村長奮戦記 〜オーク編〜
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■ショートシナリオ
担当:まひるしんや
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月03日〜07月08日
リプレイ公開日:2004年07月12日
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●オープニング
根拠の無い自信ほど怖いものは無い。
そういった人物は、自分の技量も実力も省みず、進んで無謀なマネばかりするのだ。
本人はそれで良いかもしれないが、周囲の人々は巻き込まれて非常に苦労する。
まったく持って厄介な話だ。
そして、その良い例が、キャメロットから2日ほどのこの村にいた。
「だ〜いじょうぶ! まっかせなさ〜〜い!」
そう言い放ったのはこの村の村長。
何を思っているのか、普段からマスカレード(目の部分につけるマスク)を身につける変人で、普段から周囲を騒がすことの多い人物だ。
その人物が、なにやら細身の棍棒を持って息巻いている。
「オークなど、このワタシの手にかかれば朝飯前のオヤツ同然なのである!」
「馬鹿な事言わないで下さい! そんな事言って、返り討ちにあったらどうするんですかっ!」
必死に押し留めようとする村人たち。
ただこの村長、怪しげな外見に反して腕力があるのか、ズルズルと引きずられる有様。
そして、
「ふはははは! 裏山に住み着いたオークはこのワタシが退治してきて見せるぞ、待っているが良い!」
村人を見事に振り払った村長は、制止の声を後にして、一人走り去った。
そんなことが起きる2日前。
「あ〜なんだ、お前さん達。急ぎの仕事を頼まれてくれんか?」
冒険者ギルドの親父が切り出していたのは、次のような話だ。
何でも、キャメロットから程近い村の村長が、たった一人で村の近くに住み着いたオーク退治に出かけてしまいそうとの事。
一応、それなりに腕の覚えはあるらしいが、オークは3〜4匹いる様なので多勢に無勢。
恐らく返り討ちにあうか、捕まえられてしまうだろう。
そこで、この村長の護衛を頼みたいというのだ。
「オークはゴブリンより強いが、お前さん達とその村長と一緒に戦えば負けることは無いだろうさ。ただ、急いで行ってきてくれよ? その村長、気が短いからな。もしかすると、もう一人で飛び出して行ってるかも知れんからな」
親父の心配は的を得ていたのである。
そんなわけで護衛を請け負った冒険者達は、たどり着いた村で村長と入れ違いになった事を知らされるのだった。
●リプレイ本文
●村長、その人となり
村長、センバー・バードヘッド。
村長と聞いて思い浮かべる像に反して年齢は20代とまだ若い。
性格は無謀にして根拠の無い自信の持ち主。つい先日まで冒険者(ファイター)だったらしいが、前村長の急死により故郷に帰り村長を引き継いだとの事。
目の周りだけを覆うマスカレードと細身の棍棒を冒険者時代から愛用し、つねに『強敵』を求めている。
意外な事に絵画に造詣が深いが、やや偏った好みのため一般受けするとは言いがたいものがある。
等等、村にたどり着いた冒険者達に語られる村長の人となりは、まさしく変人の名にふさわしいものだった。
「絵が得意なのか〜。村長の肖像画を書きながら足止めするのは、いいアイディアだったかも。でも、本人がいないんじゃぁ」
シフールのクレリック、ハーモニー・フォレストロード(ea0382)は思い描いていた村長の足止め策が空振りに終わった事を知り、ため息をついた。
後半日早ければまだ村長も村に居たはずで、その策もうまくいっていたかもしれないが、冒険者達がこの村にたどり着いたのは、村長が飛び出して数刻経った後。
残念ながら諦めるより他無いだろう。
「村長、無事で居てくれよ」
「‥‥最大の難敵は、オークよりも村長様かも知れません」
ルーラス・エルミナス(ea0282)の声と苦笑を浮かべるリオーレ・アズィーズ(ea0980)の声、どちらが冒険者たちの印象だったろうか?
