Ｗカップチームセレ（ＶＳウィエ）
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■ショートシナリオ担当：マレーア１ 対応レベル：フリーｌｖ 難易度：易しい 成功報酬：5 参加人数：8人 サポート参加人数：-人 冒険期間：11月22日〜11月26日 リプレイ公開日：2006年11月28日 |
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●オープニング
●予選最終戦「各地の収穫祭も終わりようやく終わりましてウィルカップも再開できます」
スタジアムを埋める人が集まらねば、出場する選手の士気に関わる。自分の領地に戻っていた領主たちも収穫祭を終えたことで観戦のためにウィルに来ることができる。その状態になるまで試合はできなかった。それ以外にも、主催者の中で重要な位置にあるロッド・グロウリングがある密命を受けて自分の領地の収穫祭はもちろん、首都ウィルにもいられなかったこともある。
「主催者がこういうことを言うのもなんだが」
エーロン王子が口を開いた。
「チームフォロが決勝トーナメントに行けるかどうかですか？」
ロッド・グロウリングが、エーロン王子の心情を察して口に出す。
「まぁ」
「チームセクテがチームリグに勝ち、チームフォロがチームササンに勝てば」
選手の成長と作戦次第では試合は分からない。あながち無理というわけではない。特に冒険者が依頼を受けなければ、本国から不慣れな鎧騎士が呼び寄せられる。サッカーの動きを実際に試合でやったことがない者が相手なら、苦戦はしても勝てる可能性は高い。
「チームが不名誉な行為を行ってしまえば、決勝進出はできませんから」
これは今まで表に出ることのなかったジャッジの頭（審判長）ウィリー卿が発言した。もちろん、試合に関する行為に限られる。試合外において試合に関係しないことなら影響しない。
第三戦の次の日程で行うことが決まった。Ｂリーグの試合順位を入れ換えることになった。
Ａリーグ
第５試合フォロＶＳササン １１／１７−１１／２０
第６試合リグＶＳセクテ １１／２７−１１／３０
Ｂリーグ
第５試合セレＶＳウィエ １１／２２−１１／２５
第６試合トルクＶＳイムン １２／２−１２／５
「そういえば前回の件ですが」
「チーム兼務のことか。なんら問題ない。多くの試合に出れば、それだけ試合も高度になる。観客も楽しめる。もちろん、チーム内で受けいれるかどうかは、チームの問題だ」
●チームセレ
前回は冒険者が集まらずに、本国からサッカートーシローの鎧騎士を投入して試合は成立させた。しかし、ゴーレム操縦そのものならともかく、サッカーの動きを習得していない鎧騎士では無駄な動きも多く、消耗も余分にする。結果としてサッカーの経験者である天界人を多くそろえたイムンに２点差で破れている。
「最もウッドに慣れているはずのセレのチームが」
ウィルカップのゴーレム編成では６体のうち３体がウッド。不利なはずは無いのだが、第１戦のチームセレにはサッカーを経験した天界人が一人もいなかった。その不利はあったが、天界人を擁し、人数的にも勝る強敵のチームトルクに１点しか与えなかった点は見事だった。
「今回が今年の最終戦になると思われるが」
もちろん、チームトルクとチームイムンがスタジアムでゴーレム同士の乱闘騒ぎでも起こすば、不名誉な行為として繰り上げによる決勝トーナメント出場の可能性もありえる。
「他人の不幸をあてにするわけにもいくまい。ウィルカップが今年だけで終わるはずも無い」
ウィルカップの開催によって、ゴーレムを姿を見た鎧騎士以外の一般人もゴーレムの姿を目にした。殺戮する姿なら拒否反応を示したかもしれないが、サッカーという天界人のスポーツなるものだったため、抵抗感なく受けいれた。ゴーレムの存在に脅威を感じていた領主階級の一部も態度を軟化させている。セレの鎧騎士を前回の試合で用いたことで、セレ分国でもサッカー誘致の話が一部で出ていた。
「ほう、サッカーをウィル各地で行うのも良いかも知れない」
エーロン王子は、その風聞にそう答えた。
「決勝トーナメントはまだ終わっていないが、来期は各チームごとにゴーレムの種類も変更できるようにした方が良いかもしれない。セレはウッドの運用が得意のようだから」
