子供達の不思議〜大人の事情

■ショートシナリオ


担当:マレーア4

対応レベル:8〜14lv

難易度:易しい

成功報酬:3 G 32 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月22日〜09月27日

リプレイ公開日:2006年09月24日

●オープニング

 王都にあるとある屋敷。
 その屋敷の書斎で男爵の一人であるアルフレートが執務を行っていた。
 目の前には山のように重なる資料。
 息子であるイェールクにかまけてしまい、このような惨状になったらしい。
 そんな静寂を、一つのノックが破った。

「お邪魔さん、アルフレート」
「‥‥なんでこんな時に限って来るんだい、君は?」
「ま、様子見ってとこ?」
 そう言うと、騎士風の男はズカズカと書斎へと足を踏み入れた。
 そして、アルフレートの目の前に山積みにされている書類を一枚手に持つと、小さく溜息をついた。
「大変だね、アンタも? 相変わらずって感じじゃないか」
「そんな事言う君も大概じゃないのかい、ヴィルフリート?」
「‥‥仕事、手伝おうか?」
「これ以上増やされても困るよ。君がやるとどうしても乱暴でいけない」
「おや、よく分かってらっしゃる」
「何年同僚やってると思ってるんだい、君は?」
 アルフレートの言葉にヴィルフリートは首をすくめて書類を元に戻す。
 そして、アルフレートの肩に手を置いて尋ねた。
「今夜、付き合わないか?」
「‥‥また君の屋敷に連れて行かれるのか、僕は?」
「一人で飲む酒よりってね」
 彼の耳下でそうぼやくと、ヴィルフリートは片手をひらひらと振って出て行くのだった。
 そんな彼を、アルフレートは見送り溜息をつくのだった‥‥。


 そんな二人のやり取りをこっそり覗き見していた息子イェールク。
 親密過ぎるように見える二人の雰囲気に不思議を感じていた。
「どうして父さまはヴィルフリート様にはあんなに優しい顔をするんだろう?」
 何時もは厳格を保つ為、凛々しくあるアルフレートなのだが。
 どうやらこの時に限っては穏やかな表情だったらしい。息子が言うのだから間違いはない。
 しかし、子供であるイェールクには其れが理解出来ていない。
「なぁ、お前はどー思う?」
 所変わって庭でイェールクはアレフに尋ねてみた。
 勿論、一部始終を話してだ。
「うーん‥‥其れは僕にも分からないですね‥‥でも、ただの友達ではなさそうです」
「ただの友達じゃない、かぁ‥‥なぁ、アレフ! 確かめてみないか?」
「え!? またそんな無謀なっ! ヴィルフリート様っていったら、男爵の中でも荒っぽい人だって‥‥」
「だーいじょうぶ! 俺がヴィルフリート様の跡をつけるから、アレフは父さまを頼むぜ!」
 こうして、子供達は無謀にも二人の行動を監視しようという行動に出た。
 そうすれば、きっと二人の関係も事情も分かるに違いない! と。
 其れは、好奇心からなのか。はたまた‥‥。

「ったく‥‥今日も執務かよ‥‥。ん?」
 街中。ヴィルフリートが歩いていると視線を感じた。
 不思議そうに振り向くが、其処には誰もいない。
「おかしいな‥‥。気の所為か‥‥」
 勿論、後をつけているのはイェールク。
 彼と同様、アレフもずっとアルフレートの監視を続けているのだという‥‥。

●今回の参加者

 ea0244 アシュレー・ウォルサム(33歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea1702 ランディ・マクファーレン(28歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea1704 ユラヴィカ・クドゥス(35歳・♂・ジプシー・シフール・エジプト)
 eb4412 華岡 紅子(31歳・♀・天界人・人間・天界(地球))
 eb7012 神堂 麗奈(33歳・♀・天界人・人間・天界(地球))

