第３回ＧＣＲ Ｇ【ゴートメンバーズ】
 |
■ショートシナリオ担当：マレーア１ 対応レベル：8〜14ｌｖ 難易度：普通 成功報酬：4 G 15 C 参加人数：8人 サポート参加人数：-人 冒険期間：05月10日〜05月15日 リプレイ公開日：2006年05月17日 |
|
●オープニング
●ルール変更ス「あん？ 何だこりゃ？」
ある日、マーカス商会に一通の手紙が届けられた。
店先でそれを手にしたマーカスは、丸めた羊皮紙に施された蜜蝋の封に顔色を険しくした。
「マスター・オータム‥‥野郎、今更何だ‥‥？」
口をへの字に、マーカスは封を解こうと指に力を入れかけ、じろりと周囲を見やった。
マスター・オータム。その名が出た途端に、店先の者は目を見開いて、店の主人であるマーカスを凝視していた。
「何だ、おめぇら！ 仕事しろ！ 仕事！」
「へ、へい！ すいやせん！」
蜘蛛の子を散らす様に、ワッと動き出す男達。
「けっ！ これくらいで、どうしようもねぇなぁ〜‥‥まったく‥‥」
悪態をつくマーカス。べりべりと封を解いてスクロールを開き、鼻息一つ噴く。
「何々‥‥祭事を取り締まる按察官様の指導により、賞品を廃止する代わりにアイテムの没収を今回取りやめだぁ〜？ 自分で言い出しておいて、今更変更たぁ〜‥‥仕方ねぇなぁ〜。ギリギリで面倒くせぇが」
ニヤリとほくそえむマーカス。
「まぁ、結局競売の話がぽしゃっちまったから、出費を抑えてそっちの分を取り戻せって話か‥‥しかし、賞品無したぁ〜ごうつくだなぁ〜‥‥あと、前回優勝者に適切なハンデか‥‥おうっ！」
マーカスは一人を呼び止めた。素早くメモ書きし、その手紙をピッと手渡した。
「頼んでいた代筆屋に、差し替えだって、こいつを渡しな」
「へい！」
●ゴーレムチャリオットレース第三回ルール
１．このレースは、偉大なるウィルの大王、エーガン・フォロ王陛下が開催するものであり、ウィルの栄えある騎士達のゴーレム兵器への熟達と、士気高揚を目的としたものである。故に参加者は、ウィルの鎧騎士であれば誰でも参加する事が出来る。また、その協力者として如何なる者もチームに参加する事が出来る。
２．この度の競技は、ゴーレムチャリオットによる『戦線突破』である。
１台のゴーレムチャリオットが、競技場を一周する間に、如何に速く、如何に多数の敵を撃破するか、という武功を競うものである。
今回はコースに凹凸を設ける。これは、凹凸のある戦場での走行を考慮に入れての事である。
３．各チーム、チャレンジは２回。その合計得点で優勝を決定する。
得点は、タイムレコードによるものと、ターゲット撃破数、それぞれに算出する。
１位は１００点、それ以下は１０点づつ得点が下がる。最下位はマイナス５０点。ブービーは０点とする。同率位のチームはトータルの平均点とする。
第一走と第二走、その合計得点で優勝チームを決する（「最高得点は４００点満点」）。
同点の場合は決勝戦を行う。この搭乗者は次の禁止事項を免除する。
４．乗員は、操手１名、後部座席４名までとする。但し、第一走と第二走における同一人物の搭乗を禁ずる。
５．使用する武器は、天界人が持ち込んだ特殊な物を禁止とし、それ以外の武器であれば何を使用しても構わない。また、レースに影響を与える魔法アイテムは、賭の前に観客に説明される。
６．各チームは、メンバー表を大会運営本部に提出しなければならない。登録可能なメンバーは１チーム、最低６名、最大１０名までとする。
７．参加チームは１０Ｇの参加料を支払う事。
８．優勝チームは偉大なる陛下の名の元に、偉大なる栄誉と賞金を手にするだろう。
これとは別に敢闘賞を設ける。扱いは優勝に準じ、栄誉と賞金を与えるものとする。
尚、最低の記録を残したチームは偉大なる陛下の名の元に、不名誉と、懲罰を公衆の面前で与えられるであろう。
９．前回優勝チームは自らハンデを宣言し負うことが出来る。
●トルク分国公爵チーム【ゴートメンバーズ】
ウィルの貴族街。
その日は風が強かった。
第３回ＧＣＲ（ゴーレム・チャリオット・レース）に向け、チーム【ゴートメンバーズ】に集う者達が、その一画にある館へと集っていた。
