●リプレイ本文
●と言うことで〜重い依頼〜
──出発前・パリ
「どうにか話し合いで解決させる方向では駄目なのか?」
ギルドで打ち合わせを行なった後、一行は『冒険者酒場・マスカレード』にて依頼人である紳士と、今回同行するシフールと合流した。
そこでエグゼ・クエーサー(ea7191)は、以前の報告書からその果樹園に住まうオーガは実害が無いことを確信、戦闘ではなく話し合いによる解決の道を提示していた。
「いやいや、相手はオーガです。悪しきカインの末裔。話し合いなど行うだけ無駄。奴等は人間を滅ぼす事が生きがいなのです」
そう胸の十字架を握り締めて呟く紳士。
「それは、そちらの騎士様達も御存知の筈です。違いますか?」
そう問い掛けられて、ニルナ・ヒュッケバイン(ea0907)とエルリック・キスリング(ea2037)は言葉を失う。
神聖騎士である以上、今紳士が告げたことは根底から判っている。
二人がタロンの使徒ならば、それに従って行動し、オーガの殲滅を行うであろう。
だが二人はセーラの使徒。
慈愛持つ神の御手を差し伸べる対象として、オーガを捉えることはできないのだろうか。
実際、教会でもギュンター君の件については、賛否二つの意見が出ていた事もあったらしい。
たとえ慈愛持つ神といえども、『カインの子孫』は悪しき対象。
それを認め、救いの手を差し伸べることが本当に正しきものなのか?
神の僕として、『人々に救いをもたらすために』活動しているのが神聖騎士やクレリック。
だが、オーガは人では無く、人と対立している種族。
ここにきて、二人は究極の選択を強いられた事になる。
(先手を撃たれた・・・・)
(只の紳士ではないですか・・・・思ったよりも今回の依頼者、曲者のようです・・・・)
ニルナとエルリックは言葉を失った。
取り敢えず、今は村を取り戻すことに専念し、良きオーガ達の事は臨機応変に対処しよう・・・・。
そして一行は紳士と別れ、同伴するシフールと共に目的の村へと向かっていった。
●果樹園の村〜まだいたのね良きオーガ〜
──果樹園手前
無事に現地まで到着した一行。
このまま果樹園を越えていけば、目的地である村まではたどり着くことができる。
「もうつぼみがよく見えまね・・・・」
近くにつぼみを膨らませているリンゴの花を見て、マリウス・ドゥースウィント(ea1681)がそう呟く。
「結実するのは秋か。これだけ丁寧に育てているのなら、よほど甘い実が成るのだろうな。惜しい・・・・」
『戦う調理人』エグゼは残念そうにそう呟く。
もし実がなっていたら、自慢の腕を存分に振るうコトが出来たのであろう。
いや残念!!
ホントに残念!!
「それにしても、随分と手入れがしてありますね。ギルドの報告書では、これは確か『オーガ達』が行なっていたとか。出来れば、戦いたくは無いんですけどねー」
そう同行しているシフールに話し掛けているのはフェイテル・ファウスト(ea2730)。
「まあ、そうなんですけれどねぇ・・・・」
同行しているシフールはそう呟いた。
「貴方はオーガの殲滅には反対なのですか?」
そうシフールに問い掛けるのはルイス・マリスカル(ea3063)。
「オーガの中にも、人の為に役立つものが居るっていう事でしょう? 確か、去年だったかな? 冒険者の人たちがオーガの子供を助けるんだって騒いでいたじゃない。カインの末裔にも手を差し伸べる奇特な存在だなって思っていたんだけれどねぇ・・・・」
あんたも奇特って。
そういいつつも、シフールは直に
「まんざらでもないしねぇ・・・・」
と告げていた。
「なら、今回はやっぱり『襲ってきた場合は処分する』っていう方向性でいくしかないか?」
ロックハート・トキワ(ea2389)が皆に向かってそう告げる。
「・・・・しかし。シフールさんは・・・・すべてを報告する・・・・義務があるのだろ・・・・ならば・・・・無理では・・・・」
ウリエル・セグンド(ea1662)がそうシフールに話し掛けた。
「あ、別に好きにしていいよ。私の任務は、こちらの任務が終ったら町に戻って作業員を呼んでくる事。こっちでオーガ達の死体を片付けている間に、そのオーガ達の事は好きに処理していいよ。どっちかっていうと面倒な事は嫌いなんだ」
そのシフールの一言で、方向性は全て解決した。
