【遺跡探索記】干潮時のみ現れる祭壇
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■ショートシナリオ
担当:マレーア4
対応レベル:フリーlv
難易度:やや難
成功報酬:4
参加人数:8人
サポート参加人数:3人
冒険期間:08月25日〜08月30日
リプレイ公開日:2006年09月03日
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●オープニング
今日も多くの冒険者達がウィルの冒険者ギルドの扉をくぐり、依頼を請けて出てゆく。
そして、無事に帰ってきたときは一回り大きく見える。
冒険を通じて貴重な経験を得、身体的に成長したこともあるだろう。だが、それ以上に精神的に成長した冒険者は、得てしてそう見えるものだ。
国王エーガン・フオロの許可を得てウィル国内を回り、武者修行の旅を続ける女鎧騎士カティア・ラッセ(ez1086)も、その一人と言える。
身を包む鎧騎士の証たるゴーレムライダーや、背負っているサンショートソードには馴染み始めた跡が見え、なにより左腕に括り付けている円形のライトシールドは、先の冒険で手に入れた戦利品の魔法の品だ。また、叙勲を受けたばかりの、初めて冒険者ギルドを訪れた時に比べると、蝶よ花よと育てられた貴族令嬢の顔立ちに幾分、凛とした雰囲気が窺えるようになった。
立ち振る舞いも面構えも“さま”になり、ようやく『冒険者』と呼べるレベルになった。もっとも、冒険者ギルドでたむろする中堅どころの冒険者達から見れば、彼女はまだまだヒヨッコに毛が生えた程度だが。
「今回、探索しようと思っている遺跡は、探索出来る時間が限られるので難航しそうなのです」
カティアはカウンターに付くと、そう切り出す。彼女は今までウィルより東に船で二日、シムの海に面した海岸を旅していた。そこで、岩肌が剥き出し岸壁に、打ち寄せる波が入り込む洞窟らしきものを見付けたのだ。
地元の漁師に話を聞くと、その洞窟は彼らの何代も前に、海の精霊を奉った祭壇があった場所だという。だが、地滑りか地盤沈下か、何らかの影響で海水が入り込むようになってしまい、祭壇は新しい場所に移して破棄し、今は地元の子供でも立ち入る物好きはいないそうだ。
「実際に見に行ったところ、満潮の時はわたしの顔くらいまで海水があるので入れませんでしたが、干潮になると膝くらいまで水位が下がるので探索出来ます。入ってすぐのところに、確かに祭壇はありましたが、洞窟はまだ奥があるようなのです」
カティアは何度か遺跡調査の経験を積んでいるものの、技能を身に付けていないので深入りは危険を判断し、その道のプロである冒険者を募ろうと思い立った。
祭壇として使っていたとなると、精霊の儀式に関する道具が残っている可能性も否定できない。しかし、問題は祭壇を移したという点だ。空っぽの遺跡とも考えられる。また、洞窟の大半は長い間海水に晒されているので、残留品があったとしても、腐食し使い物にならないことも十分あり得る。それは仕掛けられた罠にも当てはまるのだが。
「それに今回は、干潮時にしか入れないので、素早く探索する必要があります‥‥好条件はあまりありませんが、わたしの武者修行に付き合って戴く形で、協力して戴けないでしょうか?」
昼間の干潮の時間は四時間程度だという。最深部まで到達したら、当然入口まで戻ってこなければならないので、今回は行きだけではなく、帰る時間も考慮する必要がある。
報酬はいつものように、遺跡の中にあったアイテムを冒険者達で山分けする。また、今回はウィルからシムの海までの船代はカティアが持つので、アイテム以外の金銭的な報酬はない。尚、万一、魔法の武器・防具が見付かった場合はカティアも分け前に含めることになる。
