カオスキャプチャー〜猫! 猫! 猫!?
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■ショートシナリオ
担当:マレーア4
対応レベル:8〜14lv
難易度:普通
成功報酬:4 G 15 C
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:12月21日〜12月26日
リプレイ公開日:2006年12月23日
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●オープニング
「おぉ、サクラ! 変わりないかの!?」
いきなり子供をあやすかのような声をあげたのはミハイル・ジョーンズである。
サクラは少し苦笑いを浮かべながら
「其方もお元気そうで何よりです」
と、ミハイルの前の席に座る。
「それで、お話というのは?」
「手短に話してくれよー?」
サクラのペットである妖精のミラーが悪態をつきながらそう言うと、ミハイルは頭を抱えた。
相変わらずの悪態ぶりを再確認できたらしい。
「うむ。どうやらシグ付近の村で猫が大量発生したらしいのじゃ」
「猫? 猫って、あのペットの?」
「うむ。数はざっと101匹かの」
‥‥絶句。
「どうしたらそんな数の猫が!?」
「落ち着くのじゃ、サクラ。それがどうも魔物の所為らしくての」
「魔物?」
「そうじゃ、グリルマルキンという魔物じゃ。しかもとてつもなく可愛い、三毛の」
ミハイルが真剣な表情でそういうと、サクラはがっくりとテーブルに顔を突っ伏した。
「でも、シグといえばケット・シーっていうのもいるよね?」
「あぁ、実はそちらからの依頼でな。このままではシグの領主に迷惑が掛かるやも知れぬと連絡を入れてきたのじゃ。シグは統制取れて居るが、こちらはめちゃくちゃでな。村中の家具や木の柱が爪研ぎで大変なことになって居る。今回の一連とは全くもって。外部には漏らすでないぞ?」
「‥‥それで、私にそのグリルマルキンを封印してこいということなのね?」
「うむ。しかし一人で出来る業ではないのじゃな、これが」
ミハイルが窓の外を見ながらそう呟く。
直感した。嫌な予感がする。何だか、そんな予感がする。
「流石に猫が101匹もおるのじゃ。しかもどれがグリルマルキンか見分けもつかん。一匹ずつ手当たり次第にするしかなかろう。冒険者の手も借りるのじゃ」
「う、うわぁ‥‥やっぱり苦労するんだねぇ‥‥」
「後、幾ら可愛いからとは言えど封印を疎かにしてはいかんぞ?」
ミハイルの鋭い釘刺しも。
ミラーの呼ぶ声も。
メルヘン妄想に入っているサクラの耳には届かないのであった‥‥。
「猫さん‥‥♪」
●リプレイ本文
●再会は猫の鳴き声と共に
「サクラ、お久しぶりです‥‥今回も貴女の騎士として参上しました‥‥」
優しい笑顔と共にサクラと合流し、挨拶をするニルナ・ヒュッケバイン(ea0907)を見て、サクラはお久しぶりです、と頭を下げる。
しかし、その声を遮るかのように猫のなぅー、にゃー、ふしゃー! そんな声が響き渡る。
101匹の猫の大合唱状態である。
「‥‥これは一苦労ですね‥‥」
「そうねぇ、これだけの猫だもんね。どうやってグリルマルキンか判断するのも大変だわ」
「知っているのは三毛だという事ですからねぇ」
そういうと、カイ・ミスト(ea1911)は猫達がいる方向へと目をやる。
其処には色んな種類の猫が集まり、ひしめきあっていた。冒険者達を見て警戒する猫や、懐いてくる猫もいる。この中にグリルマルキンが一匹潜んでいるというのだ。
「そういえば、挨拶がまだだったな。カン騎士団正隊員『暁の騎士』オルステッド、よろしく頼む」
「は、はわあぁぁぁっ!?」
「オルステッドさん、ダメですよ。サクラはこういうのに弱いんですから」
オルステッド・ブライオン(ea2449)に手の甲に口付けをされ、真っ赤になって慌てるサクラをニルナが庇うように抱きしめる。
「ふむ、これも挨拶の一つなんだが」
「サクラは天界人だから、こういうのに慣れてなくて当然よね。あたしもダメだけど」
と、ディーネ・ノート(ea1542)も小さくぼやく。
「何時も師匠がお世話になってます」
「し、師匠?」
「あぁ、それあたしの事ー」
ディーネが軽く左手をあげて答えると、アルヴィス・スヴィバル(ea2804)も小さく頷く。
「お世話になっているのは私の方だから、気にしないでね?」
「それよりも、この数の猫の中からどうやって探り当てるのじゃ?」
「そりゃあ勿論、追いかける! 捕まえる! 確かめるっ!」
「確かにそれしかなさそうじゃのぅ」
マルト・ミシェ(ea7511)は少し嬉しそうにそう答える。
この依頼に参加している大半の冒険者は
「猫ともふもふ出来る!」
という目的で参加しているようだった
●猫vs人間!
