神秘の図形は大迷惑
 |
■ショートシナリオ
担当:まひるしんや
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月21日〜06月26日
リプレイ公開日:2004年06月24日
|
●オープニング
草木も眠る丑三つ時、は異国の表現。
もっともまさしくその時間帯、キャメロットからほど近い麦畑で動く影があった。
「ケケケ! これってアート! アートなのさ! げいじゅつって奴を極めるのは難しいねぇ。ケケケケ!」
「そうさ、兄弟! おいら達は麦畑芸術のせんくしゃってやつなのさ! ウケケケケ!」
背中にコウモリの羽を生やし、先のとがった尾を持つ小悪魔のインプ。それが何匹も群れ、広大の麦畑の一角を並んで歩いている。
「よっし、ここで一周ぐるりと回転だ!」
「ひょっほー!」
インプ達の後ろには、無残に踏み倒された麦の穂が延々と続き、奇怪な模様を作っている。
円形あり、直線ありのその図形は、何か意味があるような不思議な印象を与える。が、作り手がこんな輩ではその形に意味は無いのだろう。
「ウケケ! これで出来上がりだ! 次は何処の畑につくるかな?」
「あっちの畑なんていいんじゃないか? ケケェ!」
いびつな円形模様を残したインプ達は、更なるイタズラを仕掛けようと、夜の闇に舞った。
そして舞台は変わり、ココは冒険者ギルド。
「最近近くの村の畑が荒らされているらしいんだ。お前さん達、ちょいと行って調べてきてくれないか?」
冒険者達に持ちかけられた依頼は、次のようなものだ。
キャメロットから数日ほど離れたある農村。
此処には、広々とした麦畑が広がって居るのだが、最近夜中に畑を荒らす者たちが居るらしい。
朝になって村人が畑に向かうと、そこには奇妙な図形の形に踏み倒された麦の姿、といった事が幾日も続いている。
踏み荒らされた麦は穂さえ踏みにじられて収穫できなくなっており、これ以上被害が広がれば麦の収穫量にも少なからず影響がでてしまうだろう。
「そこで、お前さん達の出番って訳だ。調べるだけじゃなく、そんな事を仕出かしてる奴にお灸も据えてやってくれ。じゃ、よろしく頼む」
こうして、冒険者は真夜中のイタズラ者退治に出かけるのだった。
●リプレイ本文
●丘の上から
村にたどり着いた冒険者達は、村を一望できうる小高い丘の上に集まっていた。
眼下に広がるのは本来ならば穏やかで平穏な田園風景。
だが、今はそこに大きな違和感がある。
大きく広がる無数の麦畑、そこに奇妙な模様がいくつも刻み付けられている。
円や直線といった単純な形の組み合わせ。
ギルドで聞いたイタズラの爪あとに間違いない。
「酷いな」
ポツリと言葉すくなに呟いたのは、フランク王国出身のナイト、ウォルフガング・シュナイダー(ea0433)だった。
話に聞いて想像したよりも、被害が広範囲に及んでいる事に驚いているのだろう。
元々口数は少なく、必要なことしか述べない人物なのだが、この有様には一言言わずには居られなかったらしい。
「こういうイタズラは嫌いじゃねぇんだけどな、程度ってのがあるからな。食べれなくするのは度が過ぎてんだろ?」
やや冗談めかしているが、神聖騎士であるシーヴァス・ラーン(ea0453)も同じ気持ちのようだ。
無事な畑は数えるほどしかないという現状に不快感を隠せずに居る。
「村人のみなさんが汗水流して作った作物を台無しにするなんて、いけないことです〜。捕まえて、謝ってもらいましょう〜」
エルフのウィザード、ユリアル・カートライト(ea1249)は、ややおっとりとマイペース気味。だがそれでも意気込みは先の二人と変わらない。
