第３回ＧＣＲ Ｚ みんな応援しようよ☆
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■ショートシナリオ担当：マレーア１ 対応レベル：8〜14ｌｖ 難易度：易しい 成功報酬：2 G 98 C 参加人数：5人 サポート参加人数：-人 冒険期間：05月12日〜05月15日 リプレイ公開日：2006年05月19日 |
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●オープニング
●応援団Ｚパンパンパン パンパンパン
その日も手拍子に合わせ、美しい汗を流す乙女達の姿があった。
そして、黙って手を叩いていたパラのチップス・アイアンハンド男爵は、頃合を見て手拍子を止めた。
「はい！ お前等、ちょっと集まってくれ〜！」
踊るのを止めわらわらと集うと、男爵は思いっきりふんぞり返り、皆を見下ろす様にして話し出す。
「さて、いよいよレースの開催日も近付いて来た！ そこで、俺達の担当する箇所を発表するぞ〜っ！ 第１回から参加してくれてる奴には、大体同じだって事だが、取り合えずこんな感じだ！」
男爵は手にした羊皮紙のスクロールを全員に広げて見せた。
・オープニングセレモニー☆
・入場行進（プラカード持ち兼引率）★
・エーガン・フォロ王陛下による開会宣言
・退場行進（プラカード持ち兼引率）★
・競技スタート
競技中の応援☆★
中休みの応援合戦☆★
競技中の応援☆★
・入場行進（プラカード持ち兼引率）☆
・結果発表★
優勝チームの表彰☆★
最下位チームの罰ゲーム★
・エーガン・フォロ王陛下による閉会宣言
・エンディングセレモニー★
・退場行進（プラカード持ち兼引率）☆
「☆マークが俺達の担当になる訳だ。オープニングセレモニーに、競技中の応援、そして第１走と第２走の間にある休憩時間に応援合戦、そして結果発表時の入退場。あとは、優勝チームや他の賞を受賞した騎士達の引率だな。何か判らない事は、どんどん聞いてくれ〜！」
腕を組み、鼻息も荒く男爵は皆を見回した。
「それでだな。オープニングセレモニーの内容と、応援合戦の出し物、後はプラカードの担当だな。その辺を打ち合わせしてゆこうぜ。あんまり時間は無いが、おめぇらなら大丈夫だ！」
ニカッと笑い、男爵はポンポンと一人一人にタッチして回る。
すると、その腕をむんずと掴み、ぐいっと引き絞る者が居た。
「あたたたた！ 参った！ 参った！」
●歌劇団結成か？
そんなこんなで稽古の日々を送っていると、バ〜ンと扉を開いて息せき切った男爵が飛び込んで来た。
「おい！ おまぇら！ 普段は忙しいのか！？」
唐突に、何を言い出すのかと思っていたら、妙な話を持ち込んで来た。
「何でもマーカスが、あそこの施設を利用して、歌劇なんか開けないかって聞いて来たんだ。今度のレースとは別に、その内募集をかけるそうだから、興味がある奴は時間空けとけ〜！」
すると、何人かが色々な質問を寄せて来る。
「何でも野外劇になるのかな？ ほら、競技をやってない間、あの辺を使ってないのが勿体無いって話になってな。演目は何になるか、その辺は全然決まって無いらしいぜ。と言う事は、脚本や監督、演出や演奏なんかもアリかも知れねぇな」
カカカと高笑いの男爵は、適当な事を並べ立てていた。
●今回の参加者
ea8147 白 銀麗（53歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国）eb4270 ジャクリーン・ジーン・オーカー（28歳・♀・鎧騎士・エルフ・アトランティス）
eb4288 加藤 瑠璃（33歳・♀・鎧騎士・人間・天界（地球））
eb4603 紅 雪香（36歳・♀・天界人・人間・天界（地球））
eb4729 篠宮 沙華恵（27歳・♀・天界人・人間・天界（地球））
●リプレイ本文
●オープニングセレモニー「あと３分ですわ！ みなさん急いで！」
大会の幕開けを待ちきれなくなった観客のざわめきが、渦のようになって会場から沸き起こっていた。
ジャクリーン・ジーン・オーカー（eb4270）が応援団【フラワーローズ・スカーレット】をせかす。バニーガール姿で場をはきはきと仕切る姿から、応援団へかける情熱が伺える。
隣で衣装の最終チェックをする加藤瑠璃（eb4288）も、応援団の常連というだけあって、落ち着いている。しかし、会場から溢れかえる熱気に、瞳はきらきらと興奮をかくせないようだ。
篠宮沙華恵（eb4729）は少し慌てて紅雪香（eb4603）のメイクの仕上げを施した。目元に星のようなきらめきのラメを入れて、完成だ。
