暗殺者達の午後〜裏〜

■ショートシナリオ


担当:呉羽

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:4人

サポート参加人数:1人

冒険期間:11月28日〜12月02日

リプレイ公開日:2006年12月06日

●オープニング

 どんよりと曇った空の下、裏路地を1人の少年が駆けていた。
 物凄い形相で、しきりに背後を気にしながら走り続ける。
「くっ‥そ‥‥」
 荒々しく息を吐きながら彼は路地を曲がって、そして。立ち止まった。
「罠かっ‥‥!」
 目の前に落ちている物が目に入り、彼は歯軋りをする。だがすぐに、彼は別の方向へと走り出した。
 立ち止まるわけには行かない。絶対に。ここで捕まってしまうわけには。
「ラーン‥‥アンリ‥‥ジャン‥‥ルイズ‥‥」
 吐く息に乗せるように呟きながら、彼は走り続ける。
 どこへ向かうのか。彼にもそれは分からない。

 パリに、雨が降り始めた。たちまち濃厚な灰色に覆われた空は、光を通すこと無くパリを包み込む。
 何時止むとも知れない雨の街の片隅。ゴミ溜めのような建物の裏手で、幾段にも重ねられた木箱が僅かに揺れた。その中から薄汚れて痩せ細ったネコが一匹出てきて、石畳の上へと飛び降り。ゆっくりと今降りてきた方を振り返った。
 そして細い声で小さく鳴くと。通りへ向かって飛び出して行く。
「わっ。何だ、ネコか」
 裏路地から突然飛び出してきたネコに、通りすがった冒険者は声を上げた。それへとネコは飛びつき、にゃーと小さく鳴いた。
「何でしょう」
「お腹空いたのかな」
 見下ろす彼らをネコは見上げ、そのまま来た道へと戻って行く。冒険者達は顔を見合わせ、そのネコについて行き、そして。
「‥‥ひどい熱です」
 木箱の隙間に入り込んでうなされている子供を見つけ、彼を引き上げた。
「貧民街の子かな」
「何にせよ、放置してはまずい」
「ひとまず教会に運びましょうか」
 相談する冒険者達の声が聞こえたのか。少年は、薄っすらと目を開けた。
「きょ‥‥かいは‥だめ‥だ‥‥」
「何か理由がありそうですね」
 少年はぼんやりと彼らを見上げる。その横で、先ほどのネコが雨に打たれたまま、大人しく座っていた。
「ひとまず室内へ。話はそれからだ」
 1人が少年を抱え、彼らの家の1軒へと少年を連れて上がった。

 それが幸か不幸か。まだ誰にも分からない。

「俺たちは追われてる‥‥。7人で逃げてきた‥‥。でも、2人殺られた」
 温かいスープをもらった少年は、やがて淡々と話し始めた。
「逃げてる内にばらばらになって‥‥。みんな無事かは分からない。1人は最初に殺されて、川に浮いてるのを見た。もう1人は道に捨てられてた。俺たちをおびき寄せる為だ」
 まだ、12、3歳だろうか。感情を高ぶらせることも無く、少年は説明を続ける。
「あんた達が冒険者だって言うのは分かる。‥‥でも、信用出来るかは分からない。けど、他に頼めるヤツはいない」
 毛布に包まって熱で顔を赤くしながら、彼は一同を見上げた。
「頼む。俺の仲間を助けてくれ。パリから逃げれるように、探して守ってやってくれ。集合場所は数箇所決めてある。そのどこかに居ると思うんだ」
「何故追われているのか、その話をしてもらえる?」
 1人がそっと尋ね、少年は一瞬ためらったが、ややしてから口を開いた。
「俺達は、暗殺者なんだ。暗殺者として、育てられた」
 少年の言葉に、一同は言葉を失う。

 何かが、この街で始まろうとしていた。

●今回の参加者

 ea8558 東雲 大牙(33歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 eb0346 デニム・シュタインバーグ(22歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb1908 巳 霞衛琉(30歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 eb5486 スラッシュ・ザ・スレイヤー(38歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)

●サポート参加者

ラシュディア・バルトン(ea4107

●リプレイ本文

 昨日、降っていた雨はもう止んでいた。だが分厚い雲が空一面を覆い、今にも振り出しそうな気配を感じさせている。
 ぱたぱたと冒険者ギルドに1人の少年が駆けてきて、依頼内容が貼ってある壁を見渡した。その内の一枚に目をやって内容を記憶すると又、外へと駆け出して行く。
「やっぱりありましたよ、依頼」
 デニム・シュタインバーグ(eb0346)は一軒の家に入り、そこに集まっている者達へと告げた。
「他の冒険者とかち合ったらまずいよなぁ」
「先手取るか」
 巳霞衛琉(eb1908)の言葉に、その家の主スラッシュ・ザ・スレイヤー(eb5486)が応じる。東雲大牙(ea8558)も黙って頷いた。
「すぐに、仲間は見つけ出しますからね」
 デニムが奥に声をかけると、少年が包まっていた毛布を取って身を起こした。それへと安心させるよう皆は声をかけ、それぞれに家を出て動き始める。
 全ては暗殺者である事を拒否した、子供達の為に。

