築城軍師〜復興までのカウントダウン

■ショートシナリオ


担当:マレーア4

対応レベル:フリーlv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:3人

冒険期間:07月21日〜07月26日

リプレイ公開日:2006年07月24日

●オープニング

 フェーデも無事とは言えないが治める事は出来た。
 これでウィンターフォルセも復興に向かうだろう。
 そう思えたのだが。

「何? 街の者が協力に応じようとしない?」
「は、はい。皆それぞれの家に閉じこもり、一度足りとも開けようとしないのです」
 困った騎士の一人がそう領主に告げる。
 ウィンターフォルセはつい先日のフェーデの中、養子縁組が決まりいざ後継ぎの公表という所まで来ていたのだが。冒険者達の凄まじい力業を見て、どうやら住民が完全に怯えきってしまったようだ。
 無理もない。目の前で強大過ぎる力を見せつけられれば、侵略者への恨みや復仇者・救援者への感謝以上に、恐れを抱く。殊に住民の大半が読み書き出来るほどに教育が普及しているこの街では、元々権威に無条件に服従する者は少なかった。
「それで、ルキナスはどうしている?」
「其れが‥‥昨夜から休みなしでずっと一人で復興作業に出ておられ、お休みくださいと申しても返事をしてくださらないのです」
「‥‥ライキと似ておるな、やはり」
「如何なさいましょう?」
「元はと言えば冒険者の力によるもの。プリンセスにとっては踏み超えねばならぬもの。だとするならば、此れは冒険者に任せた方がよいかも知れぬ」
「で、ですが‥‥!」
「この地を冒険者の地として治めたいのであるならば、下手な事はせんだろう。其れに、超えねばならぬ壁だ」
 領主。それは大変な仕事でもある。
 民の声を聞き、民の心を考え、民の為につくす。民なくしては、どんな肥沃な封土も価値がないのだ。
「ルキナス様は如何なさいますか?」
「好きなようにさせてやれ。此れもライキと同じ道を辿るものの一歩だろうて」

 ウィルの基準からすると驚異的なインテリが多いこの街でああなった以上。こういう事になるという事はルキナスは予想していた。
 何も知らない一般人の認識では、魔法は何時でも自由に行使できる得体の知れない破壊的な力。それを見かけはとても可愛らしいほんの子供が手にしている。加えてロック鳥やフロストウルフの幻影が、ルーケイ伯の凄まじい戦のイメージを呼び起こしていたのだ。
 元より、最近まで平和だったこの街と、盗賊にでたらめな支配を受けていたルーケイとでは事情が大きく異なる。
「‥‥もう少しでここは終わるか」
 一晩寝ずに復興作業を一人で行っていた。
 領主より与えられた立派な服は、何時しか泥まみれになっていた。
 そんな事は、気になどならなかった。
「民なくして統治なし。師匠の言葉がこんな時に身に染みるなんてなぁ?」
 へらりと笑えば、空を見上げた。この前のフェーデが嘘のような青い空。
「さて、瓦礫はこれぐらいにして‥‥後は‥‥」
 見やった先は数件並ぶ民家。その民家も半分崩壊していて、原型はある意味残されてはいない。
 扉を叩けば、気荒い夫人の声。
「こんにちは、お嬢さん。少しお話を聞いて頂きたいのですが‥‥」
「‥‥」
 無言でルキナスを見ると、強ばった顔で静かに戸を閉めた。寧ろ罵ってくれたほうが心安らかであろう、とりつく島もない反応。
 それでも彼は、ずっと戸を叩き続けるだろう。
 一軒一軒。丁寧に。

 いつの間にかルキナスから、昔の害の面影は消えていた‥‥。

●今回の参加者

 ea0393 ルクス・ウィンディード(33歳・♂・ファイター・人間・フランク王国)
 ea0447 クウェル・グッドウェザー(30歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea3446 ローシュ・フラーム(58歳・♂・ファイター・ドワーフ・ノルマン王国)
 ea9535 フィラ・ボロゴース(36歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)
 eb3770 麻津名 ゆかり(27歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb4096 山下 博士(19歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb4270 ジャクリーン・ジーン・オーカー(28歳・♀・鎧騎士・エルフ・アトランティス)
 eb4412 華岡 紅子(31歳・♀・天界人・人間・天界(地球))

●サポート参加者

ミリランシェル・ガブリエル(ea1782)/ レン・ウィンドフェザー(ea4509)/ ルリ・テランセラ(ea5013

●リプレイ本文

●瓦礫の中のウィンターフォルセ
「これは‥‥酷い」
 ウィンターフォルセの街を見てそう呟いたのはクウェル・グッドウェザー(ea0447)だ。
 大きな鍋や保存食、テントや毛布等の補給物資を積んだ馬と一緒に。
「ここまで酷いとはな。予想つかずだ」
 顔を顰めて彼の隣でルクス・ウィンディード(ea0393)がそう呟いた。
 ウィンターフォセルの一角ではあるのだが殆どが瓦礫の山状態。中には孤児の姿もあるだろう。
「とにかく、今は僕達の出来る事をしましょう」
「そーだな‥‥さて、それぞれやれる事しにいきますか‥‥」
 二人の青年は、仲間の到着を見てウィンターフォルセへと入っていく。

