【潮風を纏う姫】レンヌの公女、夏の牧場へ
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■ショートシナリオ
担当:姜飛葉
対応レベル:1〜5lv
難易度:やや易
成功報酬:1 G 0 C
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:08月11日〜08月16日
リプレイ公開日:2008年08月21日
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●オープニング
●宮廷の噂2
「最近マントの姫君のお姿をお見かけしませんわね」
「レンヌ公女のご気勢に気後れなさってしまわれたのかしら?」
「そもそも侯爵家と公爵家では家格がね‥‥。ご不幸にも後ろ盾となる方もいらっしゃいませんし‥‥」
「大きな声では言えませんけれど、‥‥ノイエン家は、そもそもお取り潰しならない方が不思議ではありませんこと?」
「お身内の子爵家からあのように大逆の徒を出された事を問われれば、それも不思議ではありませんものね」
「やはり陛下の御意思が入れられてなのかしら?」
「それを言ったら、それこそ姫君をお召しにならないのは、陛下のご配慮なのではなくて?」
「あら、ノイエンのお家に対して、陛下の懐刀たるブランシュ騎士団の中で反対される方がいらして出来ないのだと聞きましたけれど」
「それならば、レンヌ公もでは? だって‥‥ねえ?」
●緑の風となって
「王家直轄の牧場がパリ郊外にあるのだけれど、遠乗りがてら一緒に見に行かない?」
冒険者ギルドで、冒険者達に向かってそう声をかけたのは、何処かの騎士団の団服と思しき黒を基調とした軍服を身につけたすらりとした細身の騎士だった。遠目には優男にも見えてしまう程、きびきびとした立ち居振る舞いの騎士は、マーシー1世に呼ばれパリに滞在しているレンヌ公女の一人、フロリゼル・ラ・フォンテーヌ(ez1074)だった。
「王家や王宮の騎士達へ供する馬を育て管理している本当の直轄牧場は、パリから離れているのだけれど、一時的に預かったり、王宮に納める前に調教したりする牧場が近くにあると陛下に伺ったのよ」
乗馬の腕もさることながら本当に馬が好きらしい公女へ、ウィリアム3世が訪問許可を特別に出してくれたのだという。王宮に献上される馬は、当然国でも有数の素晴らしい馬ばかり。公女自身も素晴らしい馬を所有しているが、良馬を世話する牧場へ行く事の出来る機会は別らしい。
「パリから馬で2日ほどの場所にあるから、少しパリを空けなければいけないけれど‥‥エカテリーナ姉上もいらっしゃるようだし、私が少しくらい出かけていても問題ないでしょう。そもそも陛下にお許し頂いている事なのだから、父上には何も言わせないわ」
好きなものがかかっているからか、いや元々の性格からなんだろうが、フロリゼルは断固とした姿勢で言い切った。
「牧草地帯が広がるなだらかな丘陵地だから‥‥そうね、なんていうのだったかしら‥‥そうそう、ピクニックにも良いんじゃないかしら?」
初めて顔を合わせた者、短い時間なりとも共に過ごした事のある者問わず、居並ぶ面々に提案をしたフロリゼルは、ふと目があった受付係をみて僅かに首を傾ける。
「‥‥というと、仕事的に行きにくいかしらね。それじゃ、私の護衛役として良ければ一緒に行ってみない?」
●リプレイ本文
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よく晴れた夏の空の下で冒険者達は依頼主の趣向に従い、それぞれ親しいペットを伴いこれから駆け行く草原へと集まった。
