ハリボテゴブリンを倒せ!

■ショートシナリオ


担当:まひるしんや

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月26日〜07月01日

リプレイ公開日:2004年06月30日

●オープニング

 最近、キャメロット近くの森を抜ける街道に、奇妙な怪物が姿を現すらしい。
 夕刻以降辺りが薄暗くなると、突如として旅人を遮るように現れる。
 身の丈は3mほど。全身木の葉を纏ったような姿をしていて、なにやら奇怪な鳴き声でわめくとの事。
 その恐ろしげな姿は恐怖を誘うのに十分で、旅人や隊商は思わず硬直してしまう。
そして、次いで現れるゴブリンに、硬直した旅人は身ぐるみをはがされているというのだ。。
 どうもこの怪物、ゴブリンと一緒に行動している様子。
 既に被害をうけた旅人は10組以上。これはもう放置できるものではない。
 そこで、冒険者たちの出番となる。
 早急にこの街道へ出向き、この怪しげな姿をした怪物とゴブリンを倒して、平和な街道を取り戻さなければいけない。
 早速出かけようとする冒険者達。
 その背に、ギルドの親父はこんな声を掛けてきた。

「そう言えばその怪物は、直接旅人に襲い掛かったって話は聞かないな。もしかして動きたくても動けないのかも知れんな」

「どういうことだ?」

「何、姿だけじゃ中身は判らないって事さ。ま、がんばってきな」

 親父の言葉の意味を考えながら、冒険者達は問題の街道に向かうのだった。

●今回の参加者

 ea0123 ライラック・ラウドラーク(33歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea0294 ヴィグ・カノス(30歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea1000 蔵王 美影(21歳・♂・忍者・パラ・ジャパン)
 ea1115 ラスター・トゥーゲント(23歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea2698 ラディス・レイオール(25歳・♂・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea3098 御山 閃夏(31歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3198 リーン・エファエイム(24歳・♂・レンジャー・エルフ・フランク王国)
 ea3894 ライン・ディアリィズ(27歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●登場、ハリボテゴブリン
 キャメロットから程近い森。
 その真中を突き抜ける街道は、昨今怪しげな怪物が現れると評判である。
 コレまで幾組もの旅人がこの魔物と、それに従うゴブリンたちに襲われ、多量の金品や荷などを奪われてきた。
 そのため、この数日はこの街道を通るものも居なくなり、閑散とした空気が流れている。
 だが、しかし、今この瞬間。
「今日も元気〜オイラはラスター〜いつも頑張る元気ッ子〜♪」
 元気な歌と共にその静寂は破られようとしていた。
 問題の街道を進む数人の旅人。
 魔物の噂を知らぬのか、平然と街道を歩いている。
 と、その時。街道そばの茂みが突如大きく揺れると、そこから全身を木の葉に覆われたかのような不気味な怪物がゆっくりと姿を現した。
 噂にたがわぬその巨体は、ジャイアントをもしのぐ3メートル程。
「ゴ、ゴゲゲゴブゴブ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
 形容しがたい奇妙な鳴き声は森の奥まで響き渡り、不可解さを一層際立たせる。
 さらに、同時に現れた数体のゴブリンが武器を揺らし旅人たちを威嚇する。
「のわ! なんじゃ〜!」
 怯えたかの様に足を止めた旅人たち。
 その様子に、ゴブリン達がほくそえむ。
『ケケ! こいつらもビビッってるゴブ! やっぱり効果満点ゴブ!』
『この作戦は大成功ゴブ! ちょっと最近獲物が少なくなって来たゴブけど、もう少し続けるゴブ!』
『あ、急ぐゴブ! 一番下の奴、腕がプルプルしてるゴブ! 早くしないと崩れるゴブ!』
『それは大変ゴブ! 急ぐゴブ!』
 なにやらひとしきり話し合うと、旅人たちに向かいにじり寄るゴブリン達。
 だが、それがこのゴブリン達にとって最後の幸せな時間だったのである。