カティアはその装備からも分かるようにウィル新刀を修め、チャージングとフェイントを修得している。
カティアが武者修行の旅をしているのは、フオロ家に仕える男爵家の一つ、ラッセ家の家督を継ぐ為だが、鎧騎士になる為に通った騎士学校の学費はフオロ家が負担しており、自分の名声を高める事で鎧騎士の地位向上に貢献し、主君から賜った恩を返している。
今回もカティアの武者修行に付き合い、遺跡を探索して欲しい。
しかも、今回の目的地は海! 遺跡の洞窟近くには砂浜もある。探索出来る時間は限られているので、余った時間は海を満喫するのも一つの手だ。
海水浴に海釣り、取れ立ての海の幸でのバーベキューなどで探索の疲れを癒し、カティアと親交を深めるのもいいだろう。
ちなみに、カティアは水着を持っていないので、海水浴をする機会があり、余っていれば貸してあげてね。
●リプレイ本文
●上には上が
ウィルより船で2日、雄大なシムの海へ出る。
砂浜へ打ち寄せるさざ波の小気味いい音、悠然と羽ばたく海鳥達の囀り、頬を撫で鼻腔をくすぐる潮風‥‥その中に一際響く、鋼と鋼の爆ぜる音。
「なかなかの踏み込みだが、思い切りが足りないぞ! かわされたら後がないと思って踏み込め!」
ライトサンソードを右手に、シルバーダガーを左手に構えるレイリー・ロンド(ea3982)。対峙するカティア・ラッセは、サンショートソードとライトシールドという出で立ちだ。彼女は剣の師匠の教えに従い、ゴーレムライダーを着けていない。
裂帛の気合いと共に、カティアが刃を横に薙ぐ。レイリーは口には出さないが思わず感心する。以前はモーションの大きな攻撃をしていたが、今はサンショートソードの特性を活かしたコンパクトな攻撃が様になっている。
このカティアの切っ先をかわす事はレイリーでも無理だろう。
「それなりに鍛えられたみたいだな‥‥だが、牙が一つとは限らないんだぜ?」
シルバーダガーの刃にサンショートソードを滑らせて受け流し、その反動を利用してサンライトソードで反撃に出る。カティアの瞳はレイリーの切っ先を捉え、ライトシールドを構えるが間に合わない。
「次は俺ね。お手合わせ願います?」
カティアが一呼吸置くと、時雨蒼威(eb4097)が刃に布を巻いた縄ひょうをくるくる回しながら、飄々とした物言いで相対する。しかし、メガネ越しの黒い瞳は鋭いままだ。
「魔法の盾を手に入れたそうで。矢を受け止める訓練でもしますか?」
「魔法の盾と言っても無銘ですよ」
蒼威が適当に飛ばす縄ひょうを、カティアはライトシールドで受ける。
(「目は付いてきているようだな。身体の方が反応し切れていないと言ったところか。それに改めて見ると、なかなか知的な顔立ちをしてるじゃないか」)
適当とはいえ、蒼威の射撃の腕前は専門級。カティアは動体視力はいいようで、縄ひょうの軌道を目で捉えるが、それにやっと身体が追いついていた。
「では、本番を」
カティアの力量を推し量ると、蒼威は今度は顔面や足下など盾の使いにくそうな部分への攻撃を織り交ぜ始める。
「変幻自在のレオンの双牙に、トルクの俄男爵流ですか‥‥」
シュバルツ・バルト(eb4155)はカティアと蒼威達の手合わせを間近で見ている。彼女もカティア同様、鎧騎士として修行中の身。この後、二人と手合わせをするので、レイリーと蒼威の一挙一足を一時たりとも見逃さないつもりで、瞬きも忘れて追っている。
実は戦いたくてうずうずしている。
「‥‥俺は、カティアさんに何か示せているのでしょうか‥‥?」
「さぁ?」
シュバルツの隣で手合わせの様子を見守るイェーガー・ラタイン(ea6382)がポツリと漏らした。しかし、それを耳にしたイフェリア・エルトランス(ea5592)の返事は素っ気ない。
「‥‥俺は、レイリーさんや蒼威さんのように、カティアさんを鍛える事は出来ないですし‥‥」