植物と会話さえ出来る人物だけに、踏みにじられた麦を捨てては置けないのかもしれない。
「こんな事をする不届き者には罰も必要よね。悪戯がなくなるよう、尽力させていただくわ」
そして、黒の戒律を信ずるクレリック、アンジェリカ・シュエット(ea3668)の言葉に一同頷くと、この事件を引き起こした者を懲らしめる為、行動を開始するのだった。
●それぞれの聞き込み
早速とばかり、ウォルフガングとシーヴァス、はこの村の村長の下へ赴いていた。
それは無論、被害の状態、狙われた畑、規模等に関して、直接村人から話を聞く為。
当然村長は喜んで協力を約束、二人は畑の持ち主の一人一人から、詳しい話を聞いてゆく。
そして、得られた情報を地図に細かくまとめる。
すると、興味深い事実がわかってきた。
どうやら、イタズラの犯人は標的とする畑を、村を中心として左回りに選んでいるということだ。
となると、次の標的は最も新しく被害のあった畑の近辺と推測できる。
ウォルフガングとシーヴァスはさらに詳しい場所を予測しようと、地図を見つめ続けた。
同じ頃、もっとも最後に被害を受けた畑では、ユリアルとイスパニア出資のエルフウィザード、アルメリア・バルディア(ea1757)そして同じくエルフのウィザード、ラルフ・クイーンズベリー(ea3140)が調査を続けていた。
倒れた麦に対し、ユリアルがグリーンワードで情報を聞き出しているのだ。
夜中で人の目はなくとも、実際に踏まれた当事者である麦たちは事の顛末の全てを知っているのだ。
これ以上ない情報源だろう。
だが、問題は植物である麦そのものにある。
「昨夜麦さんを踏んだのはどんな相手でしたか?」
「足」
こういう微妙な答えが返ってくるのだ。
確かに間違いではないのだが、脱力感を禁じえないのは仕方の無いところだろう。
「その足の持ち主の特徴を聞いてみてください」
それでも、このまま呆然としているわけにはいかない。
ラルフの声に促され、ユリアルは質問を続ける。
「その足の持ち主は、どんな風体でしたか?」
「角」
「他に特徴はありましたか?」
「尾」
「他は?」
「羽」
「その体の大きさは?」
「同じくらい」
「それは何処から来ましたか?」
「空」
我慢して質問を続ける内に、次第に犯人の姿が明らかになってゆく。
「角と尻尾が生えていると言うと、オーガでしょうか?」
「麦と同じくらいの大きさで、羽が在り空からやってくるオーガ? 何か心当たりはありますか?」
「こんなイタズラをする羽の生えたオーガというと、インプが一番それらしい気がしますね」
そして得られた情報から、モンスターに対する知識の豊富なアルメリアを中心にしてその正体の予測を立ててゆく。
かくして得られた麦から得られた情報、そして村人からの情報。
必要な情報が揃い、冒険者たちは対策を立て始めた。
●真夜中へ向けて、それぞれの準備
必要な情報が集まっていると作戦を立てるのに、さほど時間がかからない。
行うべきことは直ぐに判ろうと言う物。となると、必要になるのは立てた作戦の準備である。
冒険者たちはそれぞれ、村人たちの協力を得ながら、準備を進めていく。
ジャパンから来た忍者、双海涼(ea0850)はウォルフガング、シーヴァス、アルメリアらと共に、何か作り始めていた。
標的は空を飛ぶような相手。となると、その動きを封じなければ、簡単に逃げられてしまうだろう。
その為、ロープを適当な長さに切り、転がっている石を両端に結びつけた投擲道具をいくつも作り上げる。
それはボーラと呼ばれる狩猟の道具だった。コレを投げつけると、石を結わえ付けられた紐が目標の手足に(今回は羽にも)絡みつき、動きを取れなくすることが出来る。