あとは、悪しきオーグラとそれに繋がるオーガ種の排除のみ。
──強行偵察
ニルナと、ロックハートの二人は、村に向かって偵察に向かう。
果樹園を抜けて森を越えた先。
そこに広がるのは、村のあちこちにて蠢いているオーガ、ゴブリン、コボルト、オーク。
正にオーガ種により支配された村である。
「・・・・ざっと数えてオーガ5、オーク5、ゴブリン10、コボルト5ね」
「それと、オーグラ1・・・・あそこにいますね」
ニルナが数を確認した後、ロックハートがある一点を指差す。
そこには、何処からか攫われてきた人間達が、檻の中に閉じ込められている。
そしてその手前では、恐らくは女性であろう人間の上半身に噛付き、肉を食いちぎっているオーグラの姿があった。
「酷い・・・・一体なにが?」
「恐らくは冒険商人。旅から旅をしながら商売をしている人たち。そのギャラバンでも襲ったんだろうさ。それより急がないと、まだ檻の中に居る人たちは生きている。全部で5名という所か。仲間の元に合流して対策を練る!!」
ロックハートの言葉で、ニルナも一旦果樹園まで戻る。
──という事で
「・・・・作戦内容は・・・・オーガ種の全滅・・・・そして・・・・囚われている人達の救出か・・・・」
ゆっくりとした口調でそう告げるウリエル。
「日が暮れる前に、ある程度の目処を付ける必要がありますね・・・・」
そうロックハートがつぶやいた時、マリウスは茂みの向こう側になにかが蠢いているのを確認。
「・・・・何者です!!」
素早く剣を引き抜くと、茂みに向かって構えるウリエル。
そしてそれど同時に、他の仲間たちも一斉に戦闘態勢に入ったが。
「ウ・・・・ウア・・・・ナニモシナイ・・・・」
「オレタチ・・・・ナニモシナイ・・・・」
震えながらそう必死に『カタコトのゲルマン語』で訴えているオーガが2匹。
「オーガ・・・・まさか、お前たちが気のいいオーガか?」
エグゼがそうゆっくりと問い掛けるが、今ひとつ理解している様子はない。
「私とニルナ嬢、ロックハートさんは前もここに来ています。覚えていませんか!?」」
エルリックが自分とロックハート、ニルナを順番に指差しながらそう告げた。
「ウァ・・・・ア・・・・アリガト・・・・アリガト・・・・」
一人のオーガはそう叫びながら、頭を丁寧に下げている。
それに従うように、もう一体のオーガも頭を下げた。
「判って頂けたようですね・・・・良かった♪〜」
ホッとした表情でそう呟くフェイテル。
「この果樹園を育てていたのは貴方たちですね? 私達はこの先のオーグラ達を倒しにやってきました。貴方たちには危害を加えたくありませんので、直にここから逃げてくださいませんか?」
ギュンター君との付き合いもあり、オーガとの交渉についてはある程度熟知しているルイスが、まずはそう普通に呟いた。
そしてゆっくりと言葉を選ぶと、再び口を開く。
「うぁ、ここにいるきけん、ほくたちおーぐらころす、みんなにげる・・・・と」
その言葉の流れを何となく理解したのか、オーガ達は頭を縦に振る!!
「良かった。これで無駄に戦う必要はありませんね」
「あとは、残ったオーグラ達をぶちのめすだけだ。と、お前たち、俺の店で働かないか?」
エグゼはオーガ達をスカウト。
世界初の『オーガシェフ』育成の為に、エグゼは説得を開始したのだが。
──グォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ
突然なにかの叫び声が響いてくる。
──ビクッ
と、その声に反応して、ようやく表情が緩んできたオーガ達が再びびくびくし、素早く村へと戻っていった。
「あの声は、おそらくオーグラ。哀しいですね。本能的に、彼等オーガ達はオーグラには従ってしまうのでしょう」
フェイテルは静かにそう告げた。
「ええ。オーグラの命令はオーガ達にとっては絶対のようです。あの声だけで、オーガ達は身動きすら出来なくなっていましたから・・・・」
やはりルイスは、ギュンター君の事を思い出していた。
殆ど奇跡にも近い、オーグラの命令、本能の呪縛から解放されて戦ったギュンター君。
「今回のオーガ達にも、あの勇気があるといいのですが・・・・」
そう呟きつつも、ルイスは抜刀。
そして全員が装備を確認すると、素早く村へと走り出した!!
