第２回ＧＣＲ Ｆ〜チームＦ
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■ショートシナリオ担当：マレーア１ 対応レベル：8〜14ｌｖ 難易度：普通 成功報酬：2 G 49 C 参加人数：6人 サポート参加人数：-人 冒険期間：04月10日〜04月13日 リプレイ公開日：2006年04月17日 |
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●オープニング
＊＊＊ 告 ＊＊＊この度、偉大なるウィルの大王、輝ける精霊の護り手にして敬愛する我等の盟主、エーガン・フォロ王陛下の深遠なる配慮により、ウィルの栄えある騎士達のより一層の熟達、士気高揚を目的とした、第二回ゴーレムチャリオットレースを開催するものである。
以下は、その基本的なルールである。
●ゴーレムチャリオットレース第二回ルール
１．このレースは、偉大なるウィルの大王、エーガン・フォロ王陛下が開催するものであり、ウィルの栄えある騎士達のゴーレム兵器への熟達と、士気高揚を目的としたものである。故に参加者は、ウィルの鎧騎士であれば誰でも参加する事が出来る。また、その協力者として如何なる者もチームに参加する事が出来る。
２．この度の競技は、ゴーレムチャリオットによる『戦線突破』である。
１台のゴーレムチャリオットが、競技場を一周する間に、如何に速く、如何に多数の敵を撃破するか、という武功を競うものである。
今回はコースに、深さの違う水溜りゾーンを加える。これは、凹凸のある戦場での走行を考慮に入れての事である。
３．各チーム、チャレンジは２回。その合計得点で優勝を決定する。
得点は、タイムレコードによるものと、ターゲット撃破数、それぞれに算出する。
１位は１００点、それ以下は１０点づつ得点が下がる。最下位はマイナス５０点。ブービーは０点とする。同率位のチームはトータルの平均点とする。
第一走と第二走、その合計得点で優勝チームを決する（「最高得点は４００点満点」）。
同点の場合は決勝戦を行う。この搭乗者は次の禁止事項を免除する。
４．乗員は、操手１名、後部座席４名までとする。但し、第一走と第二走における同一人物の搭乗を禁ずる。
５．使用する武器は、天界人が持ち込んだ特殊な物を禁止とし、それ以外の武器であれば何を使用しても構わない。
６．各チームは、メンバーの募集を開催の二週間前より行い、一週間前にはメンバー表を大会運営本部に提出しなければならない。登録可能なメンバーは１チーム、最低６名、最大１０名までとする。
７．参加者は、競技当日に所持する物の中から、最も貴重なる物を参加費として提示しなければならない。それが何であるかを決定するのは、大会運営本部の係りの者が決定する。
８．優勝チームは偉大なる陛下の名の元に、偉大なる栄誉と、素晴らしい褒賞を手にする事が出来る。又、参加費として提示したアイテムは返還される。
これとは別に敢闘賞を設ける。扱いは優勝に準じ、栄誉と賞金を与えるものとする。
尚、最低の記録を残したチームは偉大なる陛下の名の元に、不名誉と、懲罰を公衆の面前で与えられるであろう。
９．コース概要（ターゲット配置は当日）
スタート
第１直線
第１カーブ 左９０度
第２カーブ 左９０度
第２直線 水
第３直線
第３カーブ 左９０度 水
第４カーブ 左９０度
第４直線（最終） 水
ゴール
●ウィエ分国公爵チーム【チームＦ】
ウィルの貴族街。
ぽかぽかと暖かな陽気の昼下がり。
第二回ＧＣＲ（ゴーレム・チャリオット・レース）に向け、チーム【チームＦ】に集う者達が、その一画にある館へと集っていた。
「全員集まった様ですね」
窓辺に立つ一同。何時の間に現れたのか、アクツーク・スピンドル男爵がその背後に立っていた。
「前回は、なかなか面白い展開でしたね。まぁ、丸くまとまるよりは、多少のとんがりがあった方が面白い、というものでしょうか」
フッと笑みを浮かべるアクツーク男爵。
その向こうで数名のメイド達が、トレイを押してお茶の準備を始めていた。
