ふらり冒険〜シルバーホーク追跡〜

■ショートシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月08日〜02月23日

リプレイ公開日:2005年02月13日

●オープニング

──事件の冒頭
 静かな朝。
 サン・ドニ修道院では、ここ数日の間、毎朝とある小さな墓に花を添えるのが日課となっていた。
 墓碑名は『プティ・アンジェ』。
 まだ幼くして、運命に翻弄され殺された可哀想な少女。

 シルバーホークと呼ばれる秘密結社に『アサシン』として育てられ、そして戦いの中で散っていった少女。
 組織から助けられ、このサン・ドニ修道院にて普通の少女として過ごしていた時間を、少女は死の間際に思いだしていたのであろう。


──冒険者酒場
 少女の死から数日。
 シルバーホークに関する動きが全く掴めないまま、時間だけが過ぎ去っていった。
 やがて少女は忘れられてしまうのだろうか?

 シルバーホークに逆らったら殺される・・・・。
 それならば、関らないほうがいい。
 そういう風潮すら、見え隠れしている。

 だが、少女のことを 知るものは、じっとしてはいられない。 
 チャンスがあれば、いつでも動きだす準備はしていた。
 そして、時はやってきた・・・・。

 ある晴れた朝。
 冒険者達は荷物をまとめて酒場を飛び出した。
 なにか手掛りを掴む為。
 そして、哀しい想いを止めるために・・・・。

●今回の参加者

 ea0294 ヴィグ・カノス(30歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea1661 ゼルス・ウィンディ(24歳・♂・志士・エルフ・フランク王国)
 ea2389 ロックハート・トキワ(27歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea3641 アハメス・パミ(45歳・♀・ファイター・人間・エジプト)
 ea4792 アリス・コルレオーネ(34歳・♀・ウィザード・エルフ・フランク王国)
 ea5415 アルビカンス・アーエール(35歳・♂・ウィザード・人間・ノルマン王国)

●リプレイ本文

●沈黙する冒険者〜手掛りはいずこに?〜
──パリ
 早朝。
 今回の依頼を受けた冒険者達が、冒険者ギルドを後にする。
 みな、様々な想いをぶつけあい、そしてほんの僅かの手がかりを手繰り寄せ、涙に濡れているであろう少女達を救出するために走り出した!!


●プロスト領にて〜核心の一つ?〜
 ガタガタガタガタ
 馬車に揺られてプロスト領にやってきたのは、ヴィグ・カノス(ea0294)とアハメス・パミ(ea3641)の二人。
 ヴィグは城下街? で地図を作れる人を探し出し、パリとプロスト領の地図を入手しようと走りまわっていた。
 が、正確な地図を作れるものなど、そうそう滅多にお目にかかれないのも事実。
 やむなく自分の足で周辺の調査を行ない始めた。
「・・・・この先の街道を右にですか?」
「ええ。そのままずっと真っ直ぐに向かうと深い森にでます。その奥には、貴族の別荘が一軒立っていますけれど・・・・ちょうどそのあたりは、隣のグレイファントム領との境界線が挟んでいまして・・・・」
 ヴィグはプロスト領にあると思われる怪しい建物の調査を行なっている。
 運よく、それらしい怪しい建物を聞き出すことが出来たものの、そこは隣接領地であるグレイファントム領との境界線。
 ここ最近、悪名の高いグレイファントムの領地に、単独で足を踏みいれるのは危険であると判断。
「今でも、そこには人が住んでいるのですか?」
「ええ。私の祖父がそこに食糧を届けていますから。先日も大勢の方々がいらっしゃって、パーティーを行なっていたのですよ」
「主催はその別荘の持主の貴族ですか?」
「ええ。昔、プロスト様がこの地を納めるように任命された時には、もうこの地を離れてしまったそうですけれど。確かシルバーホーク卿の別荘地ですね。もっとも、今は息子さんのラインハルト卿がたまーに遊びに来ているぐらいですね。まあ、ここ数日は別荘の管理をまかされている方と、たまーにラインハルト卿の侍女達がやってきて掃除をしている程度ですねぇ」
 その言葉を全て買い込んでおいた羊皮紙に書き留めるヴィグ。
「ラインハルト卿の父、シルバーホーク卿は今はどこに?」
「さぁ・・・・プロスト卿との確執もありまして、この領地から他の領地へと移ったという噂は聞いていますけれど。確か南の方、グレイファントム領だったかなぁ。グレイ卿とシルバーホーク卿が懇意だったという噂は聞いていますから」
 