●リプレイ本文

●何かが違う‥‥
「子供二人に見つかってはダメだからな‥‥ここはこっそりと‥‥」
 神堂麗奈(eb7012)は誰よりも早く、男爵の屋敷へとたどり着いていた。
 狙いはイェールクだ。冒険者が様子を見に来たと聞いて、何も知らないイェールクは麗奈に言われた通りまずは外へと出た。
「ふふ、可愛い坊や。お前の知りたい事を暴いてあげるから見取り図と鍵を‥‥」
「‥‥‥‥」
 流石のイェールクもぽかーんとしている。
 どうやらイェールクを誘惑しようと試みた麗奈であったが、イェールクはまだ子供。更には母をあまり知らない、男手で育てられている為、女性というものを理解出来ずにいるのだ。
 そして、遅れて他の冒険者達がやってくる。麗奈を見つけるとちょこんと首を傾げていた。
「‥‥一体何をして‥‥?」
「いや、屋敷に忍び込んで話を聞こうと思って‥‥」
「ち、ちょっと! 流石に男爵様の家よ、それだけはまずいわっ!?」
 慌てて華岡紅子(eb4412)が麗奈を抑えに入る。
 そんな光景を眺めていたイェールクはランディ・マクファーレン(ea1702)の服の裾をクイクイと引っ張る。
「‥‥ん?」
「あれが天界人なんだよな?」
「‥‥そうだな」
「みんなああなのか?」
『断じて違うッ!』
 紅子とランディ、二人同時に超絶否定。
 そりゃそうだ。子供を誘惑するのが天界人などと思われてしまったら大変だ。
「とにかく! 麗奈は大人しくしていてくれると助かるわ」
「なら、しっかり監視しておきなよ。また忍びこむとか言い出したら大変だ」
 アシュレー・ウォルサム(ea0244)は苦笑いを浮かべ、そう言うのだった。

●追跡開始〜アルフレート編
「アレフ君は屋敷の中ね?」
「うん、あいつが父さまを見張ってるんだ」
「じゃあついでにお話が聞けるかも知れないわね、侍女さんから」
 そう言うと、紅子はイェールク達と別れ屋敷へと入って行った。
 まず向かったのは侍女達が休憩している部屋だった。
「あら、この間の冒険者の方?」
「何かご用事でしょうか?」
「ちょっと聞きたい事があるのだけれど‥‥」
 しかし、侍女達の視線は共に来ていた麗奈へと向けられていた。
 無理もない。その姿はまるで‥‥変な人そのものなのだから。
「‥‥マント、羽織ってくれる? 趣味でもちょっとこの世界の人には辛いから」
 紅子は麗奈にマントを着せると、再度侍女達への聞き込みを開始した。
「あれから子供達はどうかしら?」
「其れはもう。アルフさんと坊ちゃんはよくお遊びになられています」
「まるで双子の子みたいですよね」
「そう、上手くいってるのね‥‥そう言えば、アルフレート様だけれど。普段はどんなお仕事なさってるのかしら?」
 紅子が尋ねると、数人の侍女はちょっと頬を赤らめていた。
 どうやらこの屋敷の中でも、アルフレートは人気者のようだ。
「アルフレート様は何時も書斎にいらっしゃるんです。仕事と言えば、主に書類の見直しだとか‥‥」
「最近、特に色々とお忙しいみたいで‥‥ヴィルフリート様とお会い出来ない事が辛いでしょうね」
「ヴィルフリート様?」
「アルフレート様と同じ男爵位の方ですわ。お二人揃ってカッコいいんですっ」
 侍女達が騒ぎ始めると、紅子はお礼だけ告げて部屋を後にした。
 どうやら、アルフレートは今も書斎で執務の真っ最中だとか。
「後は、アレフくんと合流するだけね」
「マント、そろそろとっていいか?」
「絶対ダメ。アレフくんが怖がるわ」
 紅子の一言に、麗奈はガクリとうな垂れるのだった。