 リシャールが彼らに告げた話は、冒険者であり弱者を守る立場でもある彼らを奮起させるのに、充分な内容だった。
 暗殺者として育てられた7人の子供は、その中のリーダー格でもあった少年ラーンに誘われて逃げ出した。だが追っ手がかかり、皆ばらばらとなってしまう。2人は殺され、1人は川に流されていたが、その子供はもう回収されたらしい。だがもう1人はまだ回収されたという情報は入っていない。
「俺が心配しているのは、一番年下のルイズとアンリ。そしてラーンだ」
「年下は分かるとして‥‥何で、リーダーなんだ?」
「ラーンは、1週間くらい前からおかしかった。‥‥多分、あの指輪を盗んだ時から」
 それは、組織の長とは愛人の仲である女の物らしい。その後、仕事で出かけたラーンとは数日会わず、次に会った時には別人のようになっていたと言う。
「目が血走って、普通じゃなかった。指輪の事をすごく褒めてて、でも触ると怒ってた。その次の日の夜明け前に、あいつはみんなを連れて逃げようと持ちかけて来たんだ」
 このまま暗殺者として生きるのは仕方無いのだと諦めていた彼らだったが、希望を持って共に逃げ出したのだと言う。
「今考えると、あの指輪を女に取り返されそうだったからかと思う」
 だから注意して欲しい。そう彼は告げた。ラーンは指輪に対して異様に固執している。下手に近付くと攻撃して来るかもしれないからと。
「後は‥‥」
 一瞬ためらったが、彼は意を決したように口を開いた。
「中に1人。誰かは分からないけど、殺しの命令を受けてるヤツがいると思う。俺達はそれに逆らう事は出来ない。仕事の命令に逆らう事が出来ないような暗示をかけられてる。何日か経てば解けると思うけど、まだ」
「つまり?」
「仕事が終わるまでは、邪魔した相手を敵と思って攻撃してくる。他の6人の中の誰が命令を受けてるか分からない。もう死んでるヤツかもしれない。でも」

 リシャールから、ばらばらになった時に集まる為に決めておいた集合場所を聞き、彼らは各自その場所へ向かっていた。何箇所かあるので全員が1回ずつ行っても回りきれないし、リシャールから攻撃される可能性がある事を聞いてはいるが、結局単独で行動するのが一番早いだろうということになった。スラッシュと巳はセブンリーグブーツを履いて素早く各地点を探し回り、子供の姿を探すが。
「いねぇな‥‥」
 尾行や見張りの気配も無いが、それらしい子供も居ない。一応合言葉は聞いてきたのだが。
「次の場所に行くしかねぇか‥‥」
 エチゴヤ方面へと歩き出したスラッシュだったが、ふと狭い裏路地に目をやる。
「ん? ‥‥お前」
 箱の陰になる場所にうずくまっていた子供は、はっと気付いたように立ち上がった。一瞬その体から立ち昇った殺気に、間違いないとスラッシュは確信して。
「『おいしい魚とおいしい野菜とどっちだ?』」
 子供は黒い目を大きく見開き、ゆっくりと狭い場所から出て来た。
「僕は‥‥『梨が好き』」
「そうか、お前がアンリだな。『鮭』から伝言だ。助けにきたぜ」
 言われて子供は。僅かに涙を溜めて、手を差し伸べたスラッシュの腕に、そっとしがみついた。

 デニムは、兄のラシュディアと共にローブを被って、とある場所へと向かっていた。
 理容の達人スラッシュに変装を手伝ってもらい、リシャールの服を借りてその上にローブを着込んだデニムは、囮となって追っ手を引きつける為に、今も路地の片隅に放置されているであろう子供のもとへと急ぐ。彼が囮となり、その隙に皆が一斉に集合場所へ動く。その為に自ら囮役を引き受けたデニムは、兄も巻き込んで最も危険な役目を果たそうとしている。
 果たしてそこには、数日間放置された子供の姿があった。
 一瞬目を閉じ、祈る。それは死後も利用されている、その子の為に。
「‥‥リシャール」
 前に出て、子供の死体に触れようとしたデニムを兄にそう呼ばせ、その腕を引かせる。
 そして見張っているであろう追っ手を連れ出すために、そのまま逃げようと足を踏み出した時、後方から誰かが走り寄って来る気配がした。
「‥‥!」
 慌てて逃げようとしたが、速い。後方に居た兄のローブを捉えて引っ張った相手が、僅かに表情を変えて兄の名を呼んだ。
「え?」
 どうやら知り合いらしい。動きや格好から冒険者である事も間違いないが、まさか追っ手では無く、依頼を恐らく受けたであろう冒険者のほうが釣れてしまうとは。だが、これ程早く接触出来たのは好都合である。彼らが、子供達を狩る事を頑なに決めているわけでは無いのならば。
「あの名前に反応したという事は、ギルドで依頼を受けた方達ですよね。ご説明します」
 不安げに寄って来た相手の仲間であろう娘も見て、彼らは敵に成り得ないだろうと判断し、デニムは口を開いた。