──一方・アハメス
「つまり、其の日はメイドが数名、暇を取って帰省していたのですか」
「ええ。そのため、この領内で募集を掛けたのです。ちょうどこの先にある村の娘さんが二人、他の領地にいらっしゃる貴族の元で侍女として雇われていたということで面接を行ない、私が採用しました」
 アハメスは、先日プロスト領にアンリエット達が現われた事について調査を行なっていていた。
 メイド長の話から、アンリエット達アサシンガールは自分達の経歴すら作り出し、もしくは他人に成り代わるという術を見出しているのも予測できた。
「彼女達の雇われていた領主については、何か御存知で?」
「それがですねぇ。書類を確認した所、ドレスタット郊外のカイゼル卿の封蝋捺印も押されておりまして。まさか封蝋に押す印章まで作りあげているとは思ってもいませんでした・・・・。先日カイゼル卿の元に確認を取りましたところ、どうやらそのような侍女は存在していなかったようでして・・・・」
 それ以上の情報を得ることは出来なかった為、アハメスは一旦プロスト領城下街にある『蒼き湖畔亭』にてヴィグと合流、情報交換の後アハメスはそのまま別荘地へ、ヴィグはパリへと向かった。


●サン・ドニ修道院〜沈黙する少女〜
 静かに教会の鐘の音は鳴り響く。
 目の前には、『プティ・アンジェ』の名が刻まれた墓碑。
「・・・・必ず終わらせるから・・・・安心していろ」
 ロックハート・トキワ(ea2389)は、アリス・コルレオーネ(ea4792)、アルビカンス・アーエール(ea5415)達と共にサン・ドニ修道院へとやってきていた。
 ここにいるシスター達もまた、アサシンガール達を保護していたという事実がある。
 シルバーホークに関係してしまっている以上、万が一その身に何かあっては大変であると考えたロックハートは、シスター達に注意を促す為にやって来ていた。
(よかった・・・・お墓は荒らされていないのね・・・・)
 アリスは墓が荒らされていない事、そして今もなお、彼女に冥福を祈りにやってきている者たちの手によって飾られている献花を見てホッと安心していた。
 相手は噂に聞くシルバーホーク。
 どんな事をしでかすか判らないのである。
 アリスはそのあとで、シスター達の元を訪ねて色々と質問をしていた。
 この修道院でのアンリエット達の様子はどうだったか?
 今になって、何か思い出したことはないか・・・・。
 どんな些細なことでも構わないので、教えて欲しいと頼み込んだが、シスター達も、今までにそれらしい事は全く気付いていなかった。
「もし出来ればだが・・・・彼女達がここに残していったものがあったら預からせて欲しいのだが・・・・」
 アルビカンスはシスターにそう頼み込んだ。
「そうですわねぇ・・・・後から来たフロレンスはそれらしいものをなにも持っていなかったですし。アンリエットも、ここで生活してたときのものは残していますから・・・・そうそう、あの子のお気に入りだった『あひるの人形』は無くなっていましたので、あれだけは持っていってしまったのですねぇ・・・・」
「あひるの人形?」
 そう問いかけるアリス。
「ええ。最初にやってきた冒険者さん達が作ってくれたらしいのです。たまにそのぬいぐるみを手にしては『ガァガァガァ』って・・・・窓の外を眺めながら・・・・」
 そのまま暫く話をしているが、それらしい情報を得ることは出来なかった為、一行はパリ・冒険者街にある酒場『ザ・マスカレード』へと移動!!