雪香はバニーガールの衣装の上から燕尾のコートを急いで羽織り、楽屋出口へ急いだ。会場の興奮がそこまで迫っている。
「やっぱりいいわね、クセになりそう」
一人そうつぶやくと、ジャクリーンはいつものようにマスカレードをそっと装着した。
「じゃあ、銀麗さん、よろしくお願いしますね！」
後ろで控える白銀麗（ea8147）に向かって沙華恵はそう言うと、みんなと一緒に会場へ飛び出して行った。
４人のバニーガールが競技場に軽やかに現れると、男爵のアナウンスとともに、観客の歓声がワッと強まった。ついにセレモニーが開始されたのだ。
輪になって走り回っていた４人は、ジャクリーンが軽やかに空中に飛び上がり、身体をひねってみせると同時に、一斉に散らばって華やかに踊り始めた。
彼女たちの若々しく豊満な肉体が自由に飛び回る様子に、会場の熱気は更に増した。
もう一度ジャクリーンが高く飛び上がると、またバニーガールは集まり、大きく円を描きながらステップを踏む。
そこで、客席から一際高い歓声が沸き起こった。空に向かって指を指して立ち上がっている。
その視線の先では、華美な羽をきらきらと光らせた、大型の鳥が空を羽ばたいていた。鳥に変化した銀麗の姿だった。
つややかな羽が太陽の光を照り返し、首に巻いた赤いリボンが炎のようにゆらめいている。嘴には一輪の花が銜えられていて、この大会を祝福するかのように、会場の上を大きく旋回した。
観客の歓声が最高潮に強まると、美しい鳥は静かに風をきりながら、ダンスの輪の中心に向かって急下降をはじめた。その羽が着地と共に大きく広がり、ダンサーの動きがピタッと止まると、観客の大声援とともにオープニングセレモニーは終幕した。
●前半戦
太鼓の音と歓声と、男爵のアナウンスで会場は最高の盛り上がりを見せていた。誰もがその波に飲み込まれてしまいそうな興奮の中、応援団は思い切り声を張り上げ、生き生きと場を盛り上げていた。
「ゆけゆけ、チームＦ！
負けるな、チームＦ！
頑張れ、チームＦ！
ワーーーーー、ヘイ！」
応援団は、肩を組んで華麗に足を上げながら笑顔で声を上げる。ザッザッと軽快な音をたて、そろった動きで上げ下げされる黄色いポンポンが目に鮮やかだ。
「惜しい！」
雪香が悔しそうな声を上げる。ダミーバガン撃破に失敗してしまったのだ。
応援団は顔を見合わせ、大きくうなずいた。自分たちの出番だ。
「ゆけゆけ！」
「チームＦ！」
「負けるな！」
「チームＦ！」
「頑張れ！」
「チームＦ！」
「ワーーーー！ ヘイ！」
彼女たちの掛け声にあわせ、観客たちの声援も一層強まった。
精一杯ポンポンを振りかざし、選手たちに向かって声援を送る。
それに応えるかのように、彼らはダミーバガンに向かって勇敢に飛び込んでいった。
「やった！」
沙華恵の歓声が上がる。今度は撃破に成功したのだ。
一層声援に力をこめ、応援団は飛び跳ねて喜んだ。
●ショータイム
「みなさん、水分補給はちゃんと済ませましたか？」
応援合戦を目前に控えたざわめきの中、雪香が声を張り上げる。
「すみません、お水いただけますか？」
沙華恵は雪香から飲料水を受け取ると、瑠璃のメイク直しに取り掛かった。汗で滲んだメイクを整え、応援合戦に向けてより華やかな印象を作るのに余念がない。
「銀麗さんもジャクリーンさんも、まだまだお仕事残っていますし、しっかり体力回復してくださね」
「ありがとう」
ジャクリーンは水を２つ受け取ると、１つを銀麗に渡した。
「そろそろ入場お願いしまーす！」
タイムキーパーが慌しく声をかけると、一同は一斉に返事をした。
「はーい！」
応援団が競技場に駆け込むと、待っていましたと言うように、会場からワッと歓声が上がった。
応えるようにして、一同はぴょんぴょんと飛び跳ねてみせた。ジャクリーン以外の４人は、チアガール風に衣装を改めている。ジャクリーンは豊満な身体を真紅のレオタードで包んでいた。
チアガールたちは後ろ向きにぴょんぴょん飛び跳ねながら一列になり、元気良くラインダンスを披露している。
「いきますわよ！」
掛け声と共に、後ろからジャクリーンが駆け込んでくる。中央の２人が手を組み合わせ、ジャクリーンはそれを踏み台にして、ぽーんと軽やかに空へ舞った。
ジャクリーンが上空で大きく手を広げると、口に銜えた麗しき薔薇が発動し、華麗に着地する彼女とともに、花びらの幻影がひらひらと舞い落ちてきた。その幻想的な光景に、客席からは大きな歓声が沸く。
ジャクリーンは、笑顔で片手を高々と上げ、歓声に応えると、チアガールの列に駆け戻り、雪香とハイタッチをした。