●対抗、ハリボテの騎士
 旅人たちの先頭に立つのは、先ほどの元気な歌の張本人、まだ11歳のレンジャー、ラスター・トゥーゲント(ea1115)。
 彼は先ほどから続けるオーバーアクションで、怪物とゴブリン達の注意を引き続けていた。
 その隣に立つ同じくレンジャーのリーン・エファエイム(ea3198)も、別のゴブリンの奇襲に注意を払いながら、大げさな仕草で驚きをアピール。
 背後では、怪物に対抗する手段を仲間達が準備し、また別の仲間達はある目的の為じわじわ森へと近づいている。此処で意図を明らかにするわけには行かない。
「僕は戦う依頼はこれが初めてなんですよね‥‥頑張らないと‥‥っ」
 意気込みと共にあと少しで完成する準備を待つ。
 そう、彼らは冒険者。この街道に現れる怪物とやらを退治するためここにやってきたのだ。
 そして、準備は整った。
 ゴブリン達が冒険者へあと10歩ほどに詰め寄ったその時、人の壁の背後でそれは立ち上がったのだ。
『あ、あれはなんだゴブ!!』
『で、でっかいゴブ〜〜!!』
『なんか、鼻息荒いゴブよ!?』
 驚き慌てふためくゴブリン達。
 そう、それは大きかった。
 高さは3メートル半、横は1メートル半程。ゴブリンが引き連れた怪物よりも、さらに大きい。
 その全身は蔦のようなもので覆われ、気の所為か荒い鼻息のような息遣いまで聞こえてくる。
 さらに、ゴブリンの引き連れてきた怪物とは違い、ズイズイと少しずつ前に歩み寄ってくる。
 コレには問題の怪物も動揺したのか、大きな身体をブルブル震わせジリジリとあとずさる。
 その隙を冒険者たちは見逃さなかった。
 冒険者たちの引き連れた『それ』‥‥馬(鼻息の原因)に騎乗した上で毛布に蔦などで装飾を施したハリボテをかぶったエルフのナイト、ライン・ディアリィズ(ea3894)が突撃を敢行。
 さらにそのハリボテの作成と準備を手伝ったエルフのウィザード、ラディス・レイオール(ea2698)と、
「もったいないけどっ!」
 ラスターがそれぞれ氷の戦輪と弓矢で怪物を狙い、放つ!
 怪物に迫る3つの攻撃。
 そこで、ゴブリン達の怪物は限界を迎えたのだ。
『『『『『ゴブ〜〜〜〜!!』』』』』
 怪物の中から複数のゴブリンの声が響くと同時に、その姿が歪み、一気に崩れ落ちる。
 後に残るのは、木の葉と木の枝で作られたハリボテと、その中でもがくゴブリン達。
 そう、街道の怪物は、ゴブリンが中身のハリボテだったのである。

