村長奮戦記 〜宝探し編〜

■ショートシナリオ


担当:まひるしんや

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや難

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月14日〜07月20日

リプレイ公開日:2004年07月22日

●オープニング

 山師と言う言葉がある。
 古くは山々を渡り、鉱脈を探すのを生業とした人々を指したのだが、鉱脈の発見はえてして当たり外れが付きまとう。理想的な条件を持つ山でも、望んだとおりの鉱脈があるとは限らないのだ。
 そこで転じて、一攫千金を狙う人々を呼ぶのにも使われるようになるのだが‥‥
 前置きはともかくとして、此処、キャメロット近くのある村には、その転じた意味での山師という言葉が深刻に似合う人物がいた。
「ふはははは! この宝の地図はほんものなのであ〜〜〜る!」
 なにやら古めかしい地図を片手に、意味もなく胸を張っているのは、先日オーク退治にしゃしゃりでたあの村長である。
 今度は、自宅の倉庫でみつけた宝のありかを示していると思しき地図を見つけたらしい。
 内容を見てみると、どうも先日オークが住み着いていた裏山のどこかに宝が埋まっている様子なのだ。
 だが、村人達はあからさまに不審の目だ。
 つまりこの地図、何処をどう見ても偽の地図なのだ。
 地図の説明文によると、この宝が隠されたのは今から数百年前との事。しかし、この地図はどう見ても此処最近書かれたとしか思えないような新しさだ。
 他にも、文面が妙に軽いノリ(例:こいつは宝の地図だぜ? なんてな! ひゃっほ〜〜〜〜い!)であったり、地図の目印が妙に気合の入った村長の顔であったり。
 ぶっちゃけると、村長の手製にしか見えないのだ。
 おかげで、この村長の宝を見つけようという話に耳を貸す村人は一人もいない。
 つまり、冒険者ギルドに『宝探し協力者求む!』という依頼が届けられたのは、そういうわけであった。

●今回の参加者

 ea0950 九条 響(28歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0992 クロケット・ワムワーレン(26歳・♂・ファイター・ドワーフ・モンゴル王国)
 ea1325 速水 才蔵(41歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea2889 森里 霧子(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea3073 アルアルア・マイセン(33歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3098 御山 閃夏(31歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3542 サリュ・エーシア(23歳・♀・クレリック・人間・神聖ローマ帝国)
 ea4798 華 神路(28歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)

●リプレイ本文

●地図は本物かな?
「宝って‥‥ほんとに見付かるのかな? ちょっと不安」
 某村長が見つけたという地図。
 それを覗き込みながら、御山閃夏(ea3098)ら冒険者一行は、村長と共に山道を登っていた。
 この地図、村長曰く宝の地図との事だが、流石の冒険者たちも半信半疑の様子。
 どちらかといえば、宝が本当にあるかどうかよりも、面白そうだからといった理由で依頼を受けたものが多そうだ。
 実際、冒険者たちの目から見ても、その地図は妙に新しく見え、古くから伝わったものには到底見えない。
 とはいえ、依頼人の村長のやる気は暴走中で、後には引かない様子。
 そんな訳で、村長を手伝う事にした冒険者たちは、土を掘りかえす様々な道具を借り受けて、一路山道をたどっていた。
「で、村長さん。この地図は何処にあったの?」
 道中、九条響(ea0950)は、村長にこの宝についての事を色々と尋ねている。
 村長が言うには、宝を隠したという数百年前の先祖は、冒険をこよなく愛した人物だったらしい。
 数々の冒険の果てに、それなりの財を成して、それを元手に今の村を起こしたとの事。
 その際、村の建設費の残りを、万が一の為にどこかへ残したという話が伝わっていたとの事だ。
 そして、この地図は最近、初代村長が大切にしていた絵の額縁の裏から偶然発見されたとの事。
 絵の保存には気を使っていた為、必然的にその裏に隠されていた地図も保存状態が良かったのではないかという話しだ。
 なるほど、それならば妙に地図が新しく見えるのも仕方が無いことかもしれない。
 ちなみに、今その地図は、サリュ・エーシア(ea3542)が持ち、内容を詳しく呼んで調べようとしているのだが‥‥
「????」
 サリュはラテン語しか理解できないため、絵で周囲の地形などの事はわかっても、詳しい説明文を読む事ができず、四苦八苦していた。
 毎度のことではあるが、通訳が居る事に慣れ過ぎるというのもアレである。
 さらに、今回は通訳できるメンバーが
「おお、おぬし、拙者の『妹』になってくれぬか?」
 妹萌属性を前面に押し出した速水才蔵(ea1325)しかいないため、通訳を頼むたびに口説かれる有様。
 さらに、速水は全ての現代語を操れるのは良いだが、ほとんど片言のみの会話になるため、地図の内容はさっぱり判らない。
 流石の村長もこの有様には、やや不安になっているらしく、ほんのり遠い目になっている。
(「う〜む、人選をややまちがったきがするのであ〜る」)
 自分の事を棚においてそんな事を、考えている様子。
 まぁそれはともかく、何故か『西洋スペシャル・鳥頭探検隊』のロゴ装束と『貴方とナラ、山とG!』なる謎の小旗を手にした森里霧子(ea2889)に先導されて、一行は一路地図に記された宝の在り処へと山の奥へ奥へと進んでいくのだった。