てもかく、冒険者たちは村人からの情報を聞くが早いか、足早に村長の向かった山へと足を向けるのだった。
その頃件の村長は、
「むぅっ! そこか!」
戦っていた。
ただし、オークとではなく野生の獣と。
素早い動きで村長を翻弄するその獣は、ライバルとして幾度も戦いを繰り広げた相手でもある。
今も茂みから茂みへと姿を隠しながら、時折強烈な蹴りを放ってくる。
「ふはははは! ま〜かせて!」
誰に向けたともわからぬ村長の叫び。
当初の目的をすっかり忘れた村長はその『ライバル』との戦いに全力を注ぐのだった。
●アクション巨編
木々に覆われた裏山を冒険者たちは、はやる気持ちを抑え慎重に進んでいた。
彼等の進んでいるのは、普通の山道ではなく細い獣道。
村人より教えられたオークの住処への最短距離を、道なき道を進みながら突っ切っているのだ。
先導するのは、
「おいこっちだぜ」
この獣道を見つけたクレリック、イルダーナフ・ビューコック(ea3579)と、
「先手をとって闘う為には斥候も必要かと」
ジャパンの志士、栗花落永萌(ea4200)。共に鋭敏な視覚をもち、イルダーナフは猟師と森の知識を、栗花落は鋭い聴覚を持ち合わせている。
そのため、獣道を慎重に進んでいてもその足取りはスムーズだ。
村長を見つけて合流するか、彼よりも早くオークの巣穴にたどり着き、オークを倒すか、どちらにせよスピードが要求される場面である。
そしてこのショートカットが冒険者たちに幸運をもたらす。
それは、獣道を進み始めて数刻経ったころの事。
「!?」
周囲を慎重に警戒しつつクロノ・ストール(ea2634)が、不意に何かを感じとったのだ。
それは殺気、もしくは闘志とも言うべき何か。
同時に、森の中を高速で何かが近づいてくる。
そして、ザツと茂みが揺れたかと思うと、
「ちぃ!」
片手に細身の棍棒をもった仮面の人物が飛び出してきたのだ。
「いやはや‥‥人間と言うものは凄いな‥‥あれが長の格好なのか」
マナウス・ドラッケン(ea0021)の感想は天然ボケの入った微妙なものだが、凄い格好なのは確か。
しかし、村長は冒険者に目もくれず、茂みを睨み続けている。
そして
「む、フェイントか!」
いつの間にか背後に回った小さな影に不意打ちを受けると、そのまま取っ組み合いへとなだれ込む。
余りの光景に呆然とする冒険者達。
「あ、アクション巨編‥‥」
そう呟いたのは誰だったろう?
ともあれ、それから暫くの後、
「ひ〜きわけ!」
何気にズタボロにされた村長と、背中を向け去っていくライバル(全身古傷だらけの兎)という微妙な光景をへて、村長と冒険者たちは邂逅するのだった。
●準備は大切に。もしくは、『リオーレのもんすたー講座:オーク編』
「道わからないから、ついて行っても‥‥いいですか?邪魔しませんから」
「よい絵を描くために村長さんの勇姿を間近に見たいです」
「だ〜いじょうぶ、ま〜かせて!」
というマルティナ・ジェルジンスク(ea1303)とハーモニー達との村長の会話を経て、村長は無事冒険者たちと合流していた。
先ほどのライバルとの戦闘で村長は幾分傷を受けていたようだが、一応ポーション程度は持ち歩いていたようで、しっかり回復していた。
その様子に、イルダーナフがやや残念そうな顔を浮かべていたのは、傷を癒して村長からその代金を受け取ろうとしていた所為だろう。
中々世の中はうまくいかないものである。そもそも、村長も裏山に行くのに財布など持ってきていないので、仮に傷を癒してもうまくはいかなかったのだが。
ちなみにその村長は、マルティナにせがまれて自慢話を延々と繰り広げている。
先程まではクロノから護衛に来た経緯を説明され、一緒にオーク退治する旨を伝えられていた。
一時は、
「一人で大丈夫である!」
とごねていたのだが、
「粉さ‥‥おっと、棍棒もいいですけど、たまには別の武器も振り回してみませんかー? 魔法の武器ですよ、キラキラしてますよー」
というリオーレの誘い等で心変わりしたらしい。
そしてそれ以外の者たちは今、モンスター知識をもつリオーレの話しに聞き入っていた。
「オークはゴブリン同様オーガの一種ですが、ゴブリンよりも体格が良い為一撃が重く、強敵です。ゴブリン退治よりも慎重に行動してくださいね?」
人に物を教えるのが得意な所為か、その説明はわかりやすい。
おかげで、他のメンバーもオークがどんな相手かすんなり飲み込めている。
一方、マナウスは釣具などを元になにやら工作をしていた。
どうやら簡易的なワイヤートラップを作っているようである。
非力なエルフのファイターである分、戦法に頭を使っているのだろう。
そんな調子で森の中の道なき道を行く冒険者達。
いつしかオークの巣穴は目の前となっていた。
●粉砕、粉砕、粉砕!