●陛下への使者
「さて、あたいは動くよ。テントとかの手伝いは戻ってから手伝う」
 レン・ウィンドフェザーが一筆認めた手紙を片手にフィラ・ボロゴース(ea9535)は立ち上がった。王都にも被害が出ると見て、王から少しは資金が出るのでは? そう思ったのだ。
「なら、私も参ります。セトタ語、読めた者がいた方が安心でしょうし」
「頼むよ、ジャクリーン。あたいだけじゃ心細いしさ」

 勿論、事情を説明したが真実かどうかは判断出来ない。が、ウィンターフォルセの崩壊はつい先日の事。意外にも簡単に謁見が叶う。
「レンの使いとあるが、何用か?」
「ウィンターフォルセは先のフェーデにより疲弊しております。どうか陛下の御力を御貸し下さい」
「ふむ、話には聞いておる」
「此方に、レン姫様の書がございます」
 ジャクリーン・ジーン・オーカー(eb4270)の言葉に、フィラは小さく頷いてエーガン王に書を奉る。
 王は暫し其れを眺めて頷けば
「このままでは王都にまで被害が及ぶ可能性があります。食糧の値が上がれば、陛下の威信にも傷が付くと言うもの。是非我らにご助力の程を!」
 フィラの押しの一言が出る。
「レンの書か。なれば、我が子の意思と認めよう。卿等は何を望む?」
「復興にも幾らかの資金が必要です。それに、家の建て直しには資材が‥‥」
「そうか。少ないかも知らんが幾らかの資金を用意させよう。資材の方は多くは回せぬがよろしいな?」
「はいっ! それだけでも十分ですっ!」
 ウィンターフォルセは西の玄関。軍事的にも要の地である。背景を持たぬ天界人のレンを猶子にして送り込むのは、王都の鎮めとするためである。王は自分を裏切らない領主を欲していた。然るに街が荒れたままでは計画が狂う。
 こうして、王は幾らかの資金と資材を支援することを決めた。

●両家の行方
「ここがレヴンズヒルド家の屋敷か」
「はい、そうです。ルーシェさんなら何とかお話分かってくださると思うのですが‥‥」
 麻津名ゆかり(eb3770)が心配そうに言うと、ルクスは小さく溜息をついて肩を叩く。
「判断するのは俺達じゃないからな、不安は当然だ。全力は尽くそうぜ?」
「そうですね‥‥よし、では行きましょうっ!」
 こうして二人はレヴンズヒルド家の門を叩いた。

 警備の者と悶着したものの、無事居間へと通された。以前の豪華さを失っている、というのが前来た者なら分かるかも知れない。
 フェーデの一件で被害が出たのは両家も同じ。資金的にも、人材的にも。
「して、わし等に何の用か?」
「今、街がどのような状況にあるかお分かりですよね? 復興を手伝って‥‥いえ、要求しに来ました」
「わし等とて見ての通り。資金を出せるわけもない。人を出せるのは女のみ。騎士の多くは此方の警備の事もある」
「民に罪はあるのですか? 民がなにかしたのですか? それともあんたらは民などどーでもいいと? 自分たちは関係ないと言って無視するのか? ‥‥ふざけんなよ」
 渋るレヴンズヒルド家当主にそう怒りを露にしたのはルクスだった。怒るのも当然だ。しかし、レヴンズヒルド家にとっても渋るのは当たり前。
「ルクスさん、あまり強く出られては‥‥」
「問題は、ないと思います」
「ルーシェさん!」
「ゆかり様、貴方の意思はお受け取り致しました。全て聞かせて頂きましたので」
 ルーシェがにっこりと笑ってそう言うと、ゆかりとルクスは顔を見合わせ、一礼した。
「其方の方のお怒りもご尤も。お父様、街をレヴンズヒルドの街と主張するなら、民もレヴンズヒルドの民ですわ。お父様がやらないのであれば、私がお手伝いします」
「ルーシェ、其れは‥‥!」
「お父様が幾ら止めても、私は止まりません。‥‥ルキナス様が一人で頑張っているという事も聞きますが、私は何より民が心配です!」
 レヴンズヒルド家の説得はまず成功。ルーシェが協力をすると申し出たのだから。

