祝福の鐘を鳴らそう
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■ショートシナリオ
担当:姜飛葉
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:01月06日〜01月11日
リプレイ公開日:2010年01月25日
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●オープニング
「ご無沙汰ですわ〜♪」
顔見知りのシフールの少女に抱きつく、半年振りの彼女の姿は依然と違っていた。
常に彼女の傍らにいる神聖騎士の彼が、その彼女の行いを窘めるのは同じだったけれど、その様子がとても慌てている。
「お久しぶりだよー、ニミュエちゃ‥‥ん?」
やわらかな腕の中に抱えられて、ほんわりしていたシェラがようやく気付いたその理由。
彼女――ニミュエのお腹が少し膨らんでいたのだ。
腕の中から解放されたシェラの視線に、ゆっくり1つ頷いて。ニミュエがふわりと微笑んだ。
「赤ちゃんがいますのよ」
「わー! すごーい!! ニミュエちゃんおかーさんになるんだね〜♪」
「「‥‥えっ!?」」
生命の神秘。
尊い新しい命の芽生えにぱちぱちと手を叩き、相好を崩すシェラに、「ですのー♪」と頷くニミュエ。そして戸惑いの声。
戸惑いの声は、ニミュエをよく知る冒険者仲間の一部からあがったものだった。
良くも悪くも天才肌のニミュエは変わった言動も多かった。その彼女が母となる‥‥全ての視線が彼女に寄り添う騎士に注がれた。
レイルは瞳を伏せてこめかみを押さえた。
「‥‥お医者様のお話では初夏くらいですの」
ニミュエの近況報告に続く祝いの声は、主に女性たち。新たな命の誕生は、迎合すべき慶事。
「わー、すごーい。生まれたら赤ちゃんにご挨拶させてねー♪ えと、そのお知らせだったのかな?」
「いや、ギルドマスターに相談があってな」
瞳を瞬かせたシェラに、レイルが訪問の理由を告げるために、口を開いた。
●歌姫からの依頼
ニミュエとレイルからの依頼は、探し物。
探し物は‥‥子供が生まれる前に結婚式を執り行ってくれる教会。
家同士で決められた婚約者同士、王都の教会にて名を刻んでいる二人が教会を探す理由‥‥それは幾つかあったが、主な理由は2つ。新婦が身重であるということ。また、どうしても祝福をして欲しい親族に、ハーフエルフがいること。
だから、それを受け入れてくれる教会を探しているのだ。
彼らの理由を受け入れてくれる場所を探すには、冒険者ギルドの仲間達の情報網を頼るのが1番だと、冒険者である彼ら自身が判断しての依頼だった。
「‥‥何か、色々難しいんだね?」
ちょこんと小首を傾げたシェラは、『難しい』意味を本当に理解しているかはわからなかったけれど、お友達が困っているならシェラも頑張るよーと握りこぶしを作ってみせた。
「早く一緒に歌いたいですわ」
ニミュエの腹は、やわらかく丸みを帯びて。愛しげにドレスの上から撫でる腹をなでる手つきはすでに優しい母のもの。
「才能はなくてもいいから普通の子供がいい」
元気で生まれてくれれば、才能はなくても。五体満足で、母子共にこの腕に抱ける日がくるのならば、神に誓うまま、世界を守るように愛する妻子を守るために戦おう。
言葉すくなにニミュエを支えるレイルの願いは、親となれば誰でも経験するものなのかもしれない。
何よりも愛する人と愛する人との子との3人で迎えるために、その区切りとなる儀式を迎えられる場所を探す為に協力して欲しい。
それが歌姫と彼女の騎士からの依頼だった。
●リプレイ本文
