仮面の二人 〜美少女と野獣〜
 |
■ショートシナリオ
担当:まひるしんや
対応レベル:1〜3lv
難易度:易しい
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:13人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月27日〜08月01日
リプレイ公開日:2004年08月04日
|
●オープニング
「キャァァァァァッ!!!」
キャメロットの夜の静寂を、絹を引き裂くような悲鳴が破った。
薄暗い路地の奥、全身恐怖にそまり、後ずさりする若い娘。
その視線の先に『それ』は居た。
何故か妙に清々しい笑みを浮かべた巨漢の男。
当たり前のように鋼の筋肉の持ち主で、仮面と股間に咲くひまわりの花以外は、全裸という姿。
‥‥あぁ、また変態だ。
「ソンナニコワガラナクテモ、ダイジョブデ〜ス! ワッタシハアッヤシイモノデッハ、アッリッマセ〜ン!」
何処が怪しくないと言うのか。何から何まで突っ込みどころ満載のこの男。
ただ、本当に襲おうという気は無いらしい。手にした似顔絵のようなものを娘に見せているだけだ。
「コノオッジョウサンヲミッマセンデ〜〜シタカ? ワタシ、コノヒトサガシテマ〜ス」
描かれているのは‥‥なんと言うか、仮面をつけた少女だった。
羽のついた帽子に、羽仮面というなんだかアレな姿だ。
こんな姿、一度見れば忘れないに違いない。
ただ、妙に片言な所為で意志の疎通が取れているかは微妙。
何より、こんな変態が目の前に居る時点で、正気がどこかへ飛んでいきそうである。
「イ、イヤ‥‥イヤァァァ‥‥」
ガタガタ震えている。無理も無い。
流石にその様子に気付いたのか、変態は困ったように頭をかくと、似顔絵をしまい身を翻す。
「コッマリマシタ〜! オッジョウサンミッツケナイトタイヘンデ〜〜ス! マスターにオコラレマ〜〜ス」
その姿が夜の町並みに消えるのと、娘さんが気絶するのはほぼ同時だった。
そんな事がここ数日キャメロットの各地で起きているらしい。
事件を起こしている変態はひまわりを股間につけた巨漢。
似顔絵をみせて人探しをしているだけなのだが、その余りな風体の為、尋ねられた相手が気絶するなど被害が起きているとの事。
そして似顔絵の人物というのも‥‥
「実はな、最近筋骨隆々の奴ばかり狙う通り魔が居るらしいんだ。後ろから不意打ちして気絶させて来るらしいんだが‥‥なんでもその犯人は若い娘らしくてな。こっちも捕まえるように依頼が来てるんだ」
同様にキャメロット中をうろついている様子。
「まぁ、こんな奴等ほっとくとキャメロットに人が寄り付かなくなるからな。両方さっさと何とかしてくれ」
そうギルドの親父は言うが‥‥どこか投げやりに聞こえるのは気のせいだろうか?
まぁそれはともかく、若い娘を探す巨漢の変態と、巨漢ばかり狙う娘の通り魔、この2人を何とかするのが今回の使命である。
さてさて、どうしたものだろう?
●リプレイ本文
●大男は小心者
「オウ、コッマリマシタ〜! オジョウサンガ、ミッツカリマセ〜ン!」
片言のイギリス語で呟くのは、件の変態、筋骨隆々の仮面の大男である。
探している相手が見つからないのか、似顔絵を持って今日もうろうろ。
股間に咲いた大輪のひまわりが寂しげに揺れている。
と、その視界にその人影が現れた。
あのヒラヒラとした衣装、何より羽仮面に羽帽子。
それは捜し求める少女の特徴とピッタリ一致している。
「オウ! オジョウサマ〜〜〜!」
慌てて後を追う大男。
「ち、近寄らないでくださいィィ!」
仮面の少女のものらしき悲鳴。
何気に仮面の少女が二人いるような気もするが、大男はそれに気付かない。
ただひたすらに後を追うばかりである。
細い路地をどれほど追いかけただろうか?
