お宝発掘、大掃除!

■ショートシナリオ


担当:まひるしんや

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月27日〜01月01日

リプレイ公開日:2005年01月09日

●オープニング

 年の暮れというのは、ジャパンでの表現だ。
 とはいえ、此処キャメロットでも、年末というものは存在する。
 最も、その多くは聖夜祭と同義だろう。ほぼ同じ時期のこの二つは、片方が大きな意味を持つのに対して、片方は事実の確認といった雰囲気がある。
 無論大きな意味を持つのは聖夜祭の方であるのは言わずもがななのだが‥‥
 それはともかく、多くの人々が心待ちにする聖夜祭を尻目に、年が明けることを心待ちにしている男が居た。
 なんとも懐かしい、某村の某村長だ。(覚えていますか?)
 最近、すっかり大人しかった某村長なのだが、年末が近づくにつれて妙に、そして無闇に元気になっているらしい。
 本人に理由を尋ねてみると曰く、
「明るい未来(来年)が待っているからなのであ〜〜る!!」
 とのこと。単に年が明けるのが嬉しいらしい。
 そんな訳で、妙にハイになっている村長なのだが、その件の人物から、ギルドへ依頼が舞い込んだ。
 何でも、以前に地図が見つかった物置を掃除してくれる人手を募集しているらしい。
 この村長の家はそれなりに古く、また代々妙な趣味の持ち主が多かったせいか、その物置はいっそ倉庫といっていいほど広く、中は雑多に詰まっている。
 さらには、先だって村長が地図を見つけた際に異常なほど散らかしてしまった為、手がつけられないほど。
 こうなればもう放置するより他無い気もするが、村長曰く、
「年末には大掃除をするものなのであ〜る!」
 との事。
 なにより、倉庫の中で気に入ったものがあれば、一人一品持ち帰っていいとの申し出だ。
 仮にも、本物の宝の地図が眠っていた場所だ。何か他にも値打ちものがあるかもしれない。
 もっとも、どう鑑定しようがガラクタとしか言いようの無い物も掘り起こす可能性もある。
 何はともあれ、年末というのは色々先立つものが必要となる時期でもある。
 特に危険も無く報酬も確保できるとあれば、こういうものも悪くないだろう。
 ギルドの壁にかかった依頼の用紙とギルドの親父の話を聞き、冒険者はう〜むと悩みの声を上げるのだった。

●今回の参加者

 ea0665 アルテリア・リシア(29歳・♀・陰陽師・エルフ・イスパニア王国)
 ea1010 霧隠 孤影(27歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea1303 マルティナ・ジェルジンスク(21歳・♀・レンジャー・シフール・フランク王国)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2929 大隈 えれーな(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea5386 来生 十四郎(39歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea5619 ミケーラ・クイン(30歳・♀・ファイター・ドワーフ・フランク王国)
 ea9037 チハル・オーゾネ(26歳・♀・バード・ハーフエルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

 入り口の扉を抜けると、そこは混沌だった。靴の底が白くなった。入ったところで足が止まった。
「何、コレ」
 が、全員のすべからくな感想だった。
「気にするなであ〜〜る」
 村長は相変わらずだ。
「キニスルダロ」
 誰かが漏らした突っ込みの声はひび割れていた。
 全員何故だかやるせなくなった。
 今度の依頼は選択の間違いだったかもしれない。本気でそう思った。