清々しい香気を含んだ風が吹きぬける草原には既に見送りらしい従士の傍らで、白い菱型の紋様を顔に刻んだ体躯の大きな黒鹿毛馬と共にやはり黒い衣装の一揃いに身を包んだ女性騎士が待っていた。
「始めまして! レオ・シュタイネル、フランク出身のレンジャーだ。依頼は今回が初めて。皆、宜しくな」
小柄な体に目一杯に喜楽を表したパラの少年はレオ・シュタイネル(ec5382)と名乗った。レオの声にぐるりと揃った冒険者を見回してから依頼主が口を開く。
「初めまして、が半分かしら。今回皆に護衛を依頼したレンヌのフロリゼルよ。宜しくお願いするわね」
「わ、綺麗な姫さんだな」
朗らかなレオの表情につられるように、微笑みを浮かべて名乗りを上げたレンヌの公女は、身に着ける衣装が軍服である事が惜しいほど女性らしい華やかな笑みを浮かべていた。けれど率直なレオの感想に、ほんの瞬きほどの間だったが公女の瞳が揺れた。
「えっと、敬語‥‥とか使った方がいいのかな。俺、苦手なんだよな」
ふと気付いたようにレオが頬を掻いた。微妙な瞳は一瞬だった。次の瞬間には、堪えかねたように口元を手で覆ったフロリゼル・ラ・フォンテーヌ(ez1174)は、逆の方の手をひらりと振る。
「良いわよ、言葉なんて気にしなくても。形だけ丁寧で心のこもってない話し方の方が私は苦手だわ」
私もこの地では初めての依頼なのだとレオに頷き微笑んだのは柔らかな青い瞳が印象的な女性。レオの挨拶に続き丁寧に頭を下げる。
「どうぞ宜しくお願いします、ウィザードのヒャーリスです。粗相の無いように、精一杯頑張ります‥‥」
ヒャーリス・エルトゥール(ec4862)の腕の中には、彼女に負けない程に鮮やかな青い瞳が印象的な子猫がいた。子猫のユリアと乗馬のルミナスと共に参加するというヒャーリス。腕の中の子猫の鼻先に白い指先を出しながら、フロリゼルは素人同然という彼女の申告に無理なくゆっくり行きましょうと応じる。
「猫は良くも悪くも気まぐれだから」と、籠か入る事に気詰まりの無い鞄の中に入っての移動を勧められてユリアをヒャーリスが収める横で、「今回は綺麗な人が一杯で嬉しいな」というレオの呟きに、「ほんまに多いなぁ‥‥」と、レアル・トラヴァース(eb3361)も頷く正直な男心。
「遠乗りにピクニック、楽しそうやんかー。今回の面子は女の子が多いんやな。嬉しいわぁ。よろしくな!」
朗らかなレアルの声に誘われるように、皆がピクニックという言葉に笑みこぼす。その笑みが嬉しそうなのはフロリゼルだ。
「公女はんの事は、なんて呼んだらええんかな? フロリゼルはん、かな?」
「呼びやすいように呼んで貰えれば良いわ。それが名前であれば親しみが持ててもっと良いわね」
公女の希望に沿うように――元々の彼女の性格もあるだろうが、呼ぶのはミラン・アレテューズ(eb7986)。
「また一緒出来て嬉しいよ、フロリゼル殿」
「ミランともミラともまた会えて嬉しいわ」
ミラ。ミランの伴うモンゴルホースは、小型でズングリとした体躯で瞬発力ではなく持久力でこそ真価を発揮する。それ以上に、気性は穏やかで細身の駒とは一線を画する愛らしさが魅力的だ。ミランに断ってから鼻先に頬を寄せるフロリゼルの瞳は好きという感情が見て取れる。
「‥‥ごきげんうるわしく、公女さま‥‥ご一緒よろしく‥‥。黒‥‥暑くないですか? ‥‥私も人のこといえないですけれど‥‥」
そんな公女に控えめに掛けられた声の主に、フロリゼルはほんの僅か瞳を瞠った。その驚きが判ったのだろう、感情が余り表れない瞳が少しだけ細められた。
