道化師を探せ!
 |
■ショートシナリオ
担当:まひるしんや
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月10日〜07月15日
リプレイ公開日:2004年07月20日
|
●オープニング
キャメロット近くの村で最近神隠しというべき事件が起こっている。
姿を消したのは、決まって村に住む子供たち。
普段どおりに遊びに家を出たきり、帰って来ないというのだ。
当然、居なくなった子供を捜して村人総出で行方を捜すのだが手がかりすらない。
此処までで居なくなったのは3人。
特に共通点はなく、同じ村の子供というだけ。
そういった意味でも手がかりはなく、此処まで来ると、袋小路的な状況と言うしかない。
だが、ほんの2日前、手がかりというべき事件が起こった。
なんでも、捜索を続ける村人の前に、奇妙な男が姿を現したというのだ。
その男は、まるで道化師のような奇妙な衣装と口ぶりで、村の入り口で踊っていたのだという。
そして、出会った村人に歌いながらこう言ったのだ。
「おいらは道化、道化のピエロ。ピエロのクラウン、ジャグラーでジェスター、フールでジョーカー♪ おいらは一体誰だろねぇ? そんなのお聞きでない? そりゃけっこう! おいらの名前を知ってるのなら、みんなの居場所も判るってもんさ♪」
みんなの居場所と聞いたその村人が、驚いて問い詰めようとすると、その奇妙な男は再び踊りながら影に吸い込まれるように姿を消したというのだ。
こんな言葉を残して。
「みんなのために、ヒントをあげよう! 答えが判ったのなら、その時その場所それを持って、おいらの名前を呼んでご覧♪ ただし、乱暴物は嫌いだよ! 何時かって? 星が消えるその時さ! どこかって? ここ以外の何処がある? 何かって? 顔を隠せば良いだけさ! おいらの名前? 全部で、どれかさ!」
おそらく、この道化師は神隠しに何らかの関わりがあるのだろう。
そして道化師の言葉はこの人物とあうための符合と思われる。
なんの意図があってこのような事をしているかはわからないが、現状はこれ以外に手がかりは無い。
そこで、この道化師を探し出して問い詰めてもらいたい。
よろしくお願いする。
●リプレイ本文
●夜明けの道化師
辺りはまだ暗く、天上には星も微かに瞬く時間。
子供が行方不明になったという村、その入り口に不安げに辺りを見回す人影があった。
ジャパンよりやってきたパラの忍者、蔵王美影(ea1000)だった。
手にしているのは、借り受けた仮面。
その表情は、自身一人しかこの場にいないという不安に満ちている。
そして‥‥ゆっくりと時が流れる。
東の地平が白み始め、ゆっくりと星がその輝きを失って。
最後の星が暁の光に解け消える瞬間、蔵王は仮面を掲げもつと、誰とも知れぬ相手に声をかけた。
「ジョーカー!」
むなしく響くだけかと思われた声。
だが、朝靄に吸い込まれ切る瞬間、応えるかのような拍手が響いた。
「!?」
驚き辺りを見回す蔵王。
そして、居た。
見つけた。
その人物‥‥道化師は直ぐ近くの民家の屋根から見下ろしながら、さも嬉しそうに拍手を続けるその姿を。
「おやおや、こんな簡単なステージに、やってきたのは一人だけ? はじめの舞台は腕試し。簡単にいこうよ、簡単に。哀しいなぁ、でも嬉しいいなぁ。たった一人のお客様でも、それは大事なお客様。お名前をくれたお客様。ワタクシ道化のジョーカーの一人舞台のお客様、貴方にお菓子を上げましょう」
視線が合うと同時に、踊りながら、歌いながら屋根を飛び降りると、ゆっくりと近寄る道化師。
有無を言わせぬまま吐息がかかるほどに近寄ると、クッキーの詰まった小さな袋を蔵王にしっかりと握らせる。
不思議な雰囲気に呑まれた蔵王は、何もできぬまま、この村にやってきてからの事を思い出していた。
●聞き込みは‥‥