すると今度は雪香が競技場の中央まで駆けて行き、両手を空に広げ、メンバーに向き直った。列の中央の瑠璃が跪いて手を組み、彼女を迎える姿勢をとる。跳ねるようにして雪香は第一歩を踏むと、勢い良く駆け込み、踏み台に足をかける。
瑠璃が思い切り彼女の身体を跳ね上げると、雪香の軽い身体は宙高くへと放られた。くるくると２度宙返りし、身体をひねらせてから着地すると、客席から歓声が押し寄せた。
彼女たちのパフォーマンスによって中休み前の興奮を蘇らせ、会場はそのまま第２レースへと突入する。
●閉会式
大盛り上がりの中レースが終わり、結果発表を控え、会場にはざわめきが波のように広がっている。
そんな中、Ｚ卿のアナウンスと、軽快な音楽とともに入場行進の幕が上げられた。
応援団一同は高々とチームのプラカードを掲げて入場した。パフォーマンス中は動きやすいようにとかかとの低いパンプスを履いていた彼女たちは、この時だけはハイヒールを履いていた。ピンと背筋を伸ばし、胸を張って行進する姿は美しく、凛々しくもあった。
観客の中の一人は、その光景を眺めながらおや、と首を傾げた。毎回の大会で応援団に注目している彼だったが、見覚えのない少女が一人混じっているのだ。見落としていたのかな、と目を細める。
彼の視線の先にいた若々しい１０代の少女だが、彼女が銀麗の変化した姿だとは彼も想像しないかっただろう。銀麗はこっそり笑みを浮かべた。
●総合結果発表
粛々とした行進が終わり、フォロ王の訓示が終わると、いよいよ結果発表だ。
期待と不安が入り混じる中、端の方から巨大掲示板の布が取り払われ、アナウンスの声がそれを読み上げる！
《第２走タイム》
１位 （４５．７）秒【レッドスフィンクス】
２位 ７１．３秒 【ゴートメンバーズ】
３位 ８８．１秒 【ブルーゲイル】
４位 １１７．７秒 【ソードフィッシュ】
５位 １３５．６秒 【月下の黒猫】
６位 １８１．４秒 【フォレストラビッツ】
７位 ２２８．０秒 【チームＦ】
《第２走撃破数》
１位 ４８ｐ 【ブルーゲイル】
２位 ３６ｐ 【フォレストラビッツ】
３位 ３２ｐ 【ソードフィッシュ】
４位 ２４ｐ 【ゴートメンバーズ】
５位 ２２ｐ 【チームＦ】
６位 １７ｐ 【レッドスフィンクス】
７位 １２ｐ 【月下の黒猫】
《総合結果発表》
１位 ３０５点 【ブルーゲイル】
２位 ２８５点 【レッドスフィンクス】
３位 ２４５点 【ゴートメンバーズ】
４位 ２３５点 【フォレストラビッツ】
５位 ２００点 【チームＦ】
６位 ８０点 【月下の黒猫】
７位 ５０点 【ソードフィッシュ】
最後の結果を隠す布が取り払われた時、競技場はドッと人々の歓声に沸き立った。
優勝はチーム【ブルーゲイル】！
続いて敢闘賞の発表が為された。
「敢闘賞は、前半戦を大いに沸かせてくれた【チームＦ】の第１走組で御座る！ 前半戦１位の組にそれぞれ賞金１０Ｇが贈られるで御座る！」
Ｙ卿に続き、Ｚ卿が特別賞を発表する。
「今回も、貴賓席の高貴なる方々のご意見により、特別賞を贈る事とあいなりました！ これは個人の敢闘に贈られるものです！ さあ！ これは１人で２体ものダミーバガンを撃破した勇者に贈られます！ 惜しくも最下位となった【ソードフィッシュ】のトリア・サッテレウス卿に贈られます！ 紳士淑女の皆様！ 彼等勇者に盛大なる拍手を〜！！」
●新しき覇者
【ブルーゲイル】の優勝に、会場は今日一番の盛り上がりを見せた。応援団は顔を見合わせると、優勝チームに向かって歩みを寄せた。
「おめでとうございます！」
一斉に笑顔でそう声をかけると、それぞれ花でこしらえた冠を勝者に捧げた。雪香が花吹雪を舞わせ、白い花弁が優勝チームの上空を華やかに舞った。
すると、その空の中から煌びやかな鳥が姿を見せた。ミミクリーで変身した銀麗の姿だ。くちばしに花輪を銜えた鳥は、勝者の足元に停まると、ぱさりと花輪を落とした。
その神秘的な祝福に、ブルーゲイルの一同は満足げな笑みを見せ、全員が会場に向かって高々と腕を挙げてみせた。
●明日への行進
見ごたえのある大会への応酬として寄せられた観客たちのにぎやかな歓声と、Ｚ卿のしめくくりの挨拶が大会の閉幕を宣告していた。
応援団の一同たちは、それぞれプラカードを掲げながら、誇らしげに行進していた。その表情は、落ち行く太陽の光で揺らめいている。
レースの主役ではないものの、自分たちの仕事の大切さを改めて噛み締めているのだ。全員が、「やっぱりクセになりそう」と感じながら、仕事は終わりを迎えた。