「今度は‥‥少し、ゲルマン語分かるようになりました‥‥」
「短い間に‥‥神の子はとても勤勉ね、アレクシア」
いつもこの色だから慣れてしまったみたいね、と笑いながら北海の街へ同行してくれた冒険者アレクシア・インフィニティ(ec5067)との再会を喜ぶ。一方、琥珀色の髪を揺らし丁寧な挨拶をするのは、北海から共に帰って来た冒険者。
「フロリゼル様、お久し振りです。お陰で先日は忘れられない初依頼になりました」
愛犬のラードルフが主人であるリュシエンナ・シュスト(ec5115)共々、女性にしては長身のフロリゼルを見上げ、一緒に挨拶をするように尾を振っている。
「あれから弓の腕はまた上がったのかしら? 今回は騎乗の腕が問われる依頼になってしまったけれど、宜しくね」
冗談めいた口調で問われリュシエンナが微苦笑を浮かべた。乗馬は初心者だが、敢えて依頼を受けた理由は‥‥
「私も馬が大好きなんです。格好良くて綺麗で、深い瞳が優しくて‥‥憧れ、かしら」
だから遠乗りも牧場見学もとても楽しみなのだと、碧瞳を喜色に染めて笑顔を浮かべる彼女は年相応に可愛らしい。
「そうね、私も大好きよ。賢くて優しくて‥‥何より貴女と同じく瞳が好きだわ」
「馬、俺も好きだよ! 王様のとこの牧場なんて、どんだけ凄い馬がいるんだろ‥‥く〜、楽しみだなぁ」
「ヨシュアス(仮名)殿も来るのかね?」
王様という言葉にそういえばとミランが首を傾げた。
「え‥‥王様来るの!? わー、初めて見るよ」
「あら、会いたかったの?」
喜ぶレオに、あっさりとフロリゼルが「ごめんなさい、断っちゃったわ」と告げた。今度は困惑の「えー?」という声があがり、悪い事をしたかしらとほんの少しだけ眉尻を下げる。
「どうしてまた?」
断った理由が解せずミランが訊ねた。
「仕事付、お供付で堅苦しい空気背負ってこられても楽しくないでしょう?」
「相変わらずなんだな」
断った時の様子が想像できるようで口元に笑みが浮かんだ。
愛馬を持たず貸与を申し出ていたレオに渡された手綱の馬は白い馬体が美しい幾分小柄な体躯の馬。
「短い間だけど、仲良くしてよ。宜しくな」
親しみを込めて馬の首を軽く叩くと、応えるように小さく嘶いた。
「公女さん、この子の名前は?」
「リュミエールというの、気持ちの優しい女の子よ」
いつか自分の馬持つ事を夢見て(夢はでっかく大きい戦闘馬が良いなぁと思う)、財布の中身と相談しながらの頑張りだ。
「レアルは両手に花ね、どちらの子もきちんと気に掛けてあげなさいな」
「任しといてや。女の子は大事に、ちゃんと気遣えるんはええ男の条件やからな」
アナスタシアとアリョーシャという異国風の名前の美人の手綱を取って首を撫でやる様は中々の色男ぶりだ。
皆で足並みを揃えての出発となった。
●
帰りの食事は牧場主が用意してくれるという話がついており、7人の旅路とはいえ荷物は片道分だったのでそう多くは無かった。
騎手が慣れずに緊張した騎乗が続けば馬の方も消耗するため、事前に打ち合わせていたように、馬と騎手が疲弊する前に、ヒャーリスはレオが相乗りして支え、アレクシアはフロリゼルが愛馬に伴って進む事になった。
乗り手のいない馬もいるため、行程に無理はしない。騎乗に心得のある者が傍らについたり、リュシエンナのボーダーコリー・ラードルフが上手く誘導しながらのんびり進む。
遠乗りであっても早駆けではない、馬の足に任せゆったりした道中。
リュシエンナに付ききりで、出来るだけ基本から慣れるように乗馬のコツをミランが教えれば、勤勉なリュシエンナは教えを反駁する事無く素直に受け取り学んでいった。
「乗馬初心者だからきっと大変ね」