 一方のハーヴェン家には山下博士(eb4096)がゴーレムグライダーで向かっていた。同時に身分証明にもなる。乗り付けた事により、それも叶い速やかにユアンに会う事が出来た。
「あれ‥‥? 博士、さん?」
「フェーデの事、聞きましたよね? ‥‥友達として頼みに来たんです。街の人達を、助けてくれない?」
 その一句で、ユアンは寝台より少し体を起こし目を伏せた。病弱である自分に何が出来るのか自問自答していた、が。
「‥‥分かりました。君の頼みでもありますし、僕も何とかしたいです。でも‥‥」
「なら、グライダーで街を視察しましょう。たまには空の散歩も悪くないものです。それから対策を練っても遅くはないですよ?」
 博士の言葉に、ユアンはコクンと頷いた。病弱ではあるが、その目は真剣そのものだった。

●復興作業
 王都から戻ってきたフィラはクウェルと合流し、テントを受け取るとすぐさま復興作業にとりかかった。
 まず手始めに邪魔にならないような場所を選定する。
「ここに配給を置く場所を作っていいか? 大事な物資が届くんだ」
「‥‥」
 顔を覗かせる民に聞けど、対応はルキナスの時と一緒。其れでも挫けずテント張りの手伝いを始めた。近くではルリが懸命に歌うものの、民の心は動かず。如何に善良であっても、祈りだけでは何事も為せない。
「やはりそうすぐには動きませんよね‥‥」
「仕方ない。わし等だけでも働いて見せればそのうち出てきてくれるやもしれん」
 幸いな事に王都から僅かだが資材が届いている。
 ローシュ・フラーム(ea3446)はその資材を元に危険な箇所を修理していく。
「そうですね、行いは嘘をつきません。頑張りましょう」
 大きな鍋をドンッと置いて、料理を始めるクウェル。
 保存食が元である為、何処まで美味しく出来るかは分からない。けれど、心が篭っていれば‥‥そう考えたのだろう。

「ふぅ‥‥どうやらあいつ等、来てくれたみたいだな」
 賑やかになった一箇所を見て、ルキナスは力なく笑っていた。内心、心配でいっぱいだったからだ。
「ルキナスさん!」
「ゆかりに‥‥紅子? 君達も来てたんだな」
「貴方の支えになりたいの。邪魔かしら?」
 華岡紅子(eb4412)がそう尋ねると、ルキナスは少し驚いた。言い回しを深く考えてしまったがすぐに首を横に振り、笑顔を向ける。
「ありがとう、素直に助かると言っておくよ」
「先ずする事は‥‥民を安心させる事ですね?」
「あぁ、かなり心に傷を負っている。それに瓦礫の所為で閉じ込められている民家もある」
 ルキナスの言葉に、ゆかりと紅子は頷いてそれぞれの復旧作業にあたった。
 ゆかりは羊皮紙や古布のハギレを用意し、閉じこもった民への手紙を戸口に挟む。字が読める者が多いからだ。
 紅子は民家の前の瓦礫の撤去作業をしているルキナスの真似をして其れを手伝っていた。
「お師匠様の事、少し聞いたわ」
「‥‥お喋り爺さんめ」
「ねぇ、何を教わったの? 私、聞きたいわ」
 これからのレンの糧にもなる。そして、何より彼の事を知っておきたいという思いがあったのかも知れない。
「‥‥聞いても下らない事だぜ?」
「それでもいいわ。作業しながらでいいから」
「師匠は何時も言ったんだ。民は光だ。民がいなければ王や領主なんてただの人だって。今、其れを実感してるさ‥‥」
 そんな話をしながら、民家の前の瓦礫は撤去されていった。
 一つ一つ丁寧に。そんな時、出来上がった物資配給の広場にいい匂いが漂った。
「みなさん、食料と衣類と毛布。此方で配布しています! 何時来てくださっても結構ですので、何時でも頼ってくださいね!」
「どうやらあっちも動き始めたか。こっちも随分片付いたし、手伝うかな‥‥」
 ルキナスが立ち上がれば、不眠不休がたたったのか体がぐらりと揺れた。
 慌てて紅子が其れを支えた。
「その前にルキナスさん、少し休んで? ここで倒れたらルキナスさんの思いを皆に伝える事が出来ないわ」
「‥‥いや、俺も手伝う。その気持ちだけでありがたい。‥‥ま、紅子が膝枕してくれるんならいいけど?」
 そんな冗談交じりの言葉を交わし、二人は復旧作業の手伝いへと向かう。テントが張られた広場には、空腹には耐えられない。寒さには耐えられないという民が次々と出てきていた。