追い求める影が飛び込んだ曲がり角、そこを同様に曲がった瞬間、彼は幾つものに取り囲まれた。
「俺の名は、伊達和正。戦士にして誇り高き獅子!」
口笛を吹きつつ名乗りを上げる伊達和正(ea2388)をはじめとして、警戒しつつ大男の逃げ道をふさいでいた。
見れば、その中に先ほど見た羽仮面と羽帽子の少女も(やはり)ふたり居る。
「オジョウサマ〜〜〜? ‥‥チガウデスカ?」
首をかしげる大男。その声に、
「愛と正義の美少女仮面、ガーネット・リボーン参上! 正義の証たる仮面の品位を落とす変態どもには‥‥天誅ですっ!」
羽仮面の少女‥‥囮役をこなしたガーネット・リボーン(ea5279)と、
「ジョワッ!」
妙な掛け声をかけながら変装をといた大隈えれーな(ea2929)がそれぞれに応える。
何故か二人のバックに花びらが散ったように見えたのは気のせいだろう。
それはともかく、捜し求める相手ではなく、別人だとわかると、大男は目に見えてガッカリした。
肩を大きく落とし、うつむくその姿は、なんとも哀れだ。
元が大きな身体である分、余計にその落差を感じるのかもしれない。
股間のひまわりも力を失っている。
「今度はひまわり漢の様であるな‥‥ふむ‥‥暖かくなると可笑しな輩が増えるというからな」
その様子(特に股間の花)を見て評したのは紅天華(ea0926)。
何気に発言がズレているような気もするが、それは多分天然な所為だ。
それに、此処イギリスは年がら年中可笑しな輩が大量生産されている。暖かくうんぬんは余り関係が無いと思われるが、どうだろうか?
同様に股間を見ても、別の反応を示すものも居た。
「プラス思考、プラス思考‥‥そう、向日葵の花言葉は『熱愛』『あなたを見つめる』‥‥うん。無理ですね。許容範囲から大幅にアウト。人として論外です」
本当にプラス思考といえるのか非常に微妙な思考ロジックを展開したクリス・シュナイツァー(ea0966)がまさしくそれだ。
いっそ気絶した方が楽になれるような精神的ショックを受けてたりして、
「ガンバッタモノハ、スクワレマス」
何か片言になったりもしているが、概ね対極には影響ない模様。
「お嬢さん知らない。探すの手伝う。どうしてお嬢さん探してる?」
一方、エヴァーグリーン・シーウィンド(ea1493)は、大男の余りに哀れな様子が気になったのか、相手にも判りやすいように簡単な言葉で意志の疎通を図ろうとしていた。
余談だが、その背後で
「変態は破壊だーっ、踊れ、踊れぇっ」
と伊達が暴れていたりしたが、 黒名吾妻(ea2489)が朗らかに笑いながら必死に取り押さえて事なきを得ていたりする。
それはともかく、エヴァーグリーンの声に、やや気を取り直したのか、
「オジョウサン、イエデシマシタ〜〜リッパナヘンタイニナルノ、イヤダソウデ〜〜〜ス」
大男は片言の言葉ながら話し始めた。
もとより片言の為、会話には時間がかかったが、おおよそを要約すると次のようになる。
この大男、最近イギリスにやってきて、ある仮面変態の名家(!?)に弟子入りしたばかり。
その名家には一人娘が居たのだが、家を継ぐのを嫌がり家出したのだという。
そこで、この大男にその一人娘を連れ戻す任が与えられたのだとの事。
「オジョウサン、アイト、セイギノ、ビショウジョカメンにナルイッテマシタ〜〜〜 ソコノオジョウサン、トテモニテマスガチガイマシタ〜〜」
大男の発言に、冒険者の視線がガーネットに集中する。
似たような人物はどこにも居るものだ、というのが内心の声だろう。
「本当にキャラかぶってるわ‥‥立ち直れないかも」
何故か隅っこで落ち込み始めるガーネット。
まぁそれはそれとして、
「それにしても、なんだってそんな格好で人探しをしてんのかねぇ」
そう指摘したのは、護衛役を買って出ていたレオン・ユーリー(ea3803)だ。
確かに、いかに変態の家に弟子入りしたとはいえ(そもそも、何故そんな家に弟子入りしたのかは、この際置いておく)、聞き込みをする際くらいはまともな服装でも構わないのではないか?