ガタガタと窓が揺れ、建物全体が軋んでいる様な、そんな音が聞こえていた。
「前回は同じトルク分国の【レッドスフィンクス】が２回連続優勝という栄誉を勝ち取り、見事凱旋を果たしたのである。これは同じ分国のチームとして喜ばしい事であるが、同時に越えなければならぬ壁が高いという事である」
長身で筋肉質のボルゲル・ババル男爵は、穏やかな表情で一同を見渡した。
「記録においては、第１走目がタイムで２位、第２走目が撃破数で２位と素晴らしい記録を出しているが、これは片方を犠牲にしての記録である。優勝を狙うには、欠点を如何に克服するか、そして長所を如何に伸ばすかが課題であると思うのだが、その辺を検討して行こうと思う」
一同、頷く。
「今回は、登り坂、下り坂、起伏がある難易度の高いコースとなっているそうだ。如何にこの困難を克服するか、我等に求められている。共にこの困難を乗り切ろうではないか」
「意義なし！」
すると、一人が立ち上がり気勢をあげた。
男爵は大きく頷き、傍らのトレイから杯を取り出し、それになみなみとワインを注ぎ、皆に回した。
「では、この酒盃を空け、共に困難に立ち向かう誓いと為そう！」
「応！」
皆、杯を高々と掲げる。
「勝利を我ら【ゴートメンバーズ】に！」
「勝利を我ら【ゴートメンバーズ】に！！！」
一気に飲み干し、一斉に吼えた。
●今回の参加者
ea2449 オルステッド・ブライオン（23歳・♂・ファイター・エルフ・フランク王国）ea3866 七刻 双武（65歳・♂・志士・人間・ジャパン）
ea8594 ルメリア・アドミナル（38歳・♀・ウィザード・エルフ・ビザンチン帝国）
eb3653 ケミカ・アクティオ（35歳・♀・ウィザード・シフール・イギリス王国）
eb4181 フレッド・イースタン（28歳・♂・鎧騎士・エルフ・アトランティス）
eb4286 鳳 レオン（40歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
eb4322 グレナム・ファルゲン（36歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス）
eb4565 難波 幸助（35歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
●リプレイ本文
●【ゴートメンバーズ】第１走競技場内は１番目に走った【フォレストラビッツ】の好走に興奮冷めやらぬままの盛り上がりを見せていた。そして軽快な語り口調で、Ｚ卿のトークが次に走るチームの入場を告げる。
「さあ、本大会第２走目はトルク分国公爵家チーム【ゴートメンバーズ】の搭乗です！
最初に姿を現しますのは〜！ 出ました〜！ 天界は地球からの来訪者、鳳レオン（eb4286）卿です！」
「出ました〜って、俺はお化けかよ」
苦笑しながら歓声の坩堝と化した競技場へ姿を現したレオンは、観戦する人々をぐるりと見渡した。
「やれやれ、ホントに良いのかよ。こんな初心者を乗せて‥‥」
「おいおい、若者がぼやくんじゃねぇよ。老けちまうぞ」
「げふっ！？」
カラカラ笑いながら七刻双武（ea3866）がゴスンとその頭を叩く。
「ひでぇ〜よ、スピアの柄で叩くなんてよ」
「カッカッカ！ 少し背が伸びたんじゃねぇか？」
「伸びるかーっ！！」
そんな二人のやりとりを見ながら、借り物のスピアを片手にフレッド・イースタン（eb4181）はふと足を止めた。
「どうしたの？」
耳元でパタパタと羽音を発て、シフールのケミカ・アクティオ（eb3653）が碧の瞳で、フレッドの目の中を覗き込む。
「な、何でもありません」
「あっそう‥‥変なの〜♪」
パタパタとチャリオットへ飛んで行くケミカ。それを見送り、心の中で皆に感謝の言葉を呟いた。
「ねーねー、フレッドが泣いているんだよ〜♪ これからレースなのに、おっかしぃ〜！」
（「ぶはっ！？」）
「な、泣いていませんよ！」
ケラケラ笑うケミカに、慌てて機体に駆け上るフレッド。顔を真っ赤にさせて、定位置へ着く。