 収穫も無く戻ってきた巳は、家の中を護っているゴーレムが変な形で止まっているのを見て、首を傾げた。
「お〜い」
 中に入るとゴーレムが敵が来たと思って動くので、外からリシャールへと声をかけるが返事は無い。しばらく待ってから、そのゴーレムの動きが何を示しているのかを悟って慌てて裏に回る。裏は、1箇所だけ窓が僅かに開いたままになっていて、そこから覗いて見ても誰かが居る気配は無かった。
「やられた!」
 ゴーレムが傷をつけられた気配は無い。リシャールを護るよう指示されていたゴーレムが、易々とその場を通すわけも無い。であるならば。
「そんなに俺達が信用出来なかった、って言うのかよ‥‥」
 落胆しながら、巳は恨めしそうにゴーレムを見やった。

 全員が集まり、リシャールが自ら家を出て行った事を知ると、さすがに皆も落胆せざるを得なかった。せっかく1人見つけて連れて来られたのに、これでは士気も落ちるというものだ。
 東雲も1人見つけたのだが、人ごみに紛れて逃げて行ってしまったらしい。
「‥‥少女‥‥だった‥‥」
 生き残っている少女は1人だけだ。明日もう1度そこを探すという事になって、とりあえず彼らはスラッシュの家に泊まる。そこへ。
「すみません」
 夜も遅いのだが、2人の娘が訪ねて来た。
「どうしたんですか?」
 片方が、昼過ぎに出会った娘と分かってデニムが声を上げる。
「行き違いで、ここの少年を預かっている。その事について話をしに来たんだが」
 奥から後の2人も出て来て、怪訝そうに彼女達を見つめ。それを見て、もう1人がぺことお辞儀をした。
「不安にさせてしまってごめんなさい。協力し合いませんか、とお話に来たんです」
 突然の話に、彼らは顔を見合わせた。

 ギルドからの依頼を受けた6人の冒険者達は、依頼人が怪しいと踏み、調査しつつも子供達の行方を追っていたらしい。そして足抜けさせて自由にしてやりたいと言うのが、彼らの纏まった意見のようだった。その途中でリシャールにたどり着き訪ねた所、彼は自らついて来たらしい。
「ほんとに‥‥どこまで仲間、気にしてんだよ」
 ゴーレムを壊されない為、家を追っ手にマークされない為に従ったという話を聞いて、巳はそんな言葉を漏らした。
 ともかくこちらは4人だけなので、協力する事に異議は無い。彼らは古い宿を取ってそこにかくまっているらしいので、4人もそこへ移動して話をする事となった。
 既にデニムが一部、情報を交換し合っていたが、再度皆で話し合って確認をする。ラーンが盗んだ指輪の持ち主からも依頼を受けており、多額の報酬もかけられているらしい。もしも指輪が戻ったら上手く他の組織員にも話をしておくという事は、さすがに簡単に信じられるものではなかったが、もしそうなれば子供達は命を狙われる事も無くなる。
 だがまずは子供達を探すことが先決だ。
 今度はグループに分かれて、集合場所を再度探し直すことになった。彼ら6人は自分達よりもずっと場数を踏んでいるし、経験も豊富。おまけに魔法で連絡も取り合っているらしい。
「本当にもう‥‥。彼らが良い人達だったから良かったですけれど、そうじゃなかったら」
 そして、宿に残されたリシャールとアンリを護衛するデニムと巳は、勝手な行動をしたリシャールを説教していた。
「あのさ。これからの話。してみねーか?」
 椅子に逆側から座って、巳が2人に声をかける。
「お前らはこれからは自由で、何者にもなれるんだって話」
「いいですね」
 デニムも座って話に加わった。
「お前らは自分が何者かなんて分かってねーだろ? でもとりあえず暗殺者じゃねぇ。もしかしたら、コックとかそういうのになれるかも知れねーよ」
「そうですね。自分のなりたい自分に。これからは目指せると思いますから、何になりたいか、考えるといいですよ」
「俺は決めてある」
 短くリシャールが応え、アンリは不思議そうに彼らを見回していたが。
「コックさん‥‥いいな」
「おう。あきらめんな。希望は捨てるなよ。絶対に、生きろ」
「あんた達も」
 どこまでも生意気な口をきくリシャールに、彼らは声を上げて笑った。
 