そう笑っていた出発前。実際にリュシエンナが大変だったのは、気負い過ぎる生真面目さだったかもしれない。
なるべく姿勢良く、力まず周囲をよく見て‥‥余裕を持って楽しむ努力をと思ってはいても、いつでも弓を使えるような心構えと皆への気配りも忘れずに‥‥とまでいくと心構えが気負いになる。生真面目についつい固くなりがちなリュシエンナの気持ちを上手く緩めるのは同じ初心者ながらに、からからと笑うレアルが多かった。
「わいも一緒や、幸いフロリゼルはんもゆっくり行ってくれとるし、慌てんと行こ」
馬の歩みに合わせて無理をしない体運び。それが大事なのだとレオもヒャーリスに説明する。彼の語る言葉は難しく堅苦しい説明ではなくて判りやすい。
「上手く乗れなくても‥‥雰囲気だけでも楽しめればよいかなと思うのですけれど」
「そうそう、まずは楽しむのが一番だよ」
乗り手が気持ちよく走れれば、その気持ちは騎乗する馬にも伝わるもの。皆が楽しければ、その場の雰囲気も無論楽しくなるのだから。
「大丈夫ですか?」
馬に合わせて走るフロリゼルは、腕の中にいるアレクシアの問いに目で先を促す。
移動中に太陽の熱に当てられないよう気をつけてと気遣う彼女に、小さく笑う。適度に休憩を入れなければねと応じる。
馬の上は常よりかなり視線が高くなる。歩くよりもすれ違う風が強く、涼やかに抜けていくから黒い衣服の上から上手い具合に熱が逃げていく様が、面白いなとアレクシアは帽子のつばを押さえながら思った。
軽やかに走るフロリゼルの愛馬は、気持ちよく走れているのだろう‥‥尾がリズミカルに揺れる。その背を見送るような位置を駆けるミランはミラの首を撫で叩いた。
「馬比べか‥‥速駆けは敵わなくても、遠乗りみたいに長距離だったら、お前の方が上さ、なあ、ミラ」
主の呼びかけにぶるるんと一つ嘶きで応じ、モンゴルホースは力強い脚運びで、草原の中の道を駆けて行く。
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馬の蹄の音と、仲間達の話し声。たっぷり2日間をかけて着いた牧場では、王宮から連絡が届いていたのだろう。牧場主以下、働き手達が揃って出迎えてくれた。2日目の夜は、牧場で歓迎を受けて1日目の野営とは異なり、やわらかな寝台の中で夜を過ごせる事になった。
だが、明けて3日目。牧場にいられるのはこの日だけという事もあり、フロリゼルは朝の早い牧場の1日に合わせて早朝から牧場主に付いて回っていた。
名目上、護衛として一緒に来た冒険者達もフロリゼル一人で歩き回らせる訳には行かず、早起きをする事になる。徹夜に強い訳ではない冒険者らは、少ない睡眠時間に眠気をかみ殺しながらの同行となった。
「随分元気な公女さんだなぁ」
重い瞼を持ち上げながら呟くと、2日間で仲良くなったリュミエールが、朝の挨拶をするようにレオの顔をぺろりと舐めた。視線の先には、牧場の1日について詳しく牧場主の話を聞いているフロリゼルがいる。
見た目は男勝りな騎士とはいえ、貴族の子女としての教育を一通り受けているらしいフロリゼルは、目に見えてはしゃぎ回る等という貴族の令嬢らしからぬ行動こそ取らなかったものの、国でも有数の名馬達を前に牧場主へ質問を重ねる様子は、レアル曰く『大はしゃぎ』だった。
馬の世話と一口にいっても、馬房の手入れや餌やり、何より馬自身の調整や世話もある。手伝いを申し出れば、幾らでもやる事はあった。
自分の馬を持っているものは、馬と付き合うに当たってもっとうまくいくようなコツを聞き、付き合い始めて日が浅いリュシエンナやこれから自分の馬が欲しいと望むレオは付き合い方の「つ」の字からだ。王宮に献上される馬を一手に預かる牧場に伝わる知識を、牧場主は惜しむ事無く冒険者らに与えてくれた。
