森の館

■ショートシナリオ


担当:マレーア

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月14日〜06月19日

リプレイ公開日:2004年06月22日

●オープニング

●某日 村の酒場にて
 よぉ、いらっしゃい。
 おまえさん方、見かけない顔だねえ? こんな辺鄙な村に何の用で来たんだい? 見たトコ商人とか芸人には見えねェなあ。

 ん? ああ! 街で村長が斡旋してきた冒険者の皆さんかい。こりゃあ失礼したな。いや何、村に妙な奴等が入り込まないようチェックしとくのも俺の仕事のひとつでね。気ぃ悪くしてたら勘弁してくんな。おお、そうだ。せっかくだからエールかワインを1杯おごらせてもらうぜ。詫びの代わりだよ。遠慮すんな。

 ――で。依頼の話はだいたい聞いてるんだよな? この村にゃあ、『月影の森』って呼ばれる森があってな。俺っちみてぇな凡人にゃあよくわからねぇんだが、魔法使いとかいう連中に言わせると『精霊』の力が結構強い場所だって話でよ。実際、森にゃ薬草の類が豊富で、村にはそれを採って生計立ててるヤツもいるし、奥に行くと珍しい植物とかが生えてたりするんだ。もっとも、いわくある場所だから、奥まで行き過ぎると何が出るかわからねえってんで、村のモンは必要以上に立ち入ったりしないんだがね。

 その森の中に一件、古びた館があってな。魔術師の爺さんが一人で住んでたんだ。偏屈で気難しい爺さんでよ、滅多なことで森からは出てこねえし、時たま頼まれて俺っちが食料を運んだりしてたんだが、ロクな対応をされたことがねえ。得体の知れない爺さんだったが、結局寄る年波には勝てなくて数ヶ月前にぽっくり逝っちまってな。後には、古屋敷だけが残されたってわけ。
 空き家が森にぽつんとあっちゃあ、どんなロクでもない奴等に目をつけられないとも限らないからよ。建物自体すげぇ旧いもんだし、いっそ解体しちまおうってんで、村のモンで有志を募って行ってみたわけよ。そうしたらよぉ‥‥なんか連中、えらい怖い目に遭ったらしくてなあ。もう二度と行かねえってブルっちまったのよ。
 まあ、それだけならわざわざあんたらを呼ぶまでもなかったんだがね。この騒ぎ、館の敷地だけじゃおさまらなくってな。館を中心に、徐々に徐々に異変が広がりだしたんだよ。お陰で今じゃ、森で生活してる狩人や木こり連中でさえブルってる始末だ。

 このまんまじゃ、森で生活してる連中はおマンマの食い上げだし、異変が村の方にまで及ばないって保証もない。今のトコ死人とかは出てねえが、怪我したヤツは数人いるしな。こりゃあ何とかしなきゃってんで、その道のプロであるあんたらにお出まし願ったってワケさ。

 何があったのかって? それがよぉ、動く骸骨とか、でっかい芋虫とか、見たことねえ化け物に襲われたっていうのよ。例の魔術師の爺さんがあの古屋敷で何かやってて、それがどうにかしたのかも知れねえ、って説もあるが、真相はわからねえ。俺たちにはそんな学はねぇし、化け物に襲われて生き延びる腕っ節もねえしな。

 だからよ、あんたらにはあの館に何があるのか調べてきて、できるならその原因も取り除いて欲しいんだな。勿論報酬は村長の御墨付きだし、俺からもささやかながら礼はさせてもらうぜ。
 相手は得体が知れねぇし、ヤバイ仕事にゃ違いねぇが。よろしく頼まれてくれねえかなあ?

●今回の参加者

 ea1551 セレネス・アリシア(27歳・♀・クレリック・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea1849 リューヌ・プランタン(36歳・♀・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ea2816 オイフェミア・シルバーブルーメ(42歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea2924 レイジ・クロゾルム(37歳・♂・ウィザード・人間・ビザンチン帝国)
 ea3026 サラサ・フローライト(27歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea3158 ハイラル・サーネルド(35歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea3273 アリシア・リカオン(31歳・♀・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 ea3304 カルザー・メロヴィック(30歳・♂・神聖騎士・エルフ・フランク王国)