●月に歌う姫とその騎士が誓う場所
依頼者であるニミュエ・ユーノ(ea2446)とレイル・ステディア(ea4757)の希望を叶える場所を供したのはシェラ・ウパーラ(ez1079)だった。正確に言えば、シェラと親しく、新婦や列席予定のハーフエルフに縁の深い、パリから離れた深く豊かな森を抱くギース伯だったが。
そこは荘厳な教会ではなく、素朴な信仰を集める小さな教会。
近隣の村人達がささやかに節目節目に訪れ祈りを捧げる場所であって、常に信仰を説く管理者はおらず、時折各地を巡り歩く旅の司祭が訪れるくらい。
村長の家族が管理しているため、小さくもきれいに整えられた、深い森に抱かれた場所だった。
新郎新婦と友人らは、教会の近くにある領主の別荘で結婚式までを過ごし、神に誓いを立てた後は、ささやかに祝いの席を設ける事になった。
●準備 〜結婚式を挙げるために〜
「『仏前結婚でいいではないか?』といったら大哥が渋い顔をしていてな」
普段から生真面目な顔に険を刻み、彼女こそ渋い顔で分厚い聖書を読んでいた。
「クレリックの手配がつかなかったからな‥‥兄弟の長子としての責任を果たしてみせよう」
領主が新婦らと懇意であり、管理する司祭が不在だからこそ確保できた場所。『普通』であれば、異端と排される情況だが、それでも親しいニミュエとレイルが幸せに誓いを交わす節目が見たいと望んだ弟妹らと、その願いを受け入れてくれた従姉妹夫婦のために、紅麗華(eb2477)は俄かクレリックになる事をきめたのだ。
「何、崇めるのが御仏か父君かの違いぐらいで、後はそうは変わらんから大丈夫だ」
数珠を十字架に持ち替えて、式を執り行う事を決意した天華に、ギースは笑う。シェラの方がそれで良いのかと小首を傾げるくらいの潔さだ。詰め込みで聖職者を務める事になった天華の様子を横目にガディス・ロイ・ルシエール(ea8789)が苦笑する。
「新郎新婦というよりも半分以上俺達従妹弟の我儘なんですけどね。‥‥御無沙汰いたしておりました。今回は本当にありがとうございます」
久方ぶりに会うギースに折り目正しく頭を下げた。
「いいや、君達には世話になったからね‥‥逆に場所だけで申し訳ないけれど。この状況ならば人前式でも良いようなと思うんだが、挙げるなら神の前でというのは新郎のこだわりかな?」
新郎のレイルは神に仕える神聖騎士。パリの教会に愛を誓う名を刻みはしたが、正式な夫婦の誓いを交わしてはいない。けれどニミュエの胎には新たな命が芽生えていた。ジーザス教では認められない事由が2つ重なっていた事が今回場所を選ばざるを得なかった理由だった。両親にも認められた許婚同士であり、幼い頃から共に在るのが当たり前だった当の二人は、気にしていないようだったから、父なる神への報告が少しばかり遅れたくらいにしか思っていないのかもしれない。
「それにしても‥‥兄上もっぱり男だったんですね」
「‥‥おい」
しみじみと頷きながら呟くガディスに、渡された婚礼衣装を確かめていたレイルがつっこんだ。
「全く本当に何時の間に‥‥。全員近所に住んでいて、略毎日のように顔合わせてたのに気がつきませんでしたよ。‥‥そういえば時々二人でギルドからの仕事受けてでかけてましたっけ?」
「‥‥だからまて」
「国の爺様方は、後継ぎが出来たことで舞い上がってて‥‥それ以上突っ込んだことは言ってこないし‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「まあまあまあ。そういった話は男だけの時にでも」
珍しく間に入ったのはギースで、にこやかに微笑ながらレイルを宥めるギースの視線の先には、披露宴の会場準備をしている女性達。