●ザ・マスカレード〜カウンターでは営業していますよ、フッフッフッ〜
──冒険者酒場『マスカード』
「・・・・」
 沈黙。
 ロックハートとアルビカンス、アリスの三人は、カウンターの横に座っている女性『ミストルディン』の方を静かに眺めている。
 情報屋『ミストルディン』を呼び出すことに成功した一行だが、いざ情報を買い取ろうと考え話を振ってはみたものの、ミストルディンが突然考え始めてしまったのである。
「まずロックハートさん・・・・貴方の欲しい情報である『騎士団がどれだけシルバーホークを調べているか』については、まだ調査中であるとしか伝えられないわ。シルバーホークを専門に調べている騎士団が存在しているのは事実。でも、その実体は私にも判らないわ・・・・」
 それでも充分と、ロックハートは静かに席を立つ。
「えーっと、アルビカンスさん。アサシンガールについてですけれど、私の知る限りでは10名。アンリエット、フロレンス、アンジェ、クラリス、ブランシュ、エリーゼ、、アルジャーン、オーブ・ソワール・・・・でも名前の判って居るのはこれだけね」
 その言葉に、アルビカンスは必死にメモを取る。
「この中で、クラリス、ブランシュ、アルジャーン、オーブ・ソワールの四人は『パーフェクト』、アンリエット、アンジェは『エクスペリアンス』、フロレンスとエリーゼは『アザール』と分類されているわね・・・・」
「おいおい、そいつは一体なんだ?」
 そう問い掛けるアルビカンスに、ミストルディンは静かに口をひらく。
「パーフェクトは、アサシンガールの中でも『エンジェルモード』という戦闘スタイルを取るらしいわね。完全なる暗殺者という所かしら。エクスペリアンスは『実験体』。その都度調整を行ない、調整を行うたびに『自我』が崩壊していく使い捨て。アザールは、生まれながらにしてその資質を持っている者たちね・・・・」
「使い捨てって・・・・」
 愕然とするアリスに、ミストルディンは静かに口を開く。
「それだけじゃないわ。シルバーホークは『他の組織』にも、アサシンガールを売り飛ばしているらしいのよ。それもエクスペリアンスやアザールではなく『パーフェクト』をね・・・・」
 ゴクリと息を飲む二人。
「シルバホークの組織については、まだ私の方でも・・・・何か判ったら、こちらから連絡をいれるわ。そうね・・・・その時は『宿り木のハーデティー』を用意しておくわ」
 そしてアルビカンスは、そのままミハイル教授の元へとダッシュ!! 
 アリスはまた単独での調査を開始した。


●シルバーホーク別荘〜フロレンス出撃〜
──別荘にて
 ガギィィィィン
 激しく打ち鳴るナイフと剣。
 別荘に様子を見る為にやってきたアハメスは、偶然屋敷から出てきた『フロレンス』とばったり合流。
 運命か、はたまた偶然か。
 そのままフロレンスは素早く得物を引抜き、戦闘に突入した。
「胸の傷はもう平気なの?」
 そう問い掛けるフロレンスに、アハメスは自分の胸許をトントンと指で叩く。
「あの時は、ここでしたね。フロレンス・・・・アンリエットは何処にいるの?」
──パシィィィィッ
 そう叫びつつもフェイントアタックで平手撃ちを叩き込もうとするアハメス。
 だが、その一撃を受け流すと、フロレンスはカウンターを叩き込んでくる。
──ドシュッ
 アーマーが破け皮膚が切り裂かれる。
 鮮血が吹き出し、アハメスの表情が苦痛にゆがむ。
「再調整が必要だから・・・・楽しい思い出なんて私達にはいらないの。組織の為に、あの御方の為に私達は存在するの。私は手、私は足、あの御方の瞳として全てを見、一筋の刃となってあの方の敵を打つの・・・・」
 にぃっと笑うフロレンス。
 まるで、聖母の如き笑みを浮かべる。
──ドシュッ!!
 その刹那。
 フロレンスの姿が消える。
 そしてアハメスの後方で、ナイフをしまう音が聞こえてくる。
「一体何が・・・・」
 意識が途切れ始める。 
 アハメスの首筋からは、大量の鮮血が吹き出している。
「もう、私達には干渉しないで・・・・そこで静かにおやすみなさい・・・・それに・・・・貴方の顔は私が覚えたから」
 その言葉の後、アハメスの意識は途切れてしまった。

・・・・・・
・・・・
・・

「うぁ、だれかしんでいます・・・・」
 トコトコとアハメスに歩み寄る人影?
「うぇい!! まだいきているぅ。しけつしないとしにますー」
 オロオロしつつも止血をすると、不思議なオーガの少年『ギュンター』はアハメスを担いでゆっくりと街道を戻っていった。