「今回も優勝を目指し【チームＦ】は一丸となって戦いを挑みます」
白いテーブルに並べられるティーカップ。琥珀色の液体から、ほのかな湯気が立ち上っている。
アクツーク男爵はそれを手に、その香りを楽しんでみせた。
「皆さんもどうぞ」
紅茶にクラッカー等をつまみながら、しばしの歓談を楽しむ。
そして、徐に身振り手振りで注目を集めたアクツーク男爵。
「優勝の栄冠を、必ずや我等が【チームＦ】に」
「我等が【チームＦ】に」
カップを軽く掲げ、一同互いに頷いてみせた。
●今回の参加者
eb0927 ウシャス・クベーラ（31歳・♀・ファイター・ジャイアント・インドゥーラ国）eb4056 クナード・ヴィバーチェ（33歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4135 タイラス・ビントゥ（19歳・♂・僧侶・ジャイアント・インドゥーラ国）
eb4378 樹 華沙羅（23歳・♂・浪人・人間・ジャパン）
eb4381 ザナック・アレスター（33歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4713 ソーク・ソーキングス（37歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス）
●リプレイ本文
●チームＦ【チームＦ】第１走「【チームＦ】、今姿を現します。操手ソーク卿のコメントを紹介しましょう。『あの、その、今度こそ勝てるといいなと思います‥‥。う、後ろに人が乗るので、その、き、緊張します‥‥』あー、随分と固くなっている様ですが、大丈夫でしょうか？」
「準備にも随分と時間がかかった様でござるな」
「コメントを頂いた後、歓声に挫けて控え室から出て来なくなった様です。しかし、勇気を振り絞って今、観衆の前に立ちます操手ソーク・ソーキングス（eb4713）卿。続いてこの屈強の肉体にして僅か１０歳、タイラス・ビントゥ（eb4135）少年。ロングクラブを手に、左側に着きます。右側に着くのは、ウシャス・クベーラ（eb0927）嬢」
「白い鎧と真紅のマントが大きな体に実に良く映えるでござるな」
「２ｍを超える大鎌を悠々と掲げますウシャス嬢。彼女を主力にという作戦でしょうか。２人は共に、天界はインドゥーラ国のジャイアントという事ですが、さてこのメンバーはどうでしょうか？」
「ジャイアントの有り余るパワーに期待したいところでござるな」
「国王陛下おあす貴賓席に一礼し、ディレクターのアクツーク男爵にも手を振ります。係員が今、チャリオットにフック付きの敵兵人形を設置しております」
係員が離れると、観客の歓声が一気に高まった。
「何、心配する事は無い。この『雷鳴の操者』にまかせなさい」
乗り込んだ途端、強気になったソークに、タイラスとウシャスが顔を見合わせて笑う。不思議と観客ひとりひとりの顔が目に止まり、その声が聞き取れた。
「タイラスくーん！ がんばってー！」
黄色い声援が飛ぶ一方で、
「ウシャスてめえ笑ってんじゃねぇ！ 俺の全財産お前らに賭けてんだ、勝たねぇと承知しねぇぞコラ！！」
そんな罵声も飛んで来る。
「‥‥どうなんだろうね、この客層の違いっての？ 納得行かないなぁ」
肩を竦めたウシャスは、タイラスの背をポンと叩く。
「姉上にいいとこ見せるんだろ？ 頑張ろうな」
「はいっ、優勝目指してがんばるのです！」
フラグが掲げられる。位置につき、スタートの時に集中する彼ら。もう、観客の声も気にならない。
「今、フラグが振られました！ 堅実なスタートから‥‥おおっと、早くも２体の敵兵が地面に叩きつけられた〜っ！ タイラス、ウシャスの二枚看板で攻撃面は万全か！？ しかし残る２体がなかなか落とせません！ 人形を引き摺るもうもうたる土煙、このまま強引に行くのか──」
「焦る必要は無い、ここは冷静に対処したいところでござるな」
「タイラス少年、もう１体を叩き落した！ 最後の１体が今脱落、速度を上げつつ、アウトコースからカーブに進入！ ここの敵は敢えて狙わず、第２直線へ！ おおっと、水たまりを避けないのか！？ 避けない！ 水しぶきをあげながら突き進む！」