●リプレイ本文

●究明
 『月影の森』。
 名前を聞いたとき、何とも神秘的な響きを持つ名の森だ、と思った。
 実際この森の中に居を構えていた老魔術師は、この森は精霊の力が強い、と常々主張していたという。
 今回の冒険仲間で、地の精霊を操るレイジ・クロゾルム(ea2924)やオイフェミア・シルバーブルーメ(ea2816)、そして月の精霊と語らう力を持つサラサ・フローライト(ea3026)などが森へ入ったら、やはりそんなことを感じるのかもしれない。
 自分にはそんな『目に見えないモノ』を察知する力などないから、そんな感想は持ちようがないが‥‥。問題の館までの道順を確かめるため、試しに森に入り込んでみたアリシア・リカオン(ea3273)は、依頼を受けた村の住人の一人と館の位置を確認しつつ、そんなことを思った。精霊と関わる力のない自分でも、この森が、特に生命力に満ちたものであることはよくわかる。
「村からは歩いて約半刻あまり、か。そんなに森の奥深くにあるわけじゃあないんだね」
「そりゃねえ。いかに得体の知れねえ魔術師の爺さんとはいえ人間だし、おいら達がときどき生活用品なんかを届けたりする必要があったからね。あんまり奥に住み着いちゃあ、それもままならねえからなあ」
 ごもっともな意見である。
 しかし、問題の魔術師が相当に偏屈で人嫌い、かつ病的なまでに疑心暗鬼な性質であったことは間違いないらしい。例の老魔術師が、村の共同墓地に埋葬されたことを聞いたリューヌ・プランタン(ea1849)が、墓前で『デッドコマンド』による対話を試みたところ、返ってきたのは、
『わしの研究は誰にも渡さぬ‥‥偉大なる研究じゃ‥‥どいつもこいつも研究成果だけを狙いおる‥‥その意味を知ることもなく‥‥成果は渡さぬ‥‥館に近寄るものは許さぬ‥‥許さぬ‥‥渡さぬ‥‥』
 という、妄執めいたものばかりであったという。館に食料などを届けていた村酒場の親父も、生前の老人にはろくな対応をされたことがない、とこぼしていたし。確かに、今回のこの『森の異変』の原因は、レイジが予想している通り、この老魔術師が遺した何らかの要因が作り出している、というのが正しいかもしれない。
 ともあれ、案内人の村人もこの異変に巻き込まれてえらい目に遭った、とのことで。これ以上は同行したくない、と言い出したのを機に、アリシアもひとまず村へ戻ることにした。

 村の酒場にて。
 店主である親父が差し入れた心づくしの食事を前に、一同は問題の『館』と『異変』について集めた情報の整理にかかる。
「情報を統合すると‥‥やはりこの騒動は、何らかの『幻』である可能性が高いな」
 村に到着後。『異変』に遭遇した村人達から得られた情報を前に、レイジが呟く。
 『館の周辺に、得体の知れない化け物が現れる』、『そのせいで怪我をした村人がいる』。事件の概要について、村人達が口を揃えて証言しているのはこの2点。ところがその詳細はというと、統一された傾向、というのが一切見えてこないのだ。あるものは「カタカタと動く武装した骸骨に襲われた」と言い、またあるものは「2mはあろうかという芋虫に襲われた」という。「不定形のねばねばした生物に襲われた」というものもいる。同じような『異変』に再度遭遇したケースがない。
 また村人達が負わされた怪我についても、詳細を聞き出してみると、その『異変』そのものにどうにかされて負った怪我である、とは考えにくいものが多かった。ほとんどが異変から逃れようとした際に木の根に脚をとられたとか、襲われそうになって飛び退ったところ足場がなくて落ちたとか、そういうものが多い。あるいは「剣で武装した骸骨に襲われた」にも関わらず、受けた負傷が打撲によるものしかなかったとか状況と矛盾していたり、更には、いきなり錯乱状態になった仲間に殴られて怪我をした、というケースもあった。この『錯乱状態になった』とされる村人から改めて話を聞くと、「自分は化け物に襲われて反撃しただけだ」と主張されてしまったのだ。
「現れる『化け物』についての情報も三種三様でまとまりがないし、同じようなケースもあまりない。何より、『化け物』に怪我を負わされた例が少なすぎるってのが気になるね」
 したり顔で賛意を示すのはカルザー・メロヴィック(ea3304)。
「例の魔術師の爺さんとやらがどんな魔術師だったのかまではわからないが‥‥。ただ異変の正体が『幻』にしろ、そうでないにしろ、その原因が館にある可能性は高い。ここはひとつ、出向いてみるのが正解だろうな。異論があるものは?」
 集まったメンバーをぐるり、と一瞥し、レイジが問う。オイフェミアが軽く肩をすくめた。
「特に異論はないわ。どちらにしろ館には一度出向いてみるのが確実だと思うしね」
「自分も同感だ」
 ハイラル・サーネルド(ea3158)も頷く。他、サラサも賛同の意を示した。レンジャーのアリシアも頷き、口を開く。
「とりあえず今日の昼間村の人と森に入ってみたけど、あたしの目から見て何かおかしい、ってことは特になかったね。レイジやオイフェミアから見れはまた違うのかもしれないけど、見たカンジは普通の森だったよ。でも行くとしたら日が高いうちにするのが得策だと思う」
「異変の原因が『幻』だけとは限りませんからね。夜に行動するのはこちらが不利になるばかりですから、避けたほうが賢明でしょう」
 リューヌが控えめに自身の意見を述べる。一通り意見を聞いて、レイジも頷いた。
「――よし。では明日、さっそく館の方に向かってみることにしよう」