「イェーガーさんがカティアさんに何かを示せているかどうかは、あなたがカティアさんの武者修行をどういう思いで手伝っているか次第ではないかしら?」
カティアと蒼威の手合わせが終わると、二人はレイリーとシュバルツに場所を譲り、良かったところと悪かったところを話し合う。その光景にイェーガーは思わず拳を握り締める。
「カティアさんの遺跡を見つける嗅覚は素晴らしいわ。ビギナーズラックの域を超えて、これはある種の才能じゃないかと思うの。でも、カティアさんは鎧騎士、一人で遺跡は踏破できないわ。だから私は友達としてカティアさんを守りたいから、レンジャーの腕を貸すのよ。イェーガーさんも何か思うところがあったから、毎回、カティアさんに協力しているんじゃないの? それに、カティアさんがイェーガーさんの事を邪険にした事があったかしら?」
イフェリアは苦笑し、「あまり気負わないでね」と彼の肩をポンと叩き、オラース・カノーヴァ(ea3486)達が先行して調査に向かった磯へ様子を見に行く。
浜から磯へ変わり、更に歩くと、岸壁にぽっかりと洞窟が口を開ける。
「干潮まで後一、二時間ってところか」
アレス・メルリード(ea0454)が潮の引き具合からそう推し量ると、アシュレー・ウォルサム(ea0244)がソーラー腕時計のストップウォッチ機能を起動させる。
「遺跡の探索に時間制限があるのは、確かにあまり好い条件とは言えないな。しかし、修行が目的なら持ってこいだよな。ま、俺としてもどちらかと言えば目的はそっちだから構わないんだが」
「遺跡探索なんてイギリス以来だからね‥‥どんなのが待ち構えてるか楽しみだよ」
「この手の海の洞窟には、シーウォームや鮫が入り込んでる可能性があるぜ」
アレスとアシュレーは岩に身を顰めて2mはある、三匹のジャイアントクラブをやり過ごす。遺跡を探索する前から無駄な消耗は避けたい。
そこへ海面を割ってオラースが現れる。イェーガーから借りたトライデントと、イフェリアから借りたラーンの投網には魚が獲れている。
「ま、ざっとこんなモンだ。もう少し時間があれば、素潜りで大物を狙いたいがな」
早速、オラースが調達した魚をアシュレーが簡単に調理してゆく。
「奥さんに料理作らされてるクチだな」
「いやー、ルーシェは俺の料理、美味しいって食べてくれるからねー」
その手慣れた手付きに、オラースはアシュレーの背中が煤けて見えたのかもしれない。しかし、彼の返事は惚気そのもの。うんうんと同意するレイリーとアレス。
海の料理、魚の塩焼きと海藻たっぷりのスープで遅めの朝食兼早めの昼食を採りながら、オラースが今までに戦ったシーウォームの経験を話して聞かせる。
「光源に向かう習性を利用して誘き寄せ、水中から姿を現したとこを叩く囮作戦がフツーの戦法だな。現れるとは限らんが、想定して損はねぇはず。灯りを誰が用意するか決めておこうぜ」
隊列や灯りを持つ者が決められ、アレスの愛馬マルスとレイリーの愛馬バングリート、イェーガーの愛馬ブリッツと蒼威の愛馬トウカイテイオーに、荷物番とアシュレーが可愛がっている仔猫虎太郎の番を命じ、遺跡へ臨むのだった。
●干潮時のみ現れる祭壇
干潮になると洞窟の入口の大半が露わになる。水深はカティアの膝程度。ちょっと足を取られ、動きが損なわれるくらいだ。
先頭はイェーガーとイフェリア、二列目はカティアとレイリー、三列目は蒼威、四列目はオラースとアレス、そして最後尾はシュバルツとアシュレーという隊列だ。灯りはイェーガーとイフェリア、カティアと蒼威、オラースがランタンで、アシュレーが腰に括り付けた手回し発電ライトで確保し、ほぼ周囲をカバーする。また、レイリーが懐中時計で、蒼威がソーラー腕時計で時間を計る二段構えだ。
「足元が悪いので、滑ったり転んだりしないよう、皆さん、十分に充分に注意し‥‥」