「ライン取りを優先したソーク卿の選択でござろう、思い切った挑戦には好感が持てるでござるよ！」
「さあ、これが吉と出るのか凶と出るのか！ アウト寄りにコースを取って、バツの字に配置されたターゲットを擦れ違い様──、ああ〜！ タイラス少年、見事叩き伏せるも２体に留まった！ 観客席から落胆の溜息が洩れている〜！ 悔しそう、悔しそうですタイラス少年！」
「確実にポイントを取ったと思うべき。すぐに気持ちを切り替えるでござるよ！」
「第３直線に待ち構えるは、左右に並ぶ１０体づつのターゲットですが──ソーク卿、右寄りにコースを取ります！ ウシャス嬢、大鎌を構えてこれに挑む！」
「ぬ、お、あ、ああーっ！」
「１体を見事粉砕！ しかし後が続きません！ 吼える、吼えているウシャス嬢、これは無念でしょう！ ‥‥おっと？ まさかこのままカーブに侵入するのか？」
「これは速い、速すぎるでござるよ！」
「凄まじい水しぶきをあげながら、水上を滑っていきます！ これは水の抵抗をも利用して曲がり切ろうという作戦か！？ ああしかし駄目だ、深みに填まってしまった〜〜ッ！！ 【チームＦ】ここでリタイヤとなってしまうのか！！」
「いや、持ち堪えているでござるよ！」
「観客席がどよめいています！ 減速しながらも辛うじて突破しましたゾーク卿！」
「時間を食い過ぎたでござる」
「しかし、最後の最後まで勝負を棄てない【チームＦ】。第二走に希望を託して諦めない。まだ諦めない。速度を増しつつカーブを抜け出した。
ゾーク頑張れ、ゾーク頑張れ、ゾーク頑張れ、頑張れゾーク！ いま、全速力で水しぶきを上げゴーーーール！」
●第１走結果発表
《タイム》
１位 ５２．４秒 【ソードフィッシュ】
２位 ５７秒 【ゴートメンバーズ】
３位 ７２．３秒 【ライトニングナイツ】
４位 ７５秒 【レッドスフィンクス】
５位 ８０．８秒 【ブルーゲイル】
６位 ８８．２秒 【チームＦ】
７位 ９３．７秒 【フォレストラビット】
８位 ９５秒 【月下の黒猫】
《撃破数》
１位 ３９体 【フォレストラビット】
２位 ２９体 【ソードフィッシュ】
３位 ２８体 【ライトニングナイツ】
４位 ２２体 【レッドスフィンクス】
４位 ２２体 【ブルーゲイル】
６位 １９体 【月下の黒猫】
７位 １７体 【ゴートメンバーズ】
８位 ９体 【チームＦ】
●チームＦ【チームＦ】第２走
「ご覧下さい。先程は思わぬ不覚をとった【チームＦ】。しかしリタイアは免れ、希望を第二走に託しました。
チームを救う使命を帯びて、今乗り組むのは三人の勇士。操手クナード・ヴィバーチェ（eb4056）卿。左はザナック・アレスター（eb4381）卿、右は樹華沙羅（eb4378）卿です！」
「ふむ。なかなかの面構え。焦りは見られぬでござる。流石はザナック卿でござる」
「今、我らが国父エーガン・フオロ陛下に一礼。先ほどのトラブルに全く動じていません。アクツーク男爵のほっとしたような様子。まだまだ優勝は狙えますぞ」
「伊達にソークさんに無茶して貰った訳じゃない。これでデータは揃った。」
クナードはぶるっと武者震い。
係り員が敵兵人形を４体、機体に取り付かせ、準備が整う。
「突き落とすなんて‥‥。んー‥‥、人形を攻撃するわけだし、まぁいっかー」
華沙羅は小太刀を手に身構える。
「さぁ、いよいよスタートです！ 機体はゆっくりと滑り出します。
うん。実に手際よく二体の人形を叩き伏せた。左右の人形もあっという間。
ガラガラと蹂躙される人形が大地を削り土埃がもうもう。
だがぁ。そのせいで加速は上手く行かない。クナード卿、必死の形相です。
今、人形が後方に現れ。おお！ 猛烈な加速です。引き絞った弓から放つ矢のように、漲る水を千尋の、谷に決っする勢いだ。ぐんぐんぐんとスピードが出る」
「クナード卿。心なしか笑みを漏らしたでござる」
「第１カーブ。ぎこちなく突入したが位置取りは悪くない。入り際に樹卿、左右２体のその右を、ソードボンバーで纏めて撃破だ！ スタンドから歓声。みんな立ち上がって拍手だぁ」