●ミハイルレポート〜じじいのたわごと〜
──ミハイル研究室
「ふぉふぉふぉ。まあゆっくりしていきなさい」
 ミハイル研究室では、ミハイル教授が差し出したハーブティーをゆっくりと飲んでいるアルビカンスの姿がある。
「教授、この地にある『古の魔人』の眠っている塔について色々と教えてほしいのだが・・・・」
 そう問い掛けるアルビカンスに、教授はゆっくりと頭を捻りつつ口を開く。
「まだはっきりと解析が終ったわけでも無い。新たなる発見は、それまで解読した真実そのものを逆転する時もある。まあいずれ、時が来たら・・・・しっかりと解析が終ったらその時には依頼を行うからのう」
 それ以上の言葉は続かない。
 眼の前に置かれている石版をじっと眺めつつ、あれでもないこれでもないと頭を捻るミハイル。
「判った・・・・それと、シルバーホークの事については? ここ最近か、とみに活発化しているらしいから、何か対抗策や知恵を借りられたらいいなと思って・・・・」
 そのアルビカンスの言葉に、ミハイル教授は静かに口を開いた。
「そうじゃのう・・・・もし、またあいつの元から少女達を助け出したら・・・・修道院にて隔離しておくことじゃな。昔のあいつは敬謙なるセーラの使徒。修道院を血に染めるようなことはないじゃろうて・・・・」
 それ以上の話は無かった。
──ドンドン
 と、突然扉が叩かれる。
「ミハイル先生、そこの街道に冒険者が倒れていて・・・・虫の息なんです!! 今は『ノートルダム大聖堂』にて運ばれていますが・・・・先生でしたら見覚えがあるかも知れないと思いまして!!」
 街の人が扉の外を叩きそう叫ぶ。
「アハメスか!! まさかタイマンでアサシンガールとやり合ったのか?」
 叫びつつ大聖堂へと向かうアルビカンス。
 そして大聖堂では、傷つき意識を失っているアハメスの姿があった。


●裏オークション〜踏込み過ぎた!!〜
──とある村
 ゼルス・ウィンディ(ea1661)は走っていた。
 アルフレッド・プロストに頼み込み、シルバーホーク主催の『裏オークション』に参加したのはよかった。
 だが、誤算もあった。
 そのオークションに『グレイファントム卿』も参加し、シルバーホークの幹部と楽しそうな話をしていたのである。
 あとは、グレイファントム卿がゼルスに対して、『こんなところにまで冒険ですか?』という一言を発した為に全ては終った。
 今回は、一般人の参加は認められておらず、貴族やその招待客のみが参加資格を持つ裏オークション。
 アルフレッドの紹介でやってきたという話をしてみたものの、それもままならない状況まで追込まれてしまった。
 やがてゼルスは其の場から逃げることに切替え。
 追っ手を差し向けられたものの、それらを巧く躱わして逃走に成功した・・・・。
「ハァハァ・・・・グレイファントム卿まで参加していましたか・・・・まさか『シルバーホーク』に資金援助をしているなどということはないかも知れませんけれど・・・・」
 絶え絶えになっている息を整えるゼルス。
──ドシュッ!!
 一瞬何が起こったのか、ゼルスは判らなかった。
 只、胸許に突き刺さっている光る矢と、そこから溢れてくる鮮血が、ゼルスの足を走らせた!!
「何処から? まさかもう追っ手が・・・・」
 シルバーホークの処刑部隊と思われる『ムーンアロー』。その傷があまり深くないことを確認すると、ゼルスはただひたすら走りつづけた。
 


●そしてパリ〜危険過ぎる対象〜
──冒険者酒場マスカード
「で、アハメスは取り敢えず教会に運びこんでおいた。止血はしてあるが予断は許さない状況だ・・・・」
 アルビカンスがそう説明する。
「私の方も、処刑部隊に名前と幾つかの正体が知られてしまったようです・・・・かなり危険な状態です」
 同じくオークションを行なっていた村から逃げ延びたゼルスがそう告げる。
 そして一行は、自分達の得た情報をそれぞれ交換すると、これからの対策などに付いて話を続けていた。