●リプレイ本文
●と言うことで〜冒険の準備〜
──冒険者酒場『マスカレード』
今回の依頼を受けた一行は、ギュンターくんとディヴとの待ち合わせの場所である『マスカード』で久しぶりの再会を果たした。
「ギュンター君!!」
ギュッとギュンターを抱しめているのは薊鬼十郎(ea4004)。
「うあ、きじゅろ!!」
元気よく手を上げて見せるギュンター。
「元気だった? 怪我していない? 苛められていない?」
「うあぃ。だいぢょぶ。それよりおともだち。おーくのでいぶ。ぼうけんしゃなりたいからいっしょにいく」
そう告げられて、鬼十郎はギュンター君を離す。
「ウゴフゴフガッ」
真っ黒いフード付きローブを深々と被り、ディヴはそう叫びつつ頭を下げる。
「銀太、久しぶりだな‥‥」
そういいつつ、後ろから近づいて頭をポンポンと叩くのはシン・ウィンドフェザー(ea1819)。
「うあ、おぢさん、ひさしぶり!!」
──ヒクッ
にこやかな笑顔だが、その頬が引き攣った。
「自己紹介していなかったな。俺はシン、シン・ウィンドフェザーだ。おぢさんじゃない、ここが重要だな‥‥」
またしてもポンポンと頭を叩きつつそう説明するシン。
「うあ、しんー。よろしく」
ポンポンしてくる手を掴んで、ギュンターがそうお返事。
「あなたがギュンター君ですね? こんにちは。ゼルスです。あなたの噂だけはあちこちで聞いていたのですが、お会いするのは初めてですね。あ、そちらがディヴ君ですね。今回はよろしくお願いします」
丁寧な挨拶のゼルス・ウィンディ(ea1661)。
「まあ、ヴィグだ。宜しくたのむ」
軽く敬礼のように挨拶するヴィグ・カノス(ea0294)。
クールに決めるもまたナイス!!
「私はナイトのマリウスと申します。宜しくお願いしますね」
礼に始まり礼に終る。
マリウス・ドゥースウィント(ea1681)はそういう人物。
「ないと。どっちの?」
さて、ギュンター君の質問の意図が、マリウスにはちょっと不明。
「どっちといいますと?」
「とーるむかしおしえてくれた。ないとふたついる。くににつかえているひと、じゆうなひと‥‥」
つまり、ノルマン王国所属の騎士か、自由騎士かということであろう。
「私はアハメスと申します。今回の冒険、宜しくお願いしますね」
しゃがんでギュンター君の視点に合わせて、丁寧にそう告げるアハメス・パミ(ea3641)。
「けがのひと!! けがなおった!!」
アハメスは、そのギュンター君の言葉の意味がよく判らない。
「私は怪我をしていませんよ?」
「ずーとまえ、かいどうでたおれてた、ぎゅんたほうたいまいた!! なおった?」
──ポン!!
と手をたたくと、アハメスはギュンターの頭を撫でる。
「そう‥‥あの時助けてくれたのは貴方だったの‥‥ギュンター君は命の恩人ね。ありがとう!!」
そう告げて、アハメスはディヴにも挨拶。
もっとも、全員の挨拶をギュンターが翻訳、そのたびに『フゴフゴッ』『ブガフガッ』と頭を縦にオーバーに振るディヴ。
その仕種は、あの巨体で凶悪なオークのイメージがない。
「これは私から‥‥ディヴ君にプレゼントね」
そういいながら、鬼十郎はディヴにギュンター君とお揃いの仮面を手渡した。
ちょっとサイズが違うけれど、正面から見た表情は判らない。
それでも、やっぱり体つきや体色からオークとばれてしまうのはやむを得ないであろう。
ギュンターでさえ、服をすっぽりと被って仮面を付けているからこそ、『ちょっと不思議な姿の少年』程度ですんでいるのである。
仮面を付けていなかったら、直にでも騎士団や自警団が飛んできて『御用』となったであろう。
「さて、それじゃあこれは俺からのプレゼントだ‥‥」
そう告げつつ、鬼十郎の知人であるロックフェラーはディヴに特製武器をプレゼント。
元がオークという事もあり、且、ギュンターくん通訳してもらってどんな戦い方をしてきたか話を聞いてみた結果!!
ラージ・モルゲンステルン(モーニングスター)
という奇妙な武具を作るはめになってしまった。
材料はどうにかあったので、それを持って近くの鍛冶屋に飛込み、さらに頼み込んで作り出した秀逸な作品。
本人いわく『もう作れねぇ‥‥』という程のハイグレードな逸品。
いい仕事していますよ『実戦志向武具研究者』。
奥さんも護身用にいかですか?
──ブンブン
店内でモルゲンステルンを実戦志向武具研究者を振回すディヴ。
「フガフガガウガウ!!」
ニコニコにしながらそれを振回すディヴと、ロックフェラーに修理してもらったラージバトルハンマーを振回すギュンター。
又してもここに『鈍器使い』が誕生!!