「良い馬だなぁ。けどこっちの馬の方が兄ちゃんに良く懐いてる感じかな」
長く牧場に勤め、今は王族に世話する馬を良く引き受けているという調教師が、馬の育て方やコツを訊ねてきたレアルの馬を見て笑う。アリョーシャの脚を見てから、アナスタシアの顔を見ての言葉だ。
長いようで1日はあっという間に過ぎ去り、明けた4日目の朝に彼らはパリへ向け牧場を後にしたのだった。
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順調に進むパリへの帰路。牧場で得た知識を元に、往路よりも親密にパートナーである馬の世話をしての野営は、その夜が最後という事もあり、野営というより楽しみ過ごすキャンプのような様相となった。
折角のピクニックなのだから‥‥と、それぞれに用意していたらしい準備で、楽しい食事の用意を始める。
レオが狩ったウサギを、意外な事にフロリゼルが捌いた。ヒャーリスがレアルと「これは大丈夫」「これは毒」と、確認しいしい摘んできた野草や香草を詰めて焚き火の中で焼けば、とっておきのご馳走になったし、ミランが小川で釣り上げて来た清い流れに棲む魚は、リュシエンナが食べ易いよう内臓を処理して焼いた。牧場主が持たせてくれた弁当もリュシエンナが摘んできた香草を交えて一工夫して広げれば、華やかな食事が広がり、ピクニックというよりも星空の下の宴会のようだった。
夏の夜風は、昼間の暑さが嘘のように爽やかで。風に揺れる草ずれの音がさやさやと奏でる。自然の音に瞼を閉じて耳を傾けていたレアルがふと荷物の中からワインの瓶を取り出した。
「風が爽やかやなぁ。僕、ワインも持ってきたさかい、飲も飲も♪」
フロリゼルはんもぐいっと!と勧められて、公女も楽しそうに杯を重ねる。更には‥‥
「あんま巧ないけど、クレセントリュートも持ってきたでー。歌って踊ってピクニック楽しも!」
レアルがクレセントリュートを手に、軽い酔いに任せて明るい曲を奏でれば、色っぽく艶やかに瞳を眇めて立ち上がったミランが、歌うように軽やかな舞を見せる。
彼女が舞うのは幸運を招く為のとっておきの踊り。
誘われるように、ヒャーリスも竪琴をリュートに合わせて爪弾けば、レオの笑い声が明るく盛り上げる。
自然その場の会話はこれまでの道中から牧場での事を振り返る事になると、これから先について話向きは流れる。
アレクシアがユニコーンに興味があるのだが、まだ巡り合う機会に恵まれないとぽつりと零すと、望めば縁は繋がるのでは無いのかな?とミランが答えた。
「縁‥‥か」
その話を聞いて、リュシエンナがぽつりと口を開いた。
「先日パリに到着後、兄を訪ねたんです。初依頼の事、フロリゼル様の立派な馬を拝見した事‥‥。とても格好良かったし、いいなって話したら、この子を預けてくれたんです」
寄り添うように足を折り座るシルヴァーナが寄せる鼻先を撫でながら、リュシエンナが愛馬との馴れ初めを話すと、「良い兄君ね」とフロリゼルは微笑んだ。その髪を食み引く、額に星持つ愛馬の頬を軽く叩いた。
「はいはい、貴方の事もリュシエンナが立派と褒めてくれたわよ、良かったわね」
愛馬の額の星につと指先を伸ばすフロリゼルは、とても満足そうに微笑んでいた。
大好きな要素に囲まれて、好きなものを共有できる人と過ごせた事がとても良い気晴らしになったらしい。
「引っ張りまわしてごめんなさいね、でも一緒に来てくれてありがとう」
頑張れそうよ、と冒険者らに向かって、レンヌの公女は微笑んだ。