第３回ＧＣＲ Ａ【フォレストラビッツ】
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■ショートシナリオ担当：マレーア１ 対応レベル：フリーｌｖ 難易度：普通 成功報酬：5 参加人数：8人 サポート参加人数：-人 冒険期間：05月10日〜05月15日 リプレイ公開日：2006年05月17日 |
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●オープニング
●ルール変更ス「あん？ 何だこりゃ？」
ある日、マーカス商会に一通の手紙が届けられた。
店先でそれを手にしたマーカスは、丸めた羊皮紙に施された蜜蝋の封に顔色を険しくした。
「マスター・オータム‥‥野郎、今更何だ‥‥？」
口をへの字に、マーカスは封を解こうと指に力を入れかけ、じろりと周囲を見やった。
マスター・オータム。その名が出た途端に、店先の者は目を見開いて、店の主人であるマーカスを凝視していた。
「何だ、おめぇら！ 仕事しろ！ 仕事！」
「へ、へい！ すいやせん！」
蜘蛛の子を散らす様に、ワッと動き出す男達。
「けっ！ これくらいで、どうしようもねぇなぁ〜‥‥まったく‥‥」
悪態をつくマーカス。べりべりと封を解いてスクロールを開き、鼻息一つ噴く。
「何々‥‥祭事を取り締まる按察官様の指導により、賞品を廃止する代わりにアイテムの没収を今回取りやめだぁ〜？ 自分で言い出しておいて、今更変更たぁ〜‥‥仕方ねぇなぁ〜。ギリギリで面倒くせぇが」
ニヤリとほくそえむマーカス。
「まぁ、結局競売の話がぽしゃっちまったから、出費を抑えてそっちの分を取り戻せって話か‥‥しかし、賞品無したぁ〜ごうつくだなぁ〜‥‥あと、前回優勝者に適切なハンデか‥‥おうっ！」
マーカスは一人を呼び止めた。素早くメモ書きし、その手紙をピッと手渡した。
「頼んでいた代筆屋に、差し替えだって、こいつを渡しな」
「へい！」
●ゴーレムチャリオットレース第三回ルール
１．このレースは、偉大なるウィルの大王、エーガン・フォロ王陛下が開催するものであり、ウィルの栄えある騎士達のゴーレム兵器への熟達と、士気高揚を目的としたものである。故に参加者は、ウィルの鎧騎士であれば誰でも参加する事が出来る。また、その協力者として如何なる者もチームに参加する事が出来る。
２．この度の競技は、ゴーレムチャリオットによる『戦線突破』である。
１台のゴーレムチャリオットが、競技場を一周する間に、如何に速く、如何に多数の敵を撃破するか、という武功を競うものである。
今回はコースに凹凸を設ける。これは、凹凸のある戦場での走行を考慮に入れての事である。
３．各チーム、チャレンジは２回。その合計得点で優勝を決定する。
得点は、タイムレコードによるものと、ターゲット撃破数、それぞれに算出する。
１位は１００点、それ以下は１０点づつ得点が下がる。最下位はマイナス５０点。ブービーは０点とする。同率位のチームはトータルの平均点とする。
第一走と第二走、その合計得点で優勝チームを決する（「最高得点は４００点満点」）。
同点の場合は決勝戦を行う。この搭乗者は次の禁止事項を免除する。
４．乗員は、操手１名、後部座席４名までとする。但し、第一走と第二走における同一人物の搭乗を禁ずる。
５．使用する武器は、天界人が持ち込んだ特殊な物を禁止とし、それ以外の武器であれば何を使用しても構わない。また、レースに影響を与える魔法アイテムは、賭の前に観客に説明される。
６．各チームは、メンバー表を大会運営本部に提出しなければならない。登録可能なメンバーは１チーム、最低６名、最大１０名までとする。
７．参加チームは１０Ｇの参加料を支払う事。
８．優勝チームは偉大なる陛下の名の元に、偉大なる栄誉と賞金を手にするだろう。
これとは別に敢闘賞を設ける。扱いは優勝に準じ、栄誉と賞金を与えるものとする。
尚、最低の記録を残したチームは偉大なる陛下の名の元に、不名誉と、懲罰を公衆の面前で与えられるであろう。
９．前回優勝チームは自らハンデを宣言し負うことが出来る。
●セレ分国王チーム【フォレストラビッツ】
ウィルの貴族街。
しと降る雨にカタツムリ、窓辺に幾本もの筋を描く。