しかし、それにはそれなりの戦績も必要だ。
「良い試合を期待している。それは主催者だけでなく、ウィルカップを観戦するすべての人たちの望みだと思ってほしい」
●今回の参加者
eb4096 山下 博士（19歳・♂・天界人・人間・天界（地球））eb4199 ルエラ・ファールヴァルト（29歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4209 ディーナ・ヘイワード（25歳・♀・鎧騎士・エルフ・アトランティス）
eb4392 リュード・フロウ（37歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4395 エルシード・カペアドール（34歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4428 エリザ・ブランケンハイム（33歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4501 リーン・エグザンティア（34歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4637 門見 雨霧（35歳・♂・ゴーレムニスト・人間・天界（地球））
●リプレイ本文
●復活？前回は試合では、冒険者の応募がなかったチームセレ。相手のチームイムンを不戦勝似しないために、急遽本国から鎧騎士を呼び寄せて試合だけは行えた。しかしサッカーというゲームに対する経験の不足は、たとえそれがたったの１試合だったとしてもその差は大きく、敗退した。ゴーレムを動かす技能が高くても、気心しれて連携がとれていとしても、それで試合に勝てるものではない。
「気合かしら？」
エリザ・ブランケンハイム（eb4428）は、今回はチームセクテから応援に来ていた。
「総合力だろ」
門見雨霧（eb4637）はため息をつきながら、否定した。今回はチームイムンからの応援。
チームセクテとチームイムンはともに２勝している。その経験者としての発言も、個性によって違う。どっちが本当なのか。
「応援というか、サッカーが好きというか、技術交流というか」
エルシード・カペアドール（eb4395）は技術習得の目的が大きいが、チームフォロから参加しているルエラ・ファールヴァルト（eb4199）はチャリオットレースでのセレへの恩返し、山下博士（eb4096）は試合経験を積む事だろうか、それとも？
「選手が全力を出し切れるようなバックアップがいるって重要だよね」
ディーナ・ヘイワード（eb4209）が今回応援にしてくれた人たちを見る。リュード・フロウ（eb4392）リーン・エグザンティア（eb4501）、この３人以外は初のチームセレ参加。この３人にしても、チームセレに参加するのは２回目だ。
「とりあえず、雨霧さんサッカーを教えて」
ディーナは雨霧にサッカーを教わることから始めた。
「リーン、大丈夫か？」
いきなり頭をかかえたリーンを心配してリュードが声をかける。
「大丈夫？ 考えてみたら、サッカーの基礎知識のないメンバーだったから」
天界人がメンバーにいるかいないかは、やはり深刻的だったようだ。
「まずはサッカーの基礎から練習しよう。エルシードさん、経験者にターンのやり方を教えてあげてくれませんか？」
エリザや博士なら、ターンを習得できるかもしれない。
「トルクとイムンが騎士道に反する大きな問題を起こさないかぎり、決勝トーナメント進出はないんです。勝敗にこだわらない良い試合にしましょう」
予選第３戦でもっともほんわかしそうな試合を感じさせた。
●前半
「（決勝トーナメントはもう難しいでしょうけど‥‥目の前に試合があるなら、勝つ為に最善の努力をするのは当たり前よね）それじゃ、チームセレ出陣と行きましょうか」
リーンの掛け声で、スタジアムに出る。チームササンが残した結果として、スタジアムにはクイーンの『We Will Rock you』がながれていた。アトランティスの人たちにも受けいれられたようだ。
「闘争本能をかき立てられる？」
「かなりね」
この音楽を味方につけたササンがフォロに勝ったのはわかるような気がする。今回はセレにもウィエ同じく影響しているようだから、一方が不利ということはない。観客も。