●世代は変わる
 博士と共に街の様子を視察していたユアン。
 突然降ろしてくれ、と言うと博士はグライダーを地に置いた。
「‥‥これが、今のウィンターフォルセ‥‥」
「はい。多くは傭兵が壊したと思っているのですが‥‥」
「其れは違います。此れは、フェーデを起こした両家が民にした仕打ちなんです。この街の現状は‥‥民の心なんです」
「ユアンくん‥‥」
「僕に、何が出来るんでしょう? 確かに勉強はしてきました。ですが‥‥いざ局面になるとこうです」
 苦笑じみた笑顔を浮かべるユアンを見て、博士は少し不安そうに見据えた。原理原則は学んできたが、まだ経験の少ない彼。博士とて経験はないが、彼が学んだのは手本とする事例。すなわち歴史である。
「ユアン様! 領主様より、伝書を預かっております!」
 そんな時、一人の騎士がユアンに声をかけ、書状を差し出した。
 差し出された書状を見て、ユアンはきょとんとしていたが受け取り中を見ると絶句した。
「どうしたんです、ユアンくん?」
「博士さん、今すぐ屋敷に戻ってください。そして屋敷にあるだけのミルクや水、お酒等を集めてください!」
「ユアン、くん?」
「僕は、やらなきゃいけなくなりました。手伝ってください」
 そう言って書状を読み上げる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ユアン・ハーヴェンに男爵位を授け、ハーヴェン家当主とす。
 爾後、プリンセス・レンの補佐として勤むべし。
 但し、当主若年につき、父・前当主には引き続き領内の仕置きを任せ、
 男爵の名乗りを許す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 玉璽の捺されたエーガン陛下の名によるハーヴェン家の仕置きである。一族の総領でもあるウィンターフォルセの連署。これで公にはユアンが領主である。
 博士は笑みを浮かべユアンとグライダーへと乗り込む。ウィンターフォルセ男爵の手配りで、彼に話した構想、次世代同盟が実現するかも知れないからだ。

「ゆかりさん、此方にも食料お願いします」
「あ、はいっ」
「待っててくださいませね? 今すぐ手当てしますから‥‥あ、動かないでください」
 治療道具を片手に、ルーシェはゆかりと一緒に民達の傷の手当てを行っていた。気休めかも知れない。けれど傷をそのままにしてはおけないから。
「包帯に出来る布がありませんね‥‥」
「大丈夫です、私にお任せくださいませ」
 そう言うと、ルーシェは自分のドレスを引き破り其れを包帯代わりに傷口へと優しく巻いた。作為ではない自然な姿に、民も少しずつ心を動かされていた。
「ルーシェ様、ルーシェ様!」
 侍女の声が聞こえれば、ルーシェは民に頭を下げながら侍女の方へと歩み寄った。
「伝書を預かっています。領主様からです」
「そうですか、ありがとうございます」
「‥‥何て書いてあるんです?」
 ひょいと横から覗きこむゆかり。拾い読めば
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ルーシェ・レヴンズヒルドに男爵位を授けレヴンズヒルド家の当主とす。
 爾後、家政を取り締まり、プリンセス・レンの教育係として勤むべし。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 こちらも書式は同様であった。
「ルーシェさん‥‥お受けになるんですか?」
「勿論です。当主として恥ずかしくないよう‥‥復興にも、補佐にも勤めるつもりですわ。さぁ、ゆかりさん。残りの人も手当てしてしまいましょう!」
 ハーヴェン家と比べて前当主の立場が無いのは、ルーシェが成人に達していたせいもあるが、街を脅かす要塞を作った責めもあるようだ。

 何時しか物資配給広場には人が沢山集まっていた。
 女、子供、老人。配給を少しずつだが手伝う者も現れていた。
 其れは、本当の意味での復興へと向かっていたのだった。
「これで心が少しでも和らいでくれればいいのですが‥‥」
「大丈夫だ。少しずつ笑顔が出てきてるの、分かるだろう?」
「ルキナスさんやルーシェさんのおかげね」
「俺はなぁんにもしちゃいないさ」
 そう言うと、ルキナスは大きな欠伸を一つ。其れを見て紅子はクスクスと笑った。
「今度は、ちゃんと寝て貰うわよ?」
「だから、キミが膝枕してくれればってね?」
 額にキスしてくる紅子にまたそう言ってルキナス。

 今は休んではいられない。
 復興までの第一歩は、確実に歩めた。

 その頃王都では。召還を受けた博士が王の前にあった。
「大儀であった。予てより申請のあったグライダーを引き渡す。要らぬ妬みを受けぬよう、代価は貰うぞ」
「あ、ありがたき幸せにございます」
「また、こたびの労により紋章を与える。汝のものだ。これで名実共に子爵だ。‥‥領地はルーケイ平定までお預けだがな」
 浅黄の地に白抜き。羽ペンをくわえた雲雀。
「グライダーにも記しておいた。以後、王都・ルーケイ・ウィンターフォルセでの飛行を許す。何があっても、マリーネの事を頼む」
 先の話が伝わっていたらしい。博士自身に護る力はまだ無いが、既に幾つかの布石は打ってあった。