まさしく、今回の作戦には無くてはならない道具だろう。
別な意味でこの時間を有用に活用しているのは、エルフのウィザード、アルカード・ガイスト(ea1135)とアンジェリカの二人。
「夜通しの仕事になるかもしれませんから」
村人達に寝所の用意を頼むと、夜の襲撃に備え眠りについていた。
そう、いつ来るとも判らぬ相手を待つのは体力が必要。
それを二人は十分に理解していたのだ。
そして時は過ぎてゆき夜も更けた頃、冒険者は夜の闇に沈む麦畑へと赴いていった。
●捕獲は星明りの下で
夜半過ぎ、星明りの下の麦畑は、静寂に包まれていた。
畑の所々には、イタズラ対策のカンテラが吊るされているが、油が切れたのかすでに光は無い。
時折風が穂を揺らす以外は、時が止まったかのような静かな空間。
だが、微かな物音が、その静寂を少しづつ破りはじめていた。
夜空に浮かぶいくつもの影。それらは畑の中心ほどに降り立つと、奇声を発しながら麦の穂を踏みつけ始めた。
『ひょほ! 無駄なことするねぇ! この畑にはこんな物が吊るしてあるぜ! 俺たちがこんなの気にするわけが無いのにな!』
『そうだぜアニキ! 俺たちのげ〜じゅつを理解できないなんて、程度の低い奴だぜ!ウケケケケケ!』
調子に乗っているのは、アルメリアが予測したとおり、下級の魔物のインプ達。
今宵も新たな模様を作ろうと、歩を進めて行く。
だが、その命運はすでに尽きていた。
空を物音立てずに飛んでいる梟の影に、昼間でも判別つかないほどに麦畑と一体化した7つの気配に、一切気付かなかったのだから。
次の瞬間。
「そこまでだ!」
誰かの叫び声と同時に、双海が念入りに施したカモフラージュを捨て、冒険者たちが一斉に立ち上がり、四方八方からインプ達めがけボーラが投げつけた。
驚くインプ達。慌てて空へと飛び立とうとするが、5匹中2匹はあっさりと全身をボーラに絡みとられ地面に無様に転がる。
だが、それはまだましな運命といえた。
上空に羽ばたこうとしたインプ達を襲ったのは、火球の爆発と重力波動、そして真空の刃と凄まじい突風。
炎で焼かれ、重力に打ちのめされ、突風でバランスを崩され、身体を切り刻まれたインプは次々と地面に落下する。
だが、最後1匹は、運が良かったのかそれらも切り抜け、さらに上空へ逃れようと必死に羽ばたく。
しかし、それも上空で梟となっていたアンジェリカに牽制されるまでの話だ。
勢いよく滑空してきたアンジェリカを、インプが避けようと身をよじる。その空中での体勢の乱れが、インプを無防備にする。
そこへ再び火球の爆発が襲い掛かり、最後のインプを地面へと叩きつけた。
「次は直撃させます」
周囲を取り囲んだ冒険者たちと、アルカードの言葉に、インプ達は己の敗北を悟ったのだった。
●インプを一体どうしよう?
次の朝、冒険者たちはロープで縛られた5匹のインプを前にして頭を悩ましていた。
捕獲したこのインプの処遇。
はじめ、今回のイタズラでもっとも被害にあった村人達に尋ねた所、逆に冒険者たちに一任するとの答えが返ってきたのである。
少なくとも、二度とこんな事が起きさえしなければ、インプの処遇などどうでも良く、インプのようなデビルと係わり合いなど持ちたくないというのが本音なのだろう。
となると、逆に困るのは冒険者たちだ。
インプの処遇については仲間の内でも意見が分かれていて、容易に決着が付きそうも無い。
とはいえ、このまま放置するのでは、捕まえた意味がなくなってしまう。
であるなら、どうすれば良いのか。
首をひねる冒険者達。
この後、冒険者たちは悩んだ末、この場での処置を諦め、冒険者ギルドにインプの処遇を委ねる事とするのだった。