キノコ採りは大騒ぎ
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■ショートシナリオ
担当:まひるしんや
対応レベル:1〜3lv
難易度:やや易
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月14日〜06月19日
リプレイ公開日:2004年06月22日
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●オープニング
キャメロットの某所。
豪奢な部屋の中で、その会話は延々と続けられていた。
「だからな、イギリスは料理が不味いと思うんだ」
「はぁ、そうで御座いますな」
「フィッシュフライとプティングしか自慢する物がないとはどういうことだ?これじゃ、俺に飢え死にしろといわんばかりじゃないか」
「お言葉ですが、午後の紅茶の風習はお気に入りのご様子で御座います」
「紅茶と菓子だけで生きていけるほど甘党では無いと言っているんだ。美味い『料理』を食いたい、それに尽きる」
「料理人を他国から呼び寄せるのはまだ少々時間がかかりますが」
「なら、せめて素材だけでも俺好みの物にしろと言っているんだ。そうだな、キノコがいい。あの例のキノコを用意しろ!」
「アレで御座いますか? かしこまりました」
そんなわけで、冒険者たちの元に届けられた依頼。それは、
「スクリーマー? なんだい、そりゃ」
「ああ、腐った木や腐葉土なんかに生えるデカイキノコなんだがな。これが中々に美味いんだ。生でも食えるから覚えとくと良いだろ。でな、こいつを採って来てほしいのさ」
話を聞くと、このスクリーマーというのは、ある特性以外は害もなく毒もないキノコらしい。
外見は毒々しい色をした巨大なマッシュルームの様だと言うから、他のキノコと見間違える事も少ないはずだとの事。
そう聞くと、何も冒険者に任せなくとも、専門の薬草採りか何かに任せたほうがよさそうだが、そうは中々上手くいかない。
「こいつの問題点は、特殊な特性にあってな。近くに足を踏み入れると、けたたましい声で叫びを上げるのさ。こいつが厄介なのさ」
その所為で、近くにいる別のモンスターなどを引き寄せる事があるらしい。その特性を生かして地下迷宮などでこれを警報代わりに生やしていると言う話もあったりする。
「まぁ、何かが直ぐに出てくるわけじゃないと思うが、そうゆう厄介なところがあるから、お前さんたちにお鉢が回ってきたって訳だ。」
最近では、旅人がこれの群生地を見つけたらしく、向かうべき場所を探してさまよう手間もない。
冒険を始めたばかりの新人には丁度良い小遣い稼ぎと言えるかもしれない。
「で、どうする? やってみるか? 量が取れたら、必要な分以外はお前さんたちで食ってみるのも良いと思うがな」
そう聞くと食欲もわいてくると言うもの。
かくして、冒険者たちは季節外れのキノコ採集に出かけるのだった。
●リプレイ本文
●のんびり歩こう街道沿い
依頼のキノコが生えるのは、キャメロットからほど近い森の中。
道中は特に危険もない穏やかな道のりである。
眩しい太陽が照らすその街道を、冒険者達はのんびりと進んでいた。
「今回は美味しい仕事だね。群生している場所はわかってるし、行って帰って来て3日の工程だし、採って量が余れば食べていいって話しだし、旅先で美味しい食材にめぐり会えるなんてのも調理好きにとってはありがたいね」
機嫌よく鼻歌交じりでそう言ったのは、カルナック・イクス(ea0144)である。
ノルマン生まれのレンジャーで、此処までの道のりの間、ついでとばかりに食材集めに興じている。
今の所、野鳥などを数羽つかまえ、今も道すがら夕食の獲物はないかと辺りを見回していた。
「ん‥‥キノコ‥‥‥か。おいしいキノコも食べれて、お金も貰える‥‥良い」
その声に同意したのは同じくレンジャーのルア・セピロス(ea3168)。
キノコが美味と聞いて期待を寄せているらしく、その味に思いをはせているようだ。
「キノコ‥‥キノコ‥‥。おいしいといいなぁ‥‥‥」
うっとりと夢見心地の様子。
「いったいどんな茸か楽しみだな」
神聖騎士のレイ・アウリオン(ea3231)も相槌を打っている。
おなじく神聖騎士のリュウガ・ダグラス(ea2578)は、カルナックと同じく食材探しに興じていたが、こちらが狙うのは食べられる野草や薬草など。
そういった知識が豊富であるだけに、中々の成果を上げている。
それら成果のおかげで、一同道中持参の保存食を食べる必要もない。
そんな調子で、森へと向かう旅は穏やかに過ぎていくのだった。
●キノコを探そう森の中
問題の森につくと、冒険者達は早速きのこを探し始めた。
ギルドからの情報によると、森の中の街道からやや外れた辺りに、スクリーマーの群生地が在ったとの事。
数も多く、スクリーマー自体が毒々しい色合いで目立つらしいので、発見は容易だろう。
特に、今回参加のメンバーは森に詳しい者が多い。
「森の中だったらうちに任せて☆ だてにシフールやってないし〜☆ というわけで、森の中にご〜!」