●殲滅作戦〜戦って、自分の心に〜
──廃村
「・・・・彼の者たちよ、御免なさい、死んで貰います〜」
まずは先制。
フェイテルが素早く印を組み韻を紡ぐ。
そして必殺のシャドウボムが完成、手近のゴブリン達の足元の影がいきなり爆発!!
──ドゴォォォン
「ウギャギャギャギャア」
たった一発のシャドウボムなれど、ゴブリン達の士気を低下させるためには十分。
──チャキーン
素早く走り出して抜刀。
いつもののんびりとした口調からは信じられないほどの機敏な動きで、ゴブリン達の攻撃をかい潜って行くのはウリエル。
ターゲットを一つ固定すると、ウリエルは素早く連撃を叩き込む。
──シュシュシュッュシュッ・・・・ドシュッ
その殆どがフェイント、そして本命の一撃はゴブリンの首筋に叩き込む。
「致命傷にはならない。だが、まだ歯向かうならば、仕留めさせて貰う・・・・」
素早く次の獲物を確認すると、再びウリエルは同じ攻撃を仕掛けていく。
兎に角無駄に疲れないよう、一撃で相手の戦意を失わせる作戦。
──ガバッ!!
茂みからゆっくりとオークの背後にまわりこんだのはロックハート。
レンジャーである彼が、効率良く敵を倒していく方法は只一つ。
不意打ちによる必殺。
「フガーフガーーーフガァァァ」
必死にもがくオーガの背後から腕を取り、そのままロックハートは引き抜いたダガーを首筋に当てる。
──シュッ
その鋭利なる刃を素早く滑らせると、オークの首筋を切り裂くロックハート。
シュライクと言われている攻撃。
惜しむらくば、背後ゆえ確実に狙った所には当たらない。ピンポイントアタックがあれば、より効率は上がっていたであろうが、それでも首から血を吹き出したオークは戦意を喪失。
「さて・・・・次の獲物だな・・・・」
素早く次の獲物を見付けると、再びロックハートは茂みの中に姿を隠す。
そして忍び歩きでターゲットに近付くと、又しても同じ攻撃を仕掛けていく。
もう君は『ヘタレンジャー』ではない。
あえていうなら『サイレント・キル』・・・・。
──ドシュッ
前方で敵オーガ達を相手にしているのはルイス。
作戦内容はサーチ&デストロイ。
兎に角、小手先の技は使用せず、一手一手を確実に叩き込んでいく。
「ふう。これで3匹と・・・・」
素早く次の獲物を見付けると、ルイスは素早く切りかかる。
他の仲間たちが戦意を喪失させた相手にとどめをさすのも、ルイスの仕事。
その横では、同じくニルナが次々と手負いのオークやゴブリン達に止めを差していく。
「人と魔の境界線を越えてきた自分達を怨んで・・・・私達は、自分のテリトリーを守らなくてはならないの・・・・」
そう自分にも言い聞かせつつ、ニルナは剣を振るう。
「貴方たちが、私達の法の元に生きることが出来れば・・・・」
それは永遠の命題。
──ドゴォォォォン
激しい剣戟が大地に突き刺さる。
「ウガァァァァァァァァァァッ」
さらに奥。
エグゼは傷ついた腕を庇いつつ、オーグラと一対一の戦闘を繰り広げている。
「たった一発カスっただけでこの威力かっ!!」
激痛に身をよじりつつ、エグゼは立上がる。
──ブゥゥゥゥン
その傷口が淡く輝く。
「バックアップは任せて下さい!!」
神聖騎士エルリックが放つリカバー。
それは傷ついたエグゼの腕から激痛を退かせ、再び自由に動くように治癒した。
「助かる!!」
素早く立上がると、さらに踏込むエグゼ。
(まともな打ち合いではこちらが不利。かといって、一撃に掛けるには、精度が下がる・・・・)
不利な戦い。
であるにも関らず、エグゼは剣を振る。
──ブゥン
さらに横手からは、全身にオーラを纏ったマリウスが参戦!!
