・どうしたものですかねぇ・・・・」
ほーちゃんは目の前で大きな顎を開き欠伸をしているフィールドドラゴンを眺めつつそう呟く。
フィールドドラゴンの厩舎の近くにテントを張り、ほーちゃんは担当であるドラゴンの飼育を行なっていた。
「折角、俺が新当、新陰、中条の流派三源流始祖集結『愛洲・兵庫家直』っていういい名前を付けてあげたのにねぇ・・・・」
既にドラゴンの背中には特製の鞍が装着されている。
巧く調教したら、この地の領主であるプロスト卿の元まで遠出を使用と考えていたらしいが、すこーし時間がかかるようである。
──ムクッ
ゆっくりと身体を起こし、川に向かって歩き始めるドラゴン。
「おおおおっ。行きますかぁ?」
慌てて鞍にまたがり手綱を手に取るほーちゃん。
そしてドラゴンの赴くまま、川に向かって進んでいくと。
──ザッバァァァァァン
水浴びを開始するフィールドドラゴンと、その背中にしがみついたまま河の中に道連れにされてしまうほーちゃん。
(ゴブッ・・・・また無茶しますねぇ・・・・)
とりあえず合掌。
──一方、お馬さんチーム
「うわわわわわわわわっっっっ!! と、止まってぇぇぇ、ブラックシップ!! 止まるんだぁぁぁぁ!!」
草原を失踪するライディングホース。
その背中では、必死に手綱を絞って馬を制御しようとしているカタリナの姿があった。
松五郎老人から預かったライディングホース。
その名はずばり『ブラックシップ』。
ドレスタッドで行われている競馬の噂を聞きつけ、プロスト卿が参戦するために用意したライディングホースらしい。
その驚異的な加速力に、カタリナはしがみついているのがやっとである。
「うわぁ・・・・アレは凄いなぁ・・・・」
コースの外でウォーホースの『バンバー号』をキャンター(駈歩)で走らせている清十郎が、そのカタリナの光景を見てそう呟く。
ちなみに清十郎、既に馬と出会って数刻で、ウォーホースとの有効関係を結ぶことに成功。清十郎はその背中に乗る事を許されたらしい。
そして冒険のときと全く同じ戦闘スタイルで馬の訓練を行なっている模様。
まあ、休暇を取る厩務員達がそうしていたらしいが、清十郎には網一つ、重大な使命があった。
この訓練期間中、ウォーホースに実戦経験を積ませることである。
「さて、少し遠出をしてこようね・・・・」
そのまま近くの森へとギャロップ(襲歩)で掛けていく。
いい関係ですねぇ(しみじみ)。
──一方、とんでもない関係
『チーッチッチッチッ』
巨大ハムスター(シリアンハムスター)飼育小屋の中で、ノリアは自分に体当たりして威嚇してくるハムスター6匹と相対峙していた。
実に体長1m程の巨大ハムスター。
それも6匹となると、流石のノリアさんも分が悪い。
「相手が魔物なら必殺技が出せるのに・・・・」
そう呟きつつ、グッと腰を落として身構えるノリア。
さて、どうしてこうなったか説明しよう。
松五郎さんから巨大ハムスターの飼育&調教方法を教えられたノリア。
まずは飼育小屋の掃除を行ない、その後餌を餌箱に移す。
一匹ずつだっこして長い毛にブラッシング。
そこまでかノリアさんの仕事である。
が、小屋の掃除を行うとき、迂闊にも一匹の足を踏んでしまったからさあ大変!!
そして餌をあげにきたこの時!! 正にし烈な戦いの火蓋がきって落とされた!!
──ドゴッ
いい加減長時間の戦いとなり、流石のハムスター達も咽の渇きに耐えきれない模様。
必死にその体当たりを躱わしつづけるノリアもまた然り。
頭上に餌と特製ハチミツ入り飲み水の入ったバケツを掲げ、なんとか足を咬まれないように動きまわっていたものの、ついに脚がもつれて転倒!!
──バシャーーーン
頭上から大量の水を被るノリア。
幸いなことに、この厩舎は内部に暖炉が焚いてある為、風邪を引くようなことはないが・・・・。
──キラーーーン
ハムスター達の瞳が輝き、一斉にノリアに襲いかかる!!
「ま、待って、一斉に来るなんて・・・・って、何処に顔を突っ込んでいるっ!!」
正に濡れ鼠となったノリアに襲いかかると、ペロペロと全身を舐め始めるハムスターたち。
「こ、こらぁぁ!! あ・・・・そんなぁ・・・・駄目・・・・お嫁にいけなくなっちゃうぅぅぅぅぅぅ」
ノリアさん、ハムスターに敗北。
タロンの使徒ですけれど、合掌。
──一方、草原では
ピーーーーーーーッ
笛を吹き鳴らし、夜黒妖(ea0351)が空を飛んでいるホークを呼び寄せる。
バッサバッサと舞い降りてくる鷹を右腕に巻き付けている特製腕カバーの上に止める。
「お・・・・おもーーーい・・・・」
その重量にフラフラする黒妖であるが、そこをグッと踏み絶える。
「よーしよし。ほれ・・・・」
そう告げながら腰の袋から餌の肉片を取りだし、鷹の眼の前に見せる。
──パクッ
その肉を嬉しそうについばむ鷹を見つつ、黒妖は葵空をじっと見上げた。
「これ・・・・欲しいなぁ・・・・」
これこれ。
君には大ガマの『ギュスターヴ君』が居るじゃないですか!!