●真相
 カルザーの提案で、館には二手に分かれて訪れることになった。館の異変は『幻覚』によるもの、との予想はついているものの、ひとまとまりで行動していては万一の場合一網打尽にされる可能性がある。それを考慮してのことだ。
 先発組にはリューヌ、オイフェミア、レイジ、ハイネル、サラサ。後発組はカルザーとアリシア。
 道の途中で先発、後発のグループに分かれ、それぞれのルートから館に近づく。先発は正面から、後発は先メンバーとは多少の間を置いて、別ルートから入り込む、という作戦だ。
 
 おそらく村人達が通うことでできたのだろうほぼ獣道を、用心深く進む。見た感じ、周辺の植物などに異常は見られない。「何か異変はなかったか?」というレイジの問いにも、周囲の緑は否と答えてくるだけだ。
 館の入り口が見え始めたころ。サラサが先発のメンバーを呼び止め、一人一人に『レジストメンタル』の術を施してゆく。
「異変の原因が『幻覚』であると確定したわけではないが‥‥やっておくに越したことはないだろうからな」
 村人の話では、館の敷地に入るや『化け物』に襲われたという話だが。果たしてそんな異変が自分達を襲うことはなく、難なく館の前に到達してしまう。
「‥‥なんだか拍子抜けだな。不謹慎ではあるが」
「まだまだ。安心するのは早いぞ」
 ポツリと呟くハイラルをたしなめつつ、レイジが入り口の扉脇の壁に手をついて、もう一方の手で印を結んだ。詠うように紡いだ呪文に答えるように、その体が淡い茶色の輝きに包まれる。
「――どう?」
「‥‥確かに、館の中に何者かがいるな。数にして6体、そんなに大きくはない。俺達より多少小さいかそこら、というところだ」
「ということは、『幻』ばかりが相手ではないということね」
 オイフェミアが不敵に微笑み、それを受けてハイラルとリューヌが即、警戒態勢に入る。それを確かめ、レイジは目の前の扉を堂々と開け放った。
 
 一方、後発メンバー。
「リューヌから聞いてはいたが‥‥こりゃあ、ホントに偏執気質な爺さんだったんだね」
 正面入り口は先発メンバーに任せ、別方向から館に近寄ることを選んだわけだが。その周囲に仕掛けられた罠の数々に、アリシアはげんなり、と眉をひそめた。仕掛け網、鳴子、落とし穴、丸太のトラップ、等々。正直、仕掛ける手間の方がかかったんじゃないのと呆れるほどの徹底ぶりだ。そこまで侵入者を警戒せねばならない理由が老人にあったのだろうか。
 とりあえず見つけた罠は片端から無効にするか、それができなければ別ルートを探して館に近づく。
「しかし‥‥どうやら俺達より先に、館に近づいた連中はいるみたいだな」
「そうだね」
 カルザーの言葉に、アリシアも頷く。発見した罠の一部には、すでに発動しているものがあったのだ。それは即ち、何者かがこの正規の道以外のルートで、既に館に近づいていることを意味する。
 罠の類を通り抜け、館の裏口と思しき場所に出る。裏口はどうやら最初は鍵と、ご丁寧に仕掛けもあったらしいが、それは既に壊されてしまっている。警戒しつつ中に入ると、作業場らしい土間に通じていた。そこから厨房と思しき場所へ。内部は惨憺たる有様だった。食器が壊され、壺や櫃の類はひっくり返されて、中に保存されていたのだろう食料の類が散らかっている。
「山賊か野盗の類でも忍び込んだのか‥‥?」
「いや‥‥もっと性質の悪いのかもしれないぞ」
 カルザーが呟く。その直後。壁の向こう――おそらくは正面玄関の方――から、金属を打ち合うような音と、怒号と思しき声が響いてきた。