「これで【ゴートメンバーズ】第１走目の騎士達が揃いました！
いま、貴賓席へ向き直り一礼です！
最上階の貴賓席からは、ウィルの偉大なる大王、エーガン・フォロ王陛下のお姿が！ お隣にはお美しいマリーネ姫様です！
続いて、一段下の貴賓席には各名代の方々が！ さあ、ずらっと各名家の家紋がタペストリーの様に並び、壮観な眺めを形成しております！ その中よりトルク分国公爵家名代のボルゲル・ババル男爵が立ち上がりました！ 笑っております！ 自信満々です！」
「ファイト、オー！ ゴートメンバーズ・アズ・ナンバーワーン！」
ケミカの掛け声とほぼ同時に、機体の左右両舷に、のっぺりとした『敵兵人形』が、両腕の金属フックでがっしりと固定される。大の大人が革鎧を着込んだのと大体同じ重量の『敵兵人形』。これが走り出すと同時に引っ張られるから、外すのには大人でも相当の力が要る。
係員が引くと同時にスタートの合図の旗が振られ、一気にレオンは機体を浮き上がらせる。と同時に、身構えていた三人が一斉に動いた。
かち上げる様に、下からスピアの石突きで弾き飛ばす双武とフレッド。
「はっ！ こんなもん！」
「ひぃ〜、助けて〜！」
ケミカは組み付き、真っ赤になって羽を動かすがピクリともしない。
「ケミカはいい！ 俺達に任せろ！」
パッと振り返る二人は後部左右の人形に一撃。見事に機外に叩き落す。
「やった〜♪」
細いシフール用の命綱にぶら下がる様、吹き流されるケミカは、風にくるくると舞った。
「さぁ、チャリオットは最初の見物！ ダミーバガンへ一直線！
アウトからインへ！ アウトからインへ！
ああっと、ケミカ卿があの体勢から後方へアイスブリザードだ！
うわっと、双武卿がライトニングサンダーボルトー！ 一撃で小山の上の２体を貫いたー！！
そして、すれ違いざまに〜、フレッド卿一閃！！ ああっと、倒れない！！ 倒れない！！ 撃破失敗！！ 撃破失敗だフレッド卿！！」
「うむ、やはり強打するにはスピアは重さが足りないで御座るよ」
すかさず説明を入れるＹ卿。場内は悲痛な叫びに満たされた。
「ああっと！！？ 各座だ！ レオン卿、各座した〜！！」
「カーブでは車体コントロールが重要で御座る。レオン殿、未熟也！」
「おおっと、珍しくＹ卿から厳しい言葉だ！ どうした、レオン卿！ 機体を立て直せ！」
「くそっ！ 言われなくても、判ってるんだよ！」
「頑張れレオン！ 諦めちゃそこで終りだぞ！」
「そうじゃ、そうじゃ！」
「諦めないで！」
必死に機体の向きを戻し走り出そうとするレオン。真っ赤な顔から、玉の様な汗がぽたぽたと垂れた。
次第に沸き起こる【ゴートメンバーズ】コール。それに応えて約１分、観客のため息の中、機体はゆっくりとカーブを抜け、次の直線をゆっくりと進んだ。
●第１走目結果発表〜♪
謎の解説者、Ｚ卿の声が中休みの競技場に木霊した。
「さ〜て、第１走目の結果が出ました！ 皆様！ 第２第３直線コース裏の巨大掲示板をご覧下さい！」
ドラムコールの中、掲示板にかけられていた布が、一部取り除かれてゆく。
《第１走タイム》
１位 （７１．３）秒【レッドスフィンクス】
２位 ８１．７秒 【チームＦ】
３位 ９３．８秒 【フォレストラビッツ】
４位 １０７．９秒 【月下の黒猫】
５位 １１２．０秒 【ブルーゲイル】
６位 １９７．３秒 【ゴートメンバーズ】
７位 リタイア 【ソードフィッシュ】
《第１走撃破数》
１位 ３０ｐ 【ゴートメンバーズ】
２位 ２６ｐ 【レッドスフィンクス】【ゴートメンバーズ】
４位 ２２ｐ 【フォレストラビッツ】【ブルーゲイル】
６位 １８ｐ 【月下の黒猫】
７位 リタイア【ソードフィッシュ】
《第１走得点小計》
１位 １９０点 【チームＦ】
２位 １８５点 【レッドスフィンクス】
３位 １４５点 【フォレストラビッツ】
４位 １２０点 【ブルーゲイル】
５位 ８５点 【ゴートメンバーズ】
６位 ７０点 【月下の黒猫】
７位−１００点 【ソードフィッシュ】
「リタイアした【ソードフィッシュ】は残念で御座るが、他はなかなかの接戦で御座る。やはり、今回導入された特別ターゲット、ダミーバガンが撃破時１０体分と加算されるのが大きいで御座るな」