「月道通って、いろいろ仕入れてきました」
窘められて、こほんと咳払いをしたガディスは、式に合わせて買い出してきた戦果をレイルに報告し始めた。既に幾週間も前に仕入れたドレスの生地は既にリディアローザ・ロイ・ルシエール(eb3039)の手に渡り婚礼衣装に仕立てられている。他にも生花や宝飾品、そして今日は他国までいって仕入れた二次会用の食材などを持ってきたのだ。
「いや、お財布を気にせず買い付けが出来るのって素晴らしいですよね」
今回の買い物の支払いは全てレイル持ちである事を良い事に心置きなく買い付けてきたらしい。商いを嗜むものとして、暴利な買い物はしてはいないが。
「‥‥いや、助かった。今回は世話になった」
今度ばかりは‥‥と折り目正しく頭を下げたレイルの肩を、それぞれギースとガディスは叩く。
用意万端整えて、仲間達と行う彼らの式はいよいよ明日に迫っていた。
●準備 〜婚礼衣装〜
何度も何度も仮縫いを行い細かな調整を経て漸く完成したドレスを前に、リディアローザは、ほうっと感嘆の溜息を溢した。
ゆったりと裾の広がるきれいなラインのドレスの色は勿論、白。ふわり広がりドレープを描くスカートの裾には贅沢に銀糸を使って蝶が刺繍で描かれている。月の花園に飛び回る蝶は、ドレスを纏うニミュエをイメージしたものだ。ベールも少女ならば誰でも憧れる長いレースのベール。
「間に合って本当に良かったです‥‥」
「きれいだねー♪」
飾りも何も無い吟遊詩人にしては率直な感想だったが、心からのシェラの言葉にリディアローザは、ほんわりと微笑む。徹夜続きで、ちょっとお日様が黄色く見えたりしますけど‥‥ブライズメイドのお勤めがあるので、最後まで頑張ろうと拳を握り締めて心に誓う。白は花嫁が纏う色だから、リディアローザ自身の衣装は、ガディスが買い付けてくれた生地でも違う色で大人しいデザインのものを仕立て上げていた。
「あ、そうだ、サイズが合ったら、良かったらこれきてみてください」
リディアローザが差し出したのは、淡い萌黄色のシフールサイズのドレス。素敵素敵と飛び回るシェラの様子に顔が綻ぶ。
「シェラさんも一緒にベールをもちませんか?」
「本当に? そしたらシェラも頑張るよー♪」
出来上がった衣装を纏うニミュエのきれいな姿を見るのが楽しみだと、リディアローザとシェラは笑いあうのだった。
●準備 〜披露宴の会場と、料理と〜
「結婚式のお祝いですね〜♪」
教会の伝手は無かった分、飾りつけや余興で頑張りますよ〜♪ と張り切って働くエーディット・ブラウン(eb1460)はご機嫌だった。ガディスやリディアローザも手伝ってくれて用意した飾りを使い、祝いの席用に与えられた一室を飾り付けていく。
「ゾウガメ台で、高い所も楽々飾りつけ出来ます〜♪ シェラさんも手伝って下さい〜♪」
「はいだよ〜♪」
歌うようなエーディットのお願いにシェラも笑顔でふわりと高いところへ手を伸ばす。大人しく甲羅を台に提供してエーディット手伝うゾウガメと共に、一緒に其々のお手伝い。手際の良い指示が飛ぶから、シェラでも迷うことなくお手伝いができた。
「結婚するのは〜‥‥ヘタレ新郎と女帝新婦〜?」
エーディットが飾り付けていた手をふと止めて、首を傾げた。間違った認識かと首を捻る彼女に「間違っておらんぞ」と答えが返る。仕込みを終え、後は明日作り上げて祝いの席に供するのみとなった紅麗華が、会場の飾りつけを手伝う為に部屋を訪れたのだ。華国の料理にはつき物の、飾りきりを施した食材の飾りがテーブルの上を彩っていく。
「随分的確で成る程と思いましたよ」
料理の取り皿やゴブレット類を運んできたガディスも笑う。