「だーいじょうぶ、まーかせて!」
 数刻前にそういったアルテリア・リシア(ea0665)だったが、何と言うか目の前の惨状に自信を失っていた。
 村長の倉庫は本気で収集が着かなくなっていたのである。
 年末の大掃除、というにはいささか倉庫の中はあまりに散らかりすぎていた。
 とりあえず、中の惨状を表現すると、『とりあえず目についたものを倉庫にえんえん放り込み、たまに中をさばくっては散らかしたままで放置し、さらにその上から又漠然と物を放り込む。それを数百年繰り返したらこんな感じになるのでは』という状況だ。
 そしてその表現は恐らく、ここで行われてきたことそのままなのだろう。
 まさしく混沌だ。
 無論底まで散らかっているとホコリも凄まじい。床の上には熱くホコリの層が重ねられ、足を持ち上げてみると靴の裏にしっかりとくっついていた。
 まるで雪だ。
 いや、まだ雪は解けるだけましかもしれない。
 ちなみに、何だか良く判らない品物の層は、入り口近くまで侵食していた。
 通路など、無い。
 元は棚に置かれていたであろう品物は軒並み通路に時下おきされ、さらにその上からどんどん品を載せていってあるのだ。
 奥から順繰りにそのようにしていけば、結果倉庫の奥になど立ち入る事も出来なくなるのだが‥‥
「ふはははは! コレが我が家が誇る先祖代々続く倉庫なのであ〜〜る!」
 主がこの人物では、そして、先祖代々からこんな性格(らしい)ではこうなるのも必然か。
「村長さん、ずいぶん前オーク退治に行ったりしました? 会ったことある? ジぃ〜(凝視)〜 私のこと知ってます?」
 と、過去の依頼を思い出すマルティナ・ジェルジンスク(ea1303)と、
「村長さん‥‥噂では幾度か聞いた事があるです‥‥粉砕なんとかとか持って暴れたり‥‥湖の主を捕まえたり‥‥かなり元気でキテルな方らしいです‥‥ちょっと逢うのが楽しみです」
 直前にそんなことを言っていた霧隠孤影(ea1010)も、ただただ唖然とするばかり。
 村長の正確は聞いていても、実際に作業を行う場が此処までヤバイとは想像していなかったのだろう。
「これは掃除しがいがありますね‥‥」
 何故かメイドの姿をした自称メイド忍者の大隈えれーな(ea2929)も、圧倒されたのか呆然としている。
 が、直ぐになにやら闘志を廻らせ始めた。
 メイド心に火がついたのだろう。
 同様に、
「こういう格好をしているんだから、お掃除くらいできなきゃですぅ〜☆」
 と、同じくメイド姿のチハル・オーゾネ(ea9037)も燃えていた。
 余談ながら、チハルはハーフエルフだが、この場でそんなことを気にするものは誰も居なかった。
 そんなことを気にしていられる場合では既になくなっているのだ。
「たのむから、来年は出した物はすぐ片付けて欲しいな」
 来生十四郎(ea5386)の意見は物凄くもっともだ。
 だが、先祖代々こんな有様の村長一族が反省するかと問われれば、答えは否のような気がひしひしと。
 とにかく、
「手早く終わらせて年越しの酒でも飲もう♪」
 との、ミケーラ・クイン(ea5619)の声にやる気を出したのか、冒険者達は魔境へと突入してゆくのだった。