「これまで、命中すれば撃破とカウントされていたが、こいつはぶったおさなきゃカウントされないってのがでかい！ 今のところ【チームＦ】のクナード卿だけがこいつの撃破に成功している！ 流石は『猛突のクナード』だ！ さぁ、後半戦も見逃せないぜ！」
「そろそろ応援合戦の後半戦が始まるで御座る！ こちらも見逃せないで御座るよ！」
●【ゴートメンバーズ】第２走
「第１走目は第５位とふるわなかった【ゴートメンバーズ】！ 果たして逆転のチャンスはあるのか〜っ！？
いよいよ搭乗です！ さぁ、みんなで呼びましょう！
【ゴートメンバーズ】！！」
呼び声が会場に木霊し、老け顔の鎧騎士は、一歩、また一歩と胸を張って競技場のトラックへ姿を現した。
目の前にはゴーレムチャリオット。地の精霊力で浮遊し、地上を操手の技量と体力によって疾走する、従来のチャリオットとは全く異質の存在。
グレナム・ファルゲン（eb4322）は車輪も軸も、存在しない事を確認して乗り込んだ。
「同じトルク分国の、レッドスフィンクスが、頑張っている今、こっちも負けられない」
続く難波幸助（eb4565）は、意気込みも高く、後部席の左前にロングスピアを掲げ持って立ち、付属の命綱を腰にぐるぐる巻き始めた。
「‥‥さて、初のレース、か。合戦ではないとは言え、緊張するな」
不気味なヤギ頭の被り物をしたオルステッド・ブライオン（ea2449）は、競技場に姿を現すや、地面の土を一掬い、そのスピアを持つ手に擦り付けた。
「ダミーのバガンか‥‥」
その視界に２体の巨体を認めると、意を決し機体へと乗り込む。
「あれを倒す‥‥どうやって？」
オルステッドの背を見、ルメリア・アドミナル（ea8594）は己の使える精霊魔法で、如何に攻略するかを考えていたが、第１走組のアドバイスでは、今回のコースでは手数の勝負になりそうだ。あの、ダミーバガン以外は。
一同、揃うと互いの顔を見合わせ、小さく頷き、一斉に極彩色に彩られた貴賓席へと向き直る。その最上階には、この大会の主催者であるフォロ王の姿が見下ろし、その傍らにはマリーネ姫が立つ。
そしてその一段下には、これら競技用ゴーレムチャリオットの費用を分担し、チーム参加の権利を有す各分国王家や各分国公爵家の縁者、名代、その関係者達が居並ぶのだ。
一度目の礼は、フォロ王とマリーネ姫へ。
二度目の礼は、名代であるボルゲル男爵へ。
そして、これらの通過儀礼が過ぎ配置に改めて着くと、筋骨逞しい係員数名がかりで『敵兵人形』が機体の両舷に２体ずつ設置される。
「いよいよなのである‥‥」
天界製の時計を持つ係員が、それにちらりと目を走らせ、大きく旗を掲げるや一気に振り下ろす。
それと同時に、グレナムは機体を思いっきり前へと浮かび上がらせた。
「それ！」
幸助はロングスピアの柄で、力一杯下から人形の頭をかち上げ、見たかとばかりに振り向くと、オルステッドは手を滑らせ石突きで床を叩き割り、ルメリアはその後ろの一体に組み付き、顔を真っ赤にさせてうんうん唸っている。
「な、なんだ〜！？」
ガラガラと転がる１体の人形。
ガリガリと地面を削り、機体の走りを引っ張る３体の人形。
「むうううう！」
それでもグレナムは平均以上の速度で前へ進ませ、機体をインへ。
「面目無い！」
ガツンと引っ掛ける様に突き上げ、ガラガラと機外に放り出すオルステッド。
「こいつは、ビリヤードみたいだぜ！」
幸助は横から突き飛ばす様に、自分側の側舷に引っ掛かっているもう１体の人形を機外に叩き出す。
「どけっ！」
「は、はいっ！」
第１カーブに突入すると同時、オルステッドがスピアの石突きでルメリアが手放した人形を側舷から叩き出し、素早く振り返るやダミーバガンに向き直る。
「雑魚は任せて！」
高速詠唱で術式を組み立て、ルメリアはカーブの中心にある小山の頂、４体立つ弓兵の人形へライトニングサンダーボルトを２連射。その電光は天へと駆け上って霧散し、ガラガラと全てをなぎ倒して見せる。