第３回ＧＣＲに向け【フォレストラビッツ】に集う者達が、その一画にある館で顔を合わせていた。
落ち着いた風情の一室。
部屋の中央にはエルフの紳士、ベルゲリオン・ア・ハトゥーム子爵が立つ。
最後の一人が扉より入室するのを待ち、その手の中の羊皮紙を会議用のテーブルの上に置いた。
「皆さん、前回チーム【フォレストラビッツ】は、撃破数では最高得点を叩き出して居ながら、走行のタイムが伸びずに残念な結果となってしまいました」
すると、集うメンバーの一人がサッと挙手する。
「思うに、体力が低い者が重いものを持ち続ける事が出来ない様に、ゴーレム機器は体力が低い者が操手を勤める場合、その負荷がある一定以上に達すると、操手は疲労困憊して気絶してしまう様です。また、前後左右のバランスが悪い場合も、操手の負担が大きくなるみたいです」
子爵は静かに頷いた。
「判りました。それを踏まえて作戦を練って下さい。今回のコースはでこぼこ、つまり登り坂や下り坂、起伏がある様です。走破する距離は大して変わりませんが、より難易度の高いコースと心得て下さい」
子爵は皆の得心にいった様子に小さく頷き、傍らに置いてある小さな呼び鈴をチリリリンと鳴らした。
その涼しげな音に、数名の侍女がトレイを押しながら入室する。そして、一人一人に銅製のカップを渡して回り、そこに芳醇な香りと共に赤ワインを注いでゆく。
「今度こそ栄光を手に、セレへと凱旋しましょう」
子爵は手にしたカップをすっと掲げた。
「勝利の栄光を我ら【フォレストラビッツ】に！」
「勝利の栄光を我ら【フォレストラビッツ】に！！！」
●今回の参加者
ea0439 アリオス・エルスリード（35歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国）ea5592 イフェリア・エルトランス（31歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国）
ea5929 スニア・ロランド（35歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国）
ea9907 エイジス・レーヴァティン（33歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・ノルマン王国）
eb4213 ライナス・フェンラン（45歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4219 シャルロット・プラン（28歳・♀・鎧騎士・エルフ・アトランティス）
eb4257 龍堂 光太（28歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
eb4637 門見 雨霧（35歳・♂・ゴーレムニスト・人間・天界（地球））
●リプレイ本文
●【フォレストラビッツ】第１走「さあ！ いよいよ偉大なる我等の大王、エーガン・フォロ王陛下が主催される第３回ゴーレムチャリオットレースの開始です！ 栄えある第１走を務めますはセレ分国王チーム【フォレストラビッツ】！ 共に讃えよう！ この大歓声の中、いよいよ第１走目の騎士達がゴーレムチャリオットに搭乗します！ だが、その前に！」
「今回はご覧の通りで御座る！ 平坦な直線が無い故、チャージングゾーンが無いで御座る！ そしてその代わりに、オープンで御座るよ！！」
一斉に係員がコースに飛び出し、第１、第２カーブの間、そして第３、第４カーブの間にある、何やら４ｍ程の高さがある、麻布の掛けられた巨大なオブジェに殺到する。
ドラムロールの鳴り響く中、一気にそれが取り払われると、その下からは巨人の如き人の形をした鎧甲冑姿の怪物が。だが、それは動く事は無かった。
人々のどよめきが競技場を包んだ。
「いえぇ〜い！ こいつが新ターゲット！ ダミーバガンだ！ こいつを倒すと１０体分の撃破数として数えられるぞ！」
「かなりの衝撃を一度に与えないと、このダミーバガンは撃破出来ないで御座るよ！」
「まぁ騎士殿ならランスチャージなんてのはお手の物だ！ がんがん撃破して貰いてぇ！！」
わんわんと響くＺ卿のだみ声が、続いて選手達の紹介へと移った。