「わきゃ!?」
イェーガーが伝えた矢先にカティアが転け、盛大な水飛沫を上げる。時間が惜しいので着替えるのは探索が終わってからだ。
入ってすぐに打ち捨てられた祭壇があった。
「移す前の、海の精霊を奉った祭壇ですね。海の平穏と大漁を祈願する祝詞が掘られています」
(「この妖精、うちのミューズに似てるな」)
祭壇には海の精霊や妖精を思わせるレリーフが微かに残っていた。シュバルツが祭壇に刻まれたセトタ語を読み取る傍ら、レイリーがレリーフを見ながらそんな事を思う。
祭壇自体はその機能を移されたのと、海水に浸かっていたので何も残されておらず、その横にある洞穴に入る。
しばらく真っ直ぐな通路が見える(「│」)。
「罠があったのかもしれねぇが、海水に浸かって使い物にならなくなったか?」
「これが噂の耐震偽造問題‥‥合掌」
床に罠の痕跡はあるが、肝心の罠自体はない。軽口を叩くオラースの前で、何故か手を合わせる蒼威。
通路はまだ真っ直ぐ延びている(「|」)。
「妙だな、ここはやけに上の方に横穴が多いな」
「‥‥!? ‥‥蒼威さん達はその場で止まって下さい!!」
満潮時の洞窟の様子を見ているアレスは、浸水の高さも確認済みだ。この洞窟も四分の三は浸水するが、四分の一は海水の影響を受けない。彼が浸水していない上の方を見ていると、複数の穴が見受けられた。
イェーガーは蒼威以下、後ろのアシュレー達を止める。どうやら、両サイドの斜め上の壁から複数の槍が飛び出す罠のようだ。特定の範囲の床全体がスイッチになっており、その範囲内に決められた重量が掛かると槍が飛び出す仕組みだ。
アレスのお陰で早期発見に至ったのと、海水が全員の重量を若干軽くした為、まだ罠は起動していなかった。
先ずイフェリアとカティアが先に進み、その後も二人ずつ通り抜けて事無きを得た。
すると、右手に脇道が見えてくる(「├」)。しかし脇道は細く、シフールでもなければ通り抜ける事は出来ないだろう。
「‥‥この亀裂は外に繋がっているようですね。微かに風の通りを感じますが‥‥罠らしい罠はないようです‥‥」
イェーガーはそう判断し、先へ進むが‥‥。
「!? 走るんだ!」
「きゃあ!?」
最後尾で罠の再確認をしていたアシュレーが叫ぶ。ワンテンポ遅れたシュバルツは、隙間から噴出した海水を浴びてしまう。咄嗟にライトシールドを構えたが、鉄砲水という程ではないものの、亀裂を抜ける間に圧縮された海水という自然現象では意味がなかった。
濡れ鼠だが、彼女も着替えは遺跡を出てからだ。
その先はT字路になっている(「┬」)。
「右側に落とし穴の罠があったようね‥‥!!」
「でも、落ちたら精神的に大ダメージだな」
イフェリアがランタンを照らして左右の通路を確認すると、右の通路を見て思わず息を呑む。右には落とし穴があったが、ダミーの地面を支える木の杭が腐食して折れており、落とし穴が姿を現していた。レイリーが彼女の後ろから覗き込むと、落とし穴の中には海辺の気色悪い虫がわらわら蠢いている。流石にレイリーでも近寄りたくない。
左に進むにつれ、海面を何かが叩く音が聞こえてくる。
「干潮まで残り時間が半分を切った。どうするカティア?」
「この先で終わりにしましょう」
蒼威が残り時間を確認するとレイリーも頷く。最終的な決定はカティアへ委ねられると、彼女はこの先の調査で終わりにすると決めた。
左側の通路の突き当たりはちょっとした空間が広がっており、その中央には潮だまりが出来ていた(「□」)。
「‥‥『生贄の祭壇』と刻まれていますね」
「ヤツだ! 全員灯りを消せ!」
シュバルツが入口の壁面に落書きのように書かれたセトタ語を読むと同時に、オラースの声が飛ぶ。おそらく干潮時に迷い込んだのだろう、鮫がいたが、鞭のようにしなる触手でその体を叩き、補食しているシーウォームの姿があった。