 扉を開け、玄関ホールに踏み込む。と同時に、上方からぱらぱらと石、そして矢が一行に襲い掛かってきた。すかさずハイラルが前に飛び出し、剣を振って上からの襲撃物を薙ぎ払う。吹き抜けになっているホールからは、階段と2階の回廊が見えた。そこにいたのは。
「ゴブリン?!」
 サラサが目を見張る。姿を見せた小鬼達は、ギィギィと鳴きながら手すり越しにスリングや小弓で攻撃を仕掛けてくる。レイジとオイフェミアが揃って印を結び、呪文を詠唱した。『グラビティーキャノン』。重力による衝撃が、ゴブリンたちを容赦なく吹き飛ばす。その間隙を縫って、ハイラルとリューヌが階段を駆けのぼってゆく。
「まさかゴブリンが待ってるとは予想外でしたが‥‥もしかすると、要因のひとつかも知れませんね」
 転倒を免れたゴブリンの1匹を、リューヌがクロスソードで迎え討つ。そのとき1階の扉のひとつから、後発組の三人が姿を見せた。彼らの目に飛び込んできたのは数匹のゴブリンと、彼等と対峙する仲間達。そしてその背後には――
「オーガ! それに‥‥バグベア? 何でこんな奴等まで!」
「え?」
 カルザーの叫びに、レイジが怪訝そうな表情になる。彼は何を言っている? 自分達の目の前にはゴブリンしかいないのに。サラサがはっ、となり、叫んだ。後発組の彼等は、『レジストメンタル』の恩恵を受けていない。
「幻覚だ! おそらくこのゴブリン達は、『異変』と関係あるはずだ!」
「――わかった!」
 頷き、廊下にいるゴブリン達はハイラルとリューヌに任せ、自分はオイフェミアとともに、ゴブリンたちが出てきたと思しき2階の奥に進む。壊れた扉の奥の部屋。古びた書物が散らばり、意味ありげな装飾品や器具の並んだその部屋では。2匹のゴブリンが、必死に塑像にはめ込まれた水晶球に向かっていた。水晶球は魔術のものと思しき淡い輝きを放っている。
「そこまでよ!」
 オイフェミアが叫び、すかさず『グラビティーキャノン』を発動させる。聞き苦しい悲鳴をあげて、吹っ飛ぶ小鬼達。その隙をついてレイジが水晶球に素早く近寄り、手にした杖を振り上げる。
 渾身のその一撃を受けて。一瞬の間の後、水晶球は粉々に砕け散った。

●顛末
 結局、事件の真相はこういうことだったらしい。
 老魔術師の死後、無人になった『森の館』に入り込んだゴブリン達。そして食料や何らかの価値あるものを漁っていた彼等は、魔術師の研究室で例の『水晶球』を見つけた。おそらくその『水晶球』は、館に近づいたものか、あるいは任意の者が側で念じることで幻覚を見せる作用のある魔術道具だったのだろう。体のいい仕掛けと住処を見つけた彼等は、早速それを利用して、近づく人間達を脅かし、追い払い始めたと。そういうことのようだ。
 だが、問題のゴブリン達は大半が一行に倒され、生き残ったものも逃走した。頭は決して良くないとはいえ、小ずるいことで名高いゴブリンである。あれだけ痛い目にあわされて、またあの館に近寄る、ということは当分ないだろう。ただ。
「問題は‥‥あの魔術師の爺さんが何を研究していたかわからなかった、ってことだな」
 レイジ、オイフェミアといった魔術師の面々は、そのことがともかく不服だった。例の『水晶球』が置かれていた場所が研究室なのは確かなのだが、そこは忌々しいゴブリンたちにすっかり荒らされていて、とても研究内容を探る、どころではなかったのだ。ただわかったのは、例の魔術師は「月」と「地」そして「風」」の力を修めた優れたウィザードであったということ‥‥。
「あんな魔術道具を作るぐらいだ。相当に力があったのは違いないだろうな」
 しかし、立ち入れた部屋の中に他にめぼしい魔術道具や文献の類は見つからなかった。加えて館の中には魔術によって厳重に封じられた一角があったのだが、そこにはどうあっても立ち入ることができなかったのだ。
 この館をどうするか、に関しては、「こんな騒動の元は解体すべきだ」と主張するアリシアと、館に秘められた魔術知識が気になるレイジやオイフェミアとの意見が真っ向から対立したが、最終的には残されることになった。村人が言うには、その老魔術師の弟子とか言う人物から連絡が来て。いずれ館に遺された研究を引き取りに伺うから、それまで預かっていてくれまいか、という申し出があったというのだ。
「あの魔術師の爺さんにそんなのがいたってのは、ちょいと意外なんだがね‥‥」
 街に戻る一行を見送りに来た村酒場の親父が呟く。
「また何かあって、館を調べなくてはならないことがあったら、いつでもギルドに連絡をくださいな。喜んで伺うわ」
 にっこり、と笑ってオイフェミアが言う。レイジともども、『魔術師』の遺産について知ることができなかったのは正直残念だ。しかし、今回自分達が請けた依頼は解決した。これ以上は介入する理由がない。
「本当に世話になったな。謝礼の方は相場をギルドに渡しておいたから。ちゃんと受け取っておいてくんな」
 喜色満面で、村酒場の親父が言う。

 『森の館』の一件は、こうして幕を閉じた――

《森の館/Fin》