「あれ見て！」
どうやら、チームウィエがいち早くチアガールを導入したようだ。
「そういえば、あっちには伊藤さんと結城さんがいたな」
雨霧は、そのどちらかが言い出したことだと思った。結果は同じでも、言い出した意図は違うところにあるのだろう。結城なら純粋に応援、伊藤なら・・・。
「応援で負けると辛いのよね」
エルシードはササン戦での苦い記憶がある。歓声が士気に与える影響は大きい。
「だったら先に点をとって、スタジアム中を味方につけることね。私はゴール前にいきますから、ボールを回してくださいね」
エリザは、博士に告げた。というよりも、いつものわがままお嬢様的命令。
「がんばります」
今回は博士がウッドでフォワード、リュードもアイアンでフォワード、それに加えてエリザもストーンでフォワード。リーンがストーンでディフェンス、エルシードもウッドでディフェンス、ルエラがウッドでキーパーに入る。博士は前半で消耗しつくすつもりだから、やるだけやるだろう。エリザには最終兵器オデコがある。敵にとっては恐怖の兵器だ。
どうやら、ウィエもフォワードにアイアンを投入してくるようだ。キーパーがウッドで力負けしなければ良いが。
「チームウィエのフォワードは、シュート練習に重点をおいていたらしい」
ゴーレム使って練習していれ、隠す方が難しい。
「シュート打つ直前に奪えば良いだけよ」
ゴーレムに乗る前に身体を温めたリーンは、練習の成果を出せると思う。問題点はエルシードとの連携だけだろう。初めての相手は、難しいはずだ。練習時間が少なすぎる。
セレのキックオフで試合が始まる。
博士がドリブルで上がっていく。ウィエのフォワードとディフェンスが、博士を挟み込むように迫る。エリザはその間に中央を悠々と進んでいく。リュードのアイアンが逆サイドに入った。ディフェンスのエルシードも、博士がバックパスをした時に備えてセンターラインあたりまで出ている。消耗を気にせずに動けば、エルシードの守備範囲はもっと広くなる。だが、この試合は最後まで出るつもりだから、最初から無理はしない。
博士は囲まれる危険を感じて、エルシードにバックパス。エルシードはすかさず、リュードにパスする。
ウィエのアイアンが近づく。相手は１体のみ。３対３の練習で対処方法は考えた。エルシードに教わったクライフターンを試してみるか。それとも、この位置から強引にロングシュートをうつか。ゴール前にはエリザが待っている。シュートをキーパーが弾けば、エリザが押し込んでくれるだろう。
瞬時に判断してリュードは、ロングシュートを放った。ロングシュートはゴールに向かって飛んで、そのままゴールの頭上を通過していった。
「いくら私がヘディングが得意でも、届かないわよ！ わ！」
エリザがそう言い終わった途端、キーパーが蹴ったボールがエリザに正面からぶつかった。ウッドの蹴ったボールがぶつかっても壊れはしないが、振り向いた途端にボールのドアップを見たら驚く。
エリザを直撃したボールは、まだ生きている。エリザにぶつかったため、センターラインまでも届かない位置に落ちた。そこに博士が走り込んでくる。早速、近くにいたストーンが博士を追いかける。
博士はそのままドリブルに入って、速度でストーンをどうにか引き離す。ライン際から、ゴール前にいるはずのエリザにパスを送る。しっかり狙う余裕はなかった。
「もうちょっといいところにパスしてよ」
エリザは、博士のパスからはかなり離れていた。パスはエリザよりもキーパーの方に近い。エリザはボールに向かって走り出す。ここでキーパーに奪われるわけにはいかない。ウィエのキーパーも僅かに後れてボールに向かって走り出す。ともにストーン同士。エリザは得意のヘディングでゴールを決めるにはすでにボールは転がっている状態。そのため、初めてだが、足から突っ込んだ。スライディングシュート。しかし、ボールはエリザの足が届く寸前に、ウィエのキーパーによって蹴られたあとだった。蹴った後のキーパーの足の下を滑りながら通り過ぎた。
キーパーによって蹴られたボールはセンターラインを越えて、セレ陣地にいるウィエのフォワードに届く。
「エルシード、逆サイドに回って」
リーンはドリブルに入ったウィエのウッドに急接近した。予想どおり、逆サイドにパスを出された。