真っ先に飛び出していったのはクリスタル・ヤヴァ(ea0017)。
その言葉どおりにシフールであり、森や植物に対しての知識も豊富だ。
もっとも、その獲物はキノコだけではないらしく、その他の食材にも向けられていた。
その為本命のキノコを探し当てるには中々至らない。
エルフのウィザード、ラディス・レイオール(ea2698)も同様だ。
達人の領域まで達した植物知識は、クリスタルや他のメンバーが気付かないような食べられる野草や薬草、山菜などを次々と見つけてゆく。
またその豊富な知識は、一見薬草に見える毒草を見分け、仲間にも注意を促している。
「皆にぎやかですね‥‥」
ため息混じりに呟く、同じくエルフのウィザードのアルカード・ガイスト(ea1135)もその知識を十分いかし探索を続けている。
「森はエルフの領域です」
そう言いながら探すのは、他のメンバーとは違い本命のキノコ優先。
その甲斐あってか、それからさほどの時間もかからずに、
「見つけました。これではありませんか?」
問題のキノコを見つけるのだった。
●キノコの叫びは大騒ぎ
スクリーマーが生えていたのは、巨大な古木の陰。情報どおりに腐葉土に菌糸を張り巡らせて、何十本と群生していた。
その姿は、まさしく巨大なマッシュルーム。傘が毒々しい極彩色の色合いであることと、高さが50cmほどある大きさ以外は、普通のキノコとなんら変わりが無い。
ともあれ、ようやく目的の物を見つけたのだ。早速とばかりに採集しようと足を踏み出した冒険者たち。途端に、
「ぎょぇぇ〜〜〜〜〜〜〜!」
「いやぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!」
「うぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜!」
「YHA〜〜〜〜〜!」
無数のスクリーマーが一斉にけたたましく叫び始めた。
なるほど、コレが話しにあった、叫ぶという特性なのだろう。
あたり一面に響き渡るようなこの声は、確かに警報として使えるほどだ。
その声に流石の冒険者たちもあっけに取られている様子。
そんな中、周囲に偵察に出ていたジャパンの忍者速水才蔵(ea1325)は、何者かが近づく気配を感じ取っていた。
忍びが身につける鋭敏な聴覚と殺気に対する感覚。
それらが、荒々しい足音から何かを感じ取る。
次の瞬間、高らかに鳴らされた指笛が、仲間たちに敵の接近を告げた。
キノコの叫びが散発的にあたりに響く中、口笛に真っ先に気がついたのは、速水と同様周囲の警戒に当っていたレイだった。
「怪物が来たようだ気をつけて狩れよ」
キノコの叫びで気付けなかったメンバーに声を掛けると、自身は身を翻し先行する速水のもとへと急行する。
「きのこの叫び声で、どうやらモンスターがお出ましの様だ! レイ、才蔵が対応しているがまだ、他にも居るかも知れん! 注意していてくれ! ルア、カルナック! 護衛、頼んだぞ!」
レイの声にどこか喜んだような声を上げたのはリュウガだ。
そのまま自身も戦闘へ向かう。
その頃、速水はスクリーマーの叫びに呼び寄せられた5匹ほどのゴブリンと刃を交えていた。
1対5と不利な状況。だが、死角からの攻撃と軽い身のこなしを得意とする速水は、その状況でも難なく切り抜ける。
さらに、
「リーダーを倒せば何とかなる」
戦いの場にたどり着いたレイがリーダー格のゴブリンを受け持ち、リュウガが助走をつけた一撃で突撃を仕掛け、大勢を決したのだった。
キノコを取っていたメンバーも平穏に採集を続けられたわけではなかった。
スクリーマーの叫びの引き寄せられたコボルトの数体に襲われていたのである。
もっとも、こちらはレイや速水、リュウガ達よりも優勢に戦いを進めていた。
「‥‥私のキノコ狩りの邪魔しないで‥‥」
そう言いながら、卓越した弓の腕を発揮するルアの狙撃をはじめとして、カルナックの二重射ち、ラディスのアイスチャクラム、クリスタルの月の矢がコボルトたちの接近を許さないのだ。
そのため、余裕があると見たのか、
「そちらの方は頼みましたよ」
アルカードはそのままキノコ採りを続ける有様。
かくして、あらかたスクリーマーを採集し終わる頃には、戦いはすっかり終わっていたのだった。
●そして美味しいキノコ料理
森からの帰り道、依頼主に届ける分をより分けると、いよいよお楽しみの料理の時間である。
調理ができるリュウガや速水、誘われたカルナックらが、思い思いに得意の料理にきのこをアレンジしてゆく。
調理に使う火は、アルカードが魔法で作るという豪華ぶり。
そうやって出来上がったキノコ料理は、道中で取れた食材をふんだんに使った見事な物となった。
そのまま串焼きにして焼いたものや野草と共に炒めしたもの、スープなど。
野営での料理とは思えないほどだ。
「‥‥‥ん‥‥‥おいし‥‥」
ルアの感想は、全員が感じたものだっただろう。
そうして帰りの道中美味に舌鼓をうった冒険者達は、残った食材を保存食にして、意気揚々とキャメロットへとたどり着くのだった。