「ウェンディ、ミラー君と一緒にいなさい‥‥そうすれば安心ですから」
「から〜!」
ニルナの声に反応して従うかのようにサクラの肩に座っているミラーの隣にウェンディはちょこんと座る。
「お、フェアリー仲間じゃん♪ ニルナ、でかしたっ!」
「お友達は多い方がいいでしょうし‥‥何より危険がないですからね」
「よし、こいつの事は僕に任せてどーんと猫と戯れてこいっ!」
元気いっぱいにそういうミラーを微笑ましく見てからニルナは猫の群れへと目をやった。
其処には挑戦的な目で見る猫の群れが大量だった。まさしく猫ワールド。
「各テントに10匹ずつ、合計10個設置します。捕まえたグループごとに入れておいてください。喧嘩をするようなら離すようにしてくださいね」
「喧嘩かじゃれ合ってるのか見極めるのも大変そうねー」
「ずっと眺めてちゃダメですよ、師匠?」
「わ、わかってるわよ!」
本当は眺めていたいディーネなのでした。
「とりあえず‥‥にゃんこを一匹ずつ捕まえてサクラの前に出せば、いいわけだな‥‥?」
「は、はい。‥‥オルステッドさん、目が怖い‥‥です」
「可愛い猫が勢ぞろいじゃからのぅ。そうなってもおかしくはないじゃろうて」
ペットのポッチを猫と戯れさせながらマルトがそう言う。
オルステッドはにゃんこを一匹抱き上げて目を光らせている。大丈夫かなぁ? と少し不安になるサクラなのだった。
「では、まずこのお酒‥‥化け猫冥利で釣ってみましょう」
ニルナはもってきたお酒を平たいお皿の上に注ぎ、そっと差し出してみた。
数匹の猫が不思議なものに釣られ、水だと思って近寄り匂いを嗅ぐ。これは猫の習性の一つ。
つーん‥‥!