そんなこんなで、二羽の鷹の調教を続ける黒妖。
こちらはいい感じになっていますねぇ。
──そして大とり
動かない。
じっと座って動かない。
「・・・・この俺を誰だと思っている?」
モアの背中にまたがって、必死に首を掴んで振るリスター。
「鳥なら根性で大空を舞え! あの鷹のように! アヒルですら空を飛ぶんだ! さあ今から特訓だ!」
そう叫ぶが反応は無く、大きな欠伸をするモア。
やがてリスターも観念し、首に手綱を引っ掛けて前に引っ張り始める。
「ふぅふぅ・・・・飛べないのは理解した・・・・人にも向き不向きがあるように、お前には他の鳥にはない立派な足がある!大地を駆け、馬よりも速く走れ!さあ特訓だ!」
だが、その体重を引っ張るだけの力はーない。
色男、金と力はなんとやらである。
「ぜぇぜぇ・・・・お前には闘争心が足りない!それだけ体が大きければ鳥類最強の称号を得るのも難しくはないはず! かかって来い!」
かかって来いとはいうものの、そんなそぶりを見せないモア。
その背中にまたがり、又しても首を振ろうとしたとき、モアが素早く立ち上がり、いきなり全速で走り出す!!
「うっうわぁぁぁぁねお前走れるじゃねーーーか!」
──グラッ
と、バランスを崩しモアから落ちるリスター。
だが、不幸なことに、立つ際が足にもつれてしまい、そのままモアに引きずり回されることとなった!!
10分後、厩舎の中に戻ってきたとき、リスターの姿はどこにも無かった。
どうやら途中で落としてきたようです。
「・・・・死ぬ。こんなことなら、シルバホークと戦っていたほうがまだましだ・・・・」
ボロボロの姿で戻ってきたリスター。
「うぁ? いたい? くすりぬる?」
そうリスターに話し掛けてきたのは、厩舎で働いているスマイルマスクを被った小さな子供。
「ああ。すまないな。と、ここの厩舎で働いているのか?」
「うぇい!! ぎゅんたさっききた、ここではたらく」
「ふぅん。ぎゅんた・・・・銀太っていうのか。大変だなぁ・・・・」
あまり気にしないリスター。
って、なんでギュンター君がここに?
●やぱりきたねぇ〜襲撃〜
──ドゴッドゴッドゴッ
ようやくブラックシップに慣れたカタリナが、急ぎ皆の集っている厩舎に戻ってきた!!
「大変だよ!! この先の川向こうから、ゴブリンがやってくるよ!!」
その言葉だけで、一行は素早く行動開始。
川を越えて厩舎に近付くゴブリンの集団に、冒険者達は、素早く対処する。
──ピィィィィィィッ
口笛を吹きつつ、右腕に止まっている鷹を空に羽ばたかせる。
「シュルプリーズ(行け)!!」
そう叫び右手でゴブリンを力一杯指差す黒妖。
と、その命令に従い、二羽の鷹がゴブリン目掛けて急降下!! その爪で皮膚を引っかく。
「んーーー。みんないいかんじだねぇ・・・・」
ほーちゃんもフィールドドラゴンの背中に座り、のっしのっしとゴブリンに近づいていく。
「ウガァァァァ」
そう叫びつつ襲いかかってくるゴブリンだが。
──バクッ!!
ゴブリンの腕を素早く食いちぎる。
「おっととととっ。僕を振り落とさないでくださいね」
一方、ゴブリンの群れのど真ん中では、ウォーホースにまたがり剣を振るう清十郎。
(凄い・・・・一歩も引かず、さらに自分も攻撃するなんて・・・・)
馬の背中で手綱を握り、もう片手で近づいてくるゴブリンを叩き斬る。
前方ではウォーホースの前足による蹴りがゴブリンに向かって叩き込まれている。
まさに人馬一体の攻撃である。
ちなみにノリアさんとリスターは、厩舎の中に入って来ようとする奴等から防衛、カタリナはその背中に松五郎さんを乗せて一旦戦場から脱出。
ノリアとリスターの担当動物は戦闘向きではないので、止むを得ず自分で戦う事になった模様。
それでも、30分程の戦いが続いた。
無傷とまでは行かなくとも、致命傷でもない程度の怪我を受けつつも、ゴブリンたちを殲滅する冒険者。
「うぁ。けがしてる。なおさないとしぬ!!」
ギュンターがノリア達に慌てつつそう話し掛ける。
「んー。大丈夫だよ。これぐらいの怪我じゃしなないし、もし死んでも、リカバーで甦生できないこともないしねぇ」
にぃっと笑うノリア。
「りかばー? しんでもいきかえる?」
頭を捻り、そう問い掛けるギュンター。
「うーん。でも、高位のクレリックじゃないと甦生できないからなぁ。ボクの知っている人でも、死者の甦生まではできないねぇ」
「まあ、この広いノルマン、それぐらいできそうな人がいるとは思うけれどねぇ・・・・」
カタリナの言葉に続き、ほーちゃんがそう告げた。
「こののるまんのした。しんだひといきかえすひといる!!」
楽しそうにそう呟くギュンター。
そして翌日。
ギュンターの姿は村からなくなっていた。
●依頼終了〜動物達は十分強い〜
──松五郎宅
無事に依頼期間の調教も終了。
実戦に導入する事も出来、結果としてはまずまずであった。
「助かりましたねぇ。午後にも皆さんもどってきますから あとは最後の引き継ぎだけをしてくださいね。皆さんはこの期間、どうでしたか?」
松五郎の質問に、皆自分の思いを熱く語る。
只のペット、只の動物というだけではない。
大切な何かを、皆掴めたのであろう。
そして一行はパリへと帰還する。
その途中、グレイファントム領へと続く分岐路で、ギュンター君らしき人影を見つけた。
が、馬車を止めることは出来なかった為、一行はそのままパリへと帰還した。
〜Fin