●結局、ゴブリン退治
「どうりでモンスターの知識を総動員しても判らなかったはずです」
 驚くように言うリーン。だが、その他の冒険者たちは、一様に
(「ああ、やっぱり」)
 といった表情を浮かべている。
 皆、ギルドの親父が話していた言葉、そして襲われたと言う旅人たちから事前に話しを聞き、ある程度の予測を立てていたのである。
 それゆえ、ハリボテの騎士なる対抗手段さえ用意できたのだ。
 此処に来て、ようやく不利を悟り逃げようと後ろを向くゴブリン達。
 だがその背後には、
『ゴ、ゴブ!?』
「昔の人は言ったもんよ、眼には眼を、歯には歯を、巨体には巨体を‥‥ってなー。でも、あたし達はゴブリンと同じような考えしてたのかよ!! ‥‥プチショック」
「人を恐怖させるモノの条件は、言葉を喋ってはならず、正体不明でなければいけなくて、不死身でなければ意味がない! ましてやこんなものが正体であるなど、まったく意味が無い!」
「動きたくても動けないかもしれない、か。意味深だろうな‥‥と、思ったが、そうでもなかったようだな」
「素早さ上げてたせいで、上手く回りこめたよ」
 素早く森の中を通ってまわりこんだファイターのライラック・ラウドラーク(ea0123)、レンジャーのヴィグ・カノス(ea0294)、パラの忍者、蔵王美影(ea1000)、ジャパンの浪人の御山閃夏(ea3098)の四人が目を光らせていたのである。
 この四人は、ライン達がハリボテでゴブリンの注意を引き付けている間に、密かに森を通りハリボテゴブリンの背後へとやってきていたのだ。
 進退窮まったゴブリン達。
 前にはライン、ラディス等4人、背後にもライラック等4人。
 もはや逃げようにも逃げられない。
 だが、ゴブリン達は頭が悪く、往生際も悪かった。
『ゴブ、よく見たら、数は同じゴブ!』
『そうだゴブ!戦って勝てば良いゴブ!』
 そう開き直ると、一斉に冒険者たちへ襲い掛かったのだ。
 だが、コレは余りにも無謀。
 例えば、ライラックに向かって入ったゴブリンは、素早いサイドステップをふむ彼女に触れる事さえかなわず、強力な一撃を肩口に受けたかと思った次の瞬間には、投げ技で地面に叩きつけられている。
 同様に、御山に向かった者は、攻撃をあっさりと受け止められると、ジャパン特有の刀で瞬時に切り捨てられる。
 それでも、接近できたのはそれでもまだ良いほうだ。
 ヴィグに向かったゴブリンは近づくまでに蜂の巣にされたし、ラスターやリーン、ラディス達も弓や魔法などで応戦している。
 結局、暫く後にその場に生き残ったゴブリンは、蔵王に気絶させられた1匹だけとなっていたのだった。

●奪還、旅人の荷物
『ゴブ?』
 たった一匹残ったゴブリン。その意識が戻ったのは、それから暫く後の事だ。
 気がつくと、冒険者たちは去っていったのか、その場にいない。
『た、助かったゴブ!』
 辺りには、仲間のゴブリン達の遺骸が捨て置かれており、このゴブリンもその中に混ざって倒れていた。おそらく、冒険者たちは自分も死んだものと判断していたのだろう。
『運が良かったゴブ! ついてるゴブ!』
 ひとしきり喜ぶゴブリン。そして周囲の仲間の遺骸には目もくれず森の中へと入っていく。
『仲間はまた集まるゴブ! とにかく巣に帰れば大丈夫ゴブ!』
 同朋意識というものにかけているのだろう。流石はオーガの一種というべきか。
 それはともかく、やや薄暗い森の中を早足で進むゴブリン。
 すると、目の前に洞窟の入り口らしき穴が見えてくる。
『無事に帰れたゴブ〜!』
 洞窟に入り安堵の息のゴブリン。だが次の瞬間、甘い香を感じると同時にその意識は深い闇の中へと落ち、二度と戻る事はなかった。

「此処がゴブリン達の巣みたいだな」
「春花の術ちゃんと効いたみたいだね」
 眠りについたゴブリンを足元に、冒険者達はゴブリンの巣穴に立っていた。
 冒険者たちは、当初からゴブリンの内の数匹を逃がして、その巣穴を探ろうとしていたのだ。
 隠密に優れたものが多い分追跡は簡単、意図どおりに巣穴を見つけば、蔵王の春花の術で残ったゴブリンを眠らせることが出来る。
 そしてその作戦は見事に成功していた。
 この巣穴に住んでいたのは先ほど戦ったゴブリンが全てのようで、此処にゴブリンが寝ている以上これ以上戦う必要はなさそう。
 とはいえ、この巣穴の中には、多くの旅人たちから奪われた荷物や金品などが貯蔵されていたのだ。
 これ以上無い成果といえるだろう。
「これはギルドを通じて持ち主に返した方が良いだろうな。追加報酬が少なくとももらえるはずだ」
 その意見に異論のあろうはずもなく、冒険者たちは奪還した多数の荷物と共に、キャメロットへと帰還するのだった。