「数で押せば隙が生まれます。そこに一撃を!!」
マリウスは機敏な動きで牽制しつつ、とにかくオーグラの手数を奪う作戦にでる。
「グォゥッ」
──ブゥゥゥン
そのマリウスに向かって力一杯剣を叩き込むオーグラだが、それはオフシフトにより瞬時に躱わす。
──キラーン!!
その一瞬の隙を、エグゼは見逃さない。
「くらえっ!!」
全身の筋肉が膨張。
体内を駆け巡る熱き血潮。
その一撃に全てを掛けて!!
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォン
激しいまでの一撃がオーグラに叩き込まれた!!
「グァァァァッ」
激しく体液を吹き出し、憤怒の形相でエグゼを睨みつけるオーグラ。
「ウガァ、グアグガグゥアァァァァッ」
と、オーグラが絶叫。
あちこちで戦っていたオーガやゴブリンの残党が、オーグラの元に集ってくる。
そして兎に角、闇雲にエグゼとマリウス、エルリックに向かって攻撃してくる。
その中には、あの『気の良いオーガ』が二匹、おどおどしながら混ざっていた。
(やはり、種の本能にはあらがえていないか・・・・それにしてもっ!!)
「数で押されると、リカバーが唱えられませんっ!!」
「倒したくはありません。ですが、やらなければやられますっ」
必死に攻撃を躱わしているエルリックとマリウス。
──ゴゥゥゥゥッ
そんな中、味方のオーガに直撃することすら躊躇せずに、オーグラがエグゼに向かって剣を振るう。
──ドゴォッ
横薙ぎに振られた巨大な剣。
エグゼの周囲で襲いかかっていたゴブリン達を巻き込み、そのままゴブリンごと剣をエグゼに叩き込む。
「ぐはぁっ!!」
力任せに振回した剣により、エグゼは姿勢を崩して後ろに吹き飛ばされる。
「エグゼさんっ、今リカバーを・・・・邪魔です退いてください!!」
邪魔をするオーガ達を振りほどきつつ、エルリックはエグゼに向かって近づいていく。
──ドシュッ!!
さらに援軍でニルナとルイスも参戦。
ルイスはマリウスの周囲のオーガ達に向かって刃を叩き込む。
そしてニルナはエグゼの元に向かうと、素早く印を組み韻を紡ぐ。
「セーラよ。かの者の傷を癒したまえ」
──ブゥゥゥゥン
エグゼの傷に手をかざし祈りを告げるニルナ。
その手が淡く輝き、そしてエグゼの傷もその輝きに呼応するように輝く。
「助かった」
そのまま立ち上がり身体が真面に動くことを確認すると、もう一度武器を構えてオーグラに向かって走り出す!!
──ザシャッ
と、そのエグゼの進行方向に二人の『気の良いオーガ』が立ちはだかる。
「ダメ・・・・ニゲテ、タタカウダメ・・・・」
「オレラ、オーグラサカラエナイ・・・・ゴメン」
そう叫びつつも武器を構える良きオーガ。
「・・・・そいつを倒せばお前たちは解放されるんだな・・・・」
そのまま怯むことなくオーガに向かうエグゼ。
──ブゥン
そのエグゼに対してカウンター気味に手にした斧を叩き込む良きオーガ達だが。
──キィィィン
エグゼの右には、オーラシールドを構えたマリウスが回りこむ。
そしてオーガの一撃を『オーラシールド』で完全に受止めていた。
そして左には、瞬時に武器を納め、エグゼに向かって叩き込まれかかっていた斧を両手で受止めるルイスの姿があった。
それこそ奥義、真剣白羽取りなり!!
「今です!! この子たちは私達が引き受けますっ!!」
そう叫ぶと、ルイスは両手でしっかりと斧を固定し、オーガに向かって叫ぶ。
「もう戦うのは止めるのです!! 貴方たちがオーグラに逆らえないのは、貴方たちに真の勇気がないからです!! 今こそ勇気を振り絞るのです!!」
そう叫ぶと、ルイスは今一度オーガ達に判りやすい言葉に切替えた。
「オーグラニサカラウ、ガンバレ」
あ、そういう感じになるのね。
「御免なさい、死んで貰います〜」
──ドシュッ!!