「なかなかに、派手でござるな」
「カーブを抜け、第２直線。大きく外に膨らんだが、何とかコース沿いに走っている。派手に水しぶきを上げ吶喊する姿は、当に鎧騎士の華。貴婦人達が騒いで居るぞ。何々？ 私のミンネを貰ってだって？ この色男ぉ！ 憎い憎い」
「‥‥拙者の女まで騒いでいるでござるよ」
「それを後目に機体はまっすぐにコース中央。うぉぉぉ！ 樹卿のソードボンバーが炸裂。５体全部が吹っ飛んだ！ 歓喜の余り失神続出。異様な興奮が巻き起こっています」
「残る難関は、第一走がリタイア寸前に追い込まれた、魔の第３カーブでござるな」
「あ〜あ。一転場内からブーイング。コースアウトすれすれを減速してやっと乗り切る。
【チームＦ】、死にものぐるいでコース沿いに走っている。悲壮、当に悲壮だが、この遅さはなんだ！ 謝れ！ 失神した貴婦人の皆様方に謝れ！」
クナードは悩みと恥にやつれながら、必死に前方を視る。ザナックの唇が口惜しさで噛まれ、血が滴る。だが、誰もどうすることもできない。」
「今、やっとの事でカーブを曲がっています。遅い。遅い。亀のように遅い！ 止まりそうに遅いぞゴルァ！
情けなくも、チャリオットは水はしぶきを上げることすら出来無い。嗚呼無情、波をちゃぷちゃぷ越えて行く」
「拙者、もう帰っていいでござるか？」
それでも直線になるとそこそこ速度が上がって行き、まっすぐ進み、水しぶきを上げながらゴールを果たした。
●第２走結果発表
《タイム》
１位 ５９．１秒 【レッドスフィンクス】
２位 ６２．９秒 【ソードフィッシュ】
３位 ８３秒 【ライトニングナイツ】
４位 ８３．４秒 【ブルーゲイル】
５位 ９０秒 【月下の黒猫】
６位 ９４秒 【チームＦ】
７位 １２０．６秒 【ゴートメンバーズ】
８位 １４５．３秒 【フォレストラビット】
《撃破数》
１位 ４４体 【ブルーゲイル】
２位 ４０体 【ゴートメンバーズ】
３位 ３８体 【フォレストラビット】
４位 ３１体 【レッドスフィンクス】
５位 １６体 【月下の黒猫】
６位 １５体 【チームＦ】
７位 １１体 【ライトニングナイツ】
８位 ８体 【ソードフィッシュ】
●総合
１位 ３０５点 【レッドスフィンクス】
２位 ２９５点 【ブルーゲイル】
３位 ２４０点 【ライトニングナイツ】
４位 ２３０点 【ソードフィッシュ】
５位 １８０点 【ゴートメンバーズ】
６位 １３０点 【フォレストラビッツ】
７位 １２０点 【月下の黒猫】
８位 １００点 【チームＦ】
「優勝はレッドスフィンクス！ ２回連続優勝だ！
第２位も２回連続！ ブルーゲイル！」
「続いて敢闘賞で御座る」
「敢闘賞は最後まで諦めなかった、フォレストラビットの第２走目のチーム！
そして、特別賞だ！」
「これは、個人に特別与えられるで御座る」
「一人で良く頑張った！ ゴートメンバーズのケミカ卿に決定した！」
●表彰と罰ゲーム
またもや優勝は女性ばかりの【レッドスフィンクス】。
「おめでとう御座います！」
「おめでとう〜！」
瑠璃とリスフィアはスッと駆け寄り、チームを前へと誘った。
ジョーカーは花輪を人数分係員から受け取り、それを皆で分け合い、それから一人一人の首にかけて周る。
「優勝、おめでとう御座います！」
「ありがとう」
優雅に微笑む勝者の表情。それは満たされた者のそれだった。
「そして罰ゲームです！」
Ｚ卿のその一言に、キュイスは果敢に【チームＦ】のメンバーに襲い掛かった。
「ぎゃ〜っ！！！」
「さぁ！ エーガン王は良い王だ！ 王様の良い所を１０個言って貰おうか！」
ソーク卿やザナック卿を小脇に抱え、キュイスは鞭を振り回す。
「では、私もお手伝いしましょう」
白は少年巨人のタイラス卿を跪かせ、目の前でミミックを解いて見せた。
「カ、カツド〜ン！？」
「ほほほ！ さぁ１０個言って御覧なさい！」
驚いて目を白黒させる少年巨人を前に、妖艶に微笑む。
その傍らでルディは物悲しい曲をここぞとばかりに演奏し、その悲鳴に艶をつけた。