●オーク相手に一人では無謀です
 その頃‥‥先日、村長らが退治したオークの巣穴の前で、華神路(ea4798)は何故か孤独な戦いを続けていた。
 目の前に居るのは、3匹のオーク。
 先日退治された3匹のオークとの関係は不明だが、恐らくはまったく別の固体だろう。
 住み心地の良い巣穴である為、別な場所からやってきて新たに住み着こうとしているのかもしれない。
 だが、そんな理由はどうでも良いくらいに、華の状況はピンチだったりする。
 華の思惑としては、先に先行してオークを駆除するつもりだったようだが‥‥いかんせん実力不足。
 単身で向かって勝てる実力では、まだ無い。
 その為、オークの振るう凶悪な一撃を必至で避けつつ、退路を探すといった状況になっていた。
(「自分の身勝手な行動一つで、か。村長にいえるものではないな」)
 無謀な村長をたしなめるつもりが、自身がそれに近い状況に陥っている事に苦笑する華。
 その彼女を救ったのは、皮肉にもその村長だった。
「ふははは! 戦いの気配がするのであ〜〜〜る!」
 殺気を読んだのか、突如冒険者たちを引き連れ現れると、有無を言わせずオークへと向かっていく。
 慌てているのは村長についてきた冒険者たちだ。
「我が剣よ、我が誓いに応じ吼えよ!」
 村長の護衛の役を買って出ていたアルアルア・マイセン(ea3073)は、その護衛対象が先頭を切って戦闘に突入するのを見て、慌てて剣を構え突撃する。
 村長より先に飛び出すつもりだった九条も、
「ボディが甘いぜ!」
 オークの太っ腹めがけて十二形意拳、虎の奥義を繰り出している。
 とはいえ、先の戦いで判明しているように、オークは案外頑丈だ。
 冒険者一人だけなら、明らかに苦戦する相手。ゆえに容赦なく反撃を仕掛けてくる。
 しかし、御山の武術の腕はそれを上回っていた。
 明らかに格の違う動きでオークの攻撃をことごとく受けて見せると、返す刃がオークに手傷を与えてゆく。
 さらに、サリュがコアギュレイトでオークの動きを止めると、形勢は決定的になった。
「ふ、つまらぬ物を斬ってしまった‥‥」
 速水がふるう忍者刀もオークの急所を引き裂きその意識を奪い取り、気がつけばオークは退治されていたのである。

●ようやく宝探し
「オークを追って大変な物を見つけてしまったぁ!」
 オークとの戦闘の後、華とも合流した村長一行は、森里の声を背後にようやく宝が埋められているという場所にたどり着いていた。
 そこはちょっとした崖の下で、大きな岩がでんと居座っている。
 地図によると、この岩の裏に小さな洞窟があり、そこに宝が隠されているとの事。
 数百年も時が流れている所為か、その岩も半ば土に埋もれているが、そこはそれ体力自慢の冒険者一同に期待するしかない。
 と言う訳で‥‥後は地道な土木作業だったりする。
 流石に此処までくると、小細工も何も無い。
 掘って掘って、また掘って‥‥道具を村から持ってきているだけに手間取りはしないのだが、時間がかかるのは仕方が無い。
 とはいえ、岩の横を掘る事数時間。
 流石に疲れも溜まってくる。
「無理を重ねて倒れてしまったら元も子もないですし、適度に休憩をとるのがいいかと」
 疲労の色がありありとなった一同を案じて御山が声をかけた‥‥そのとき。
 誰よりも一生懸命、何一つ手を抜かず、取り組んでいたアルアルアの掘った先がボコリと崩れ、
「あっ!」
 暗い穴が姿を現した。
 コレには休憩していた者も慌てて飛び起き、開いた穴を一気に広げてゆく。
 そして‥‥
「ふははははっ! ついに、ついに宝は目の前なのであ〜る!」
 人が通れるほどに口を広げた洞窟が目の前に現れたのである。
 喜ぶ村長。制止の声も聞かず先頭をきって中に潜り込む。
 無論、此処まできた以上、冒険者たちもついていくしかない。
 恐る恐る中に入り明かりをともすと‥‥
「‥‥‥うそ‥‥‥」
「ほんとに!?」
 そこには、ある意味一番予想外のものが、存在していたのであった。

●見つけたものはなぁに?
 洞窟の中にあったもの、それは本当に『宝』だった。
 さほど多いとはいえないが、確かに貴金属でできた装飾品が、長い年月を経た今輝きをいくらか減じたとはいえ、幾つか並べられている。
 少なくとも、その色合いは昨日今日埋めて出来るモノではない。
 つまり‥‥地図も村長の言葉も正しかった事になる。
「村長の妄想だと思っていたが‥‥」
 地図の説明文や見た目の新しさに反して、本当に宝の地図だったようだ。
 コレだから世の中わからない。
 とはいえ、宝がどれほどの価値なのか、此処でこうしていても判るわけではない。
 そんなわけで、村へと宝を持ち帰った冒険者達。
 実は古く劣化しすぎて、宝がそれほど大きな価値が無いとわかるのは、その直ぐ後のことであった。
 それでも、各人1Gづつほどに分配できる価値はあった様子。
 何とか骨折り損のくたびれもうけにはならなかったようである。