 アレフは書斎の前にいたのですぐに見つけられた。
 紅子はそんな彼の後ろ姿を見てクスリと笑い、肩を叩いた。
「あ‥‥! この前の‥‥!」
「近くに寄ったから、イェールク君とアレフ君の様子を見に来たのよ‥‥でも、此れは口実♪」
「私達は尾行のお手伝いに来たんだ」
「そうなんですか? 助かります、僕一人じゃアルフレート様を尾行だなんて出来なくて‥‥」
「アルフレート様は中?」
「はい。まだ執務をしているみたいで‥‥あ‥‥!」
 書斎の中から物音が聞こえた。そして、一つの足音が此方に向かって歩いてくる。
 急いで隠れなくては。アレフを抱き抱えて、紅子と麗奈は廊下の曲がり角に隠れながら、その行方を見守っていた。
「おや、お出かけですか、旦那様?」
「うん。少し呼ばれてしまってね。今日は食事はいいよ、どうせ帰れなくなるだろうから‥‥」
「左様ですか。もしや‥‥?」
「そーいう事。イェールクの事は頼んだよ。僕がいないからといって甘やかさないように」
 そう言うと、アルフレートは屋敷から出て行った。
 其れを確認すると、紅子達も急いで後を追うのだった。

●追跡開始〜ヴィルフリート編
「うぅん、ちょっと難儀だったのじゃ」
 ユラヴィカ・クドゥス(ea1704)が情報収集に行って戻ってきた時の言葉だった。
 イェールクとランディ達の所へと戻ると、少し苦笑いを浮かべる。
「ヴィルフリート卿なんじゃが‥‥ちと手強いのじゃ。何でも昔は騎士として働いていたとかで‥‥」
「ふむ‥‥ヘタに動けない、か?」
「でも、かなりの酒好きのようじゃ。酒が入ってれば、問題ないじゃろうとの事じゃった」
 ユラヴィカが得意気にそう言うと、ランディとアシュレーは苦笑を浮かべた。
 果たして、本当に上手く行くのだろうか‥‥。
「‥‥必ずしも知らなくて良い事、と言うのも世間にはある。御父上が息子の為を思って敢えて隠し事をすると言う事も、ね。人が話したがらない事・明かしたがらない事を、気になるからと無理に穿り返すのは良くない事だ。それは御理解頂けるかな、イェールク男爵子息殿?」
「判ってるよ! でも、父さまの事だから気になるんだっ!」
「父親思いってヤツなのかな、これが? ま、俺達が出来る限り協力してあげるから、無茶だけはしないでくれよ?」
「うんっ!」
 イェールクの元気な返事に、アシュレーは一度彼の頭を撫でてからスクロール、インビジブルで姿を消す。
 其れと同時に細い路地から姿を見せた男性。其れを見て、イェールクは言うのだった。
「あっ! あの人! あの人がヴィルフリート様だっ!」
「よし‥‥では、行くか、イェールク。俺が付き添いの大人として一緒に行こう」
「イェールク殿にとってアレフ殿というのは、どんな存在なのかの?」
「んー‥‥大切な仲間っ!」
「お父上にだって、そういった人はいるかもしれないのじゃ」
「うーん‥‥でも、俺とアレフみたいな感じに見えないんだよな、父さまとヴィルフリート様」
 尾行しながら、他愛もない会話を交わす。
 イェールクの返答に、ユラヴィカはイェールクの頭に座って首を傾げる。
 実物を見ていないから、どう違うのかが判らないといった様子である。
「お‥‥ここだ、ここだっと‥‥」
「武器屋‥‥?」
「俺が行って見てくるよ」
 アシュレーがそう言うと、ランディ達は怪しまれないように離れた場所で待っている事にした。