緑の布を腕に巻き、天界人の龍堂光太（eb4257）はゆっくりとゴーレムチャリオットの前に進み出た。
「さて、どうなることやら‥‥」
そんな呟きなどお構い無しに、Ｚ卿の声は続くメンバーを紹介してゆく。
「勝利を【フォレストラビッツ】に！」
スピアを高々と掲げ、シャルロット・プラン（eb4219）は乗り込みながら、貴賓席の最上階を見上げた。そこにマリーネ姫の姿が無いかと。
「さあ、天界の弓の妙技、ウィルの観客に披露しましょう！」
続くイフェリア・エルトランス（ea5592）は朗らかな笑顔で振り向き、同じレンジャーであるアリオス・エルスリード（ea0439）に手にするミドルボウを掲げて見せる。
「全力を尽くさせてもらうよ」
それを受け頷くアリオスも、決意を瞳に宿し、後部席へと駆け上る。
「でかぶつは、シャルロットに任せる」
「ふふ、仕方ないですね」
「私達は、それ以外を‥‥」
頷く後部席の三人。光太はそれを聞き流しつつ冷静にコースをイメージする。
「さあ、全員が搭乗しました！ そして、一斉に貴賓席へ！ 我等が偉大なるウィルの大王、エーガン・フォロ王陛下へ一礼です！ マリーネ様のお姿も！ ああっマリーネ様が花を投げられました！ お知り合いの方が出走するのでしょうか！？ 花一輪！ 一輪程の美しさであります！
そして、その一段下の貴賓席からは、セレ分国王の名代！ ベルゲリオン・ア・ハトゥーム子爵様です！ 立ち上がり、優雅に手を振っておられます！
かくして、係りの者達が機体の左右に２体ずつ『敵兵人形』を引っ掛けて行きます！」
「金属のフックで引っ掛けているで御座る。これを外せない事には走行の厄介な障害となるで御座る！」
「さあ！ 今、その係員が一斉に離れました！」
スタートのフラグが振られるや、光太は機体をふわりと浮かせ、ゆっくりと坂道を加速させた。
「それそれそれぇっ！」
それと同時に後部席の三人は、人形に組み付くや確実に叩き落し、ガラガラ３体を転がす。
落ち着いた様子でアリオスは矢を番え、イフェリアはもう１体の人形に組み付き、これを機体から引き離した。
「機体は僅かに加速し、大きく斜めになっている第１カーブへ！
光太卿は真っ直ぐ機体をダミーバガンに向ける気だ〜！
アリオス卿はインコースの１体を狙って〜、撃った！ 当たった！ 確実です！
そして百中のイフェリアは矢をつがえ、アウトコース入り口の１体を振り返り〜、撃った！ 命中！
お二人とも鮮やかなお手並み！
さあさあさあ！ 近付きます！ ダミーバガンに機体をぐんぐん近付けて行く光太卿！」
シャルロットは、片手に命綱を絡め、両手でスピアを握り締める。
豪奢な金髪が風になびき、そこへ挿した一輪の赤バラは今にも吹き飛んでしまいそう。
「はぁっ！！！」
裂ぱくの気合と合わせ、叩き込むスピアはシャルロットの腕の中で大きくしなり、その穂先が別方向へと弾け飛ぶ。
「くはっ！？」
腕の中で踊る様に震える柄に、思わず穂先の無事を確認し振り向くが。それより先、観衆の失望の声にその結果を知る事となる。
「軽すぎるわ！ スピアじゃ、一撃が軽すぎる！」
「焦るな！ 次を落とせ！」
光太の声に歯噛みするシャルロットを載せたまま、第２カーブへ侵入するチャリオット。
「私は右！」
「応！」
イフェリア、アリオス共に矢を２本つがえ、カーブの中心となる小高い山の上にある４体のターゲットに狙いを定め、ほぼ同時に放つと、狙い違わず４体がガラガラ音を発てて転げ落ちる。
「やったぁ〜！」
「ふ‥‥」
どっと沸き立つ歓声に、二人は軽い興奮と共に軽く弓をかざし、残る手を次の矢へ伸ばす。
次々とターゲットを撃破し直線の難路を何とか切り抜け第３カーブへ差し掛かると、第２のダミーバガンが行く手にそびえ立つ。間隔をおき配置されたターゲットを次々と弓矢で撃破し、緩やかな凹凸を乗り越え、肉迫する巨漢にシャルロットは渾身の一撃を加える。
「くぅっ！ 駄目だわ！」
その手応えに苦悶の声を漏らすシャルロット。
ダミーバガンは大きく揺れるものの、横転するに至らぬ。
「まだまだ！」
「負けるかよ！」
イフェリアとアリオスは、次々とコース沿いに立ち並ぶターゲットを撃破してゆく。