っていうか、アンタ達鈍器ばっかり。
よし、ロックフェラーは今後『びっくり鈍器(びっくりどんきー)』という名前で武器商人でも始めるよろし。
なにはともあれ、一行は準備を終えて件の遺跡へと向かってしゅっぱーつ☆
●古き遺跡〜リターンマッチ〜
──地下墳墓
そこは、以前ギュンター君がやってきた事のある地下墳墓。
丘陵地帯の中ほどに在り、そこにぽっかりと地下へと開いた竪穴がある。
以前の調査では、そこは古代の墳墓であり、かなりの宝物や歴史的価値の高い装飾品などが安置されている可能性があると告げられた。
実際に調査した結果、迷宮化した遺跡のほぼ半分を解明。
最初の調査のときにも土砂で埋まっていたエリアについては、今回も調査不可能。
そして行き止まりの扉までは難無く到着した。
「これが例の古代魔法語ですか‥‥」
静かに扉に刻まれている文字を解読し始めるゼルス。
「報告書によると、ここの遺跡を調査していた考古学者でさえ、その文字の判別は付かなかったらしいが、読めるのか?」
ヴィグがそう問い掛けるが。ゼルスはのんびりと壁をあちこち触っている。
「考古学者の全てが『古代魔法語』や『精霊碑』を学んでいる訳ではないのですよ。古代の遺跡に記されている碑文は、大抵その土地の古い言葉。古代魔法語や精霊碑を常用している民族は存在しないのですから‥‥」
そう告げつつ、あちこちの壁を押す。
──カチッ‥‥ゴゴゴゴゴゴゴッ
やがて扉がゆっくりと開き、地下へと続く階段が姿を現わした。
「さて、ここからは俺の出番だな‥‥」
一つ一つの階段を壁を念入りに調べていくヴィグ。
──コン‥‥
洞穴入り口で拾ってきた石をある所に向かって投げる。
──ドゴォォォォォッ
轟音と同時に、途中の階段はそのまま崩れて奈落の底へと落ちていく。
「ふぅん。成る程ねぇ‥‥」
さらにその向うへと続く階段を見ずに、ヴィグは真横の壁を力一杯押し込む。
──ゴゴゴゴゴッ
さらに轟音が響き、横壁がスライド。
「たいしたものだな‥‥」
そう感心するシン。
その間、ディヴとギュンターはずっとヴィグの動きを観察。
「すごい、うぃぐすごい!!」
「フガッフガガウガウガァ!!」
楽しそうにはしゃぐ二人。
「ここから先は、ただひたすらトラップが続いているだけ。本道はこっちだな‥‥」
そのままスライドした壁の中に入っていくヴィグ、そして中が安全であることを調べると、そのままさらに仲間を呼んで奥へと向かっていった。
●玄室〜たかがズゥンビの群れなのに〜
──古い玄室
そこは古い玄室。
内部は両側の河辺に向かってズラリと棺が並べられ、そして正面の台座には一振りの剣が突きたてられている。
その剣にはさらに幾重もの鎖が縛り上げられ、容易には剣を引き抜けないように作られていた。
「うぁ!! つるぎ!!」
「フガゥガウ♪〜」
本当に子供のように小躍りして喜ぶギュンターとディヴ。
「あ、その剣は触るなよ‥‥先にやらないとならないことがあるからな」
カチャッと剣を引き抜くシン、アハメス、マリウス、そして鬼十郎。
その動きの真似をしてギュンターとディヴも自分の武器を構えたとき。
──ギィィィィィィッ
棺が静かに開かれる。
そして中から、アンデットが姿を現わした!!
「ニセモノのいのち‥‥こころナイ、おもいでもナイ。だから、いきていない‥‥うごくだけ」」
そうギュンターの後ろから優しく語りかける鬼十郎。
「うあ‥‥うごくしたい!!」
「フガーッフガーッ!!」
おお、お子様チームの闘争本能に火が付いた!!
何となく理解したらしい二人。
「さあ、ここからは私達の領分ですね‥‥」
アハメスは素早く一番前から襲いかかってくるグールに向かって切りかかる!!
「ああ、ヴィグはご苦労さん。あとは引き受ける!!」
「頼むぜ。ジャパンのことわざで確かそんなのあったよな‥‥」
後方に下がりそう告げるヴィグ。
「餅は餅屋ですね。ここは戦闘職の私達が!!」
さらに鬼十郎も『霞刀』を手に突撃。
「オーラを必要とはしないですね。では参ります」
マリウスもいざ出撃。
そしてシンも、そのまま一気に敵グールの中に飛込んで行く!!
「おらおらおらぁっ。闘技場でもまれた身体は伊達じゃないぜっ!!」
そのまま一行は次々とグールを撃破。
「したいたいじする!!」
──ブゥン!!
「フガゴゴッブゴガゴガッ!!」
──ブゥン!!
