●リプレイ本文
「ふと思ったんだけど、このオーガはなんで橋の上にいるんだろう? 近くに住んでいたのかな? ヒトに危害を加えるのが目的なのか‥‥気になるなぁ」
オーガがいるという現場に着いた冒険者達。
その中でエルフのウィザード、ティアイエル・エルトファーム(ea0324)はオーガが何故ここにいるのか疑問に思っているようだ。
同様にナイトのアレス・メルリード(ea0454)や栗花落永萌(ea4200)も
「オーガか、やっかいだな‥‥しかし、橋の真ん中で何がしたいんだ?」
「しかし何故、橋の真中を陣取って寝ているのでしょう?」
似たようなことを考えている。
確かに、考えてみると疑問だ。だが、街道で隊商などを襲うオーガと比べれば、街道が橋に変わっただけとも考えられる。
今のところ付近の住人に被害は無いとの事だが、これは純粋にこのオーガに近寄らなかっただけとも解釈できる。
「そもそも、なんであんなところにいるのだ‥‥? 確かに川の上は涼しくていいかもしれんが‥‥誰かを待っているのか?」
エルフノ黒の戒律の僧侶、紅天華(ea0926)のいうように、涼しさもあるのかもしれない。夏の暑さはオーガと言え厳しいだろう。
何より、オーガの思考はそれほど複雑とはいえないだろう。深く考える必要はないのかもしれない。
ちなみに、オーガの居座っているのは橋の中央辺り。
この橋はなだらかだがそれなりに川幅のある川に架かっている。
川が増水すると直ぐ流されてしまう橋なのだが、橋の土台は影響が無い様に作られている為、復旧は容易なのだという。
こういう橋も存在するのだろう。『流され橋』とでもいうのだろうか?
それはともかく、この橋は長さはあるが幅が狭い。一度にオーガに襲いかかれる人数は限られている。
となると、強敵であるオーガと戦うのはいささか不利だ。
冒険者達はまず、このオーガを橋の上から動かそうと、行動を開始したのだった。
「そこは、この周辺の皆の大切な生活の道の1つ・・・出来れば退いてはくれぬか?」
まずは行動を起こしたのは天華だ。
おもむろに橋を進み、オーガに話しかける。
だが、天華が近づいた途端、オーガは嬉しそうな凶悪な表情といった表情で武器を振り上げ襲い掛かってこようとする。
やはり、街道に出るオーガと同じのようだ。
流石に、オーガと一人で戦うのは無謀。天華は急いで岸に逃げ帰ると、今度は料理でおびき寄せようと岸で肉を焼きはじめる。
だが、これにもオーガは反応しない。‥‥生肉のほうがいいのかもしれない。
「話を聞けというのが分からんのか!」
ことごとく策がふいになりかんしゃくを起こす天華だったりする。
「村の大事な財産を壊す訳にはいかないわ。橋の上の戦闘は強度に問題あるっていうから避けないと‥‥」
エルフのバード、ヴァージニア・レヴィン(ea2765)は挑発しておびき寄せようとの判断だ。
到達距離が長い魔法で、ダメージを与えれば、流石のオーガも岸に近づかないわけには行かないだろう。
ただ、橋の長さが長いのは確か、そこで登場はティアイエルだ。
彼女は風の魔法をかなりの腕前で扱うことができる。そして、その中でもライトニングサンダーボルトの到達距離は群を抜いている。
岸にかなり近い所から放っても、オーガのいる中央付近まで届かせる事が可能だった。
念のためレオン・ストライフ(ea5956)がオーガと岸の中間辺りまで進み、万が一の事態に備える。
「作戦前に皆に言っておく、橋を傷つける奴がいたら、たとえ仲間だろうと容赦しねーからな。肝に命じておけ!」
中々の意気込みだ。一応、粗末な分修復は容易いのだが、やはり壊されないに越した事は無い。
そして、今ティアイエルの手から、ほとばしる稲妻が放たれる!
直撃!
強力な雷光を受けたオーガは、流石に橋の真ん中に居座り続けることなく、冒険者たちのいる方向へと向かってくる。
だが、岸に近づいてしまえば冒険者たちにはさらに有利になる。
オーガが岸に至る前に2度目のライトニングサンダーボルトを放ったティアイエル。さらに、近づいてきたオーガに、ヴァージニアのムーンアローが、そして志士の栗花落の長弓からの矢が次々と突き刺さる!
だが、目立ったダメージはティアイエルの与えた2発の電撃のダメージのみ。
流石に強敵だ。
そうこうして岸に至ったオーガ。無論、既に魔法使い達は引いて、アレス達戦士がオーガを取り囲む。
「俺の力では一人でお前の相手は無理だが‥‥少なくとも今は仲間がいる。だから、負けはしない‥‥そして、お前を倒し‥‥俺はさらに強くなってみせる!」
右手に剣を、左手にダーツを構え注意深くオーガの動向を見るアレス。その武器にはオーラの力が既に付与されている。
「いかなオーガといえどもこの数の不利を覆すことは出来ませんよ。これで終わりです」
アレス同様ナイトのシアン・アズベルト(ea3438)も、ジャイアントソードとシールドを構え、オーガの行く手を遮る。
無論、レオンもこれに加わる。
そして、オーガの金棒の一振りで、最後の決着の幕があけた。
「ほらほらどーした! 俺はまだ実力の半分も出してね―ぞ!」
シアンとレオンの猛攻! 双方共に戦士としての実力はかなりのもの。強敵のオーガを相手取って防戦一方にさせている。
アレスはその二人ほどは実力は無いが、牽制で十分に役目を果たしている。
無論さがった魔法使いたちも遊んでいるわけではない。
やや距離をとり、上背に勝るオーガの頭を狙って魔法や弓矢を次々投げかける。
ちなみに‥‥そんな様子をはるか遠くからジョセフ・ギールケ(ea2165)が高みの見物をしていたりする。
「ふっふっふ」
イギリス語が話せないため、他のメンバーと行動を共に出来ないだけかもしれない。
それはともかく、ジョセフが高みの見物をしている間に、オーガは既にボロボロの有様となっていた。
栗花落の弓で右目を潰され、全身には無数の傷。もちろん雷でできた火傷も深刻だ。
そして、動きが鈍った今、最後の止めが為されようとしていた。
剣にその重さと勢いを乗せ、全力で切り伏せるコナン流必殺の剣技。
シアンの振り上げた刃が一瞬の内に下ろされ、オーガを袈裟切りに切り裂いた!
満身創痍で後ずさるオーガ。力尽きたのか、川に仰向けに倒れると、そのまま川面に消え‥‥流されていく。
「‥‥ふう‥‥まだまだだな‥もっと強くならないと、この程度の半端な力じゃ何も守れやしない」
勝利を確信し、一息つくアレス。仲間の剣技を目の当たりにし、己の未熟を感じたのだろう。
だが、依頼を成し遂げたと言う達成感はある。
「それにしてもオーガは何でこんな粗末な橋の上に陣取ったのかしら? 面白かったから? それとも単にそこで眠くなったから? まぁ倒した後で考えたってしょうがないんだけどね。村人達の為に、二度とこんな事が起きないよう祈っているわ」
ヴァージニアの言葉に頷く一同。
そんなわけで、冒険者達は、村へとオーガを倒した報告をし、無事帰路に着くのだった。