機体は激しい凹凸に大きく揺らぐものの何とか乗り切り、緩やかな上り坂、最後の直線へと差し掛かる。
「うおおおおっ、ラストスパートだ〜！！」
最後の力を振り絞る様に、全力で機体を前進させる光太。
ゴール直前にＶ字型に立ち並ぶターゲット。
「任せて！」
「ちっ！」
イフェリアとアリオスがひょうと射ると、丁度チャリオットが走り抜けられる様に２体が転がる。
すれ違い様にシャルロットがスピアを振るい、更に１体を打ち据えて、チャリオットはゴールした。
●第１走目結果発表〜♪
謎の解説者、Ｚ卿の声が中休みの競技場に木霊した。
「さ〜て、第１走目の結果が出ました！ 皆様！ 第２第３直線コース裏の巨大掲示板をご覧下さい！」
ドラムコールの中、掲示板にかけられていた布が、一部取り除かれてゆく。
《第１走タイム》
１位 （７１．３）秒【レッドスフィンクス】
２位 ８１．７秒 【チームＦ】
３位 ９３．８秒 【フォレストラビッツ】
４位 １０７．９秒 【月下の黒猫】
５位 １１２．０秒 【ブルーゲイル】
６位 １９７．３秒 【ゴートメンバーズ】
７位 リタイア 【ソードフィッシュ】
《第１走撃破数》
１位 ３０ｐ 【ゴートメンバーズ】
２位 ２６ｐ 【レッドスフィンクス】【ゴートメンバーズ】
４位 ２２ｐ 【フォレストラビッツ】【ブルーゲイル】
６位 １８ｐ 【月下の黒猫】
７位 リタイア【ソードフィッシュ】
《第１走得点小計》
１位 １９０点 【チームＦ】
２位 １８５点 【レッドスフィンクス】
３位 １４５点 【フォレストラビッツ】
４位 １２０点 【ブルーゲイル】
５位 ８５点 【ゴートメンバーズ】
６位 ７０点 【月下の黒猫】
７位−１００点 【ソードフィッシュ】
「リタイアした【ソードフィッシュ】は残念で御座るが、他はなかなかの接戦で御座る。やはり、今回導入された特別ターゲット、ダミーバガンが撃破時１０体分と加算されるのが大きいで御座るな」
「これまで、命中すれば撃破とカウントされていたが、こいつはぶったおさなきゃカウントされないってのがでかい！ 今のところ【チームＦ】のクナード卿だけがこいつの撃破に成功している！ 流石は『猛突のクナード』だ！ さぁ、後半戦も見逃せないぜ！」
「そろそろ応援合戦の後半戦が始まるで御座る！ こちらも見逃せないで御座るよ！」
●【フォレストラビッツ】第２走
「後半戦も盛り上がって参りました！ いよいよ上位陣の出走です！！」
「第３位【フォレストラビッツ】の第２走目で御座る！」
派手にホルンが吹き鳴らされ、人々の歓声が一瞬静まり返る。
「勝利を目指して！」
大股でライナス・フェンラン（eb4213）は操手席へ進み出ると、ワッと大歓声が巻き起こる。
続くエイジス・レーヴァティン（ea9907）は穏やかな表情、この人々が熱狂する様をにこにこと見渡した。
「このチームにも三回目。三度目の正直で今度こそミスはしないぞ」
すっと手にしたロングスピアを掲げ、朗らかに機体へと乗り込む。
スニア・ロランド（ea5929）ピンと姿勢良く胸を張り、ロングクラブ片手に、さっさと機体に乗り込んだ。
「やれやれ、クールだねぇ〜♪」
その後ろを少し呆れた様子で続く門見雨霧（eb4637）は、じろり見返すスニアの目線を受けるも、気にする素振りも見せずへらへらと笑う。
「アリオスさんやイフェリアさんに負けないように頑張るぞ。ってな。」
「さあ、全員が搭乗致しました！ そして、一同貴賓席へ！ 我等が偉大なるウィルの大王、エーガン・フォロ王陛下へ一礼です！ その傍らにはお美しいマリーネ様もいらっしゃいます！
その一段下の貴賓席には、セレ分国王名代！ ベルゲリオン子爵様です！ 優雅に手を振っておられます！
各自、自分達の持ち場へと着きます！ 整然とした動きです！
優勝を目指し、今、競技に望もうという構え！
係りの者達が機体の左右に２体ずつ『敵兵人形』設置し、一斉に離れた！」
Ｚ卿が言い終わるか終わらないかの内に、フラグが振られスタート！
「行く！」
ライナスが機体を浮かすと同時に、後ろの３人は一斉に敵兵人形に組み付く。
エイジスはロングスピアの石突きでカチ上げ、鮮やかに叩き落し、スニアはがっぷり組み付き軽々と機外に放り出す。雨霧はぐっと持ち上げ様とするが、人形の脚がガリガリ地面を引っかく振動に、つかみ損ねてたたらを踏む。