不思議な匂いが猫の鼻を襲う! 好奇心にかられて一匹がぺろりと舐めれば他の猫も真似をする。
「‥‥あ、あれ? 化け猫が来るんじゃあ‥‥」
「猫って好奇心の塊だったりしますからねぇ。サクラさん、今のうちにあそこにいる猫達にアーティファクトを」
カイがそういうと、サクラは頷いてアーティファクトであるステッキを取り出し猫達へとむける。
‥‥反応なし。
「どうやらこの子達じゃないみたい」
「違いましたか。それではこの猫達はテントに入れておきましょう」
残念そうながらも猫を抱っこするニルナの表情は少し緩んでいた。
素晴らしい猫の毛並みを堪能しているようだ。
「これだけの猫がいては食料も不足気味でしょうから。それに、猫の好奇心は強いですからね」
鼠の匂いをつけた小さな袋を引きずりながらカイは言う。
まさしくその通り、猫は群れとなってその小さな袋を追いかけている。
に゛ゃーに゛ゃーという声が響く。
「サクラさん、早いとここっちもお願いします」
「あ、はーい!」
「サクラ、大変だなぁ」
「ミラーも手伝ってよぉっ!」
「僕は応援係だからねー! 頑張れー!」
ケラケラと笑うミラーを横目で見ながらも、サクラはアーティファクトをかざしていく。
反応ナシ。これもハズレのようだった。
カイは其れを見ると、猫をテントへと放り込んでいく。
「ほら、次々と来るぞ、サクラ‥‥!」
「ひ、ひあぁぁ! 少しは手加減してくださいぃ!」
「この数なんだから仕方ないだろう‥‥!」
オルステッドは一匹捕獲してはサクラの前に出し、ハズレならテントへという作業を繰り返す。
其れを鞭でやってるから恐ろしいものなんだが。
「ほーら、毛玉だよー」
既に猫とお遊びタイムとなっているアルヴィス。
毛玉を片手に数匹の猫と戯れている。サクラも要領が分かってきたのか、その間にアーティファクトを向けて判別する。
そして此処にも、猫とお遊びタイムになっている人がいた。
「猫のすべらかな毛並み‥‥ひんやりしたにくきぅ‥‥嗚呼‥‥」
「マルトさん、うっとりしちゃってますね‥‥」
「猫好きにはたまらないでしょうね、この現場」
ニルナとカイは微笑ましく其れを見守る。
誰も止めようとはしないのだ。
「して、サクラ。猫の何処が一番だと思う?」
「えっと、私はつぶらな瞳が好きかな? ああいう目で見つめられると怒れないよねっ」
「猫はたまらんのぅ。確かにその攻撃は卑怯なのじゃ」
猫会談でわいわいしているその中、一人の冒険者が猫を追いかけていた。
それでも目線はテントの方へ。
「は、入ろうだなんて考えてたわけじゃないわよ。テントの中に」
誰に言い訳しているのやら、ディーネはそんな事を言いながら三毛猫の群れを追いかける。
「捕まえたぁっ!」
滑り込んで捕まえようとしたその瞬間、翼を広げて猫が飛んだのである。
「見つけた! あれよ、あれっ!」
「テントの中に入られる前になんとかしちゃいましょう!」
「サクラ、早く捕縛するのです!」
「は、はいっ! 真理なす神の、行く行くを願いて! 我が掌中にその命委ねん!」
グリルマルキンも最後はあっけなく捕縛されたのである。
●終わった後は
「皆さん、喉渇いたでしょう?缶ジュース持ってきたので休みませんか?」
ニルナが持ってきていた缶ジュースを取り出してそういう。
その傍らにはおいしそうな食べ物が置かれていた。
「あれ、これは?」
「ケーキ、天界人の知り合いから聞いて作ってみたんですけど‥‥どうでしょう?」
とっておきのホットケーキミックスを使った物だ。
「ケーキ? これがそうなんだ?」
「あ、ホットケーキ! 懐かしい、こっちにもあったんだね?」
サクラが嬉しそうにホットケーキにパクつきほんわか笑顔である。
勿論、ディーネ達も笑顔でパクついている。
「たまにはこういう依頼もいいものじゃのう」
「そうですね。猫を膝に乗せてこういうのも悪くないです」
「でも、本当に疲れたね」
アルヴィスがそういうと、冒険者達は揃って頷いた。
しかし、そんな楽しい時間はすぐに過ぎるものだ。猫とも別れ、そして‥‥。
「サクラ、私は貴女のことを剣として盾として‥‥そして姉として守っていきますからね」
「ありがとう、ニルナさん。私凄く頼りにしてるね?」
「や〜‥‥」
ニルナの声に反応してウェンディは嫌がる反応を見せる。ミラーも久しぶりの同族との別れに少し寂しいらしい。
「だーいじょうぶ! また会えるって! その時はいっぱい遊ぼうぜ?」
「そうですよ、また会えます」
こうして、再会の約束をして冒険者達は帰路につくのだった。