打ち合わせ通り、オラース以外のランタンのシャッターを閉じて灯りを消す。アレスとレイリーが得物にオーラパワーを付与していき、アシュレーは自らにウォーターウォークのスクロールを使う。
「おら、こっちだ!」
オラースがランタンを持って潮だまりに沿って駆けると、彼目掛けてシーウォームの全長8mにも及ぶ巨体が突っ込んでくる。元々大きいだけに、オラースにとってかわすのは訳はない。
だが巨体故に皮膚が厚く、攻撃が効きにくいのもまた事実。アシュレーとイフェリア、蒼威の、比較的軟らかい部分を狙った援護射撃の元、レイリーのレオンの双牙とアレスのサンショートソード、シュバルツのハンマーによる重い一撃とオラースのサンソードの重さを乗せた一撃、カティアの攻撃を受けても、ピンピンしている。イェーガーが鎖分銅を体に絡ませて動きを止めようとしたが、逆に彼が潮だまりへ引きずり込まれそうになるくらいだ。
しかし、オラースの囮作戦は功を奏し、持久戦となったが、シーウォームは彼に一撃も浴びせる事なく、その巨体を地に臥せる事となった。
この空間は海の精霊へ供物を捧げる、精霊使いしか知らない秘密の場所のようだ。供物といっても人の生贄ではなく、海では獲れない陸の動物が主だったものらしい。
祭壇を探したり、シーウォームの腹を捌くと、儀式の時に使う香油(今で言う香水)や精霊使いが装飾品として使っていたであろうシルバーリングや羽扇が出てきたので全員で山分けした。
残念ながら魔法の品は無い事から外れだったかもしれないが、中には妻や恋人へのプレゼントが手に入った者もいるだろう。
帰る途中でランタンの油が切れ、油の予備を持ってきていなかったイフェリアはアレスから油を買い取って補給しつつ、干潮までに遺跡から出られたのだった。
●異文化コミュニケーション
「こ、これが、天界の水着というものですか‥‥結構肌を露出するものなのですね」
「ほぉ、そんな綺麗な肌とナイスバディをしていて、隠してるのは女として損だぜ。肌を出して、堂々と胸を張った方がもっと華やぐと思うがな」
「カティアも捨てたもんじゃないな。家のサリュには敵わないけど」
イフェリアに手伝ってもらい、ワンピース水着を着たカティアは、もじもじと胸と下腹部を手で押さえている。メリハリの利いたプロポーションが露わになる水着姿は健康美に溢れている。
オラースは口笛を吹きつつ、思ったまま感想で褒めちぎる。レイリーも褒めるが、こちらは新妻の惚気へシフトする。
「今回は男性の冒険者が多かったけど、カティアさんの豊満な水着姿が狙いだったのかしら。ふふ、このスケベ」
「水着姿を見るならルーシェのが見たいです!!」
イフェリアが口元に手を当てて、男性陣をからかうように告げると、アレスはあまりこういう格好はあまり見慣れてない所為か照れて直視できず、アシュレーは真顔で返し、海に向かって「夜だけ色ボケなんじゃないやーい」と叫ぶ。
「な、なんて破廉恥な物を! カティア殿もウィルの鎧騎士なら慎みを持ちなさい!!」
「ふ‥‥フオロの騎士殿は可愛らしい‥‥自らに自信が無いと見える」
「‥‥今、何と?」
「いえいえ、空耳ですよー」
「シュバルツさんもせっかくですから、天界の文化に触れてみては如何です?」
「‥‥分かりました。トルク家の男爵にそこまで言われるのでしたら、着ましょう!」
(「ははは、綺麗な女性は泣いた姿と怒った姿が特に可愛いな♪」)
シュバルツは水着の露出の多さに赤面し、王都へ帰ろうとするが、蒼威の売り言葉に買い言葉、更にはカティアの後押しもあってワンピース水着を着る事になってしまう。
「‥‥平和ですねぇ‥‥」
越中褌姿で泳ぐ準備体操をするイェーガー。
この後、海水浴や釣り、素潜りやボートでの漁などで海の幸を大漁に獲り、アシュレーの料理でバーベキューを楽しみ、探索の疲れを取ったのだった。