 戦場は早くもこう着状態に陥りつつあった。
 いきなりだが、何しろ仕方が無い。
 この倉庫を整理するのは、まず棚と棚の間にある通路を通れるようにしなければいけない。
 そこがいきなりの強敵だ。
 何しろ、元々は棚に置けないようなものを直置きしていたのが始まりらしく、上のほうの小物などはいいのだが‥‥‥
「なんだコレ! 鉄で出来てるぞ!?」
「それはご先祖が退治したと伝えられているアイアンゴーレムの成れの果てなのであ〜〜る! 記念においてあるのであ〜〜〜る!」
「こんなものもてないよ〜!」
 といったものや。
「‥‥何コレ」
「‥‥岩ね」
「‥‥岩だな」
「それは13代前のご先祖の墓石なのであ〜〜〜る!」
「倉庫に置くな〜〜〜〜!」
 といったもの。さらには
「‥‥丸太・・・それもこんなに長い‥‥どうやってこの中に入れたの?」
「長さと太さ、あと収まってる位置を考えると、どうやって入れたのか説明がつかないわね」
「‥‥‥それは村長家の七不思議のひとつなのであ〜〜〜る」
「「「「なにぃ!?」」」」
 こんなものまで。とにかく重い、かさばる、(そもそも)動かせない。といったものがてんこ盛り。
 さらには
「ゴフッ! 凄いホコリ!」
「明かりは火じゃなくてライトの魔法で!」
「何で?」
「諸般の事情です」
「?」
 凄まじいホコリで視界が遮られたり、ホコリを吸い込まぬように各自で工夫したり‥‥
 そんなこんなであっという間に半日が過ぎてしまった。
 ちなみに、参加者の内でも非力な琴宮茜(ea2722)やシフールであるマルティナはおもに上のほうに積まれた軽い品を積極的に運んでいた。
 おかげで、とりあえず倉庫の中の物の内、表層や上層などに積まれたものの半数は外に運びさせていた。
 運び出された品は、丁寧にほこりを払い、必要なものと不必要なものにまとめて区別されている。
 まぁ、掃除の基本といえるだろう。
 もっとも、それをなした冒険者達はというと‥‥
「‥‥‥‥‥‥」
 半分どころか気力が10分の1まで低下したような表情だ。
 無理も無いといえばそうだが、なんとも痛々しい。
 だが、別段疲れているからというわけではない。
 彼らも一応冒険者だ。倉庫掃除でこんな有様では、そもそも冒険者などできはしないのだ。
 では一体何が原因か?
 黒い悪魔。
 Gのつく奴だ。フルネームは口に出すのもはばかられるアレだ。
 ある品モノを動かした際(それが何であるのか、村長ですらわからなかった)その下から出るわ出るわ。
 黒い悪魔が。群れで。大量に。
 悲鳴が上がるのを誰が止められるだろう。
 無論、彼らも冒険者だ。
 こんなことも十分予想して、対策もしていた。
 ミケーラや来生、大隈らは、G退治の必殺武器、Gパニッシャーまで準備していたのだ。
 だが、戦争とは無常であり、そして物理法則である。
 此処の戦力の差は大きいとしても8人対数百いや、数千匹では太刀打ちなど出来るわけが無い。
 無論冒険者達は勇敢に戦った。とりあえず、圧倒的な不利の戦況でもGを軒並み倉庫の中から追放する事に成功したのである。
 無論、被害も大きく‥‥‥服の中に潜り込まれたりとか、顔に引っ付かれたりなど、精神に大きな傷を負うことになった。
 ‥‥まぁ、それでも、仕事は仕事だ。
「あ〜〜〜、じゃ午後もがんばるのであ〜〜〜る」
 陣頭指揮する村長も流石に精神的疲労を見せつつ、冒険者達は再び戦場へと戻っていった。

 とはいえ、午後は午前ほどには苦労は無かった。
 通路さえある程度確保できれば、後は通常の整理整頓である。
 こうなると大隈らがもつ家事の技能が生きてくる。
 こうなれば後は楽なものだ。
 夕方前には一通り品物を外に出し整理し終わり、そして一通り収め終わると、冒険者達は改めて倉庫の中を見回した。
 そう、ある意味本番は此処からなのだから。

 ただ、村長の倉庫はやはりロクでもなかった。
 何か持って返っても良さそうなものと中を物色してみたのだが、とことん役に立たないものばかり。
 壊れた馬車の車輪や、何故かコレクションされている剣の『柄』。絵画かと思えば明らかに村長一族が適当に描いたものであったり、はては先先代村長の等身大彫像が微妙にマッチョなポーズをとっていたりもした。
 中にはダウジングなどを駆使してめぼしい物を見つけようとしたものも居たのだが‥‥結果は想像にお任せする。
 まぁ、ある意味珍品博物館とでも題しておけば見世物になるかもしれないが、実用に足るものは非常に数が少ない。
 その後、冒険者達は村長の招きに応じる事にした。
 せめてもの感謝の気持ちにと、宴席を用意してもらったのである。

 そして‥‥ミケーラが主に用意した酒や、メイドさん達が用意した食事、踊り子に扮したアルテリアの踊りなど、年末の楽しげな時間が過ぎて、それぞれ、新たな一年を待ちわびるのであった。