室内には祝いの垂れ幕が掛けられ、シンプルイズベストをコンセプトに白く飾られたテーブル達には、季節柄許される限りの花と、麗華が作り上げた食べることの出来る花が飾られていく。
あとは式を終えた後で、仕上げられた料理を並べていくばかりだ。
「凄腕料理人さんがいらして一安心です〜♪」
本当ならばパリにある縁が深い銀花亭にお祝いの料理を頼もうと思っていたのだが、挙式をあげる場所がパリから離れたギースの領地内となったため、料理をお願いすることが出来なかったのだけれど。
その代わり、日持ちのする可愛らしい焼き菓子をたくさん籠に詰めて持ってきたから、贈る時が楽しみだった。砂糖は貴重品のため、せめて蜂蜜を予算の許す限り使って、花の砂糖漬けは少しだけ。久しぶりに会った顔馴染みの歌姫は、今尚毎日小さな舞台に立ち歌を歌っていた。‥‥少しずつ流れていく時間の中でも、変わりない確かな光景を思い出して、エーディットの顔にはほんわりとした笑みが浮かんでいた。
●果たして迎えた結婚式は、つつがなく
誓いの言葉と口付けを交わし、今日この時ばかりは穏やかに微笑みあった二人の幸せな姿に、列席していた従姉妹と友人達の顔にも温かな微笑みが浮かんでいた。無事、神への誓いが成った事と告げる鐘の音が響く中、大きく開け放たれた教会の扉から腕を組んだ新郎新婦が姿を現した。
一歩一歩、外へと歩み始めた二人に向けて、列席者からこれでもかと振りまかれるのはフラワーシャワーと祝いの言葉。
「おめでとう、大姐、大哥」
「おめでとうございますですよ〜♪」
赤や白、薄紅色の花びらが、新郎新婦へと降り注ぐ。花の少ないこの季節。花弁の形は幾種類もの花がまざっていたけれど、親しい従姉妹や友人達は限られている中でも贅沢に、花びらを新郎新婦へ振りまいた。花を降らせ、花の香りでまわりを清め、新郎新婦の幸せをねたむ悪魔から守る、という意味が込められているのだ、などとも言われているからこそ。
故郷から離れたノルマンの地で、想いを育んできた場所で、二人は親しい仲間達の前で一区切りを付ける事を選んだ。
教会から踏み出した一歩ずつが、これから人生を二人で歩み始める一歩ずつ。
普段は余り表情を変えないレイルも、この時ばかりは花びらの洗礼と仲間の祝福を受け、ニミュエと共に微笑を浮かべていた。
教会から場所を移し、披露宴会場となったギースの別荘の一室は、温かな空気で満たされていた。
「どうせ式を挙げるなら、みんなで一緒にという夢がかなって本当にうれしいですわ♪ ギース様もこんなに素敵な場所をありがとうございます」
子供が出来たから、大人しくなったかといえばそんな事はなく。そんな彼女の行動に、周りの方がやきもきするのも、いつもと変わらない光景。目を離すと、直ぐに走りだそうとしたり、余計なところに手を出そうとするので、常に従姉妹達の何れかが側にいて目を光らせていた。そんなニミュエの行動を「まるで大きなシェラがいるみたいだねぇ」などとギースは笑ってはいたが。逆に、今日のレイルは従姉妹達がいるのに安堵し、目を離している。‥‥ところを、女性陣に小突かれている。
「綺麗なドレスは大好きですけど‥‥今回はちょっと大変でしたわ」
元々貴族の令嬢であるニミュエはオーダーメイドでドレスを仕立てる事も慣れたものだったが、流石に一生に一度のドレスとなると勝手が違ったのか、はたまたリディアローザのこだわりゆえか。体型が大きく変わる前に式をあげる事ができたのが幸いだった。
「でも、素敵な出来で嬉しいですのよ」
リディアローザに感謝の気持ちで頬を合わせて唇を鳴らすと、リディアローザは本当に嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべる。