どっと沸き立つ観客を尻目、幸助はインコースに立つ一体を突き崩し急ぎ振り向き、くわわと目を見開いてオルステッドが何をしようとしているのかを見据えた。
オルステッドは腰ダメにスピアを構えるも緩やかに、踏み込むべく打ち込み分足元を空け、静かに息を整えた。裂帛の一撃を放つ為に、まるで己が身を絞り上げる様。
その手に握られた細身のスピアが幸助の目に頼り無げに映った。
そしてその不安は現実のものとなった。
「はっ！！」
鋭い打ち込み、狙い違わずダミーバガンの巨体を捕らえるも、スピアは大きくしなり、打ち負けて弾かれる。
「くっ！？」
口惜しげに片膝を着くオルステッド。失望の声が、競技場を満たした。
「グレナム卿、速い！ 速い！ 瞬く間にカーブを擦り抜け、難所の直線を突き進む！
かなりの安定した走り！ 安定した走り！
流石に３回目！ 流石にベテランの域かグレナム卿！
大きな二つ目のうねりを乗り越え、今カーブへ真っ直ぐに！
さあ！ このカーブが曲者だ！ 多くの騎士を泣かせた難所！ 多くの騎士に挫折感を植え付けるダミーバガン！ 果たして見事撃破する事が出来るのか！？
アウトコースいっぱい！ アウトコースいっぱい！ これは幸助卿がチャレンジするのか！？
幸助卿！ 今、コース沿いの１体を軽やかに突き崩す〜！」
「否、インに切るで御座る！ やはりオルステッド卿で再チャレンジで御座る！」
「ああっとインに切った！ インだ！ ここでグレナム卿、コース中央に戻すぞ！
緩やかなアップダウンの連続！
またも光る電光はルメリア卿！ 撃ち漏らしを残さない！
更にもう１体！ またも連続撃破〜！
そしてオルステッド卿！ 構えた！ 構えた！ 打った！ 弾けた！ スピアが弾け飛んだ〜！ ダミーバガンは僅かに揺れただけだ〜！」
「最大の難所、第４カーブを抜け最後の直線！
アッと魔法の暴発だ！ 魔法の暴発だ！ 大爆発だ！
それでも先へ進んでいる！ 先へ進んでいる！
そのまま敵兵を蹴散らしてゴール！！ なんとも派手なゴール！！ なんとも騒々しいゴール！！
救護班が駆け寄っていく！ 果たして彼等は大丈夫なのか〜！？」
●第２走目結果発表！
粛々とした行進が終わり、フォロ王の訓示が終わると、いよいよ結果発表だ。
期待と不安が入り混じる中、端の方から巨大掲示板の布が取り払われ、アナウンスの声がそれを読み上げる！
《第２走タイム》
１位 （４５．７）秒【レッドスフィンクス】
２位 ７１．３秒 【ゴートメンバーズ】
３位 ８８．１秒 【ブルーゲイル】
４位 １１７．７秒 【ソードフィッシュ】
５位 １３５．６秒 【月下の黒猫】
６位 １８１．４秒 【フォレストラビッツ】
７位 ２２８．０秒 【チームＦ】
《第２走撃破数》
１位 ４８ｐ 【ブルーゲイル】
２位 ３６ｐ 【フォレストラビッツ】
３位 ３２ｐ 【ソードフィッシュ】
４位 ２４ｐ 【ゴートメンバーズ】
５位 ２２ｐ 【チームＦ】
６位 １７ｐ 【レッドスフィンクス】
７位 １２ｐ 【月下の黒猫】
《総合結果発表》
１位 ３０５点 【ブルーゲイル】
２位 ２８５点 【レッドスフィンクス】
３位 ２４５点 【ゴートメンバーズ】
４位 ２３５点 【フォレストラビッツ】
５位 ２００点 【チームＦ】
６位 ８０点 【月下の黒猫】
７位 ５０点 【ソードフィッシュ】
最後の結果を隠す布が取り払われた時、競技場はドッと人々の歓声に沸き立った。
優勝はチーム【ブルーゲイル】！
続いて敢闘賞の発表が為された。
「敢闘賞は、前半戦を大いに沸かせてくれた【チームＦ】の第１走組で御座る！ 前半戦１位の組にそれぞれ賞金１０Ｇが贈られるで御座る！」
Ｙ卿に続き、Ｚ卿が特別賞を発表する。
「今回も、貴賓席の高貴なる方々のご意見により、特別賞を贈る事とあいなりました！ これは個人の敢闘に贈られるものです！ さあ！ これは１人で２体ものダミーバガンを撃破した勇者に贈られます！ 惜しくも最下位となった【ソードフィッシュ】のトリア・サッテレウス卿に贈られます！ 紳士淑女の皆様！ 彼等勇者に盛大なる拍手を〜！！」
この大歓声に包まれながら、次々と表彰がなされて行く。
そして、最後に、例の罰ゲームも‥‥。