２体の人形が土煙を上げて機体に引きずられ、機体も僅かに後ろが沈む。ライナスはそれでも機体をインにきった。
「くっ！？」
思いっきり胸板を側舷に叩き付け、スニアは肺の中の空気を吐き出し片膝着くも、なにくそと１体を引き剥がす様に振り捨て、その反対側の側舷でも雨霧がようやく１体を僅かに持ち上げて投げ捨てた。人形はガラガラと音を発てて、瞬く間に後方へと去る。
「や、やった‥‥」
ふらふらとショートボウを持ち直す雨霧は、機体が第１カーブへ突入し、斜めになるのを感じつつ、矢をつがえ、遥か後方に去り行こうとするターゲットに狙いを付け、放った。トスンと吸い込まれる様に命中。小さくガッツポーズ。
スニアも構え直したロングクラブで、軽い痛みを我慢しながらインコース沿いに立つ１体を、狙い済まし、すれ違い様に打ち据える。
「よしっ！ うわわっ！？」
途端に機体はがくんと前つのめり。地面を削って数メートル。ピンと命綱が伸び、何とか体勢を支える。
「す、すまない！」
「早く戻せよ！」
雨霧の叱責、必死に機体を立て直すライナス。
それでもエイジスは、ロングスピアを取り落とすこと無く、にこにこと目前のダミーバガンを見る。
「いいよ〜。まだ大丈夫さ‥‥」
ライナスは地上で馬車を扱う要領で、ぐんと機体の方向を戻す。
「くそ！ 何て面倒くさいんだ！」
悪態をつきながらゆっくりと、あぶなげに動かす。その様ははたから見ても、全くの初心者。
「レッツゴー！ レッツゴー！ レッツゴー！ フォレストラビッツ！」
観客席から、バニーガール達の黄色い声と共に、大きな声援が頑張れ〜と飛び、ゆっくり走り出すチャリオット。
「はっ！」
ダミーバガンとすれ違う瞬間、エイジスが短い気合と共にロングスピアを叩き込む。
鈍い金属音。弓なりにしなるロングスピアを、エイジスは一気に捻り込んだ。
「よ〜っし！！」
芯を捉えた感触に、エイジスは擦り抜け際に震えるロングスピアを高々と掲げる。
突然、機体がガリガリと地面を削ってスピンする。同時にズズンと地響きを発て、ダミーバガンが崩れ落ちる気配を、それを観、興奮に沸き立つ歓声と共に耳にした。
●第２走目結果発表！
粛々とした行進が終わり、フォロ王の訓示が終わると、いよいよ結果発表だ。
期待と不安が入り混じる中、端の方から巨大掲示板の布が取り払われ、アナウンスの声がそれを読み上げる！
《第２走タイム》
１位 （４５．７）秒【レッドスフィンクス】
２位 ７１．３秒 【ゴートメンバーズ】
３位 ８８．１秒 【ブルーゲイル】
４位 １１７．７秒 【ソードフィッシュ】
５位 １３５．６秒 【月下の黒猫】
６位 １８１．４秒 【フォレストラビッツ】
７位 ２２８．０秒 【チームＦ】
《第２走撃破数》
１位 ４８ｐ 【ブルーゲイル】
２位 ３６ｐ 【フォレストラビッツ】
３位 ３２ｐ 【ソードフィッシュ】
４位 ２４ｐ 【ゴートメンバーズ】
５位 ２２ｐ 【チームＦ】
６位 １７ｐ 【レッドスフィンクス】
７位 １２ｐ 【月下の黒猫】
《総合結果発表》
１位 ３０５点 【ブルーゲイル】
２位 ２８５点 【レッドスフィンクス】
３位 ２４５点 【ゴートメンバーズ】
４位 ２３５点 【フォレストラビッツ】
５位 ２００点 【チームＦ】
６位 ８０点 【月下の黒猫】
７位 ５０点 【ソードフィッシュ】
最後の結果を隠す布が取り払われた時、競技場はドッと人々の歓声に沸き立った。
優勝はチーム【ブルーゲイル】！
続いて敢闘賞の発表が為された。
「敢闘賞は、前半戦を大いに沸かせてくれた【チームＦ】の第１走組で御座る！ 前半戦１位の組にそれぞれ賞金１０Ｇが贈られるで御座る！」
Ｙ卿に続き、Ｚ卿が特別賞を発表する。
「今回も、貴賓席の高貴なる方々のご意見により、特別賞を贈る事とあいなりました！ これは個人の敢闘に贈られるものです！ さあ！ これは１人で２体ものダミーバガンを撃破した勇者に贈られます！ 惜しくも最下位となった【ソードフィッシュ】のトリア・サッテレウス卿に贈られます！ 紳士淑女の皆様！ 彼等勇者に盛大なる拍手を〜！！」
この大歓声に包まれながら、次々と表彰がなされて行く。
そして、最後に、例の罰ゲームも‥‥。