仮面見たさに参加したプリムローズ・ダーエ(ea0383)も、同じように服装に突っ込みを入れる。
「言葉が片言なのはイギリスに来て間もない為であると判りますけど、服装だけが可笑しい気もします」
確かに、もっともな言だ。
だが、そんな疑問に大男は首を振る。
「ダメデ〜ス! コカンノハナハ、エレガントサノショウショウナノデ〜〜〜ス! カクスナンテ、ユルサレマセ〜〜〜ン!」
何か、一種のポリシーのようなものでもあるらしい。
ともあれ、その体格に反して大人しい大男は、冒険者に素直に従い、
「ところで、その花はどうやって留めているのだ?」
等と冒険者たちに質問詰めにされながら、冒険者たちの合流場所に共に向かうのだった。
●少女は弾け者
その頃、同様に最近辺りを騒がせた少女仮面の方はと言うと‥‥
「もう、絶対に捕まらないんだから! あたしは仮面を正義の象徴にするんだもん!」
何だかいきまいていた。
足元には、今退治したばかりの追っ手‥‥と思われる体格の良い人物。
実はぜんぜん関係なく、とばっちりを受けただけの付近の住人だったりするのだが、少女には余り関係ないらしい。
(「正義の象徴とやらはどうした?」)
と聞きたくなるような凶行だった。
ちなみにこの少女、羽仮面に羽帽子、さらに何だかフリフリした衣装&白タイツという、微妙にどこかで見たような姿だったりする。
青系統の色合いという違いもあるが、確かにガーネットの服装とそっくり。
と、その少女の前に、新たに現れる影。
「またパパからの追っ手!?」
とっさに身構えるその視線の先には‥‥マントを身につけた4つの影。
その一つ、マントを身につけ、顔に六尺褌を巻いた人物が、おもむろに身につけているものを脱ぎ捨てた。
そこに立つのは
「今のトレンディーは葉! 花は時代遅れなのさ♪」
股間にヒラヒラとした葉っぱだけを身につけたツワモノだった。
キャメロットの怪異葉っぱ男にして耐える男、レイジュ・カザミ(ea0448)である。
「だからと言って、僕に惚れちゃあいけないよ♪貴女に相応しい人がいる場所を僕は知っているんだけど、一緒に来ない? 僕が案内してあげるから!」
どうやら、説得するつもりらしく気楽に話しかけるが‥‥
「イヤァァァ! あたしは変態になりたくないぃぃぃぃ!」
どうも神経を逆撫でてしまったらしい。
強力な衝撃波が広がったかと思うと、あっさりレイジュは吹き飛ばされていた。
どうもこの少女、オーラ魔法の使い手であるようだ。
「お、落ち着くんじゃ。儂の仲間が向日葵男を連れてくるぞぃ。人を襲う事を辞めて貰えんかの?」
慌ててたしなめるオーガ・シン(ea0717)の言葉も、今は逆効果だ。
「ひ、ひまわり!? あんなのつれてこないでよ〜〜〜〜!」
「い、いや‥‥違‥‥う‥‥ん‥じゃ‥‥」
過剰反応されて、吹き飛ばされる第二号になる羽目となる。
その暴れっぷりに、どこかの結社員らしきムネー・モシュネー(ea4879)は説得の前に取り押さえる事にしたらしい。
「神よ、汝の意思もて我が敵を縛せよ!」
コアギュレイトを唱えその動きを封じ込めると、
「あ〜〜‥‥‥そこまでにしとけ」
それに合わせた来生十四郎(ea5386)が、少女の首筋にスタンアタックを叩き込み、その意識を奪う。
そんな訳で、ようやく大人しくなった少女。
彼女を引き連れて、冒険者たちは合流場所へと向かうのだった。
●服着てとっとと帰りなさい
「して、この仮面小姐と貴殿の関係は何なんだ‥‥? 御息女というわけでもなさそうだが」
大男と少女の姿を見つめつつ、小首かしげる紅。
「いや、だからこの子(少女)の父親が、この人(大男)の師匠なんでしょ?」
とりあえずそんな風に指摘されたりする一幕があったりしたのは余談である。
それはともかく、最近辺りを騒がしていた二人の仮面の人物は、冒険者たちの目の前で大人しくしていた。
ちなみに、大男は普通に大人しくしているだけだが、少女のほうは暴れるので簀巻きにされていたりした。
可憐そうにも見える外見に反してかなり凶暴のようだ。
「つまりは、家出娘を連れ戻しに来ただけなんだよな。此処は、このままこのお嬢さんを引き取ってもらうのが世の為じゃないか?」
「変態をイギリスから叩き出すのじゃな」
「いや、微妙に違うし」
その間、この二人の処遇について話し合う冒険者。
「我ら結社の預言が確かならば、はるか東の果ての国に、変態は歌い、カマ咲き乱れる、杜の都と呼ばれる楽園が出現するという。君達にはそこへ向かって移住してもらう。我々の預言成就にために」
等というデンパな意見もあったが、概ね、大男に少女を連れて帰らせるという方向で一致していた。
服に関しては大男を説得、服を着て代えることを了承した為、さほど問題は無い。
そして、少女に関しても、『追っ手に怯えて暴れるくらいなら、その父に直接掛け合え』と説得したため、今は大人しくなっていた。
コレならば、帰路の途中で逃げ出すという事もあるまい。
かくして、キャメロットを微妙に騒がせた事件は此処に幕を閉じる事になる。
いやはや、なんともはた迷惑な事件であった。