そして此処はオークの巣穴。
大きな肥満体にブタかいのししの顔を乗せたオークが数匹、ごろごろと惰眠を貪っている。
今は昼寝の時間らしい。凶悪な顔を間抜けに緩め、涎をたらしながら転がるその姿。
その上を何かが通る気配。
『なんだオ〜ク?』
気になったのか、怠惰そうに目を開ける。
するとそこには、
「こんにちは、今日はよろしくおねがいします」
何故か丁寧に挨拶をするシフールの姿。
訳もわからず半口開きのオーク。そのままフヨフヨと外へ飛んでいく姿を呆然と見つめる。
ややあって
『あ、朝飯オ〜ク!』
言葉の内容を理解していないのか食欲しかないのか、薄汚れた槌矛を手にシフールの後を追う。
そして外に出た途端、
『お、オク!?』
つんのめった。
無様に倒れこむオーク。後続も勢いが止まらず、次々と突っ込み転んで行く。
巣穴の出口に仕掛けたマナウスの罠が功を奏したようだ。
肥満体の所為か、もみくちゃになっている所為か、中々起き上がれないオークたち。
無論この隙を見逃す冒険者などいない。
「すまない‥‥女性に危険な役目を任せる事になるとは‥‥」
クロノが囮を買って出たマルティナに声をかけながら前に出れば、リオーネから、クリスタルソードを受け取ったルーラスが、勢い良くチャージングで突撃する。
遠距離攻撃が得意なメンバーも負けてはいない。
「リオーレさん、向こうに向かってグラビティーキャノン発射お願いします」
リオーネが起き上がろうとするオークを再びグラビティーキャノンで転倒させれば、栗花落は氷の戦輪を投げつけ、マナウスが正確なナイフ投げを披露する。
だが、オークも体格が良いだけに中々しぶとい。
だが、長期戦は二人のクレリック、ハーモニーとイルダーナフがいる冒険者たちの方が圧倒的に有利だ。
オークの振るう槌矛が仮に当っても、すぐさま治療の魔法がその傷を癒していく。
そして、やはり村長は村長だった。
細い棍棒だと思っていたもの、コレは実は使い古されて判別しにくかったが、メタルロッドだったらしい。
その重さを生かし、ブンブンと重い一撃を繰り出す村長。どうやらコナン流の戦士だった様子。
その一撃に触れた武器は次々と粉々になり、オークの戦力を次々に奪ってゆく。
「村長さん、ほら、下々の者にも活躍の機会を与えてあげるのが、英雄の貫禄ってモノだよ♪」
村長を少しでも後ろに下がらせて安全を確保させようとするハーモニーの声も、まったく聞いていない様子である。
そして
「直線的、かつ粗暴な攻撃‥美しくないっ」
「これで止めだ、チャージング!」
クロノとルーラス連携で最後の一匹が血の海に沈むと、辺りには静寂が戻るのだった。
「ふははは! オークなど物の数ではないのであ〜る!」
だが、これでよかったのだろうか?
なんだか村長、また無闇に自信をつけているようだ。確かにそれなりの戦闘力は持ち合わせているようだが、圧倒的というほどではない。
「村長殿、村長たる者村民の声に真摯に耳を傾けなければ良い村長とは言えない、今後は自重していただきたい」
だが、クロノの声も多分届いていないだろう。人のはなしを聞くタイプなら、はじめからここまで苦労はしない。
(「依頼は成功したのに、達成感よりも微妙な疲労感の方が強いのはどうしてだろう?」)
何故かそんな言葉が頭によぎる冒険者達。
そのバックで、未だ勝ち誇る村長に、冒険者たちは頭を抱えるのであった