しかしパスは逆サイドを上がってきたアイアンのかなり前に流れた。回り込んでいたエルシードがボールを先にキープする。向かってくるアイアンをクライフターンでかわして、リュードにパスを送る。
多少のパスミスがあるものの、スピードのある試合展開で進行していった。スタジアムは今までに無いくらい盛り上がっている。
シュートチャンスのないまま、両チームとも疲労を蓄積させて前半を終えた。
●後半
「残念だな」
一方的にならない試合ほど、緊迫感があって観客は喜ぶ。ひいきにしているチームが勝てばうれしいのはうれしいが、一方的では面白みがない。実力が高度と思えるところで、伯仲しているほど面白くなる。
そんな試合なのに、多分、どちらのチームも決勝トーナメントには出られない。
「今回は、他のチームからの応援があったから」
リュードは今までのメンバーでは、ここまでの試合ができなかったと思った。
「後半、任せたわよ」
「ああ。決勝トーナメントでは敵同士かもな」
雨霧はエリザと交代し、ディーナは博士と交代する。
「博士さん、後は任せて」
ディーナの方が年齢的には上だが、エルフであるため博士の方が年上に見える。
「今回、こそ点をとりたかったのに」
走り回ってウィエを十分に攪乱できたと思うが、得点には結びつかなかった。
後半戦も試合展開は速い。交代しなかった人は、ルエラの特性飲料で多少なりとも体力を回復させる。
博士と交代して入ったディーナがフォワード、雨霧がディフェンスという状態で始まった。
「隙あり！」
リーンがかなり強引に、相手のボールを奪い取る。上空のグライダーからは、危うく反則を取られる寸前だった。しかし、パスする直前にアイアンに奪われた。
アイアンはドリブルでゴールとの距離を縮める。時折制御胞の中から高笑いが漏れてくる不気味なウッドが、絶好のシュート地点にいた。エルシードがその不気味なウッドをマークしていた。
「これの動きなら、パスが来てもカットできる」
エルシードはボールを動きに注意していた。
アイアンからのパスにしては？ 妙な軸足の角度と軌道。思う間にゴールに向かって曲がっていく。
ルエラは完全に逆をつかれて、ボールはそのままゴール入った。
「ボールが曲がるって反則じゃないのか？」
ルエラが抗議する。
「バナナシュートなんて滅多に決まるものじゃないのに」
博士がルエラにバナナシュートのことを伝える。
「そんな技もあったのだな」
まだまだサッカーは奥が深い。
「技の点では天界人の優位はまだあるかも」
まだ出ていない技もあるはずだ。
そのあとのバナナシュートは決まらず、後半も後僅かになったところで、再びリーンがボールを奪う。リーンからエルシード、さらにディーナへのパスが通る。雨霧はゴール前に突っ走る。ボールは、ディーナからリュードに。エルシードも残り時間を感じて敵陣に突っ込む。
ウィエのディフェンスが、リュードに激しく突っかかる。さらにもどってきたアイアンが加わる。エルシードが突進してきたため、ウッドの方はエルシードの方に向かった。しかし、残ったウッドはあのバナナシュートを放った奴。相当な腕のはず。
「パスを出せ！」
雨霧が通過ざまにリュードのパスしたボールをドリブルでゴールに迫る。ディフェンスのストーンが雨霧を追いすがる。追いつかれる前に、ボールに回転をかけてシュート、入らなくても零れ球が、エルシードの方にいくはずだ。
キーパーがボールを弾いた。最初から横に弾くつもりだったようだ。
弾いたボールをエルシードがシュートに行く。しかしその真後ろから、しつこくマークしていたウッドのスライディングタックルを受けた。バナナシュートを試すために、足を高々と上げたところで、ボールを弾かれた。しかし、蹴り始めた足は止まらない。スライディングタックルをかけたウッドの後頭部に蹴りをたたき込むことになった。
木が折れる激しい音がして、ボールではなくウッドの頭部が回転しながらウィエのゴールに入った。
ボールの方は、飛んで行ったウッドの頭部を避けながらも、キーパーがキャッチ。
試合は、そのまま終了。
ウッドの中は大丈夫だったようだが、ウッドは修理できるかどうか。
「修理代はエルート陛下が出してくれるそうだ」
ウィルカップ関係グッズの販売に積極的に協力するということ。今後の試合を盛り上げることも含めて。そういう条件だった。