「えっ! 村の西には教会は無い?」
村にたどり着いた冒険者たちは、道中で考えていたリドルの答えが、いきなり当てが外れた事に頭を抱えていた。
道化師の謎かけは、単純に考えることも出来るが、道化だけに裏読みしようと思えばいくらでもできてしまう。
道化師のセリフ、
『みんなのために、ヒントをあげよう! 答えが判ったのなら、その時その場所それを持って、おいらの名前を呼んでご覧♪ ただし、乱暴物は嫌いだよ! 何時かって? 星が消えるその時さ! どこかって? ここ以外の何処がある? 何かって? 顔を隠せば良いだけさ! おいらの名前? 全部で、どれかさ!』
という一連のリドル。
冒険者たちが『ここ以外の何処がある』と言うフレーズを裏読みした結果、『村の西にある白い教会』が妖しいのではないかという結論を出していたのだが‥‥
「教会は村の中心にあるよ? それがどうかしたのかい?」
そう平然と答える村人の声に、振り出しに戻っていたのである。
仕方なく、冒険者それぞれが聞き込みをしながら場所探しを続けていた。
「ミーたん、道化師の言葉の意味、分かったか?」
「サリエル?今回の道化師って何だと思う?」
蔵王はサリエル・ュリウス(ea0999)と共に行動をしていた。
この二人、『MOONRISE』というサーカス団を開こうとしており、サリエルはその団長との事。
それゆえ、道化についても感心が高いらしい。
蔵王にいたっては
「もし仲間になったらMOONRISEで大活躍できるだろうね♪」
そんなことも考えていたりしたのだが‥‥
●道化師の誘い
いざ本物と会った今、そんなことは到底考えられなくなっていた。
得体が知れないのだ。
目の前に居るのに、存在感が希薄、厚い化粧で表情も、性別すらもわからない。
本当に何者なのだろうか?
だが、道化は延々と歌いながら目の前で踊り続ける。
「これから続く道化芝居、第一幕はもう直ぐおしまい。でもでもまだまだ終われない。眠り姫は3人組で、ぐっすりお寝坊してるのさ。もう朝、朝が始まるよ。起こして皆でご飯を食べよう」
道化師の言うとおり、辺りは朝日に照らされている。
と、村の西の方から、残りの冒険者たちが走ってくるのが見えた。
違う場所を選んだメンバーだろう。
道化師の姿を見つけたらしく、慌しく走ってくる。
「おやおや遅刻のお客様? あんまり遅けりゃお菓子は無しさ。残念残念また今度〜」
道化師は気にした様子もなく、ひょいと塀の上に上ると、踊りながら残りの冒険者の到着を待つ。
全員が揃うのは、それからさして時間もかからなかった。
「この神隠しとアンタとの関連をアンタから直接聞かせて貰いたいものだな」
塀の上で踊る道化にヴィグ・カノス(ea0294)は問いかける。
この道化にあったのはいいのだが、本題は神隠しにあった子供たちの捜索だ。
それゆえの道化師探しであり、その為の謎解きだったのだから。
「なぞなぞ好きかー。頭使うの好きな人やんな‥‥なあ、アンタなんでこんなことしたんや?」
クィー・メイフィールド(ea0385)もその真意をただそうと問いかける。
「お前は‥‥子供達を隠し、謎賭けを愉しんでいる愉快犯、或いは神隠しに見せかけた連続誘拐の犯人を知っている愚者に見せかけた告発者‥‥か?」
琥龍蒼羅(ea1442)も、その真意を聞こうと詰め寄ろうとする。
その声に道化は不意に踊りを止め、逆立ちして笑いかけてきた。
「聞きたいかい? お遊びさ、お遊びさ! 皆にちょっと眠ってもらって、遊び相手を探してたのさ! だってもう直ぐ嵐が来るのさ! 嵐の前には遊ばなきゃね!」
だが、返ってきたのは戸惑うような言葉ばかり。先の謎かけよりも訳がわからない。
「お遊びって、ただ単に愉快犯なんか? 世の中いろんな人がおんねんなあ‥‥」
「いやまて、嵐だと? どういう事だ?」
「愉快犯なのは確かとして、理由があるのか?」