そんなやり取りのさなかにも、オーグラに対しての攻撃の手を止めないフェイテル。
次々とムーンアローを唱えては、オーグラに向かって打ち込む。
致命傷とまではいかないものの、注意を引き付けるには十分である。
「・・・・先行する・・・・囮になるから・・・・頼む」
エグゼの横をウリエルが駆け抜ける。
そしてオーグラの正面に回り込むと素早く抜刀。
──ドシュッ
そのまま素早く剣を叩き込むフリをしつつ、必殺の一撃を叩き込む。
そしてウリエルが真っ直ぐオーグラの横をすりぬけると同時に、真横の茂みからはロックハートが飛び出す。
──カチャッ
手にしたダガーを逆手に持ち、駆け抜け様に首筋目掛けてシュライク!!
やはり精度に問題があるものの、首筋近くを掠め切った!!
──シュパァァァァァァァァァァァァァァァッ
「恨むなら・・・・エグゼを恨め・・・・」
おいロックハート。
そしてオーグラが体勢を崩した所に、エグゼは素早く飛込んで真下から垂直に剣を力一杯叩き込む。
──ドシュュュッ
剣が身体に突き刺さった瞬間、左手で柄を固定し、右手はさらに掌底で柄と刃のぎりぎりの所を叩き上げた!!
「数多くのオーガ達を玩び、そして人間を殺した罪、その命を持って償って貰う!!」
そのまま叩き上げられた剣はオーグラにとっての致命傷に達した。
「ウグゥアァァァァァァァァァァァァァァァァ」
絶叫を上げて倒れていくオーグラ。
そしてその断末魔の悲鳴に、村の中にいたオーガ種は一目散に逃げていった。
●そして〜人のテリトリー〜
──廃村
囚われていたキャラバンの人たちを助け出し、無事に任務は終了した。
「お前たち、俺の店で働かないか?」
エグゼはニ匹の良きオーガにそう話し掛ける。
ギュンター君のように、人と打ち解ける可能性を秘めているニ匹。
だが
「ココニイレナイ、ヨソニイク、ヒトノマチハコワイ・・・・」
「マチハコワイ、ムカシ、オオクノナカマ、ツカマッタ、マチニウラレタ・・・・コドモ、サラワレタ、コワイ」
そう告げると、オーガ達は丁寧に皆に頭を下げると、そのまま村から出ていった。
そして一行は、残ったオーグラ達の死体の始末を終えた後、シフールが呼んできた人夫達と共に村の大掃除を開始。
依頼終了日まで一行は、村の後始末を行った。
──そしてパリヘ
のどかな街道を、一行は歩いている。
「あのオーガ達、今頃どの当たりでしょうかねぇ・・・・」
フェイテルが空を見上げつつ、静かにそう離し始めた。
「何処か人のいない所・・・・のんびりと過ごせる所を求めて行ったのですからねぇ・・・・」
ニルナもそう返答を返すと、静かに空を見上げた。
「・・・・あそこにいる・・・・」
と、突然ウリエルが街道から外れた草原を指差す。
そこでは、例の良きオーガ達が、のんびりと焚火をしてなにかを焼いている。
「ふぅん・・・・ちょっと寄っていくか?」
マリウスが皆を誘う。
「そうですね。依頼は終りましたし、あとはパリに戻ってギルドに報告するだけ。自由ですからねぇ」
エルリックもまんざらではないらしい。
「なら、少し寄らせて貰うか・・・・」
「そうですね。異種族といえども、心を通わせることの出来る大切な友達なのですから・・・・」
ロックハートの言葉に、ルイスがそう返答。
「あーーーーっ。駄目だ駄目だ、そんな焼き方じゃあ均一に火が通らないだろっ!!」
遠くから見ていたらしいエグゼは、そのつたない手さばきに我慢できなくなっていたらしい。
そう叫ぶと、良きオーガ達の元に向かい、何やら色々と教え始めた。
そんなこんなで楽しい一時を過ごす一行。
オーガ達はまたどこか放浪の旅に出てしまったようです。
まあ、何処かで会うこともあるでしょう。
そんな淡い期待を胸に、一行は冒険者ギルドへと向かっていった。
〜Fin