 東雲は他の2人と共に、少女に逃げられた場所へとやって来ていた。
 少し広めのスペースを取った広場に、子供達が集まっている。そしてそこに。
「‥‥『鮭』‥‥リシャールから、頼まれた‥‥」
 横笛を手にしていた少女は東雲を見上げ、不思議そうな顔をしたが。すぐににっこり微笑んだ。その表情にやや安堵し、近付きながら彼女を更に説得させる為に口を開こうとして。
「‥‥!」
 突如横笛からナイフが飛び出し、東雲の顔の先、僅かの所で空を切った。それを追おうとした先で、笑いながら少女が2本ナイフを投げ、かわした所で。
 少女は既に姿を消していた。
「‥‥」
 だが、東雲の横手で待機していた2人が後を追ったのは確認済みだ。彼らは自分よりも強い。何とかなるだろう。
 軽く埃を払って踵を返した所で、東雲の視界に少年が1人飛び込んで来た。目の良い彼だからこそ気付いたのかもしれない。似顔絵を見せてもらったので間違い無いだろう。子供の中の1人だ。
 後を追った所で、少年は立ち止まって東雲へと振り返った。
「‥‥なんのようだ」
 低く静かに震えるように、彼は問う。その身を包む気配は、間違いなく殺気だ。
「‥‥リシャールから‥‥伝言だ‥‥」
 1人で立ち向かうのは危険だったが、彼は迷わずそう伝える。
「『皆が待っている』と‥‥」
「うるさい!」
 少年は叫び、素早く武器を取り出した。その指が光を反射して、一瞬黄金に輝く。
「‥‥ラーン。‥‥生き延びて何がしたい‥‥? 望みがあるならば‥‥引き受ける」
 瞬間、少年は跳び上がって斬りかかって来た。とっさにそれを刀で受け止めるが、それは本来の彼の戦闘スタイルではない。その攻撃をかわし切る自信は無かった。
 何度目かの攻撃の後、ラーンは飛び退って距離を取る。その目は血走り、尋常では無いほど荒い息を繰り返す。だが袂からゆっくりと何かを取り出し、それを握り締めた瞬間、細かい雨の中雲の合間から日が差して、辺りに光を振り撒いた。
「頼むぜ!」
 取り出した何かを投げようとした少年が変な姿勢で固まり、慌ててそれを再度投げた所で、東雲の前に飛び出た娘がそれを軽く跳ね返した。スラッシュは動けないラーンへ走り寄り、呆然とする少年の手から武器を奪い取る。
 東雲の後方から魔法をかけた娘も走って来て、彼らはラーンに近付いた。
 だが。不意に少年は声を上げて笑い出した。狂ったように、不吉な何かを臭わせるようにひとしきり笑い。
「指輪は渡さない‥‥絶対にだ‥‥」
 何かに取り付かれたような低い声で呟くと。
 大量の血を吐き出して、その場に倒れ伏した。

 結局、ラーン以外の子供は無事、保護する事が出来た。
 指輪と共に彼を埋葬しようかという案も出たが、リシャールがそれを持ち主に返すよう言ったので、結局そうする事で子供達の命の保障の1つにしようと言うことになった。
「ありがとな。みんなに、優しい声をかけてくれてさ」
 普段、彼らは優しい言葉に慣れてないのだとリシャールは言った。
「優しくされたら戸惑うけど、それを嬉しいと思えば、みんなも平凡な生活が出来ると思う。俺達は、まずそこから始めないとな。人並みの感情をさ」
「間違いなんてもんはねぇ」
 スラッシュが葉巻を吸いながら、にやりと笑う。
「後悔しない保証もねぇよ。いろいろやってみろ。それが、自分が選んだ未来だ」
「それを自由、って言うんだろうな」
「で、葉巻を吸う吸わねぇも自分次第だ。‥‥吸ってみるか?」
「スラッシュさん!」
 デニムが慌てて注意をし、皆は笑った。
「それで‥‥。他の子達はパリを出て行くみたいだけどさ。リシャールは?」
 最後まで何処に行くのか言わなかったリシャールに、巳が尋ねる。
「みんなと途中までは行く。その後は‥‥又、連絡するよ」
 用意された馬車が近付いてくるのを見て、リシャールは遠くの空を眺める。
 そこには、初めて自由を手に入れた彼らの門出を祝うような美しい太陽が、ゆっくりと一同を照らしながら沈み行く光景が広がっていた。
 そして子供達は馬車に飛び乗り、皆に手を振る。
 やがて馬車は、彼らの命と将来を守った冒険者達に見送られて、静かに未来への道を旅立って行った。