「おう、親父。頼んでたもの出来たか?」
「おぉ、此れはヴィルフリート様! 言われた通り、新品同様にしておきましたぞ!」
「おー‥‥此れでまた一暴れ出来るぜ」
 大きな剣を少し細身の腕で持ちあげるヴィルフリート。
 其れをみて、アシュレーは思わず驚くのだった。
(「あ、あれで一暴れって‥‥ほ、本当にこの人男爵なのか‥‥!?」)
「今日は何処でお暴れになるんで?」
「今日はちぃと先約がいてなぁ‥‥久しぶりの相手なんだ」
「おや、ヴィルフリート様が人の相手をなさるとは‥‥あ、もしや例の方で?」
「おう」
 笑ってそう返事をすると、大きな剣を鞘に収め代金を置いて武器屋を後にしたヴィルフリート。
 其処で見た事、聞いた事をユラヴィカ達に伝えながら尾行を続けるアシュレー。
 聞いたユラヴィカ達も驚きを隠せないでいた。
「‥‥ほ、本当に男爵なのじゃろうか‥‥?」
「其れすら怪しく見えてしまうな‥‥今のアシュレーの話だと‥‥」
「本当に男爵様なんだぞー? すっげー強いんだ!」
「イェールク殿が言うのだから本当なんじゃろうか‥‥。お、次は酒場なのじゃ♪」
「アシュレー、次は俺達が行こう。外で待っていてくれ」
「了解、しっかり頼むぞー?」
 インビジブルを解除して、アシュレーがそう言うとランディ達は酒場へと足を踏み入れた。
 其処は、物凄いお酒の匂いが充満していた。イェールクにとっては未知なる匂い。
 ユラヴィカは慌ててイェールクに小さな布を渡した。
「この布で鼻を抑えるのじゃ。そうすれば匂いを嗅がなくて済むでの♪」
「あ、ありがとう‥‥すげー‥‥此れが大人の匂いってヤツなんだなっ!」
「‥‥何か、違う気もしないでもないのだが‥‥」
 苦笑を浮かべると、ランディは気付かれないように周囲を伺い、ヴィルフリートを見つけ出した。
 カウンターでマスターと何かを話している様子。少し離れた位置について、話を聞く事にした。
「とっておきの酒、頼むぜ。持ち帰りでな?」
「へい。例のあの酒っすね?」
「そうだ。アルフレートのヤツに飲ませてやろうと思ってな」
「‥‥父さまとお酒‥‥?」
「アルフレート様はお酒が飲めるのかの?」
「うぅん、父さまはワインとか絶対に飲まないよ。何でも、弱いんだーって」
 イェールクがそうユラヴィカに説明すると、二人はなるほどと頷いた。
 アルフレートは酒が飲めないそうなのだ。

「あまり飲めない人に酒やっちゃいけませんよー?」
「だーいじょうぶ。今日はちゃんと俺の部屋で飲むし」
「‥‥怪しい発言なのじゃ」
「いや、部屋で一緒に酒を飲むだけなのでは‥‥」
「でもわざわざ夜中にする事はないと思うのじゃがのぅ‥‥」
 こうして、ヴィルフリートはマスターから酒を受け取って、酒場を後にするのだった。