「ブーケもリージちゃんにお願いして、特別に作ってもらいましたの」
にっこり微笑みながらニミュエがブーケのリボンを解くと一部が外れ、花嫁のブーケは小さなブーケと大きなブーケの2つに分れた。
「小さいものはシェラ様に、此方の大きいものはエーディット様に。今回お付き合い頂いたお礼ですわ♪」
ニミュエがブーケトスをしなかった理由。ごくごく近しい人達ちかいない小さな小さな式だったからではなく、式に訪れてくれた友人へ幸せのお裾分けを贈るためだったのだ。
「ええっと〜‥‥良いのでしょうか〜?」
戸惑うエーディットの肩を天華が叩く。
「大姐の気持ちだ、受け取ってやってくれ」
「エーディットちゃんと半分こでお揃いー♪」
シェラはきれいな花嫁のブーケを貰えた事にご満悦のようで、エーディットと瞳が合うとにっこり笑う。
「いつも皆の恋の応援してくれてるけど、シェラにもエーディットちゃんの応援させてね」
「わたくしにもさせてくださいですの」
「それでは、今度は私からの結婚祝いだよ」
ギースが贈ったのは大地の女神の祝福を受けたといわれる素朴なつくりの魔法の竪琴。演奏すると女神の手助けがあるという言われがあるが、優れた歌い手であるニミュエには無用な謂れかもしれなかったなと微笑むギースに、ニミュエはゆるりと首を横に振り、今日の差配と祝いの品へ礼を伝えた。そして、出来るだけ身体に負担が掛からないようにとエーディットが用意した席で、竪琴を抱え座ったニミュエは艶やかに微笑んで見せると‥‥
「そこのおばかさん、今日こそは最後まで聞いていただきますわよ!」
今日永遠の夫婦の契りを交わした新夫・レイルをびすっと指差し、何のことやらという宣戦布告。これまで歌を最後まで聞いてもらえた試しがないため、この際従姉妹たちに見晴らせて‥‥思い切り長いバラッドを歌おうとしていた心の叫びを読んだ天華や麗華に止められ、明るい恋歌に変更させられたのも、ニミュエと従姉妹達の仲ならではだろう。
「‥‥長さの問題ではなく、寝るじゃろう」
「‥‥寝るな」
「‥‥結婚式だもん、バラッドじゃなくてお祝いの方が良いよね?」
「ですよね〜‥‥」
頷きあう天華と麗華の案じた通り、切々とした音色の多いバラッドでは長さ以前にレイルには子守唄になってしまう。そして吟遊詩人的にお祝いの時にバラッドはどうなのだろうと竪琴を握り締めたシェラにエーディットが頷いた。
果たして、祝いの席の場に紡がれ始めた竪琴の音色と重なる歌声に、瞼が下りそうになるレイルの足にはリディアローザの踵が降り、脇にはガディスからの肘が入ることもしばしばだった。
レイルにとってニミュエの歌声は心から安堵し寛げる場所である事の象徴。彼女の傍らでだけ心から安らぐことができるからこその眠りを誘う子守唄となる。その事を伝えるつもりがないレイルにも問題はあるのかもしれないが、常に共に在る二人ならばいつか伝わることもあるだろう。
「是が愛と言うのかどうかわからんが、あいつはあのままでいいとか思うようになったから‥‥」
そう思えたからこそ、側に居ることが当たり前の関係から、ありのままの彼女を受け入れ真剣に二人の関係を考える様になった結果、迎えられた今日という日に‥‥ニミュエが紡ぐ優しい音色に乗せて、レイルは仲間達に小さく笑って、優美な騎士らしい礼で感謝を述べる。
「どうにか、此処までこれたな‥。場所を提供してくれたギース伯。列席してくれた皆に感謝を‥‥」
病める時も、健やかなる時も
富める時も、貧しき時も
エルフの送る長い長い生
いついつまでも、二人過ごしていけますように