続く問いかけには答える気が無いのか、塀を降りると道化は再び踊りを始める。
「眠り姫は三人組で、今はどこかで眠ってる〜。ずっとずっと遊びつかれて、今はぐっすりおやすみさ」
華麗なステップに切り替わったその足取り‥‥良く見ると、その足跡は、いつしかこの村の地図を描いている。
「これは‥‥村の地図?」
そして、その中の3箇所に、しるしのような模様が‥‥いや、もう一箇所、この村の入り口に当る場所‥‥直ぐ近くの茂みの当たりも指し示すように印がついている。
「‥‥ここに子供たちが居るって事か? しかし、この茂みには‥‥」
まずは茂みを覗き込む冒険者達。
そこには‥‥‥
「う〜〜〜〜〜〜〜」
「マネはよくないさ、マネはね〜♪」
猿轡され、簀巻きにされたラージュ・ヴァルディーナ(ea4228)の姿が。
前日に道化の模倣犯を気取って
「私はウーティス、バードのウーティス、誰でもない、他でもない、ただのバードでただのウーティス! 嗚呼、悲劇なるかな、悲劇なるかな。子を奪われた親の悲しみはいかばかりか。道化師とは一体何者ぞ。はてさて、この物語の結末はいかに?」
等と笑いと憎悪と混沌を振り巻いていたのが、道化師のお気に召さなかったらしい。
寝ているところを簀巻きにされて一晩中転がされていたようだ。
夏場の茂みの中で転がされていて、虫刺されが酷いが‥‥まぁ、命に別状は無いだろう。
とはいえ、コレで他のしるしの場所に子供たちがいるのは確実だろう。同時に、この道化師に下手に手を出すのは危険という事も。
とにもかくにも、子供たちの無事を確認する為、それぞれのしるしの場所へ向かう冒険者達。
そんな中、萌月鈴音(ea4435)は、
「‥‥道化師に‥‥聞いてみたい事がある‥‥‥」
未だ踊る道化師に問いかけた。
「一つだけ‥‥質問‥‥‥貴方は‥自分をフールと呼んだ‥‥‥0ではなく無番号‥‥何にも属さず‥‥定まる事は無い‥‥‥そんな貴方は‥正? それとも‥逆?」
「道化は何にも属さないんだよ、お嬢さん。いかなるものにも属さないのは、無‥‥‥でも、全ては無から生まれるのさ。だから、正でも逆でもないし・・・全てでもある」
返ってきた澄んだ声に、驚く萌月。
見れば道化は踊りを止め、礼儀正しく一礼しながら影の中に消えていこうとしていた。
「さて、第一幕はコレにて終了。次回の舞台までしばしの休憩で御座います。またの機会にお会いしましょう」
消え去る間際に浮かべた微笑は、妙に優しげなもので‥‥
「‥‥ふむ、なかなか面白い奴よ。またいつか黎明の中でまみえよう」
ウォルフガング・シュナイダー(ea0433)は再度の再会を願いながら、去り行く姿に別れを告げるのだった。
●返ってきた子供たち
結局、子供たちは道化師の記した村のあちこちで眠りについていた。
目を覚ました子供たちの話では、神隠しにあっている間、楽しく遊び続けていたとの事。
その間ずっと道化師が付き添って世話をしてくれていたらしい。
不思議とその間道化の事を慕っていたようなので、魅了の術でも掛けられていた可能性がある。
さらに、ずっと村の近辺に居たとの事。
ならば直ぐ見つけられたような気もするが、恐らく幻影の術などでカモフラージュされていたのだろう。
ともあれ、無事に子供たちが返ってきたため、冒険者たちは感謝の言葉を受けながら、帰路に着くのだった。
追記。余談ながら、蔵王のうけとったクッキーの袋の中には、金貨が混ざっていたらしい。うっかりクッキーと一緒に飲み込みそうになったのは蔵王だけの秘密である。
さらに追記。サリエルより。
「私はおとといまで、13歳でした。昨日は14歳でした。そして、来年になれば16歳です。こんな不思議な現象があるとすれば、今日は何月何日で、私の誕生日は何月何日でしょうかっ!!」
答えは酒場で明かす気らしい。
記録係的に今日は1月1日で誕生日は12月31日だと思われるがどうだろうか?