ギュンター&ディヴ組は、一体のグール相手に二人そろってブンブン丸である。
「ふぅ。見ていられませんね‥‥」
止む無くゼルスは、高速詠唱でウィンドスラッシュ発動。
ぶんぶん丸達の前にいるグールの肉体を後ろから傷つけた。
「フゴォッ!!」
──ドゴッ
やっとブィヴの一撃がグールに向かって叩き込まれた。
そしてさらにギュンターも、ハンマーを後ろに構えて大きく深呼吸。
「こなんりゅうおうぎ、すまっしゅゅ!!」
──ドゴォォォォォォォッ
いきなり後ろにぶっ飛ばされるグール。
「すごい、すごいよギュンター君!!」
目の前のグールを無視して手を叩く鬼十郎。
「ああ、たいしたものですね‥‥っと!!」
──ガキィィィン
そう呟きつつも、グールの攻撃をロングソードで受け流すマリウス。
そして、受けた爪をそのまま滑らせると同時に、手にしたソードをグールに向かって叩き込む!!
相手がグールで、しかもほぼ一対一という状況でありながらも、そこは場数を踏んできた冒険者。
30分後には、全てのグールを殲滅していた。
──そして
「ふぅん‥‥」
そう鼻を鳴らすように呟いているのはゼルス。
戦いが終ったのち、一行は台座に突き刺さっている剣を調べていた。
ヴィグの調査ではトラップらしきものは発見され無かった為、今度はゼルスが解析作業開始。
「なにか判ったの?」
アハメスがそう問い掛けると、ゼルスは静かに振り向いて話を始めた。
「この剣が封印されているのはご覧のとおり。ですが、その府封印方法がかなり複雑なのです。一つ目の封印は台座。二つめは剣を固定している鎖。そして三つめは剣の鞘。3重の封印によって、この剣はここから持ち出されることはもちろん、引き抜くことも出来なくなっているのです‥‥」
そのまま台座から離れるゼルス。
「他には、なにか記されていなかったのか?」
シンのその問いには、ゼルスは静かに壁によしかかって説明を続ける。
「剣が本物かどうかは判りかねますが、宿り木という単語には、引っ掛かる事があるのです。遠く異国の伝承ですが‥‥」
奇跡的にもそれを思い出したゼルス。
「確か、不死なる者をも貫く『宿り木の剣』というものが存在します。その伝承では『ミステルティン』と伝えられていました‥‥」
淡々と語るゼルス。
「古の物語では、その剣は不死なる者、神々に祝福を受けし者を刺し殺したのち、神々の手によって人の住まう世界におとされ、とこしえに封印されたと聞いていますが‥‥」
そんな真剣な物語など聞く耳持たず、ギャンターとディヴの二人は室内をあちこち調査ごっこ中。
「うあ、はこのなか、ぼろぼろのふく!!」
「ウグガァ!! ッゴフグウグウガァ?」
「そー。ぼろほろのふくー」
なんか楽しそうだなおい。
「ディヴ君の冒険の場所として連れてきた筈ですが、思わぬところでとんでもない収穫ですね‥‥どうします?」
アハメスが一行にそう問い掛ける。
「持っていけないとなると、ここはもう一度封印してしまったほうが正しいのでは?」
ヴィグの提案。
「そうですね。神々の祝福については興味はあるのですが、その封印が溶けないということは即ち、まだ世界はそれを必要としていないということでしょう」
流石マリウス、騎士様は言うことが違う!!
なにはともあれ、玄室を抜けて石壁を元に戻し、さらに隠されていた階段を戻して壁を固定、入ってきたときと同じ様にゼルスが扉を再度封印。
一行はなにも無かったように後を全て消すと、遺跡から外へと戻っていった。
●お別れ〜ギュンターとディヴ、村に帰る〜
──廃村教会という名のギュンターの家
「ばっち!!」
「フゴガガゴッ!!」
ディヴの胸に輝く錫の勲章。
肩から下げられた一枚の『たすき』。
ヴィグが仲間から預かってきた大切な『終了証』。
「初めての冒険、色々と楽しかっただろう?」
ヴィグのその言葉を素早く訳するギュンター。
「フ、フゴッフゴッ」
必死に頭を楯に振るディヴ。
「もっといっぱいぼうけんする。そういってる」
そのままギュンターも宝物の『Xバッチ』をディヴに見せる。
「おそろいおそろい」
そんな微笑ましい口径に、さらに鬼十郎は懐から二つの独楽を取り出して二人に渡した。
「はい、一人一つずつよ‥‥」
「うぁ?」
「フゴ?」
頭を同時に捻る二人に、鬼十郎は独楽を実際に使ってみせる。
「これはこうして‥‥えいっ!!」
──キュイーーーーン
高速回転する独楽を見て、二人の瞳はキラキラと輝く。
「ありがと!!」
「フゴガガゴッ!!」
そのまま一行は少しの間だけ滞在して、ギュンターと別れた。
その最後の時、鬼十郎はそっと、ギュンターにあることを耳打ちしたらしいが、それについては今回は語らないでおきましょう。
言われたギュンター君も、頭を捻っているようですし‥‥。
「もう、ギュンター君ってお子様なんだからっ!!」
──Fin