●最初から最後まで?
 そして夕暮れ。アルフレートは広場の噴水前で誰かを待っているように立ち止まっていた。
 其れを見守る紅子と麗奈とアレフ。‥‥まだ気付かれていない。
「もう何時間もあそこでああしてるわ‥‥」
「一体誰と待ち合わせなんでしようか?」
「‥‥む? あれはランディ達じゃないか?」
 麗奈がそう言うと、反対側からランディ達がやってくる。
 勿論、その手前にはヴィルフリートの姿。酒と大きな剣を担いでアルフレートの前に立った。
「待たせたな、アルフレート」
「遅いよ、ヴィルフリート。一体何時まで待たせるつもりだったんだい? 時間にルーズなのは少し直した方がいいぞ?」
「そうカタイ事言うなって! 今夜はとことんまで付き合ってもらうつもりだからな」
「‥‥其れよりも、だ。ヴィルフリート」
「そーだな。そろそろ教えてやった方がいいかぁ」
 面倒そうに頭を掻くと、ヴィルフリートは紅子達が隠れている場所まで歩いて来る。
 そしてひょいと覗きこむと紅子達と目が合った。
「気配でバレバレ」
「うっ‥‥!」
「も、申し訳ありません! 私達はただ気になって‥‥」
「‥‥はぁ。いいんだけれどね、気になるものは仕方ないだろうしさ」
 アルフレートが笑ってそう言うと、紅子達は安堵した。怒られると思っていたからだ。
 そして、ヴィルフリートは其処より更に左の場所へと視線を移すと溜息をついた。
「さっきからなーにこそこそしてんだ? 話しかけてくりゃあいいのによ」
「‥‥バレてたか」
「ん、酒場からな」
「っていう事は‥‥俺は人数に入ってなかったって事か?」
 出てきたアシュレーを見ると、ヴィルフリートは少し驚いて小さく頷いた。
 流石に隠密行動が得意な者の気配まで察知出来るわけがないのだ。

「で、何で俺達をつけてたのかね?」
「そ、其れは‥‥」
「父さまとヴィルフリート様の関係が気になったんだっ!」
「イ、イェールクくん!?」
 流石は子供。バレてしまえば直球に尋ねてしまう。
 ヴィルフリートはイェールクを横目で暫し見ていたが、首を傾げてしゃがみこんでイェールクを見た。
「おい、アルフレート」
「どうした?」
「‥‥こいつ、お前のあの息子?」
「そうだ、イェールクだ」
「あのウロチョロしていたガキがこんなになったのか。時ってのははえぇな?」
 へらりと笑ってそう言うと、ヴィルフリートは指をパチンと鳴らした。
「丁度いい、アンタ等も付き合えよ。‥‥尾行した罰としてな?」
「‥‥いいん、ですか?」
「おう。イェールクも其処のガキも一緒にこいや。茶ぐらいは出せるぜ?」
「ほんとか!? 行く、行く!」
「で、肝心の答えが貰えてないよ、イェールク様!?」
「そうじゃそうじゃ。友人なのかの?」
「アルフレートと俺は戦友、魂の共有者だ」
 ヴィルフリートがそう言うと、アルフレートは米神を抑えた。
 なにやら誤解されそうな言い方だったらしい。
「僕とヴィルフリートは本当に戦友なんだ。彼が剣、僕が篭手‥‥騎士時代からの親友でね」
「それで深夜に酒‥‥という事か」
「何時も勝手に連れて行かれるんだ。僕は飲みたくないのに」
「たまには飲めって!」
「ここ最近毎日だろう?」

「‥‥まるで本当のご兄弟みたいに仲がいいんですね?」
 紅子がそう言うと、二人は顔を見合わせて小さく笑った。
「兄弟のように思ってるさ、俺達は」
「でも、其れよりももっと強い絆だと僕は思うよ。何だかんだ言っても、心配だからね」
「さて、これで疑問は解けた? アレフ、イェールク?」
 アシュレーが尋ねると、二人は揃って頷いた。
「アルフレート卿とヴィルフリート卿。二人は彼等を見習って欲しいと俺は思う」
「そうだな。本当の親友っていうものは、友情っていうものは、あの二人の事を言うんだよ?」
「さぁて、今晩もアルフレートを可愛がりますか♪」
「ヴ、ヴィルフリートッ! いい加減にしないかっ!」
「‥‥あそこは見習わなくていいのじゃ‥‥」
 アシュレーの折角のいい台詞を、ぶち壊しにするヴィルフリートを見やりながら、ユラヴィカは小さく溜息をつくのだった。

 こうして、冒険者達はヴィルフリート邸で一晩酒を飲み、そのお礼に冒険話を話してあげたのだという‥‥。